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高性能? のせいで戦う羽目に
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※※※
そこで警備隊長が大声で全身に指示を出す。
「お前等! 注意すべきはラミー1人だけだ! 俺を含めた数人で捕えるぞ! さっきから見かける不思議な攻撃はきっとラミーの魔法だ! 拘束してしまえば問題ない! 他の3人はただの女だ! 多少無茶してもポーションで治せる。とっとと捕まえろ!」
警備隊長の指示に、門番を含めた全員「「「「おおーー!!」」」」と気勢を上げ4人に向き合う。特にラミーに対しては警備隊長を含めた10人の警備隊員が向き合った。
「はあ、面倒臭いわねえ。もう殺しちゃおうかしら?」
冷ややかな声でそう言うと、ラミーは手のひらに作り出した竜巻に、更に土魔法で生成した石を混ぜ込んだ。そしてそれは徐々に大きくなっていく。ラミーの顔は怒りを伴った無表情。それを見て警備隊員達はビクっと怯む。
「恐れるな! ゴールドランクとは言えたかが魔法使いだ! ラミー自身を攻撃すれば大した事はない!」
「愚かねえ」
隊長の怒声にラミーは呆れる様に呟き、そして直径3m高さ2m程に大きくさせた竜巻をスッと上空に投げ、そして自分の元にストンと落とした。するとラミー中心にその石礫を折り込んだ竜巻は周り続ける。
「どうぞ? 攻撃なさったら?」
ラミーを中心に回る石を含んだ小さな竜巻に、警備隊員達は怯んでしまう。
「ええい小賢しい!」
他の警備隊員達よりも早く、隊長が真っ先にラミーを包む竜巻に突っ込んでいく。そして力の限り竜巻にジャベリンで思い切り斬りかかる。他の隊員達もそれを合図に一斉に各々の武器で襲いかかった。だが、ガイン、全員弾かれ「ぐわ!」と叫びながら尻餅をついてしまう。
そこで隊長はなにかに気づきニヤリと笑みを浮かべる。そしてジャベリンを上空に投擲。少ししてラミーの脳天にその槍先が落ちてきた。
「あら。よく気付いたわね」
「ハハハ! その程度分からいでか! 頭上ががら空きだってなあ!」
だがラミーは槍が落ちて来る寸前にスッと竜巻毎横に移動する。するとガシィンと槍は竜巻にぶつかり外に弾かれた。
だがそれを見た隊長はニヤリとする。
「やはり頭上は弱点の様だ。お前等も同様に上空に武器を投げろ!」
攻めあぐねていた警備隊員達は成る程、と皆一斉に各々の武器をラミーの脳天に当たる様投擲し始める。ラミーはそれは移動しながら躱し続けるが、そろそろ魔法を維持し続けるのが難しくなってきた。
「チッ。仕方ないわね」
舌打ちした後、ラミーは竜巻を自身の身体からふわりと上空に持ち上げ、そしてそれを警備隊員目掛けてぶつけた。
「うわあああ!!」「ぎゃああ!!」
ゴン、ガン、と竜巻内の岩が警備隊員達に当たる。その威力に隊員達はどんどん倒されていく。だがその様子を気にも止めず、隊長が「好機!」と無防備になったラミーに突進していった。
だがラミーはそれに気付き、もう1つの手から炎を創り出す。だが隊長のタックルに間に合わず、その突撃を食らってしまった。「キャアア!」吹っ飛んだラミーに隊長はそのまま馬乗りになった。
「ハハハ! よぉしよし捕まえたぞ。近くで見るとより良い女だ」
「くっ! 最初から殺す気で攻撃すべきだったわ」
そう。ラミーは殺す事を躊躇い手加減していたのである。何とかラミーは逃れようとするも、腕力では勝てない。藻掻くラミーを見て馬乗り状態の隊長は口角を上げる。
「ハハハ。女なぞ身ぐるみ引き剥がせば大人しくなる」
馬乗りのままラミーの服を引き千切ろうとする警備隊長。だがラミーは先程生成した手のひらの炎を、隊長の顔にぶつけた。
「ぐああああ!?」
顔に炎が纏わり付き離れない。隊長は耐えられず顔を抑える。その間にラミーはサッと距離を取った。
「油断したわ。もう遠慮はしないわよ」
そう呟いたと同時に、ラミーはキッと未だ顔を炎に包まれ苦しんでいる隊長を睨む。そこでミークが「大丈夫?」と寄って来た。
「そっちはもう終わったのね」
「そりゃあね」
そう返事しながら、地面に転がっている隊員達に目配せした。そしてニャリルとエイリーも荒い息遣いで駆け寄ってきた。
※※※
「ニャリル! エイリー! 出来るだけ殺さない様に! ドローンの防衛機能は一旦ストップするから、自分達だけで倒してみて!」
「わ、分かったにゃ!」
「頑張る!」
それを聞いていた隊員達は皆一斉に大笑いする。
「ガハハハハ! 俺達を倒すだって? お前等頭悪いのか?」
「本当だぜ。良いのは見た目だけみたいだな」
だが門番2人だけは、蔑んでいる警備隊員達とは違い、真剣な顔で武器を構えている。
「お前等舐めてかからない方が良いぞ」
「おう。俺はもう2度とやられたくないから、本気で行く」
その言葉が聞こえたミークは、門番2人の前にサッと移動する。
「じゃあ私が相手するよ」
「「……」」
警戒心を顕にしながら、門番2人はミークににじり寄る。
……こいつの美貌に騙されるな。あの重い扉を片手で開けやがったんだ。
……この女は俺の両手の攻撃も片手で受け止めやがった。さっきも屋根から飛んで降りてきた。多分こいつも魔法が使える。
実際のところミークは魔法を使えないのだが、門番2人はそう思わないとミークの強さの理由に納得行かない様である。
2人はヒソヒソと打ち合わせする。
「同時に行くぞ」
「ああ。両側から挟み撃ちだ」
「来ないならこっちから行くよー」
間延びした感じでミークが声を掛けると、門番2人はそれを合図と「うおおおおお!」「うらあああ!」と雄たけびを上げながら、打ち合わせ通りミークの左右から一気に武器で横薙ぎに払った。
先程門前で戦った時とは違い気合の入った攻撃。だがそれでもミークは、それをスッと半歩下がって簡単に避け、更に左に攻撃された剣をガシ、と掴み、そのまま門番毎ポイ、と上空に投げた。
「うわああああ!」
叫びながらドン、と地面に叩きつけられる門番。もう1人がそれを見て一瞬怯むも、「まだまだあ!」と更に気合いを入れ、長槍を上段から振り上げミークに斬りかかる。
だがそれもミークはガシ、と左手で掴み、今度はブン、と他の警備隊員達が居るところへ放り投げた。すると数人の警備隊員達がその巻き添えを食らい、ドン、バン、と音を立て同時に倒れる。
「うがあ!」「何だあああ!?」「ぎゃああ!」
投げられた門番がぶつかり驚く警備隊員達。そして突然飛んできた門番に、そこに居たニャリルとエイリーもびっくりしている。
「投げるなら先に言ってほしいにゃー!」
「そうだよびっくりしたよ!」
「ごめんごめーん。ちゃんと2人に当たらない様コントロールしたからー。じゃあ残り頑張ってー」
「「「「……」」」」
警備隊員達は門番2人が呆気なくやられたのを目の当たりにし、シーンとなってしまう。
「……何だあの黒髪?」
「魔法じゃなく力技? であの2人倒してたよな? あんな華奢なのに」
「左目だけ紅いのは魔法使いだから、じゃないのか?」
皆呆気に取られているところで、ニャリルが一人の隊員にスッと音も無く近づきナックルを持った拳をヒュッと顎に当てた。
「へっ?」
いつの間に? 驚く隊員に「余所見してたら倒しちゃうにゃ」と煽るニャリル。
「こ、この!」
怒り沸き立ちながらその隊員は、持っていた剣でニャリルに上段から斬りかかる。だがそれをニャリルはスッと横に避け、鎧の上から鳩尾に「うにゃ!」と思い切り拳を打ち付けた。
「ぐおおお?」
ボコン、と凹む鎧に、攻撃に耐えられず四つん這いで項垂れる隊員。
「この馬鹿! 油断しやがって!」
それを見て他の隊員がにゃリルに一斉に襲いかかる。だが今度はエイリーが、両手の小銃にヒュウゥと銃身に風を纏わせ発射する。パシュンパシュン、と小さな弾丸が、ニャリルに襲いかかった隊員達に飛んでいきヒットした。
「うがあ!」「ぎゃあ!」「うわああ!」
各々痛みでのたうち回る。更に他の隊員達2人がニャリルに襲いかかるが、ニャリルはそれらを上手く躱しながら拳を顎、鳩尾と言った急所に入れていく。エイリーに襲いかかった隊員達も、小銃のグリップで殴られたり精霊魔法の弾丸でやられていく。
「う、うぐ。な、何だこいつら……」
「本当に……、女……、なのか?」
2人にやられ地面に蹲る隊員達。特にニャリルはミークの指導により的確に急所を狙う事が出来ている。
デムバックまで移動する間も、ミークはニャリルに急所の場所とそれを狙う方法、データベースにあるマーシャルアーツの動きを徹底的に指導していた。その身体能力の高さと勘の良さで、ニャリルはスポンジが水を吸収するかの如く、ミークから教わる格闘術をどんどん我が物にしていった。
その格闘センスにはミークも感心する程。既にニャリルは、ミークのデータベースにあったマーシャルアーツの体捌きをほぼ完全にマスターしていたのである。
だがそれでも、ニャリルとエイリーは初めて大勢を相手したからか、肩で息をしていた。
「はあ、はあ……。結構疲れるにゃ」
「はあ、はあ……、た、確かに」
息が上がっているのを見て好機と襲いかかる隊員達。だがそこでサッとミークが間に入り、襲いかかってきたそれぞれの武器を、全て左腕で弾いた。
「2人共良く頑張った。この数相手に上出来だったよ」
「はあ、はあ。そ、そうかにゃ?」
「はあ、はあ。それなら良かった……」
「でもそれだけ疲れちゃうのは、まだ動きに無駄があるからだね。それはこれから改善してこう」
2人はふへぇ、と返事の様な声を出しながらへたり込む。それを見てミークはクスリと笑いながら、「後は任せて」と伝える。そしてミークは「身体能力2倍」とAIに伝え、残りの隊員達を一気に倒したのだった。
そこで警備隊長が大声で全身に指示を出す。
「お前等! 注意すべきはラミー1人だけだ! 俺を含めた数人で捕えるぞ! さっきから見かける不思議な攻撃はきっとラミーの魔法だ! 拘束してしまえば問題ない! 他の3人はただの女だ! 多少無茶してもポーションで治せる。とっとと捕まえろ!」
警備隊長の指示に、門番を含めた全員「「「「おおーー!!」」」」と気勢を上げ4人に向き合う。特にラミーに対しては警備隊長を含めた10人の警備隊員が向き合った。
「はあ、面倒臭いわねえ。もう殺しちゃおうかしら?」
冷ややかな声でそう言うと、ラミーは手のひらに作り出した竜巻に、更に土魔法で生成した石を混ぜ込んだ。そしてそれは徐々に大きくなっていく。ラミーの顔は怒りを伴った無表情。それを見て警備隊員達はビクっと怯む。
「恐れるな! ゴールドランクとは言えたかが魔法使いだ! ラミー自身を攻撃すれば大した事はない!」
「愚かねえ」
隊長の怒声にラミーは呆れる様に呟き、そして直径3m高さ2m程に大きくさせた竜巻をスッと上空に投げ、そして自分の元にストンと落とした。するとラミー中心にその石礫を折り込んだ竜巻は周り続ける。
「どうぞ? 攻撃なさったら?」
ラミーを中心に回る石を含んだ小さな竜巻に、警備隊員達は怯んでしまう。
「ええい小賢しい!」
他の警備隊員達よりも早く、隊長が真っ先にラミーを包む竜巻に突っ込んでいく。そして力の限り竜巻にジャベリンで思い切り斬りかかる。他の隊員達もそれを合図に一斉に各々の武器で襲いかかった。だが、ガイン、全員弾かれ「ぐわ!」と叫びながら尻餅をついてしまう。
そこで隊長はなにかに気づきニヤリと笑みを浮かべる。そしてジャベリンを上空に投擲。少ししてラミーの脳天にその槍先が落ちてきた。
「あら。よく気付いたわね」
「ハハハ! その程度分からいでか! 頭上ががら空きだってなあ!」
だがラミーは槍が落ちて来る寸前にスッと竜巻毎横に移動する。するとガシィンと槍は竜巻にぶつかり外に弾かれた。
だがそれを見た隊長はニヤリとする。
「やはり頭上は弱点の様だ。お前等も同様に上空に武器を投げろ!」
攻めあぐねていた警備隊員達は成る程、と皆一斉に各々の武器をラミーの脳天に当たる様投擲し始める。ラミーはそれは移動しながら躱し続けるが、そろそろ魔法を維持し続けるのが難しくなってきた。
「チッ。仕方ないわね」
舌打ちした後、ラミーは竜巻を自身の身体からふわりと上空に持ち上げ、そしてそれを警備隊員目掛けてぶつけた。
「うわあああ!!」「ぎゃああ!!」
ゴン、ガン、と竜巻内の岩が警備隊員達に当たる。その威力に隊員達はどんどん倒されていく。だがその様子を気にも止めず、隊長が「好機!」と無防備になったラミーに突進していった。
だがラミーはそれに気付き、もう1つの手から炎を創り出す。だが隊長のタックルに間に合わず、その突撃を食らってしまった。「キャアア!」吹っ飛んだラミーに隊長はそのまま馬乗りになった。
「ハハハ! よぉしよし捕まえたぞ。近くで見るとより良い女だ」
「くっ! 最初から殺す気で攻撃すべきだったわ」
そう。ラミーは殺す事を躊躇い手加減していたのである。何とかラミーは逃れようとするも、腕力では勝てない。藻掻くラミーを見て馬乗り状態の隊長は口角を上げる。
「ハハハ。女なぞ身ぐるみ引き剥がせば大人しくなる」
馬乗りのままラミーの服を引き千切ろうとする警備隊長。だがラミーは先程生成した手のひらの炎を、隊長の顔にぶつけた。
「ぐああああ!?」
顔に炎が纏わり付き離れない。隊長は耐えられず顔を抑える。その間にラミーはサッと距離を取った。
「油断したわ。もう遠慮はしないわよ」
そう呟いたと同時に、ラミーはキッと未だ顔を炎に包まれ苦しんでいる隊長を睨む。そこでミークが「大丈夫?」と寄って来た。
「そっちはもう終わったのね」
「そりゃあね」
そう返事しながら、地面に転がっている隊員達に目配せした。そしてニャリルとエイリーも荒い息遣いで駆け寄ってきた。
※※※
「ニャリル! エイリー! 出来るだけ殺さない様に! ドローンの防衛機能は一旦ストップするから、自分達だけで倒してみて!」
「わ、分かったにゃ!」
「頑張る!」
それを聞いていた隊員達は皆一斉に大笑いする。
「ガハハハハ! 俺達を倒すだって? お前等頭悪いのか?」
「本当だぜ。良いのは見た目だけみたいだな」
だが門番2人だけは、蔑んでいる警備隊員達とは違い、真剣な顔で武器を構えている。
「お前等舐めてかからない方が良いぞ」
「おう。俺はもう2度とやられたくないから、本気で行く」
その言葉が聞こえたミークは、門番2人の前にサッと移動する。
「じゃあ私が相手するよ」
「「……」」
警戒心を顕にしながら、門番2人はミークににじり寄る。
……こいつの美貌に騙されるな。あの重い扉を片手で開けやがったんだ。
……この女は俺の両手の攻撃も片手で受け止めやがった。さっきも屋根から飛んで降りてきた。多分こいつも魔法が使える。
実際のところミークは魔法を使えないのだが、門番2人はそう思わないとミークの強さの理由に納得行かない様である。
2人はヒソヒソと打ち合わせする。
「同時に行くぞ」
「ああ。両側から挟み撃ちだ」
「来ないならこっちから行くよー」
間延びした感じでミークが声を掛けると、門番2人はそれを合図と「うおおおおお!」「うらあああ!」と雄たけびを上げながら、打ち合わせ通りミークの左右から一気に武器で横薙ぎに払った。
先程門前で戦った時とは違い気合の入った攻撃。だがそれでもミークは、それをスッと半歩下がって簡単に避け、更に左に攻撃された剣をガシ、と掴み、そのまま門番毎ポイ、と上空に投げた。
「うわああああ!」
叫びながらドン、と地面に叩きつけられる門番。もう1人がそれを見て一瞬怯むも、「まだまだあ!」と更に気合いを入れ、長槍を上段から振り上げミークに斬りかかる。
だがそれもミークはガシ、と左手で掴み、今度はブン、と他の警備隊員達が居るところへ放り投げた。すると数人の警備隊員達がその巻き添えを食らい、ドン、バン、と音を立て同時に倒れる。
「うがあ!」「何だあああ!?」「ぎゃああ!」
投げられた門番がぶつかり驚く警備隊員達。そして突然飛んできた門番に、そこに居たニャリルとエイリーもびっくりしている。
「投げるなら先に言ってほしいにゃー!」
「そうだよびっくりしたよ!」
「ごめんごめーん。ちゃんと2人に当たらない様コントロールしたからー。じゃあ残り頑張ってー」
「「「「……」」」」
警備隊員達は門番2人が呆気なくやられたのを目の当たりにし、シーンとなってしまう。
「……何だあの黒髪?」
「魔法じゃなく力技? であの2人倒してたよな? あんな華奢なのに」
「左目だけ紅いのは魔法使いだから、じゃないのか?」
皆呆気に取られているところで、ニャリルが一人の隊員にスッと音も無く近づきナックルを持った拳をヒュッと顎に当てた。
「へっ?」
いつの間に? 驚く隊員に「余所見してたら倒しちゃうにゃ」と煽るニャリル。
「こ、この!」
怒り沸き立ちながらその隊員は、持っていた剣でニャリルに上段から斬りかかる。だがそれをニャリルはスッと横に避け、鎧の上から鳩尾に「うにゃ!」と思い切り拳を打ち付けた。
「ぐおおお?」
ボコン、と凹む鎧に、攻撃に耐えられず四つん這いで項垂れる隊員。
「この馬鹿! 油断しやがって!」
それを見て他の隊員がにゃリルに一斉に襲いかかる。だが今度はエイリーが、両手の小銃にヒュウゥと銃身に風を纏わせ発射する。パシュンパシュン、と小さな弾丸が、ニャリルに襲いかかった隊員達に飛んでいきヒットした。
「うがあ!」「ぎゃあ!」「うわああ!」
各々痛みでのたうち回る。更に他の隊員達2人がニャリルに襲いかかるが、ニャリルはそれらを上手く躱しながら拳を顎、鳩尾と言った急所に入れていく。エイリーに襲いかかった隊員達も、小銃のグリップで殴られたり精霊魔法の弾丸でやられていく。
「う、うぐ。な、何だこいつら……」
「本当に……、女……、なのか?」
2人にやられ地面に蹲る隊員達。特にニャリルはミークの指導により的確に急所を狙う事が出来ている。
デムバックまで移動する間も、ミークはニャリルに急所の場所とそれを狙う方法、データベースにあるマーシャルアーツの動きを徹底的に指導していた。その身体能力の高さと勘の良さで、ニャリルはスポンジが水を吸収するかの如く、ミークから教わる格闘術をどんどん我が物にしていった。
その格闘センスにはミークも感心する程。既にニャリルは、ミークのデータベースにあったマーシャルアーツの体捌きをほぼ完全にマスターしていたのである。
だがそれでも、ニャリルとエイリーは初めて大勢を相手したからか、肩で息をしていた。
「はあ、はあ……。結構疲れるにゃ」
「はあ、はあ……、た、確かに」
息が上がっているのを見て好機と襲いかかる隊員達。だがそこでサッとミークが間に入り、襲いかかってきたそれぞれの武器を、全て左腕で弾いた。
「2人共良く頑張った。この数相手に上出来だったよ」
「はあ、はあ。そ、そうかにゃ?」
「はあ、はあ。それなら良かった……」
「でもそれだけ疲れちゃうのは、まだ動きに無駄があるからだね。それはこれから改善してこう」
2人はふへぇ、と返事の様な声を出しながらへたり込む。それを見てミークはクスリと笑いながら、「後は任せて」と伝える。そしてミークは「身体能力2倍」とAIに伝え、残りの隊員達を一気に倒したのだった。
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