90 / 132
歓びの里 [ランド、七日間の記録]編
日録24 そうだ、デートをしよう
しおりを挟む
よろしくお願いしますm(__)m
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
―――あなたがそこにいるだけで
私の見る風景…世界が、色を取り戻す。
あなたを中心に世界が輝き出し、色鮮やかに見える。
一瞬、何を言われたのかランドには分からなかった。衝撃のあまり、動けずにただその場に立ちつくす。
言われた言葉を理解しようにも、肝心の内容がなかなか頭の中に入ってこなかった。
その時、轟と強い風が吹いて、チャグチャグという鈴の音が静寂を破らなければ、ずっと動けないままだったかもしれない。
鈴が鳴った拍子に、それまで止まっていた時間が再び流れだす。そこでようやく、ランドは我に返った。
長いこと、相手を見つめていたことに気づいて、ランドは慌てて地面に目を落とす。
走ってもいないのにドクドクと胸の鼓動がいやに早い。エンジュに言われた言葉を、頭の中で転がしながら、ゆっくりとなぞってみる。
たった一人の存在が、世界を色づかせる?
たった一人の為に、世界が輝く?
言い換えれば、その人にとって、相手は世界を変えるほどの存在。つまり、特別な相手ということで――。
「!―――っ」
気づくと同時に、カア――ッと顔が赤らむ。ひどく顔が熱い。
いくらランドが色事に疎くとも、それが意味することくらいは分かる。
問題は、ではこの後どうすればいいかということだ。それについては、ランド自身、経験もなければ知識もない。
まさか面と向かって、それは自分を好きだということかと詰め寄るわけにもいかない。―――そもそも、それを聞いてどうするというのだろう。
いや――それよりも。
先ほどから顔の火照りがおさまらない。エンジュの視線を痛いほど感じて、ランドはいよいよ崖っぷちに立たされた。
エンジュの視線を受け止められず、伏した目をいたずらに彷徨わせる。
誰もいなければ、気持ちの赴くまま走り出してしまいそうだ。そのくらいランドの動揺は激しい。
そんなランドに、さらに追い打ちをかけるように。
「―――おお、見事に色づきましたね」
感心するような声が頭上から降ってくる。そっぽを向きながらも、ランドはじろりと目の端で相手を睨めつけた。
「……もしや、俺を揶揄われているのですか…?」
ランドは深く息を吸って、落ち着けと自身に言い聞かせる。このままでは相手の思うつぼだ。
とんでもないと、エンジュは首を振る。
「とても可愛らしい反応でしたので、うっかり声が出てしまいました。お気に障ったのでしたら、どうぞお許しを」
ちっと舌打ちをしそうになるのをすんでのところで堪える。これには相当な胆力を要した。
「いえ――従者である俺が、あなたから謝罪を受けることなど出来ません」
「本当に生真面目なのですから…困りものですね。先ほども言いましたが、ほどほどに肩の力を抜いて緊張を和らげることは、とても大切ですよ?」
だがランドの性格上、役目を果たすことと気を弛めることは両立しない。
「この素晴らしい景色を見られただけで、十分気が休まりました。ありがとうございます、エンジュ様」
これは、本心だ。
吹く風に髪をなぶられながら、ランドはエンジュを安心させようと笑いかける。先ほどよりずっとまともに笑えたはずだ。
ランドの笑みを見て、ふわりとエンジュの顔が綻んだ。
「それは何よりです。この里の村はどの村も急な傾斜地の上にあるので、素晴らしい眺めばかりなのですよ。少しでもあなたの慰めになれば、私も嬉しい」
「楽しみですね…ですがその度に足を止めていては、一日では村を回れないのではと、俺は少し心配しております」
そろそろ動きたいと暗に匂わせる。
フェイバリットと旅していた頃の名残りで、残る行程から無意識のうちに逆算してしまうのが癖になっていた。
なにせ片道だけならまだしも、今日中に行って戻らなければならないのだ。
日が傾き始めると、あっという間に辺りは暗くなる。狭く急な坂道で道を踏み外せばひとたまりもない。
元々が心配性ということも手伝い、ランドは少しばかり焦りを感じていた。
「そうですね…。ですがせっかくの機会ですから、私は時間の許す限り、あなたとの時間を楽しみたい…」
独り言のように呟いたエンジュがそのまま黙り込む。
「エンジュ様…?」
ランドの呼びかけとほぼ同時に、その顔が不意にぱっと明るくなる。
「ランド――いいことを思いつきました。あなたが心配することも不安を覚えることもない。なおかつ共に景色を楽しむ方法を」
その声は、いつになくはしゃいだものだった。なんとなく言葉通りに受け止められないのは、自分が捻くれているからだろうか。
はたまた、人智を超えた力を、この時ばかりは神がランドに与えたのかもしれない。つまり――虫の知らせというやつだ。
不穏なランドの胸中とは裏腹に、エンジュは輝くような笑顔を浮かべて言った。
「今日は一日、私と逢瀬しましょう」
―――なんで、そうなるんだ。
言葉を失ったランドの顔から、すっぽりと表情が抜け落ちる。
だがそれも最初のうちだけ。衝動が過ぎると、おさまりかけた熱が再燃して、その顔が三度、赤らんでいく。
「―――逢瀬? あなたと俺が…?」
そんな自分を持て余して、ランドは口元を覆い隠す。少しでも顔の赤みを隠してしまいたい、そんな気持ちの表れだ。
「はい。今日、あなたに連れ立って欲しかったのは、私の本心です。ですがそれは何も、あなたに従者になって欲しいということではありません。――あなたにこの美しい里を見て欲しかったから…。ですが、それであなたが一瞬も気を抜けないと言うのなら、いっそ私と、対等な立場で歩くのが一番だと思うのです。幸い、私にも自分の身を守るぐらいの力はありますし?」
でしょう?とエンジュがにっこりと笑う。
なるほど。理にかなっている。だからと言って、素直に頷くわけにはいかない。
ランドは脳裡に、嫉妬深い美丈夫の姿を思い浮かべた。エンジュと逢瀬などしようものなら、あの恋に狂った護衛に殺されてしまう。
「…ですが、それでは皆に示しがつかないでしょう…。俺のような者があなたの隣に立つなど、不釣り合いにもほどがある。あなたに恥をかかせるのは、俺の本意ではありません」
「もちろん。村に入ったら里長としての仕事があります。ですので、その間はきちんとお務めに励みます。人前では他人のふり――なんて、まるで道ならぬ恋のようですね?」
ほんのりと頬を染めて、ふふっと楽しげにエンジュが笑う。
どんな時でもエンジュはエンジュ。実にのほほんとしたものだ。
思わず感心しながら、反面ランドは心で頭を抱えた。
(チャンジに殺されるだけでは済まなくなるから――止めてくれ…っ)
ランドが反応しないでいると、エンジュが「それとも」と言って、淋しげに眉を曇らせる。
「やはり、私が相手では、お嫌、でしょうか?」
「……。嫌ということではなく…俺には、あなたの相手など務まりません――その」
ランドはエンジュに口を挟ませまいと、その先を口早に続けた。ちらりと目だけを動かしてエンジュを見る。
「―――俺は、逢瀬など、したことが、ありません…だから…」
逢瀬の作法も分からない。それどころか男として、どうすれば相手を悦ばせることが出来るのかも分からない。
最後は消え入りそうなほど小さな声になってしまう。なんとかそれだけ言うと、恥ずかしさに耐えるように、きゅっとランドは唇を噛んだ。
事実であっても、至らぬ自分をさらけ出すのは、恥ずかしい。
ましてや男としての己の無能っぷりを白状するのだから――耐えがたいほどの屈辱だ。
エンジュは呆れた目で見るだろうか。それとも面白がって笑うだろうか。
ランドの吐露を聞いて、エンジュがどのような表情をしているのか。相手の顔を見る勇気など、とっくにランドにはない。
つかの間の沈黙の後。
「分かりました」
静かな返答につられて、ランドが伏した目を上げる。
そこにはいつもと変わらぬ、穏やかな笑顔があった。
「あなたがおっしゃりたいことは分かりました。無理はいけませんね」
「は、はあ…」
我ながら間抜けな声だと、どこか他人事のようにぼんやりと思いながら、ランドは頷いた。
あっさりと相手が引き下がったことに対して、ホッとしたような、あるいは少し残念なような、とても複雑な気分になる。
相手が追い縋ってくることを期待したわけではない。なのに、こんな――肩すかしをくらった気分になるなんて、どうやら自分は、随分と自分本位な人間のようだ。
ランドはひっそりと苦笑を洩らした。
「でしたら、こういうのはいかがでしょう?」
その声が一転、朗らかなものになる。
思わず、ランドが目線で問いかけると、待ちきれないとばかりにエンジュが口を開く。
「私が、男らしくあなたを牽引する。それだと問題ないのでは?」
「―――」
瞬間――ランドの顔がスンと“無”になった。
これ以上ないくらい、感情の一切を表情から失くしたランドは、きっぱりと言い切る。
「それは、お断りします」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
次話は一週間後、更新予定です。
次回更新も頑張りますので、
どうぞよろしくお願いします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
―――あなたがそこにいるだけで
私の見る風景…世界が、色を取り戻す。
あなたを中心に世界が輝き出し、色鮮やかに見える。
一瞬、何を言われたのかランドには分からなかった。衝撃のあまり、動けずにただその場に立ちつくす。
言われた言葉を理解しようにも、肝心の内容がなかなか頭の中に入ってこなかった。
その時、轟と強い風が吹いて、チャグチャグという鈴の音が静寂を破らなければ、ずっと動けないままだったかもしれない。
鈴が鳴った拍子に、それまで止まっていた時間が再び流れだす。そこでようやく、ランドは我に返った。
長いこと、相手を見つめていたことに気づいて、ランドは慌てて地面に目を落とす。
走ってもいないのにドクドクと胸の鼓動がいやに早い。エンジュに言われた言葉を、頭の中で転がしながら、ゆっくりとなぞってみる。
たった一人の存在が、世界を色づかせる?
たった一人の為に、世界が輝く?
言い換えれば、その人にとって、相手は世界を変えるほどの存在。つまり、特別な相手ということで――。
「!―――っ」
気づくと同時に、カア――ッと顔が赤らむ。ひどく顔が熱い。
いくらランドが色事に疎くとも、それが意味することくらいは分かる。
問題は、ではこの後どうすればいいかということだ。それについては、ランド自身、経験もなければ知識もない。
まさか面と向かって、それは自分を好きだということかと詰め寄るわけにもいかない。―――そもそも、それを聞いてどうするというのだろう。
いや――それよりも。
先ほどから顔の火照りがおさまらない。エンジュの視線を痛いほど感じて、ランドはいよいよ崖っぷちに立たされた。
エンジュの視線を受け止められず、伏した目をいたずらに彷徨わせる。
誰もいなければ、気持ちの赴くまま走り出してしまいそうだ。そのくらいランドの動揺は激しい。
そんなランドに、さらに追い打ちをかけるように。
「―――おお、見事に色づきましたね」
感心するような声が頭上から降ってくる。そっぽを向きながらも、ランドはじろりと目の端で相手を睨めつけた。
「……もしや、俺を揶揄われているのですか…?」
ランドは深く息を吸って、落ち着けと自身に言い聞かせる。このままでは相手の思うつぼだ。
とんでもないと、エンジュは首を振る。
「とても可愛らしい反応でしたので、うっかり声が出てしまいました。お気に障ったのでしたら、どうぞお許しを」
ちっと舌打ちをしそうになるのをすんでのところで堪える。これには相当な胆力を要した。
「いえ――従者である俺が、あなたから謝罪を受けることなど出来ません」
「本当に生真面目なのですから…困りものですね。先ほども言いましたが、ほどほどに肩の力を抜いて緊張を和らげることは、とても大切ですよ?」
だがランドの性格上、役目を果たすことと気を弛めることは両立しない。
「この素晴らしい景色を見られただけで、十分気が休まりました。ありがとうございます、エンジュ様」
これは、本心だ。
吹く風に髪をなぶられながら、ランドはエンジュを安心させようと笑いかける。先ほどよりずっとまともに笑えたはずだ。
ランドの笑みを見て、ふわりとエンジュの顔が綻んだ。
「それは何よりです。この里の村はどの村も急な傾斜地の上にあるので、素晴らしい眺めばかりなのですよ。少しでもあなたの慰めになれば、私も嬉しい」
「楽しみですね…ですがその度に足を止めていては、一日では村を回れないのではと、俺は少し心配しております」
そろそろ動きたいと暗に匂わせる。
フェイバリットと旅していた頃の名残りで、残る行程から無意識のうちに逆算してしまうのが癖になっていた。
なにせ片道だけならまだしも、今日中に行って戻らなければならないのだ。
日が傾き始めると、あっという間に辺りは暗くなる。狭く急な坂道で道を踏み外せばひとたまりもない。
元々が心配性ということも手伝い、ランドは少しばかり焦りを感じていた。
「そうですね…。ですがせっかくの機会ですから、私は時間の許す限り、あなたとの時間を楽しみたい…」
独り言のように呟いたエンジュがそのまま黙り込む。
「エンジュ様…?」
ランドの呼びかけとほぼ同時に、その顔が不意にぱっと明るくなる。
「ランド――いいことを思いつきました。あなたが心配することも不安を覚えることもない。なおかつ共に景色を楽しむ方法を」
その声は、いつになくはしゃいだものだった。なんとなく言葉通りに受け止められないのは、自分が捻くれているからだろうか。
はたまた、人智を超えた力を、この時ばかりは神がランドに与えたのかもしれない。つまり――虫の知らせというやつだ。
不穏なランドの胸中とは裏腹に、エンジュは輝くような笑顔を浮かべて言った。
「今日は一日、私と逢瀬しましょう」
―――なんで、そうなるんだ。
言葉を失ったランドの顔から、すっぽりと表情が抜け落ちる。
だがそれも最初のうちだけ。衝動が過ぎると、おさまりかけた熱が再燃して、その顔が三度、赤らんでいく。
「―――逢瀬? あなたと俺が…?」
そんな自分を持て余して、ランドは口元を覆い隠す。少しでも顔の赤みを隠してしまいたい、そんな気持ちの表れだ。
「はい。今日、あなたに連れ立って欲しかったのは、私の本心です。ですがそれは何も、あなたに従者になって欲しいということではありません。――あなたにこの美しい里を見て欲しかったから…。ですが、それであなたが一瞬も気を抜けないと言うのなら、いっそ私と、対等な立場で歩くのが一番だと思うのです。幸い、私にも自分の身を守るぐらいの力はありますし?」
でしょう?とエンジュがにっこりと笑う。
なるほど。理にかなっている。だからと言って、素直に頷くわけにはいかない。
ランドは脳裡に、嫉妬深い美丈夫の姿を思い浮かべた。エンジュと逢瀬などしようものなら、あの恋に狂った護衛に殺されてしまう。
「…ですが、それでは皆に示しがつかないでしょう…。俺のような者があなたの隣に立つなど、不釣り合いにもほどがある。あなたに恥をかかせるのは、俺の本意ではありません」
「もちろん。村に入ったら里長としての仕事があります。ですので、その間はきちんとお務めに励みます。人前では他人のふり――なんて、まるで道ならぬ恋のようですね?」
ほんのりと頬を染めて、ふふっと楽しげにエンジュが笑う。
どんな時でもエンジュはエンジュ。実にのほほんとしたものだ。
思わず感心しながら、反面ランドは心で頭を抱えた。
(チャンジに殺されるだけでは済まなくなるから――止めてくれ…っ)
ランドが反応しないでいると、エンジュが「それとも」と言って、淋しげに眉を曇らせる。
「やはり、私が相手では、お嫌、でしょうか?」
「……。嫌ということではなく…俺には、あなたの相手など務まりません――その」
ランドはエンジュに口を挟ませまいと、その先を口早に続けた。ちらりと目だけを動かしてエンジュを見る。
「―――俺は、逢瀬など、したことが、ありません…だから…」
逢瀬の作法も分からない。それどころか男として、どうすれば相手を悦ばせることが出来るのかも分からない。
最後は消え入りそうなほど小さな声になってしまう。なんとかそれだけ言うと、恥ずかしさに耐えるように、きゅっとランドは唇を噛んだ。
事実であっても、至らぬ自分をさらけ出すのは、恥ずかしい。
ましてや男としての己の無能っぷりを白状するのだから――耐えがたいほどの屈辱だ。
エンジュは呆れた目で見るだろうか。それとも面白がって笑うだろうか。
ランドの吐露を聞いて、エンジュがどのような表情をしているのか。相手の顔を見る勇気など、とっくにランドにはない。
つかの間の沈黙の後。
「分かりました」
静かな返答につられて、ランドが伏した目を上げる。
そこにはいつもと変わらぬ、穏やかな笑顔があった。
「あなたがおっしゃりたいことは分かりました。無理はいけませんね」
「は、はあ…」
我ながら間抜けな声だと、どこか他人事のようにぼんやりと思いながら、ランドは頷いた。
あっさりと相手が引き下がったことに対して、ホッとしたような、あるいは少し残念なような、とても複雑な気分になる。
相手が追い縋ってくることを期待したわけではない。なのに、こんな――肩すかしをくらった気分になるなんて、どうやら自分は、随分と自分本位な人間のようだ。
ランドはひっそりと苦笑を洩らした。
「でしたら、こういうのはいかがでしょう?」
その声が一転、朗らかなものになる。
思わず、ランドが目線で問いかけると、待ちきれないとばかりにエンジュが口を開く。
「私が、男らしくあなたを牽引する。それだと問題ないのでは?」
「―――」
瞬間――ランドの顔がスンと“無”になった。
これ以上ないくらい、感情の一切を表情から失くしたランドは、きっぱりと言い切る。
「それは、お断りします」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
次話は一週間後、更新予定です。
次回更新も頑張りますので、
どうぞよろしくお願いします。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる