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2章 異国[羈旅( きりょ)]編
2-28 怖がりの恋 (前)※怖がり回
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「次は俺が声かけるまで勝手に馬を止めんなよ。これは命令だ」
『命令』と強調されてしまうと従うしかない。逆らうとこの黒い首輪がすぐに苦痛を与える。代わりに、いじめないことを約束してくれると言ったので、その場は引き下がった。
本当に嫌なことを兄はしない。最後にはこちらの頼みを聞いてくれる。何のかんの言いつつ、やっぱり兄は自分のことを身内だと大切にしてくれるのだ。
その後に娘の悲鳴のような声が聞こえたが、これまで約束を破られることはなかったから我慢した。そうしたら「荷車を止めろ」という指示が下された。
娘が荷車から落ちたのだと聞いて心の臓がヒヤリと冷えた。もちろんすぐに荷車を止めた。
兄弟分が落ちた娘の元に走って行くのを見送った。自分は荷車に待機した。娘の兄を見張っていろと言われたからだ。
娘はぎこちない走り方でどんどん走って行く。怪我をしているのは遠くからでも明らかだった。
どうして逃げるのか分からない。怪我の具合がどれほどなのか心配で仕方がなかった。
やがて二番目の兄が、娘を取り押さえた。連れ戻ってきたら怪我の手当てをしなければ。
そう思っていたら、あろうことか兄が娘を蹴飛ばした。その後も小さな体を何度も足蹴にするのが見えた。
怒りと共に体が膨れ上がるのが分かった。約束が破られた。だがそれよりも、あの小さな娘が痛い目に遭わされていることに激しい怒りを覚えた。
気がついた時には怒りに任せてただひたすらに、娘の元へと草地をひた走った。許せない――初めて人に牙を剥いた。
「”グラ”! 娘を連れて戻ってこい――命令だ!」
一番上の兄が遠くから自分をそう言って呼び止めた。
とにかくあの場から娘を連れてその場を離れようとしたが、体に叩き込まれた命令には抗えず、足を止めた。
暴食。それは兄から呼ばれる名前だった。与えられた名前は力を持つ。少なくとも、この首輪を締めつけ、痛みを与えるほどに。
首輪は即座に締めつけ痛みを与え始めたが、長い間その苦痛を受け続けてきたおかげで痛みにはかなり鈍くなっていた。構わず走り出した。
娘は驚くほど軽くて心配なほどだった。戻ったらたくさん餌を与える。そう固く心に誓った。
◇
小さな娘は、それはそれは美しい赤い眼をした可愛い女の子だった。
外套にすっぽり覆われた小さな体は、兄の影に隠れるように寄り添う。匂いですぐにメスだと分かった。なぜ彼女の兄が”弟”だと言うのかよく分からなくて困惑した。
顔をのぞき込んだら、とても驚かれた。申し訳なく思う反面、可愛い顔にひと目で惹きつけられた。もっと見たいと思った。
小さくて臆病なくせに、一人で暗がりを平気で歩き回ったりする。危なっかしくて目が離せず、気がつくと常に目で追い、娘の足跡を気にしている自分がいる。
表情を作るのが苦手なのか緊張しているのか、あまり表情は動かない。それでも注意して見ていると赤い眼差しは実はとても表情豊かなのだと分かった。
思っていることを隠せずに全部目に表れてしまう。誰にも言わないで欲しいと言われて頷いたら、初めて笑いかけてくれた。
心がじんわりと温かくなった――生まれて初めての気持ちにとても戸惑ってしまう。
別れる時は名残惜しかったが、兄はまたすぐに会えると言った。仲間になるのだと言われて、とても嬉しかった。
―――なのに、これはどういうことなのだろう?
だいぶ走った後で、娘を地面にそっと下ろした。その姿をじっくり見下ろして、あまりのひどさに心が凍りつくのが分かった。
娘の肩先まで伸びた白い髪は、今や不揃いで泥だらけ。片腕は折れ、あちこちに痣が浮かんだその姿がとても痛々しい。おまけに、あのきらきらと美しい赤い瞳はひどく虚ろで濁って見えた。
苛立ちから低く唸り声をあげると、娘が怯えてびくりと体を震わせた。それを見て、慌てて唸るのをやめた。怖がらせるつもりなど微塵もない。
「だ、だいじょうぶ?」
声をかけると、その瞳がびっくりしたように目を見開いた。そういえば娘がこの姿を見るのは初めてだったと、その時初めて気づいた。
「怖がり?」
新しい名前で呼ばれると、ふわふわとした気分になる。獣面だと気持ちが伝わらないのが少し寂しく感じるほど、嬉しい気持ちが全身を包み込んだ。
守りたい。心の底からそう思った。
安心したせいか、娘の目からみるみる涙が溢れた。涙を拭ってやりたくて、人の姿に戻る。兄によると自分は”熊の獣人”なのだという。
「も・もうだいじょうぶ。怪我も治して――や、やる。だから、もう泣くな」
娘の兄が彼女を大事にする気持ちが分かった。
臆病なくせに無防備で、隠し事や嘘をつけないくらいに不器用な娘が、この上なく愛おしい。
そばについて、助けてやりたい。腹を空かしているなら、自分の分を差し出してでも飢えを満たしてやりたい。
それが子供相手だからそう思うのか、可愛い女の子だからか、はたまたその両方なのか、全く分からないが、そのどちらでも良かった。
不揃いになった髪を指で梳いてやった後、そうっと背中に手を添える。どこに触れても痛そうで気が気じゃなかったが、ここにずっといるわけにもいかない。
「さ。か・帰ろう…」
そう言うと、娘の表情がすとんと抜け落ちた。小さく首を振ると「嫌だ」と震えながら切れ切れに言う。正直、困り果ててしまった。
一番上の兄から「連れて戻ってこい」と言われていたからだ。
「に・兄さんには、オレから、ちゃ・ちゃんと言ってやる、から」
きっと何かヘマをしてこの娘は仕置きをされたのだろう。仕置きは痛いし辛い。自分も何度も仕置きをされてきたから、その気持ちは痛いほど分かる。
それが嫌になって逃げ出したのかもしれない。まだ小さいから無理もない。
「し・しごとは、オレが全部、か…かわって、やる。そう言ってやる」
だから安心して一緒に戻ろう。上手く喋れないことがもどかしかったが、なんとか安心させたくて、精一杯言葉を尽くした。
「違う。怖がり、違うよ」
娘の目から、おさまりかけていた涙が、ふたたび流れ始める。首を振ると、ぼたぼたと涙が服にこぼれていくつもの染みを作った。
「あの人たちは、私を売りものにするつもりなんだよ」
「そ、んな…こと…」
「それにランドのことも自分たちの奴隷にしようとしてる」
「き、きっと、なにかの…ご・誤」
「誤解だ」と言いきるより早く、娘が手を伸ばしてするりと首に触れた。
「家族は、こんな首輪をはめたりしない」
「あ、兄は、最後には、オレのい言うことを、聞いてく、くれる――か・家族だ」
血のように赤い眼差しが、じっと見上げてくる。その赤はどこまでも澄んでいて、見る者をその深い淵に甘く誘い込む。
引きずり込まれれば、きっと二度と浮かび上がれそうにない。至高の宝玉がすぐ目の前にあった。その美しさに思わず目が奪われる。
もっとよく見たくて、のぞき込みたい気持ちになる――だがその深淵をのぞき込んではいけないと頭の片隅で何かが囁いた。
深い沼の底を見ようと身を乗り出すと、沼の方から誰かがそこに引きずり込もうとする。そこには見てはいけないものがある。きっと見てしまったら、もうこちら側に戻ってこれないから。
体が竦むような恐怖に駆られて、反射的に手を振り上げていた。ぱんっと乾いた音がした。はっと我に返ると、振り上げた己の手と、娘の頬には自分が打ったと思われる赤みがあった。
こちらを見上げる瞳にじわりと涙が浮かぶ。何かを言いかけて口を開きかけるのを見ると、もっと恐ろしくなって気がつくとまたも手をあげていた。
『命令』と強調されてしまうと従うしかない。逆らうとこの黒い首輪がすぐに苦痛を与える。代わりに、いじめないことを約束してくれると言ったので、その場は引き下がった。
本当に嫌なことを兄はしない。最後にはこちらの頼みを聞いてくれる。何のかんの言いつつ、やっぱり兄は自分のことを身内だと大切にしてくれるのだ。
その後に娘の悲鳴のような声が聞こえたが、これまで約束を破られることはなかったから我慢した。そうしたら「荷車を止めろ」という指示が下された。
娘が荷車から落ちたのだと聞いて心の臓がヒヤリと冷えた。もちろんすぐに荷車を止めた。
兄弟分が落ちた娘の元に走って行くのを見送った。自分は荷車に待機した。娘の兄を見張っていろと言われたからだ。
娘はぎこちない走り方でどんどん走って行く。怪我をしているのは遠くからでも明らかだった。
どうして逃げるのか分からない。怪我の具合がどれほどなのか心配で仕方がなかった。
やがて二番目の兄が、娘を取り押さえた。連れ戻ってきたら怪我の手当てをしなければ。
そう思っていたら、あろうことか兄が娘を蹴飛ばした。その後も小さな体を何度も足蹴にするのが見えた。
怒りと共に体が膨れ上がるのが分かった。約束が破られた。だがそれよりも、あの小さな娘が痛い目に遭わされていることに激しい怒りを覚えた。
気がついた時には怒りに任せてただひたすらに、娘の元へと草地をひた走った。許せない――初めて人に牙を剥いた。
「”グラ”! 娘を連れて戻ってこい――命令だ!」
一番上の兄が遠くから自分をそう言って呼び止めた。
とにかくあの場から娘を連れてその場を離れようとしたが、体に叩き込まれた命令には抗えず、足を止めた。
暴食。それは兄から呼ばれる名前だった。与えられた名前は力を持つ。少なくとも、この首輪を締めつけ、痛みを与えるほどに。
首輪は即座に締めつけ痛みを与え始めたが、長い間その苦痛を受け続けてきたおかげで痛みにはかなり鈍くなっていた。構わず走り出した。
娘は驚くほど軽くて心配なほどだった。戻ったらたくさん餌を与える。そう固く心に誓った。
◇
小さな娘は、それはそれは美しい赤い眼をした可愛い女の子だった。
外套にすっぽり覆われた小さな体は、兄の影に隠れるように寄り添う。匂いですぐにメスだと分かった。なぜ彼女の兄が”弟”だと言うのかよく分からなくて困惑した。
顔をのぞき込んだら、とても驚かれた。申し訳なく思う反面、可愛い顔にひと目で惹きつけられた。もっと見たいと思った。
小さくて臆病なくせに、一人で暗がりを平気で歩き回ったりする。危なっかしくて目が離せず、気がつくと常に目で追い、娘の足跡を気にしている自分がいる。
表情を作るのが苦手なのか緊張しているのか、あまり表情は動かない。それでも注意して見ていると赤い眼差しは実はとても表情豊かなのだと分かった。
思っていることを隠せずに全部目に表れてしまう。誰にも言わないで欲しいと言われて頷いたら、初めて笑いかけてくれた。
心がじんわりと温かくなった――生まれて初めての気持ちにとても戸惑ってしまう。
別れる時は名残惜しかったが、兄はまたすぐに会えると言った。仲間になるのだと言われて、とても嬉しかった。
―――なのに、これはどういうことなのだろう?
だいぶ走った後で、娘を地面にそっと下ろした。その姿をじっくり見下ろして、あまりのひどさに心が凍りつくのが分かった。
娘の肩先まで伸びた白い髪は、今や不揃いで泥だらけ。片腕は折れ、あちこちに痣が浮かんだその姿がとても痛々しい。おまけに、あのきらきらと美しい赤い瞳はひどく虚ろで濁って見えた。
苛立ちから低く唸り声をあげると、娘が怯えてびくりと体を震わせた。それを見て、慌てて唸るのをやめた。怖がらせるつもりなど微塵もない。
「だ、だいじょうぶ?」
声をかけると、その瞳がびっくりしたように目を見開いた。そういえば娘がこの姿を見るのは初めてだったと、その時初めて気づいた。
「怖がり?」
新しい名前で呼ばれると、ふわふわとした気分になる。獣面だと気持ちが伝わらないのが少し寂しく感じるほど、嬉しい気持ちが全身を包み込んだ。
守りたい。心の底からそう思った。
安心したせいか、娘の目からみるみる涙が溢れた。涙を拭ってやりたくて、人の姿に戻る。兄によると自分は”熊の獣人”なのだという。
「も・もうだいじょうぶ。怪我も治して――や、やる。だから、もう泣くな」
娘の兄が彼女を大事にする気持ちが分かった。
臆病なくせに無防備で、隠し事や嘘をつけないくらいに不器用な娘が、この上なく愛おしい。
そばについて、助けてやりたい。腹を空かしているなら、自分の分を差し出してでも飢えを満たしてやりたい。
それが子供相手だからそう思うのか、可愛い女の子だからか、はたまたその両方なのか、全く分からないが、そのどちらでも良かった。
不揃いになった髪を指で梳いてやった後、そうっと背中に手を添える。どこに触れても痛そうで気が気じゃなかったが、ここにずっといるわけにもいかない。
「さ。か・帰ろう…」
そう言うと、娘の表情がすとんと抜け落ちた。小さく首を振ると「嫌だ」と震えながら切れ切れに言う。正直、困り果ててしまった。
一番上の兄から「連れて戻ってこい」と言われていたからだ。
「に・兄さんには、オレから、ちゃ・ちゃんと言ってやる、から」
きっと何かヘマをしてこの娘は仕置きをされたのだろう。仕置きは痛いし辛い。自分も何度も仕置きをされてきたから、その気持ちは痛いほど分かる。
それが嫌になって逃げ出したのかもしれない。まだ小さいから無理もない。
「し・しごとは、オレが全部、か…かわって、やる。そう言ってやる」
だから安心して一緒に戻ろう。上手く喋れないことがもどかしかったが、なんとか安心させたくて、精一杯言葉を尽くした。
「違う。怖がり、違うよ」
娘の目から、おさまりかけていた涙が、ふたたび流れ始める。首を振ると、ぼたぼたと涙が服にこぼれていくつもの染みを作った。
「あの人たちは、私を売りものにするつもりなんだよ」
「そ、んな…こと…」
「それにランドのことも自分たちの奴隷にしようとしてる」
「き、きっと、なにかの…ご・誤」
「誤解だ」と言いきるより早く、娘が手を伸ばしてするりと首に触れた。
「家族は、こんな首輪をはめたりしない」
「あ、兄は、最後には、オレのい言うことを、聞いてく、くれる――か・家族だ」
血のように赤い眼差しが、じっと見上げてくる。その赤はどこまでも澄んでいて、見る者をその深い淵に甘く誘い込む。
引きずり込まれれば、きっと二度と浮かび上がれそうにない。至高の宝玉がすぐ目の前にあった。その美しさに思わず目が奪われる。
もっとよく見たくて、のぞき込みたい気持ちになる――だがその深淵をのぞき込んではいけないと頭の片隅で何かが囁いた。
深い沼の底を見ようと身を乗り出すと、沼の方から誰かがそこに引きずり込もうとする。そこには見てはいけないものがある。きっと見てしまったら、もうこちら側に戻ってこれないから。
体が竦むような恐怖に駆られて、反射的に手を振り上げていた。ぱんっと乾いた音がした。はっと我に返ると、振り上げた己の手と、娘の頬には自分が打ったと思われる赤みがあった。
こちらを見上げる瞳にじわりと涙が浮かぶ。何かを言いかけて口を開きかけるのを見ると、もっと恐ろしくなって気がつくとまたも手をあげていた。
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