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16 これからどうすればいいか、どうしたいか③
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(ただいまの時刻、午後七時三十二分……)
晶は、頭の中で呟く。
自主練に残った生徒は、全部で七名だった。
もちろん、そのうちの一人は稔だ。
(みんな、宿題とかテスト勉強とか、いつやってんだろ……)
そんなことを考えながら、スマホのラインを開く。
そこには、ある人物とのやり取りをしたメッセージが残されていた。
『お付き合いの仕方が分かりません……デートとか誘ったら、邪魔に思われそう……』
『ああ~分かる。私もそれで凌ちゃんとケンカしたことあるし。けど、まずは自分の思いをしっかり伝えるところからだと思うよ』
『伝えて、それは無理、とか言われない?』
『言われることもある。そしたら、二人で妥協案探す。大事なのは抱え込まないことだよ。抱え込んだら、頭も心もぐるぐるし始めちゃって、負のループに入っちゃうから』
そんなやり取りをしていたのは、同学年の峰山祐希。祐希は、バレー部のエース、若柳凌牙と付き合っている。
晶はそんな立場の祐希にヘルプを求め、ラインで連絡を取った。
(自分の思いを伝える……)
稔とどう向き合うか。それを考えながら、晶はその目を稔へ向ける。
稔は丁度、祐希の彼氏である凌牙、そして三年セッターの高橋一と話をしていた。トスからアタックまでの流れ、ジャンプのフォームと、最高打点について話をしているらしい。
(……思い……思いを伝える……)
それは無理、と言われたらどうしよう。
なら別れよう、と言われたらどうしよう。
もうすでに脳内でぐるぐると思考が変に回り始めてしまっている晶は、不安でいっぱいだった。
ぐるぐる考えている間にも時間は進み、自主練の時間も終わる。残っていた部員たちは片付けを始め、それを終え、
「晶」
そこから一人、稔が晶のもとへやって来た。
「終わった。時間が時間だから家まで送る。良いか?」
良いも何も、そんなの、嬉しくてしょうがない。
「……ん、分かった」
一緒に帰れる喜びと、自分のために時間を使わせてしまう罪悪感。
両方を同時に感じながら、晶はこくりと頷いた。
晶は、頭の中で呟く。
自主練に残った生徒は、全部で七名だった。
もちろん、そのうちの一人は稔だ。
(みんな、宿題とかテスト勉強とか、いつやってんだろ……)
そんなことを考えながら、スマホのラインを開く。
そこには、ある人物とのやり取りをしたメッセージが残されていた。
『お付き合いの仕方が分かりません……デートとか誘ったら、邪魔に思われそう……』
『ああ~分かる。私もそれで凌ちゃんとケンカしたことあるし。けど、まずは自分の思いをしっかり伝えるところからだと思うよ』
『伝えて、それは無理、とか言われない?』
『言われることもある。そしたら、二人で妥協案探す。大事なのは抱え込まないことだよ。抱え込んだら、頭も心もぐるぐるし始めちゃって、負のループに入っちゃうから』
そんなやり取りをしていたのは、同学年の峰山祐希。祐希は、バレー部のエース、若柳凌牙と付き合っている。
晶はそんな立場の祐希にヘルプを求め、ラインで連絡を取った。
(自分の思いを伝える……)
稔とどう向き合うか。それを考えながら、晶はその目を稔へ向ける。
稔は丁度、祐希の彼氏である凌牙、そして三年セッターの高橋一と話をしていた。トスからアタックまでの流れ、ジャンプのフォームと、最高打点について話をしているらしい。
(……思い……思いを伝える……)
それは無理、と言われたらどうしよう。
なら別れよう、と言われたらどうしよう。
もうすでに脳内でぐるぐると思考が変に回り始めてしまっている晶は、不安でいっぱいだった。
ぐるぐる考えている間にも時間は進み、自主練の時間も終わる。残っていた部員たちは片付けを始め、それを終え、
「晶」
そこから一人、稔が晶のもとへやって来た。
「終わった。時間が時間だから家まで送る。良いか?」
良いも何も、そんなの、嬉しくてしょうがない。
「……ん、分かった」
一緒に帰れる喜びと、自分のために時間を使わせてしまう罪悪感。
両方を同時に感じながら、晶はこくりと頷いた。
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