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本編
72 さよなら
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どうしよう。どうしようもない。
もう螢介さんはいない。死んだ人だ。あそこでお別れしてしまった人だ。
「……てつ、……ねぇ……!」
応えない。聞こえてるけど、耳を貸さない。
「ねぇ……!」
てつは、藍鉄は螢介さんの事を哀しんでる。私じゃない。
藍鉄が私を気にかけてたのは、螢介さんと繋がってたから。
今思えば藍鉄は、多分無意識に、私と螢介さんを重ねていたんだ。見た目なんてそんな似てもいないのに。
「……ねぇ……ってば……」
螢介さんがここに居れば。ここじゃなくとも、あの白いもやの中にでも。
まだ、佇んで居てくれたりしないだろうか……──そうか。
「……藍鉄」
あそこ、生死の狭間とか言われた。
でも、私の片隅だとかも言われた。
「藍鉄! 待った!」
なら。
私の中に、居るかも。
呼び出せるかも。いや、
「螢介さんと!」
呼び出せ。
何をどうやっても!
「話をして! …………!」
急速に意識が沈んでいく。だけど、眠る訳じゃない。
引っ張り出したあの人の代わりに、私がそっちに落ちたんだ。
「……?」
分厚い布か何かに包まれてる感覚。
『………………な…………に、を……お前……』
その奥から、揺れに揺れたてつの声が幽かに聞こえる。
『……や、その…………杏さんって凄いねぇ』
顔が、困った表情を作った。気がした。
腕が動いて、頭に手を当てる仕草も。
『元気? ……じゃないね、うん』
『……』
『あっごめん逃げないで』
『誰が』
その言葉に、笑みが零れた。
『…………ごめん、ありがとう。ごめんホントに』
『……………………えい、すけ』
『うん……僕のせいで、君も大変になってしまったね』
本当に済まない。
消え入りそうな声で、紡がれた。
『てめぇ……よりにもよって……いや、それより何が……杏』
『うん。杏さんが場所を作ってくれてたんだ。それに無理して出してくれた』
『じゃぁ、────……』
声が小さすぎて、聞き取れない。でも、螢介さんには聞こえたようだった。
『……うん。だから、そんなに時間もない』
えっ
『出てこれたのも奇跡だし、そもそも保てたのも奇跡だし……』
何か、私の中で揺らめいた。
『……──』
『うん。……もう、大丈夫かな? 落ち着いたものね?』
返事は聞こえない。
見えてないし、分からないけど、螢介さんは頷いた。
『うん、だよね。……杏さんだって居るし。──じゃあ、藍鉄』
さよなら。
私の中から何かが消えた。そして、意識が浮上する。
「……」
光が広がり、景色を形作る。
「…………てつ」
「……………………あぁ……」
私を見下ろしていた狼は一度目を閉じ、空を見上げる。
その瞳から、涙が零れ落ちていた。
「うっせぇ黙れ」
「はっ?」
「お前もだろうが」
「えっ」
あれっほんとだ?! ぼたぼた涙が流れてるだと?!
「え、えぇ……?」
困惑した泣き顔って珍しい気がする。
冷静になろうとして、そんな事を考えてみる。
「……杏」
その声に、はっと顔を上げる。
「お前は、生きてるよな」
「……うん、生きてます」
「あぁ────」
てつは、真っ直ぐ天に向かって吠えた。
それは辺りを破壊するものじゃなく、ただ、彼の人を悼むもの。
張り詰めていた空気も、静かに穏やかなっていく。
「……て、この惨状! どうするの?!」
それにあの四人は?!
「あ? んなもん放っとけ。俺らを拐かした奴らだぞ?」
「それはそう、だけど」
言われて声が萎む。
てつはどっかりと腰を下ろし、そのまま寝そべって尻尾をパタンと振った。
「俺もまぁ、少々疲れたからな。ちょいと休ませろ」
そうしてゆっくりと目蓋を閉じる。
「……え」
その『気』が、少し小さくなった。
「て、てつ?」
「…………あぁ……まぁ……妙なのは辺りにはいねぇよ……」
「ちが、違くて」
「…………なら、いいだろう…………すぐ……起きる…………」
「止めろ寝たら死ぬ!」
「はあ?!」
素っ頓狂な声を出し、てつが顔を上げる。
けど!
「だって気が弱々しくなってるじゃん! 死なない?! 死にそうじゃない?! 後追いしない?!」
「はあ? ……ちげぇよ、これは」
『魂の消耗を少しでも抑えるために、小さく纏めたってところかしら』
「ふぁい?!」
後ろから唐突に!
振り返れば、ふわふわと浮いた天遠乃さんと、その少し後ろに遠野さんが。
「そうだが」
耳を小さく動かすてつに、天遠乃さんは満面の笑みで。
『さっきまで死にに行ってたひとの魂がちっちゃくなってちゃねー。そりゃ驚くし止めもするわよ。ねぇ杏さん』
「えっ、その……じゃ、てつは別に死にそうではないと?」
『うん、その通り』「そうだっつってんだろ」
被っ……でも。
「なら、良かった……」
ほっと胸をなで下ろす。それにてつの気が、妙な風に揺らめいたように思えた。
『はい、なので!』
天遠乃さんがパン! と手を打つ。
それ、どこから音が?
『いったん戻りましょう。救援を待つよりそっちのが無駄がないし』
なにしろすぐ終わっちゃったし、と続けられる。
『はい守弥、狐貸して』
「どうぞ」
なんだかげんなりした顔の遠野さんから気絶したままの狐を受け取り、天遠乃さんが胸を張る。
「え、と。その狐って」
結局聞きそびれていたけど、どこの誰ですか。
『四獣の手下ね。力を分けてもらっているから、本来出来ない事も出来るようになってるの。あなた達をここへ連れてきた力の由来もそれ』
「なかなか苛つく事をしてくれた」
天遠乃さんの言葉に、てつが嗤いながらそう続ける。
「有り余る力は身を滅ぼす。ちぃっとばかし身体が慣れても、そいつの命は確実に削られているだろうによ」
『えっ』
えっ
「……今またその力を使うと、この狐にとって良くないという事ですか? てつさん」
遠野さんが声を落として聞く。
「いや? 一回如き。今更誤差にもならねぇだろうな」
てつはまた嗤うように、
「それに、与えられたモンを失くして戻せば、ソレも回復するだろう」
『よし、ならまぁ良し! じゃあ改めて、戻りましょう!』
「えっ」
天遠乃さんが、その狐を天高く掲げ。
「わっ?」
そこから滲むように空間が歪んでいく。それは瞬く間に私達を包み──
浮遊感。後、重力。
「……お?」
「ここか」
気付けば、綾女や菖蒲が咲き誇る庭の、ど真ん中に。
「きゃぁっ?!」
「何?!」
そして目の前に建つ大きな和風の屋敷から、そんな声が沢山聞こえ。
「姐さァん!」
猫や女のひと達が慌てふためく様子が見て取れた。
ここは、もしかしなくとも。
『はい皆居る「てつさん?! てつさん! 杏さん!」おっと』
天遠乃さんの声を遮って、二股の尻尾を振りながら黒猫が一匹、屋敷の奥から飛び出してきた。
「華珠貴さん!」
という事はやっぱり、ここは第二十五支部の鈴音さん達の家保護施設。
「あっ遠野さんも!」
もって。
「いつだかの幽霊さんも!」
「華珠貴!」
おお、虎猫──美緒さんも。弾丸みたいに走ってくる華珠貴さんを追いかけてくる。
「華珠貴! 止まりなさい!」
「え?! あれ?!」
「止めろ来るな止まれ突っ込んで──」
「ほぶふぅお!!」
血みどろの横腹にそのままダイブした!
「てめぇ……」
「華珠貴さん?!」
慌てて引っこ抜いたけど、
「うわぁ……」
その艶々黒々とした毛並みは、ベチャベチャの血塗れに。
「すみません大丈夫ですか?! てつさんにお怪我、てつさんなんでそんな血塗れなんですか?!」
追いついた美緒さんが、ビヨッと飛んでてつから離れた。
「うぉ、お怪我、大怪我?!」
「うみゃぅぅ……ごめんなさい……なんか上手く止まれなくて……」
「いや、その」
そこはいいんですけど、えぇと、
「……当主、やはり三十三に出た方が良かったのでは?」
『でも、こっちのが安全でしょ?』
にゃーにゃーと皆さんを混乱に陥れる中、横の二人がそんな事を言った。
もう螢介さんはいない。死んだ人だ。あそこでお別れしてしまった人だ。
「……てつ、……ねぇ……!」
応えない。聞こえてるけど、耳を貸さない。
「ねぇ……!」
てつは、藍鉄は螢介さんの事を哀しんでる。私じゃない。
藍鉄が私を気にかけてたのは、螢介さんと繋がってたから。
今思えば藍鉄は、多分無意識に、私と螢介さんを重ねていたんだ。見た目なんてそんな似てもいないのに。
「……ねぇ……ってば……」
螢介さんがここに居れば。ここじゃなくとも、あの白いもやの中にでも。
まだ、佇んで居てくれたりしないだろうか……──そうか。
「……藍鉄」
あそこ、生死の狭間とか言われた。
でも、私の片隅だとかも言われた。
「藍鉄! 待った!」
なら。
私の中に、居るかも。
呼び出せるかも。いや、
「螢介さんと!」
呼び出せ。
何をどうやっても!
「話をして! …………!」
急速に意識が沈んでいく。だけど、眠る訳じゃない。
引っ張り出したあの人の代わりに、私がそっちに落ちたんだ。
「……?」
分厚い布か何かに包まれてる感覚。
『………………な…………に、を……お前……』
その奥から、揺れに揺れたてつの声が幽かに聞こえる。
『……や、その…………杏さんって凄いねぇ』
顔が、困った表情を作った。気がした。
腕が動いて、頭に手を当てる仕草も。
『元気? ……じゃないね、うん』
『……』
『あっごめん逃げないで』
『誰が』
その言葉に、笑みが零れた。
『…………ごめん、ありがとう。ごめんホントに』
『……………………えい、すけ』
『うん……僕のせいで、君も大変になってしまったね』
本当に済まない。
消え入りそうな声で、紡がれた。
『てめぇ……よりにもよって……いや、それより何が……杏』
『うん。杏さんが場所を作ってくれてたんだ。それに無理して出してくれた』
『じゃぁ、────……』
声が小さすぎて、聞き取れない。でも、螢介さんには聞こえたようだった。
『……うん。だから、そんなに時間もない』
えっ
『出てこれたのも奇跡だし、そもそも保てたのも奇跡だし……』
何か、私の中で揺らめいた。
『……──』
『うん。……もう、大丈夫かな? 落ち着いたものね?』
返事は聞こえない。
見えてないし、分からないけど、螢介さんは頷いた。
『うん、だよね。……杏さんだって居るし。──じゃあ、藍鉄』
さよなら。
私の中から何かが消えた。そして、意識が浮上する。
「……」
光が広がり、景色を形作る。
「…………てつ」
「……………………あぁ……」
私を見下ろしていた狼は一度目を閉じ、空を見上げる。
その瞳から、涙が零れ落ちていた。
「うっせぇ黙れ」
「はっ?」
「お前もだろうが」
「えっ」
あれっほんとだ?! ぼたぼた涙が流れてるだと?!
「え、えぇ……?」
困惑した泣き顔って珍しい気がする。
冷静になろうとして、そんな事を考えてみる。
「……杏」
その声に、はっと顔を上げる。
「お前は、生きてるよな」
「……うん、生きてます」
「あぁ────」
てつは、真っ直ぐ天に向かって吠えた。
それは辺りを破壊するものじゃなく、ただ、彼の人を悼むもの。
張り詰めていた空気も、静かに穏やかなっていく。
「……て、この惨状! どうするの?!」
それにあの四人は?!
「あ? んなもん放っとけ。俺らを拐かした奴らだぞ?」
「それはそう、だけど」
言われて声が萎む。
てつはどっかりと腰を下ろし、そのまま寝そべって尻尾をパタンと振った。
「俺もまぁ、少々疲れたからな。ちょいと休ませろ」
そうしてゆっくりと目蓋を閉じる。
「……え」
その『気』が、少し小さくなった。
「て、てつ?」
「…………あぁ……まぁ……妙なのは辺りにはいねぇよ……」
「ちが、違くて」
「…………なら、いいだろう…………すぐ……起きる…………」
「止めろ寝たら死ぬ!」
「はあ?!」
素っ頓狂な声を出し、てつが顔を上げる。
けど!
「だって気が弱々しくなってるじゃん! 死なない?! 死にそうじゃない?! 後追いしない?!」
「はあ? ……ちげぇよ、これは」
『魂の消耗を少しでも抑えるために、小さく纏めたってところかしら』
「ふぁい?!」
後ろから唐突に!
振り返れば、ふわふわと浮いた天遠乃さんと、その少し後ろに遠野さんが。
「そうだが」
耳を小さく動かすてつに、天遠乃さんは満面の笑みで。
『さっきまで死にに行ってたひとの魂がちっちゃくなってちゃねー。そりゃ驚くし止めもするわよ。ねぇ杏さん』
「えっ、その……じゃ、てつは別に死にそうではないと?」
『うん、その通り』「そうだっつってんだろ」
被っ……でも。
「なら、良かった……」
ほっと胸をなで下ろす。それにてつの気が、妙な風に揺らめいたように思えた。
『はい、なので!』
天遠乃さんがパン! と手を打つ。
それ、どこから音が?
『いったん戻りましょう。救援を待つよりそっちのが無駄がないし』
なにしろすぐ終わっちゃったし、と続けられる。
『はい守弥、狐貸して』
「どうぞ」
なんだかげんなりした顔の遠野さんから気絶したままの狐を受け取り、天遠乃さんが胸を張る。
「え、と。その狐って」
結局聞きそびれていたけど、どこの誰ですか。
『四獣の手下ね。力を分けてもらっているから、本来出来ない事も出来るようになってるの。あなた達をここへ連れてきた力の由来もそれ』
「なかなか苛つく事をしてくれた」
天遠乃さんの言葉に、てつが嗤いながらそう続ける。
「有り余る力は身を滅ぼす。ちぃっとばかし身体が慣れても、そいつの命は確実に削られているだろうによ」
『えっ』
えっ
「……今またその力を使うと、この狐にとって良くないという事ですか? てつさん」
遠野さんが声を落として聞く。
「いや? 一回如き。今更誤差にもならねぇだろうな」
てつはまた嗤うように、
「それに、与えられたモンを失くして戻せば、ソレも回復するだろう」
『よし、ならまぁ良し! じゃあ改めて、戻りましょう!』
「えっ」
天遠乃さんが、その狐を天高く掲げ。
「わっ?」
そこから滲むように空間が歪んでいく。それは瞬く間に私達を包み──
浮遊感。後、重力。
「……お?」
「ここか」
気付けば、綾女や菖蒲が咲き誇る庭の、ど真ん中に。
「きゃぁっ?!」
「何?!」
そして目の前に建つ大きな和風の屋敷から、そんな声が沢山聞こえ。
「姐さァん!」
猫や女のひと達が慌てふためく様子が見て取れた。
ここは、もしかしなくとも。
『はい皆居る「てつさん?! てつさん! 杏さん!」おっと』
天遠乃さんの声を遮って、二股の尻尾を振りながら黒猫が一匹、屋敷の奥から飛び出してきた。
「華珠貴さん!」
という事はやっぱり、ここは第二十五支部の鈴音さん達の家保護施設。
「あっ遠野さんも!」
もって。
「いつだかの幽霊さんも!」
「華珠貴!」
おお、虎猫──美緒さんも。弾丸みたいに走ってくる華珠貴さんを追いかけてくる。
「華珠貴! 止まりなさい!」
「え?! あれ?!」
「止めろ来るな止まれ突っ込んで──」
「ほぶふぅお!!」
血みどろの横腹にそのままダイブした!
「てめぇ……」
「華珠貴さん?!」
慌てて引っこ抜いたけど、
「うわぁ……」
その艶々黒々とした毛並みは、ベチャベチャの血塗れに。
「すみません大丈夫ですか?! てつさんにお怪我、てつさんなんでそんな血塗れなんですか?!」
追いついた美緒さんが、ビヨッと飛んでてつから離れた。
「うぉ、お怪我、大怪我?!」
「うみゃぅぅ……ごめんなさい……なんか上手く止まれなくて……」
「いや、その」
そこはいいんですけど、えぇと、
「……当主、やはり三十三に出た方が良かったのでは?」
『でも、こっちのが安全でしょ?』
にゃーにゃーと皆さんを混乱に陥れる中、横の二人がそんな事を言った。
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