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本編
30 全長十四センチメートル
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「何睨んでんだ」
「えっ?」
てつの声で我に返る。顔を上げると、テーブルを挟んだ目の前で、胡座になっての呆れ顔。
「あ、いや連絡をね、ちょっと取ろうかとね……」
言いながらスマホの画面を閉じる。昨日の兄弟の事が、まだ少し気になっている。いるんだけど……なんだか聞き難くて悩んでしまったのだ。
「まあ、もう出るし。後でにするよ」
横に置いていたミニリュックにスマホを仕舞い、息を吐く。
今日は休日なので、芽依と映画を観に行く事になっている。そろそろ家を出なければ。
「俺ぁ行かねえ」
「何を急に」
「……気が乗らねえ」
てつはテーブルに肘をついて溜め息混じりにそう言った。そういえば、帰ってからもあんまり元気無かったような……?
「近場なんだろう? なら、別にいても特段問題は無ぇだろうよ」
「そんなに遠くは、無いけど……え、調子悪いの?」
今までそんな事、自分から言った事無かったのに。
「そんなんじゃ無えよ。……もう行くんだろ?」
「そうだけど、でも」
気になるだろう、これは。そもそも、てつとあんなに離れたのだって昨日が初めてだった訳で。
「気が乗らねえだけだっつってんだろが。ほれ行け」
「ええぇ…………」
釈然としないまま、覇気の無い「行って来ます」を告げ、アパートを出た。
なんか、気になる事が増えてしまったな。
「面白かったー! 杏は?」
「私も面白かった! 途中のあの、閉じ込められた時はどうなるかと思ったけどあそこで!」
「そこね! まさかのね! あれは熱い!」
それはそれとして映画は面白かった。
てつが良いって言うんだし楽しむならしっかり楽しみたいし、と気持ちを入れ替えました。
観たのは少し前からやってるアクション映画。有名所のシリーズだそうだけど、これだけでも面白いという事で観に行ったら、本当に物凄い面白かった。
「あーでもお腹空いた。ご飯食べよー」
「そうだね、何食べよっか?」
映画館から出ながら、近くのお店を探す。昼を跨いでの上映だったので、今は空いてる時間帯だろうか。
「んー、何が良い……あ」
芽依は言いかけて、思わずといった風に動きを止めた。
「ん? どうしたの」
「あの子、あれ」
芽依が指し示す方向、道の向かい側に大きなリュックを背負った女の子が一人。特徴的な色合いの髪をした、中学生くらいに見えるあの後ろ姿は。
「……美緒さん?」
なんでここに? しかも一人で?
「だよね。この間の時の……ね、猫又? の子だよね」
美緒さんは、目の前のお店……カフェ? 喫茶店かな。その中を覗き込むようにして、妙な体勢で立っている。まるで、歩いている途中でふと目にした物に意識を奪われたかのような……なんであの姿勢で止まってられるんだ……。
「……あれ、何してるんだろ」
「何だろ……困ってるのかな……?」
私達が話してる間も美緒さんは微動だにしない。というか少し通行人の邪魔になってる。
「声、かけてみよっか」
美緒さんの所に辿り着いても、こちらに気付かない。
「こんにちは美緒さん、何してるんですか?」
「……」
「美緒さん? 片足上げたままだと危ないですよ」
「…………えっあ、杏さん」
美緒さんはハッとしたように振り返り、上げっぱなしだった足を降ろした。
「わぁ奇遇ですね。一緒にいらっしゃるのはこの前の……ぇと、大間、芽依さん」
「こんにちは、お久しぶりです」
「それで、何してたんですか?というか何故……」
少しお店側に寄りながら、さっきまでの美緒さんのように中を覗く。おお、おしゃれ。
「ああいえ、ちょっと……美味しそうで……」
美緒さんは少し恥ずかしそうに、喫茶店に視線を向ける。
「今ならお金もあるし、と思ったんですけど。私、洋食の食べ方良く分からなくて」
それでどうするか迷ってしまって固まっていた、と。
「じゃあお昼まだなの?」
「え? ええ、そうです」
芽依の問い掛けに、美緒さんは目をぱちくりとさせながら答えた。
芽依がちらりとこちらを見る。私はまあいいのでは、と頷く。
「なら、良かったら一緒に食べません? 私達もまだだし、ここ美味しそうだし」
「え! ……いえ、でも私テーブルマナーと言うやつが……」
「大丈夫だと思いますよ。ここカジュアルめなお店に見えるし」
入口に出ているブラックボードのメニューには、お手軽な値段が書かれていた。
「分からなかったら教えられますし、多分」
物凄い格式高いのは自信ないけど。
「い、良いんですか……それなら、お言葉に甘えて……」
「じゃ、決まり! 入ろう入ろう」
瞳を煌めかせる美緒と私達は、ドアベルを鳴らして喫茶店に入った。
「お、オムライス……あのオムライスが目の前に……!」
祈るように手を握りしめ、美緒さんは置かれたオムライスを食い入るように見つめる。
外から見た通り、アンティークの調度品で纏められた雰囲気の良い店内だ。落ち着いた音楽が流れてる中、他の客も数人だけ。私達は少し奥の四人掛けの席に座った。
「良し、美緒さんのも来たし食べよう」
「はい!」
控えめに「頂きます」と呟いて、それぞれの料理に向かう。美緒はオムライス、芽依はカツサンド、私はナポリタン。
「…………! ……!」
「スプーン、どうですか? 感覚は匙と変わらないとは思いますけど」
ナポリタンを巻きながら、左横で一口目を噛み締める美緒さんを見る。
「おいしい……です……スプーンもだいじょぶそうです……」
「美緒さんすごいおいしそうに食べますねー私も次の時はそれ頼もうかな」
「冗談抜きで美味しいです。憧れを軽く越えて来ました……皆には悪い気もしますけど、今日は私の記念日です」
早くもカツサンドの一切れ目を食べ終えた芽依の言葉に、美緒さんはうっとりしながらもしっかりした口調で答える。
料理が来るまでに聞いた話によると。
ずっとあの屋敷にいるのに飽きた猫達が不満を口にし始めたらしい。なので、気晴らしになりそうなものを集めて回ってるんだそうな。大きいリュックの中身は全部それ。
今TSTIの保護下にある鈴音さん達は、まだ怪我が治りきってない者も多く、行動が制限されているために自由に動けない。不満が大きくなる前になんとかガス抜きを、と考えた結果がこれ。美緒さんは一度仕事をこなしたという事もあって、許可も下りたんだそう。区域は限定されるが、経費としてお金も預かっているためそれなりに自由に動けるのだ。
因みに、華珠貴さんも一緒に来たがったが、鈴音さんに駄目と言われたらしい。遊びが原因で池に落っこちたからだ、と美緒さんはしみじみ語った。
「オムライス、前に人間の女の人が食べてるのを見てからずっっっと食べたくて! はぁー……あの人はこんな美味しいものを食べてたんですね……」
オムライス、本当美味しそうに食べるなぁ。このナポリタンも美味しいし、偶然だけど良いお店見つけたかも。
「……あっ玉ねぎとか大丈夫ですか?!」
「え? あ、そっか! 忘れてた!」
私に続いて芽依も同じ様に声を上げる。どうして美緒さんがいるのかに気を取られてすっかり抜けてた!
「? あ、大丈夫ですよ。私今は猫又なので、人と同等のものが食べられます」
「……ぃ」
「そうなんですか?」
「……ぉぃ」
「はい。先輩方に教えて貰いました」
美緒さんの言葉に、私も芽依もほっと息を吐「おいちょっと」
「……杏、今、なんか言った?」
「言ってないけど、聞こえた」
小さくて高めの声が。
「……お二人とも、あの、下に……」
美緒さんがテーブルの下を覗き込みながら、小さく呟く。私も芽依も、それに倣う。
「おお、やっと気付いたな」
テーブルの脚、蔦が巻き付くような装飾が施されたそれの根元。そこに、一羽の雀が留まっていた。
「いつ踏み潰されるかと気が気でなかったわ。もう脚は動かしてくれるなよ」
「えっ?」
てつの声で我に返る。顔を上げると、テーブルを挟んだ目の前で、胡座になっての呆れ顔。
「あ、いや連絡をね、ちょっと取ろうかとね……」
言いながらスマホの画面を閉じる。昨日の兄弟の事が、まだ少し気になっている。いるんだけど……なんだか聞き難くて悩んでしまったのだ。
「まあ、もう出るし。後でにするよ」
横に置いていたミニリュックにスマホを仕舞い、息を吐く。
今日は休日なので、芽依と映画を観に行く事になっている。そろそろ家を出なければ。
「俺ぁ行かねえ」
「何を急に」
「……気が乗らねえ」
てつはテーブルに肘をついて溜め息混じりにそう言った。そういえば、帰ってからもあんまり元気無かったような……?
「近場なんだろう? なら、別にいても特段問題は無ぇだろうよ」
「そんなに遠くは、無いけど……え、調子悪いの?」
今までそんな事、自分から言った事無かったのに。
「そんなんじゃ無えよ。……もう行くんだろ?」
「そうだけど、でも」
気になるだろう、これは。そもそも、てつとあんなに離れたのだって昨日が初めてだった訳で。
「気が乗らねえだけだっつってんだろが。ほれ行け」
「ええぇ…………」
釈然としないまま、覇気の無い「行って来ます」を告げ、アパートを出た。
なんか、気になる事が増えてしまったな。
「面白かったー! 杏は?」
「私も面白かった! 途中のあの、閉じ込められた時はどうなるかと思ったけどあそこで!」
「そこね! まさかのね! あれは熱い!」
それはそれとして映画は面白かった。
てつが良いって言うんだし楽しむならしっかり楽しみたいし、と気持ちを入れ替えました。
観たのは少し前からやってるアクション映画。有名所のシリーズだそうだけど、これだけでも面白いという事で観に行ったら、本当に物凄い面白かった。
「あーでもお腹空いた。ご飯食べよー」
「そうだね、何食べよっか?」
映画館から出ながら、近くのお店を探す。昼を跨いでの上映だったので、今は空いてる時間帯だろうか。
「んー、何が良い……あ」
芽依は言いかけて、思わずといった風に動きを止めた。
「ん? どうしたの」
「あの子、あれ」
芽依が指し示す方向、道の向かい側に大きなリュックを背負った女の子が一人。特徴的な色合いの髪をした、中学生くらいに見えるあの後ろ姿は。
「……美緒さん?」
なんでここに? しかも一人で?
「だよね。この間の時の……ね、猫又? の子だよね」
美緒さんは、目の前のお店……カフェ? 喫茶店かな。その中を覗き込むようにして、妙な体勢で立っている。まるで、歩いている途中でふと目にした物に意識を奪われたかのような……なんであの姿勢で止まってられるんだ……。
「……あれ、何してるんだろ」
「何だろ……困ってるのかな……?」
私達が話してる間も美緒さんは微動だにしない。というか少し通行人の邪魔になってる。
「声、かけてみよっか」
美緒さんの所に辿り着いても、こちらに気付かない。
「こんにちは美緒さん、何してるんですか?」
「……」
「美緒さん? 片足上げたままだと危ないですよ」
「…………えっあ、杏さん」
美緒さんはハッとしたように振り返り、上げっぱなしだった足を降ろした。
「わぁ奇遇ですね。一緒にいらっしゃるのはこの前の……ぇと、大間、芽依さん」
「こんにちは、お久しぶりです」
「それで、何してたんですか?というか何故……」
少しお店側に寄りながら、さっきまでの美緒さんのように中を覗く。おお、おしゃれ。
「ああいえ、ちょっと……美味しそうで……」
美緒さんは少し恥ずかしそうに、喫茶店に視線を向ける。
「今ならお金もあるし、と思ったんですけど。私、洋食の食べ方良く分からなくて」
それでどうするか迷ってしまって固まっていた、と。
「じゃあお昼まだなの?」
「え? ええ、そうです」
芽依の問い掛けに、美緒さんは目をぱちくりとさせながら答えた。
芽依がちらりとこちらを見る。私はまあいいのでは、と頷く。
「なら、良かったら一緒に食べません? 私達もまだだし、ここ美味しそうだし」
「え! ……いえ、でも私テーブルマナーと言うやつが……」
「大丈夫だと思いますよ。ここカジュアルめなお店に見えるし」
入口に出ているブラックボードのメニューには、お手軽な値段が書かれていた。
「分からなかったら教えられますし、多分」
物凄い格式高いのは自信ないけど。
「い、良いんですか……それなら、お言葉に甘えて……」
「じゃ、決まり! 入ろう入ろう」
瞳を煌めかせる美緒と私達は、ドアベルを鳴らして喫茶店に入った。
「お、オムライス……あのオムライスが目の前に……!」
祈るように手を握りしめ、美緒さんは置かれたオムライスを食い入るように見つめる。
外から見た通り、アンティークの調度品で纏められた雰囲気の良い店内だ。落ち着いた音楽が流れてる中、他の客も数人だけ。私達は少し奥の四人掛けの席に座った。
「良し、美緒さんのも来たし食べよう」
「はい!」
控えめに「頂きます」と呟いて、それぞれの料理に向かう。美緒はオムライス、芽依はカツサンド、私はナポリタン。
「…………! ……!」
「スプーン、どうですか? 感覚は匙と変わらないとは思いますけど」
ナポリタンを巻きながら、左横で一口目を噛み締める美緒さんを見る。
「おいしい……です……スプーンもだいじょぶそうです……」
「美緒さんすごいおいしそうに食べますねー私も次の時はそれ頼もうかな」
「冗談抜きで美味しいです。憧れを軽く越えて来ました……皆には悪い気もしますけど、今日は私の記念日です」
早くもカツサンドの一切れ目を食べ終えた芽依の言葉に、美緒さんはうっとりしながらもしっかりした口調で答える。
料理が来るまでに聞いた話によると。
ずっとあの屋敷にいるのに飽きた猫達が不満を口にし始めたらしい。なので、気晴らしになりそうなものを集めて回ってるんだそうな。大きいリュックの中身は全部それ。
今TSTIの保護下にある鈴音さん達は、まだ怪我が治りきってない者も多く、行動が制限されているために自由に動けない。不満が大きくなる前になんとかガス抜きを、と考えた結果がこれ。美緒さんは一度仕事をこなしたという事もあって、許可も下りたんだそう。区域は限定されるが、経費としてお金も預かっているためそれなりに自由に動けるのだ。
因みに、華珠貴さんも一緒に来たがったが、鈴音さんに駄目と言われたらしい。遊びが原因で池に落っこちたからだ、と美緒さんはしみじみ語った。
「オムライス、前に人間の女の人が食べてるのを見てからずっっっと食べたくて! はぁー……あの人はこんな美味しいものを食べてたんですね……」
オムライス、本当美味しそうに食べるなぁ。このナポリタンも美味しいし、偶然だけど良いお店見つけたかも。
「……あっ玉ねぎとか大丈夫ですか?!」
「え? あ、そっか! 忘れてた!」
私に続いて芽依も同じ様に声を上げる。どうして美緒さんがいるのかに気を取られてすっかり抜けてた!
「? あ、大丈夫ですよ。私今は猫又なので、人と同等のものが食べられます」
「……ぃ」
「そうなんですか?」
「……ぉぃ」
「はい。先輩方に教えて貰いました」
美緒さんの言葉に、私も芽依もほっと息を吐「おいちょっと」
「……杏、今、なんか言った?」
「言ってないけど、聞こえた」
小さくて高めの声が。
「……お二人とも、あの、下に……」
美緒さんがテーブルの下を覗き込みながら、小さく呟く。私も芽依も、それに倣う。
「おお、やっと気付いたな」
テーブルの脚、蔦が巻き付くような装飾が施されたそれの根元。そこに、一羽の雀が留まっていた。
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