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2章 異国[羈旅( きりょ)]編
2-15 第一異国人
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金の眼を輝かせ、構える姿には一分の隙もない。
相手が人だと知り、漲らせた殺気はいったん解かれたものの、ランドの眼差しはこれまでと変わらず険しく厳しい。
これほどまでに苛烈な彼を見るのは初めてだった。それも無理はない。相手が何者かまだ分からない――悪意がないとも限らないのだ。
こちらは子供二人、しかも一人は守られるばかりでまるで役に立たない。何か仕掛けてこられたら、かなり不利だ。追いつめられるのはいつも立場の弱い側だと相場が決まっている。
張り詰めた空気の中、固唾を飲んでフェイバリットは見守る。”声の主”は「敵ではない」と言ったが、それを確認もせず鵜呑みにするほど、いくら呑気なフェイバリットでもそこまで愚かではなかった。
「お・お前、呪術を扱うのか? とにかく、いったんその手を下げて…話をさせてくれ……っ」
両手を空に挙げながら、茂みから人影がゆっくりと現れる。一人…二人…そして三人。全員、男だ。
フェイバリットはどうするつもりかと問うようにランドを見る。だがランドから放たれる剣呑な圧はいっこうに治まる様子がない。
「尾白鷲」と小さく呼びかける。
その声は正しくランドに届いたようで、ちらっとランドの目が動いた。その口がゆっくり開き、唇の動きで「来い」と言っているのが読み取れた。
背負い袋を肩に引き上げて、フェイバリットは言う通りに、そろりとランドの方に向かって移動する。近くまでたどり着くと、素早くランドの片手が腕を捉えて、背中側に引っ張り込む。ランドの背後にかばわれながら、フェイバリットは声を落としてたずねた。
「話をしたいって言ってるけど…どうするの?」
「……。相手の言葉が分かるのか…?」
ランドは眉をひそめると、怪訝そうな口ぶりで言った。その様子にフェイバリットは戸惑いながら頷く。ランドはしばし思案すると、ボソリと洩らした。
「そうか…お前には神のご加護があるから――他には何て言ってたか分かるか?」
「うん。”敵じゃない”って」
そう言うと、ランドが押し黙って何かを考え込み、相手にちらりと視線を向ける。釣られてフェイバリットもランドの肩ごしに相手をのぞき見た。
手を挙げた状態でその場に立ちすくむのは男性三人。黒い髪にはっきりとした目鼻立ち、しっかり日焼けした小麦色の腕が旅装からのぞいていた。
男二人は背丈が同じくらいで、ヘイルにいた大人たちのようにしっかりした体つきをしている。顎にはここ数日で伸びたらしい無精ひげを蓄えていた。
二人の後ろで体を丸めるように立つ男は、その二人に比べると頭ひとつ大きい。体の大きさの割に眉を下げた、気の弱そうな顔つきに髭はない。
その姿勢の悪さか顔つきのせいか、一見すると草を食む、図体ばかりが大きい獣のように見えた。いずれにしろランドより年上なのは間違いない。
髪も肌も同じ色ながら、男たちの反応は三人三様さまざまだった。一人は苛立った様子で睨んでいるし、一人はヘラヘラと薄笑いを浮かべるばかり。そして最後の一人はおどおどして目も合わせない。……いずれも第一印象はとても微妙なものだった。
ともかく。男たちが手を挙げたまま身動きもせず突っ立っているのは、先ほどの狩りの様子――ランドの闘いぶりを見たからだと想像がついた。
でなければ、こんな青二才と言って差しつかえない青年一人に、大の大人が三人そろって黙って大人しいままでいるはずもない。ランドは警戒しながらも、突き出した手を下ろすと低く呪を唱えた。
「 itak en=kore (吾に言葉を与えよ)――『分かった。話をしよう』」
ランドの言葉を聞いて、苛立ちを隠しもせず、男が「なんだよ。言葉、話せんじゃねえかよ」と小さくぼやく。それを隣にいた男が「おい」と肘でつついて窘める。
ランドがどんな顔をしているのか気になったが、あいにくフェイバリットの位置から見えるのは彼の背中だけ。しかもずっと手首をつかまれたままだ。
男たちの様子も気になったが、顔をのぞかせようものなら、すかさずその手を引かれてすぐに背中に引き戻された。向こうから見えないのはホッとするが、それは同時にフェイバリットの視界も遮るということだ。
ともあれランドがこれ以上ないほどぴりぴりしているのは、肌に痛いほど感じられた。これ以上足を引っ張る真似はすまいと、フェイバリットは声で彼らを想像するにとどめた。
差し当たり、フェイバリットは先ほどちらりと見た第一印象を思い浮かべて、分かりやすくそれぞれに呼び名をつけることにした。
まずは苛々していた男を”怒りんぼ”、薄笑いを浮かべていた男を”半笑い”、おどおどしていた男を”怖がり”。我ながらなかなか上手く名付けたと、フェイバリットは一人ほくそ笑む。
『あなた方は、どうしてここに?』
「そりゃあ、こっちの科白だ。なんだって子供が二人、こんなところにいやがる? 親はどうした」
この苛立った声は怒りんぼ。どうも気が短い気性のようだ。
『俺たちは旅の者です。ここには獲物を狩りに。そこに転がっているでしょう?』
「は、子供が二人で旅だぁ? 怪しすぎんだろ。しかも変な術まで使いやがって」
男が語気も荒く言い放つ。途端に場に殺伐とした空気が流れだす。不穏な空気に、思わずフェイバリットがぎゅうとランドの服の端を強く握りしめる。
「お、おい。よせよ。大人気ねえぞ。それに、いくら子供ったって――さっきの見ただろうがっ」
最初に茂みに入り込んできた男――半笑いが”会話に割り込んだ。怒りんぼは小さく舌打ちする。
「へ・へへ。気い悪くすんなよな。こいつは気が荒くてな。なに根は悪い奴じゃねえんだわ。俺らは商人だ。珍しいものを仕入れながら移動して大きな街で卸す。そういう商売だ」
『商人……商人がどうしてここに?』
「そう、それそれ。小僧、ここらで鷲を見なかったか?」
”鷲”という言葉に内心フェイバリットはドキリとした。反射的に手足が萎縮して、小さく体が震えてしまう。この男たちは変幻した尾白鷲を追ってここに来たのだ。
フェイバリットの動揺を手から感じたのだろう。手首を握るランドの手が、大丈夫とでもいうように、親指の腹でそっと肌をひと撫でする。
『鷲……?』
「そうよ。ちょうどこの辺りに通りかかった時に、尾白鷲って言うの? そいつが飛んでて、それを追って急いでここまで来たってわけよ」
『なるほど。あなた方の商売では鳥も扱うんですね』
「ああ。珍しいもんは高く売れるからな!」
男は、尾白鷲の尾羽はとても貴重なものだと説明し、雌なら鳥そのものが高く売れるのだと浮かれたように話し続ける。
「おいっ、本題から逸れんじゃねえよ。だから、おめえら、この辺りでそれっぽいのを見てねえか?」
『見ていない。狩りに夢中で気づかなかったのかもしれないね』
まさか目の前にその尾白鷲がいるとは思うまい。第一言ったところで彼らの手に入らぬものだ。
「本当か? ちょうど追っかけた先にお前らがいるなんて、偶然にしちゃあ出来すぎだろうが。しかもその子供が術を使うとか、色々おかしすぎんだろ……おめえ、何か隠してんじゃねえのか?」
男の声がひんやりと低くなる。ランドが小さく発動の呪を唱え始めるのを、外套越しに聞き取ってフェイバリットが体を硬くした――その時。
「兄さん、やめて」
おおよそ、その大きな体から出たとは思えない、空気に溶け込むようなか細い声が、困ったように遮った。その声は先ほどからずっと沈黙を貫いていた怖がりだろう。
驚いたことに、そのひと言で怒りんぼが「ち」と小さく言うとあっさりと引き下がった。
「人前で兄さんと呼ぶなって何度も言ってんだろうっ…」
「ごごめんなさい…に…お頭」
相手が人だと知り、漲らせた殺気はいったん解かれたものの、ランドの眼差しはこれまでと変わらず険しく厳しい。
これほどまでに苛烈な彼を見るのは初めてだった。それも無理はない。相手が何者かまだ分からない――悪意がないとも限らないのだ。
こちらは子供二人、しかも一人は守られるばかりでまるで役に立たない。何か仕掛けてこられたら、かなり不利だ。追いつめられるのはいつも立場の弱い側だと相場が決まっている。
張り詰めた空気の中、固唾を飲んでフェイバリットは見守る。”声の主”は「敵ではない」と言ったが、それを確認もせず鵜呑みにするほど、いくら呑気なフェイバリットでもそこまで愚かではなかった。
「お・お前、呪術を扱うのか? とにかく、いったんその手を下げて…話をさせてくれ……っ」
両手を空に挙げながら、茂みから人影がゆっくりと現れる。一人…二人…そして三人。全員、男だ。
フェイバリットはどうするつもりかと問うようにランドを見る。だがランドから放たれる剣呑な圧はいっこうに治まる様子がない。
「尾白鷲」と小さく呼びかける。
その声は正しくランドに届いたようで、ちらっとランドの目が動いた。その口がゆっくり開き、唇の動きで「来い」と言っているのが読み取れた。
背負い袋を肩に引き上げて、フェイバリットは言う通りに、そろりとランドの方に向かって移動する。近くまでたどり着くと、素早くランドの片手が腕を捉えて、背中側に引っ張り込む。ランドの背後にかばわれながら、フェイバリットは声を落としてたずねた。
「話をしたいって言ってるけど…どうするの?」
「……。相手の言葉が分かるのか…?」
ランドは眉をひそめると、怪訝そうな口ぶりで言った。その様子にフェイバリットは戸惑いながら頷く。ランドはしばし思案すると、ボソリと洩らした。
「そうか…お前には神のご加護があるから――他には何て言ってたか分かるか?」
「うん。”敵じゃない”って」
そう言うと、ランドが押し黙って何かを考え込み、相手にちらりと視線を向ける。釣られてフェイバリットもランドの肩ごしに相手をのぞき見た。
手を挙げた状態でその場に立ちすくむのは男性三人。黒い髪にはっきりとした目鼻立ち、しっかり日焼けした小麦色の腕が旅装からのぞいていた。
男二人は背丈が同じくらいで、ヘイルにいた大人たちのようにしっかりした体つきをしている。顎にはここ数日で伸びたらしい無精ひげを蓄えていた。
二人の後ろで体を丸めるように立つ男は、その二人に比べると頭ひとつ大きい。体の大きさの割に眉を下げた、気の弱そうな顔つきに髭はない。
その姿勢の悪さか顔つきのせいか、一見すると草を食む、図体ばかりが大きい獣のように見えた。いずれにしろランドより年上なのは間違いない。
髪も肌も同じ色ながら、男たちの反応は三人三様さまざまだった。一人は苛立った様子で睨んでいるし、一人はヘラヘラと薄笑いを浮かべるばかり。そして最後の一人はおどおどして目も合わせない。……いずれも第一印象はとても微妙なものだった。
ともかく。男たちが手を挙げたまま身動きもせず突っ立っているのは、先ほどの狩りの様子――ランドの闘いぶりを見たからだと想像がついた。
でなければ、こんな青二才と言って差しつかえない青年一人に、大の大人が三人そろって黙って大人しいままでいるはずもない。ランドは警戒しながらも、突き出した手を下ろすと低く呪を唱えた。
「 itak en=kore (吾に言葉を与えよ)――『分かった。話をしよう』」
ランドの言葉を聞いて、苛立ちを隠しもせず、男が「なんだよ。言葉、話せんじゃねえかよ」と小さくぼやく。それを隣にいた男が「おい」と肘でつついて窘める。
ランドがどんな顔をしているのか気になったが、あいにくフェイバリットの位置から見えるのは彼の背中だけ。しかもずっと手首をつかまれたままだ。
男たちの様子も気になったが、顔をのぞかせようものなら、すかさずその手を引かれてすぐに背中に引き戻された。向こうから見えないのはホッとするが、それは同時にフェイバリットの視界も遮るということだ。
ともあれランドがこれ以上ないほどぴりぴりしているのは、肌に痛いほど感じられた。これ以上足を引っ張る真似はすまいと、フェイバリットは声で彼らを想像するにとどめた。
差し当たり、フェイバリットは先ほどちらりと見た第一印象を思い浮かべて、分かりやすくそれぞれに呼び名をつけることにした。
まずは苛々していた男を”怒りんぼ”、薄笑いを浮かべていた男を”半笑い”、おどおどしていた男を”怖がり”。我ながらなかなか上手く名付けたと、フェイバリットは一人ほくそ笑む。
『あなた方は、どうしてここに?』
「そりゃあ、こっちの科白だ。なんだって子供が二人、こんなところにいやがる? 親はどうした」
この苛立った声は怒りんぼ。どうも気が短い気性のようだ。
『俺たちは旅の者です。ここには獲物を狩りに。そこに転がっているでしょう?』
「は、子供が二人で旅だぁ? 怪しすぎんだろ。しかも変な術まで使いやがって」
男が語気も荒く言い放つ。途端に場に殺伐とした空気が流れだす。不穏な空気に、思わずフェイバリットがぎゅうとランドの服の端を強く握りしめる。
「お、おい。よせよ。大人気ねえぞ。それに、いくら子供ったって――さっきの見ただろうがっ」
最初に茂みに入り込んできた男――半笑いが”会話に割り込んだ。怒りんぼは小さく舌打ちする。
「へ・へへ。気い悪くすんなよな。こいつは気が荒くてな。なに根は悪い奴じゃねえんだわ。俺らは商人だ。珍しいものを仕入れながら移動して大きな街で卸す。そういう商売だ」
『商人……商人がどうしてここに?』
「そう、それそれ。小僧、ここらで鷲を見なかったか?」
”鷲”という言葉に内心フェイバリットはドキリとした。反射的に手足が萎縮して、小さく体が震えてしまう。この男たちは変幻した尾白鷲を追ってここに来たのだ。
フェイバリットの動揺を手から感じたのだろう。手首を握るランドの手が、大丈夫とでもいうように、親指の腹でそっと肌をひと撫でする。
『鷲……?』
「そうよ。ちょうどこの辺りに通りかかった時に、尾白鷲って言うの? そいつが飛んでて、それを追って急いでここまで来たってわけよ」
『なるほど。あなた方の商売では鳥も扱うんですね』
「ああ。珍しいもんは高く売れるからな!」
男は、尾白鷲の尾羽はとても貴重なものだと説明し、雌なら鳥そのものが高く売れるのだと浮かれたように話し続ける。
「おいっ、本題から逸れんじゃねえよ。だから、おめえら、この辺りでそれっぽいのを見てねえか?」
『見ていない。狩りに夢中で気づかなかったのかもしれないね』
まさか目の前にその尾白鷲がいるとは思うまい。第一言ったところで彼らの手に入らぬものだ。
「本当か? ちょうど追っかけた先にお前らがいるなんて、偶然にしちゃあ出来すぎだろうが。しかもその子供が術を使うとか、色々おかしすぎんだろ……おめえ、何か隠してんじゃねえのか?」
男の声がひんやりと低くなる。ランドが小さく発動の呪を唱え始めるのを、外套越しに聞き取ってフェイバリットが体を硬くした――その時。
「兄さん、やめて」
おおよそ、その大きな体から出たとは思えない、空気に溶け込むようなか細い声が、困ったように遮った。その声は先ほどからずっと沈黙を貫いていた怖がりだろう。
驚いたことに、そのひと言で怒りんぼが「ち」と小さく言うとあっさりと引き下がった。
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******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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