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1章はじまりの場所[ヘイルの里]編
1逃亡
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銀の髪の持ち主の名はリヴィエラ。里の”呪術師”であり“祭祀を司る者”だ。
ここヘイルの里では生まれながらに呪力を持つ者が多いため、武器を持ち戦う術を磨くことより呪術で身を守ることを学ぶことがとても身近だった。
イレインも例外なく里の住人としてリヴィエラの指導を受けており、今まさにその最中だ。
だが、イレインの実力のほどは――はっきり言って芳しくない。
他の子どもはすでに朝の学びの時間を終え、とっくにこの場にはいない。
イレインはつまりこの場に居残りをしていたのだった。
(落ちこぼれだ…)
ヘイルの里には、大陸インドラの恵を受けて[水属性]に偏っている者が多い。いわゆる”雨男””雨女”と呼ばれる者がそうだ。
ゆえに術を身につけるために、滝津瀬や川などの近くで学ぶ。
と言ってもそれはイレインのような初心者の話で、上達すれば水場に頼らずとも何もない上空に雨雲を集めて術の力を高めることも出来るようになる。
『水脈を探る』『水を地中から引き出すこと』。
イレインもそれら基本術を納めることは出来た。
その次の姿形を変える術――”変幻”でイレインはつまづいてしまった。
変幻にもピンからキリまであり、一番初歩とされるのは『体長が両の手のひらに乗る赤い血を持つもの』。
そして高度になるにつれて大型の生物になり、色の異なる体液を持つ生物になり、毒を持つものになり、果てには体積がゼロ――つまり雨や風といった形のない変幻が最も難度が高い。
その初歩をイレインはかろうじて納めていたものの、その次の”より大きい変幻”でイレインはつまづいていた。
初歩ですら術を行使出来たことを今ではまぐれのように思える。
でも。
次はもう進みたくても進めない。
自分の実力はここが限界。だからもう許して欲しい。
だが、彼女の師であるリヴィエラは他の者ならともかく、彼女だけはけして許しはしない。その理由があるのだ。
その時、彼女に影が差した。
頭上で何かが日差しを遮ったのだ。
見上げると、大きな鷲がゆったりと中空を旋回している。
見上げるイレインの瞳が一瞬、陰った。
羽をばさりと大きく広げた鷲は何度か二人の頭上をめぐると、一気に地上に滑り降りてくる。
何度か羽ばたいて地に降り立った後、その輪郭がじわりと滲む。かと思うと代わりに人の姿がその場に佇んでいた。
「お帰りなさい、ランド」
リヴィエラがねぎらいの声をかけて、彼の方に体の向きを変えた。
「どうでしたか?」
ランドと呼ばれた青年は、ふわりと笑いながらリヴィエラに歩み寄った。
リヴィエラの背後に隠れて見えていなかったイレインの存在に気づくと、ちらりと彼女に眼差しが向けられる。
イレインはその眼差しをかわすように、二人に背を向けた。
彼、ランドはイレインと同じリヴィエラの合弟子であり、イレインとは同じ時期に学びを受け始めたいわば同門だ。
その合弟子は一足も二足も先に変幻の術を納めている。
今も大型の翼を持つ者に変じて戻ってきたところだった。
(嫌だ)
楽しそうに交わす二人の会話を背中で聞きながら、イレインはぽつりと思った。
リヴィエラは優しい。
他の人なら出来なくても、気長にリヴィエラは見守っている。
集中していない時ややる気がない者をたしなめることはあっても、けして声を荒らげることもない。
ましてや居残りまでさせて追い詰めるような真似など。
彼女だけなのだ。
その理由があるとさきほど言ったが、それは彼女の師リヴィエラが彼女の親とも言える存在だからだろう。
実の親ではない。リヴィエラはイレインの育ての親だった。
イレインはある日親もなくこの土地に放置されていた、いわゆる孤児だ。
その時の記憶はないが、後にリヴィエラから自分の身の上を話して聞かせてもらったことがあった。
草の陰で泣いていた赤子に気づき、拾ってそのまま家に連れ帰ってくれたのだと。
リヴィエラと共に過ごして今年で15年になる。
落ち着いてはいるがリヴィエラの見た目は記憶の中のものと今も寸分変わらない。
ともかく。親と子として一緒に暮らしてきた。
暮らし始めて10年目に、それが師と弟子という間柄になった。
一緒に住んでいるのだからこの場合、イレインだけ内弟子ということになる。
だがこの内弟子は非常に出来がよくない。
あれから5年。
何度こんな風に叱咤されただろう。
他の誰にも見せない厳しい眼差しで。
他の誰にも言わない厳しい声で。
(他の誰にも)
(どうしてこんなことを続けなくちゃ、いけない…)
じわりと目頭が熱くなった。
『お師匠さまは特別な方だから出来るんですよ。――私はただの小娘です』
黙っていることが出来ずに、一度こう言ったことを思い出す。
――あなたには出来ます。いいえ、出来なければなりません。
あの時も厳しい顔で彼は言った。
(なぜ、出来なければ、ならないの)
リヴィエラは特別だ。自分とリヴィエラとは違い過ぎる。
力も経験もない。おまけに才能の欠片もない。
里の人々だって皆、同じだ。身を守るために術をひと通り納めている、だがそれだけだ。
出来たからと言って特別というわけでもなく少し便利、少し安全というくらいのものだろう。
ただイレインは皆が出来ることが出来ない…それだけだ。
落ちこぼれだから。
この土地の生まれの者ではなく孤児だからなのかもしれないけれど。
だが里の皆と同じように畑を耕すことは出来る。
術の恩恵に預かれないため、身を守ることは人より下手かもしれないし不便なこともあるだろう。
けれど、用心して生きていくなら何の問題もないはずだ。
少し出来なくても私も同じ。
皆と同じだ。
なのにリヴィエラは出来なければならないと言う。出来ないことがまず許されないのだ。
このままの自分を受け入れてもらえないことが、とてももどかしく苦しい。
冷えた眼差しを思うたび、胃の腑がヒヤリとして胸をわし掴みにされるような気分になる。
――リヴィエラに嫌われたくない…。
そのためにはリヴィエラの望ましい自分でいなければならないのに…。
どうしたって、出来っこない。
(……無理だ、もう―――)
「なかなか上達が早いですね。たいしたものです」
不意に言葉が耳に飛び込んだ。
思わずイレインは後ろを振り返ってしまった。
美しい蒼い双眸を柔らかく細めた穏やかな笑顔。
ランドに限ったことじゃない。リヴィエラは里の民すべてに対して慈悲深く、とても温かい。春の穏やかな日差しのように。
違うのは自分にだけなのだ。
そんなこと分かっている。
改めて現実を目の前に突きつけられて唇が震えた。
なぜ見てしまったのか。見たくなかった。激しい後悔が喉元に競り上がってくる。
他の人になんて笑いかけないで。私にも笑いかけて欲しい。
――なんて浅ましいことを自分は考えてしまうのだろう。
(もう―――ダメだ)
イレインの口から流れるように呪言が紡ぎ出される。
次の瞬間、そのまま空を駆け上がっていた。
一羽の岩燕が羽をせわしなく上下させて地を離れていく。
羽音を聞いて、二人がはっと振り返った。
すぐにそれと知ったらしく、リヴィエラの声が羽ばたく小鳥を追いかけた。
「イレイン、そんなことをしても無駄です」
小鳥は声から逃れるように、さらに強く羽ばたく。
「――、日没までには帰りなさい。いいですか?あなたはまだ聖魔術のほんのわずかしか納めていないのですから」
すでに小鳥の姿は黒い点になっていた。最後の方は聞こえているかはなはだ怪しい。
ふうとリヴィエラは軽く吐息する。
「追いましょうか」
背後でひそりとランドが言った。
「いえ、その必要はありません」
追うのであれば、リヴィエラならこの場から逃がしはしなかっただろう。
わかっていたが、ランドはあえて問うた。
「相変わらずイレインには厳しくていらっしゃる」
「厳しくする以前の問題でしょう?これに関しては」
先ほどランドに見せた微笑みはどこへやら、見る者を凍てつかせるに十分な冷え冷えとした眼差しを空に向ける。
「…今、逃げてもどうなるわけでもありません。それがわかっていてもあの子は飛び出して行ったんです。戻るのが遅ければ遅くなるほど、例えば…夜になって周りに迷惑をかけてしまうことがわかっているなら戻ってくるでしょう」
「それまで放っておかれるんですか?」
「でなければ、意味がないでしょう」
二度とこのようなことをしないと思い知らせるために。
暗に仄めかした言葉にランドは苦笑するしかなかった。
ここヘイルの里では生まれながらに呪力を持つ者が多いため、武器を持ち戦う術を磨くことより呪術で身を守ることを学ぶことがとても身近だった。
イレインも例外なく里の住人としてリヴィエラの指導を受けており、今まさにその最中だ。
だが、イレインの実力のほどは――はっきり言って芳しくない。
他の子どもはすでに朝の学びの時間を終え、とっくにこの場にはいない。
イレインはつまりこの場に居残りをしていたのだった。
(落ちこぼれだ…)
ヘイルの里には、大陸インドラの恵を受けて[水属性]に偏っている者が多い。いわゆる”雨男””雨女”と呼ばれる者がそうだ。
ゆえに術を身につけるために、滝津瀬や川などの近くで学ぶ。
と言ってもそれはイレインのような初心者の話で、上達すれば水場に頼らずとも何もない上空に雨雲を集めて術の力を高めることも出来るようになる。
『水脈を探る』『水を地中から引き出すこと』。
イレインもそれら基本術を納めることは出来た。
その次の姿形を変える術――”変幻”でイレインはつまづいてしまった。
変幻にもピンからキリまであり、一番初歩とされるのは『体長が両の手のひらに乗る赤い血を持つもの』。
そして高度になるにつれて大型の生物になり、色の異なる体液を持つ生物になり、毒を持つものになり、果てには体積がゼロ――つまり雨や風といった形のない変幻が最も難度が高い。
その初歩をイレインはかろうじて納めていたものの、その次の”より大きい変幻”でイレインはつまづいていた。
初歩ですら術を行使出来たことを今ではまぐれのように思える。
でも。
次はもう進みたくても進めない。
自分の実力はここが限界。だからもう許して欲しい。
だが、彼女の師であるリヴィエラは他の者ならともかく、彼女だけはけして許しはしない。その理由があるのだ。
その時、彼女に影が差した。
頭上で何かが日差しを遮ったのだ。
見上げると、大きな鷲がゆったりと中空を旋回している。
見上げるイレインの瞳が一瞬、陰った。
羽をばさりと大きく広げた鷲は何度か二人の頭上をめぐると、一気に地上に滑り降りてくる。
何度か羽ばたいて地に降り立った後、その輪郭がじわりと滲む。かと思うと代わりに人の姿がその場に佇んでいた。
「お帰りなさい、ランド」
リヴィエラがねぎらいの声をかけて、彼の方に体の向きを変えた。
「どうでしたか?」
ランドと呼ばれた青年は、ふわりと笑いながらリヴィエラに歩み寄った。
リヴィエラの背後に隠れて見えていなかったイレインの存在に気づくと、ちらりと彼女に眼差しが向けられる。
イレインはその眼差しをかわすように、二人に背を向けた。
彼、ランドはイレインと同じリヴィエラの合弟子であり、イレインとは同じ時期に学びを受け始めたいわば同門だ。
その合弟子は一足も二足も先に変幻の術を納めている。
今も大型の翼を持つ者に変じて戻ってきたところだった。
(嫌だ)
楽しそうに交わす二人の会話を背中で聞きながら、イレインはぽつりと思った。
リヴィエラは優しい。
他の人なら出来なくても、気長にリヴィエラは見守っている。
集中していない時ややる気がない者をたしなめることはあっても、けして声を荒らげることもない。
ましてや居残りまでさせて追い詰めるような真似など。
彼女だけなのだ。
その理由があるとさきほど言ったが、それは彼女の師リヴィエラが彼女の親とも言える存在だからだろう。
実の親ではない。リヴィエラはイレインの育ての親だった。
イレインはある日親もなくこの土地に放置されていた、いわゆる孤児だ。
その時の記憶はないが、後にリヴィエラから自分の身の上を話して聞かせてもらったことがあった。
草の陰で泣いていた赤子に気づき、拾ってそのまま家に連れ帰ってくれたのだと。
リヴィエラと共に過ごして今年で15年になる。
落ち着いてはいるがリヴィエラの見た目は記憶の中のものと今も寸分変わらない。
ともかく。親と子として一緒に暮らしてきた。
暮らし始めて10年目に、それが師と弟子という間柄になった。
一緒に住んでいるのだからこの場合、イレインだけ内弟子ということになる。
だがこの内弟子は非常に出来がよくない。
あれから5年。
何度こんな風に叱咤されただろう。
他の誰にも見せない厳しい眼差しで。
他の誰にも言わない厳しい声で。
(他の誰にも)
(どうしてこんなことを続けなくちゃ、いけない…)
じわりと目頭が熱くなった。
『お師匠さまは特別な方だから出来るんですよ。――私はただの小娘です』
黙っていることが出来ずに、一度こう言ったことを思い出す。
――あなたには出来ます。いいえ、出来なければなりません。
あの時も厳しい顔で彼は言った。
(なぜ、出来なければ、ならないの)
リヴィエラは特別だ。自分とリヴィエラとは違い過ぎる。
力も経験もない。おまけに才能の欠片もない。
里の人々だって皆、同じだ。身を守るために術をひと通り納めている、だがそれだけだ。
出来たからと言って特別というわけでもなく少し便利、少し安全というくらいのものだろう。
ただイレインは皆が出来ることが出来ない…それだけだ。
落ちこぼれだから。
この土地の生まれの者ではなく孤児だからなのかもしれないけれど。
だが里の皆と同じように畑を耕すことは出来る。
術の恩恵に預かれないため、身を守ることは人より下手かもしれないし不便なこともあるだろう。
けれど、用心して生きていくなら何の問題もないはずだ。
少し出来なくても私も同じ。
皆と同じだ。
なのにリヴィエラは出来なければならないと言う。出来ないことがまず許されないのだ。
このままの自分を受け入れてもらえないことが、とてももどかしく苦しい。
冷えた眼差しを思うたび、胃の腑がヒヤリとして胸をわし掴みにされるような気分になる。
――リヴィエラに嫌われたくない…。
そのためにはリヴィエラの望ましい自分でいなければならないのに…。
どうしたって、出来っこない。
(……無理だ、もう―――)
「なかなか上達が早いですね。たいしたものです」
不意に言葉が耳に飛び込んだ。
思わずイレインは後ろを振り返ってしまった。
美しい蒼い双眸を柔らかく細めた穏やかな笑顔。
ランドに限ったことじゃない。リヴィエラは里の民すべてに対して慈悲深く、とても温かい。春の穏やかな日差しのように。
違うのは自分にだけなのだ。
そんなこと分かっている。
改めて現実を目の前に突きつけられて唇が震えた。
なぜ見てしまったのか。見たくなかった。激しい後悔が喉元に競り上がってくる。
他の人になんて笑いかけないで。私にも笑いかけて欲しい。
――なんて浅ましいことを自分は考えてしまうのだろう。
(もう―――ダメだ)
イレインの口から流れるように呪言が紡ぎ出される。
次の瞬間、そのまま空を駆け上がっていた。
一羽の岩燕が羽をせわしなく上下させて地を離れていく。
羽音を聞いて、二人がはっと振り返った。
すぐにそれと知ったらしく、リヴィエラの声が羽ばたく小鳥を追いかけた。
「イレイン、そんなことをしても無駄です」
小鳥は声から逃れるように、さらに強く羽ばたく。
「――、日没までには帰りなさい。いいですか?あなたはまだ聖魔術のほんのわずかしか納めていないのですから」
すでに小鳥の姿は黒い点になっていた。最後の方は聞こえているかはなはだ怪しい。
ふうとリヴィエラは軽く吐息する。
「追いましょうか」
背後でひそりとランドが言った。
「いえ、その必要はありません」
追うのであれば、リヴィエラならこの場から逃がしはしなかっただろう。
わかっていたが、ランドはあえて問うた。
「相変わらずイレインには厳しくていらっしゃる」
「厳しくする以前の問題でしょう?これに関しては」
先ほどランドに見せた微笑みはどこへやら、見る者を凍てつかせるに十分な冷え冷えとした眼差しを空に向ける。
「…今、逃げてもどうなるわけでもありません。それがわかっていてもあの子は飛び出して行ったんです。戻るのが遅ければ遅くなるほど、例えば…夜になって周りに迷惑をかけてしまうことがわかっているなら戻ってくるでしょう」
「それまで放っておかれるんですか?」
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