渡る世間はクズばかり

翠山都

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体調の変化

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 今日はスーパーに買い物に行く日。近頃、店内の中にいる人の数が減ったような気がする。私が来店する時刻はいつもそこそこ込み合っていたので、スーパーには悪いけど、利用しやすくなって嬉しい。
 人が減ったぶん、相対的に店内で嫌な思いをしたり、不愉快な光景を見る機会も減った。今まではスーパーに来るだけで相当なストレスを感じていたのだけど、それが軽減できて二倍お得な気分だ。カードやポイントなんかでサービスしてもらえるよりも、多少高くなっても私にとってはこういうことの方がずっと嬉しいと思ってしまうのは、自分でも気づかないうちに相当精神を病んでいたのかもしれない。
 近頃はクレームの電話も減ったので、私の精神状態はかなり安定してきている。それでようやく、こうして自己の状態にも気づけるようになってきたのかもしれないと思う。人は本当に病んでしまったら、自分が病んでしまっていることにすら気づけないものだっていうから。
 一番実感ができるのは、朝起きたときだ。睡眠が深くなったというか、きちんと睡眠を採れるようになったというか。これまでは途中で何度か目を覚ましてしまったり、寝起きすぐのとき胸が息苦しく、逆に疲労が溜まっているような感覚が続いていた。それが、クレームの電話が減ってから、かなり軽減されたのだ。一日の業務を終えたら精神だけでなくなぜか肉体まで疲れ切っていて、家に帰りついたら何もする気力がわかなかったものだが、最近は若干余裕らしきものができて、少しずつ身の回りのことに注意を向けられるようになってきた気がする。
 これまで自分で気づかぬうちに、どれだけストレスをため込んでいたのかがわかる。
 もしもこういう気分を味わっているのが私だけではないなら、周囲にストレスばかりを振りまいているような人たちがこの世からいなくなれば、どれだけ多くの人が心地よく、心安らかに生きていくことができるようになるんだろうかと考える。たった一人の人間が、五人十人、もしかしたらそれ以上の人数の精神を苛んでいるのだとすれば、それはもしかするととてつもない害悪なんじゃないかと思う。
 本当に、最近の私はそういう人と遭遇する機会がずいぶんと減った。幸運だと思う。
 と、ふと、あの祠のことを思い出した。あれから何度か探してみたけど結局見つからなくて探すのをやめてしまったけど、あの祠に願ったご利益が、もしかしたらあったのかもしれない。
 今度見つけたら、ちゃんとお礼を言わないと。これまでよりちょっぴりいい気分で、私はその日も眠りについた。
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