27 / 105
本編
25 記憶
しおりを挟む
それから一週間、特に変な事は起きていない。
大学と支部のバイトで一日が過ぎる事が多かった。バイトもちゃんとシフトを出せたけど、その仕事は支部内での雑用みたいな事がほとんど。書類のコピーとかファイリングとか。
結構忙しかったけど、伊里院さんのいる職場だったのもあってあまり肩肘張らずにいられたのは良かったと思う。
芽依には、あの後もどんな仕事かとか色々聞かれた。けど、ちょうどそういう内容の仕事ばかりだったので、そんなに変には思われずにいられたみたい。
あ、そういえば遠野さんのジャケットも返せました。
と、そんな時。
久しぶりに遠野さんに呼ばれた。
「てつの、身体を戻す? んですか?」
「ほう?」
私とてつの声が重なる。
「はい。一旦集まった分のてつさんの一部を、てつさんに戻す事をやってみようかと」
遠野さんは頷く。
私達が呼ばれたのは岩尾先生の診察室。当然岩尾先生もいる。
「いつまでもこのままって訳にもいかないからねぇ。様子を見ながらやってみようかという話になったんだよ」
私達と、遠野さん岩尾先生で対面する形で椅子に座っている状態で、岩尾先生はそう言った。てつはいつも通り、私の肩の上。
「あの、でもそれって私は大丈夫なんでしょうか……?」
融合率とかその辺の。やっぱり気になる。
「……今までの傾向からして、榊原さんがしっかり意識を保っている時のてつさんの一部吸収は、双方にそれほど負担は無いと判断されました。本当はてつさんの一部が全て揃ってから行うのが良いんですが……今はそれも難しいので、出来る限りでやろうと。どうでしょう?」
どうでしょうと言われましても。
「俺は問題ないが……杏が気を失わなけりゃあ良いのか?」
「そうです」
てつの問いに再び頷く遠野さん。
「そう簡単に出来ますかね……?」
思い出す限り、しっかり意識を保っていた時は一番最初の時。それ以外は遅かれ早かれ意識を失っている。
まあ、それでもそういう風に言われるんだから、起きていた方が良い事は確かなんだろう。どうやってその数値を出したのかとか、未だ私にはさっぱりだけれど。
「簡単にはいかないだろうけども、奥の手もあるから」
私の呟きに岩尾先生が応える。
「奥の手? ですか?」
「榊原さんの意識が落ちそうになったら僕の神懸かりで引っ張り上げます。ですがこれはあまり頻繁にやるべき事ではありません。なのでギリギリまで、本当に榊原さんの意識が危なくなるまでは使いません」
へぇ、神懸かりってそういう風にも使えるのか。色々応用が利かせられるんだ。
「……分かりました。私も大丈夫です。てつの身体を戻すの、お願いします」
私も腹を決める。いつまでもこのままじゃいられないのは、岩尾先生が言った通りなのだから。
診察室からまた移動するというので付いていくと。
「これが、てつの一部……」
「なんだ、思ったより少ねぇなぁ」
そこは実験室のような、それでいて壁にはなにやら模様か崩し字のようなものがびっしりと書き込まれた部屋だった。
診察室からそんなに離れていない所にあったけど、部屋に入ってから自動ドアを三回通ってここにたどり着いた。そしてその部屋に置いてある、数ある白いテーブルうちの一つにそれはあった。
「はい、他にも痕跡はあったんですが……確保できたのはこれだけです」
遠野さんはそう言って、それに視線をやった。
それは幾つかの肉塊だった。
量は見た目に一キロくらい? テーブルの上にバットが置かれそこに入っているので、何かの実験に使うのか、仕込みに使うのか、みたいな光景だ。
ちなみに部屋には岩尾先生もいる。「何かあった時、対処出来る人間が必要だからね」との事。
「痕跡?」
てつが聞く。
「ええ。恐らく『同調を起こした者達』が何らかの目的で持ち去った、というのが上の見解です」
遠野さんはそれに答え、今度は私達の方を向く。
「では、始めましょう」
「おう」
「……はい」
てつがずるりと私の肩から降り、テーブルの上に乗る。
私は頬をパンと両手で叩いてみた。別段眠かったりはしないけど、気合いを入れてみる。
「じゃあいくぞ。杏、良いか?」
「うん!」
私がしっかり頷いたのを確認すると、てつはその腕を伸ばし、肉塊を掴んだ。
すると、掴んだ肉塊は少しずつてつの手の中で小さくなり…………。
「……!」
「……これは」
岩尾先生はその光景に息を飲み、遠野さんは小さく呟く。
一つ目の肉塊が全て手の中に吸収されると、てつはすぐに別の肉塊を手に取った。
「……?」
私はというと、それを見ながら首を傾げていた。
身体を風が吹き抜けていかない。
最初の、意識がはっきりしていた時の吸収。あの時は身体の中を風が吹き抜ける感触があって戸惑ったのに。あの後はそんな事無かったから、最初限定の現象だった?
そんな風に思っていると、てつが全ての肉塊を吸収し終えた。
「ああ、うん。俺だな……」
そう言って手を握ったり開いたりしている。
「てつ、あのさ」
私は風の感触の事をてつに聞こうとした。その時。
ぐにゃり、と、てつの腕がひん曲がった。
「は?!」
「あー、心配すんな」
いやいやいや!
「何が起きてんの?!」
遠野さんも岩尾先生も、突然形を変え始めたてつに何も言えないでいる。
「ちょいと形が変わるだけだな。今の俺に合わせた姿になるだけだ」
凄い冷静に喋っているけど、その間にもてつの身体はぐにゃぐにゃと粘土のように形を変える。驚愕の光景だよ。
「いやそんな……うっ」
頭を押さえる。なんだ、頭痛?
「! ……榊原君? 大丈夫かい?」
「岩尾先生……なんか、頭が」
痛いような。そう言おうとして、目の前の景色が一瞬変わった感覚に、目を瞬いた。
「は? ……え?」
何今の。
「榊原さん、大丈夫ですか?」
「杏?」
遠野さんとてつの声が聞こえる。でもそれは遠い……。
あ、これ意識が飛びかけてるな。駄目だ、起きてなきゃ。
その間にも今いる場所と違うものが見える。ほんとなんだこれ!
と、身体がふわりと浮いた気がした。
いや、これも今見えているもののせいかも知れない。森の景色、草原、赤い色、よく分からない生き物の恐怖に引きつった顔……。
「杏! おい、俺に引っ張られんな!」
やっぱりそうなのか。これはてつの記憶、異界にいた時のてつは、こんなものを見ていたって事か。
遠くにてつの声が聞こえた、と思った時。
湖か何か、水面に映った自分の──てつの姿を見た。
「……これは」
そして、これ以上ない勢いでてつの記憶が頭の中を駆け巡る。同時に風が、さぁっと自分の身体を吹き抜けていく。
あ、この風。最初に吹き抜けた風と似ている。
そう思って目を瞬くと、私はさっきまでの実験室のような部屋にいた。
「榊原さん!」
「……あ、れ?」
私はいつの間にか床にしゃがみ込んで、肩で息をしていた。
「榊原君、大丈夫かい?」
岩尾先生が私の顔をのぞき込んでくる。
「あ、はい……なんとか……」
「ギリギリ、踏みとどまれましたね……」
その横で遠野さんもしゃがんで、私を見ながら息を吐いた。
「立ち上がれますか?」
「無理はいけないよ」
「あっいえ、大丈夫だと思います」
テーブルを支えに立ち上がる。
「私、今……」
「俺に引っ張られそうになったんだよ。なんとかいったようだがな」
「………………てつ?」
テーブルの上の存在に、目を丸くする。声は一緒だけど、いや、でも。
「てつさん、だいぶ変わりましたね」
「これでも、今までよりは元の姿に近いぞ。少々小せぇが」
そこには、金色の毛並みの子犬らしきものがいた。
大学と支部のバイトで一日が過ぎる事が多かった。バイトもちゃんとシフトを出せたけど、その仕事は支部内での雑用みたいな事がほとんど。書類のコピーとかファイリングとか。
結構忙しかったけど、伊里院さんのいる職場だったのもあってあまり肩肘張らずにいられたのは良かったと思う。
芽依には、あの後もどんな仕事かとか色々聞かれた。けど、ちょうどそういう内容の仕事ばかりだったので、そんなに変には思われずにいられたみたい。
あ、そういえば遠野さんのジャケットも返せました。
と、そんな時。
久しぶりに遠野さんに呼ばれた。
「てつの、身体を戻す? んですか?」
「ほう?」
私とてつの声が重なる。
「はい。一旦集まった分のてつさんの一部を、てつさんに戻す事をやってみようかと」
遠野さんは頷く。
私達が呼ばれたのは岩尾先生の診察室。当然岩尾先生もいる。
「いつまでもこのままって訳にもいかないからねぇ。様子を見ながらやってみようかという話になったんだよ」
私達と、遠野さん岩尾先生で対面する形で椅子に座っている状態で、岩尾先生はそう言った。てつはいつも通り、私の肩の上。
「あの、でもそれって私は大丈夫なんでしょうか……?」
融合率とかその辺の。やっぱり気になる。
「……今までの傾向からして、榊原さんがしっかり意識を保っている時のてつさんの一部吸収は、双方にそれほど負担は無いと判断されました。本当はてつさんの一部が全て揃ってから行うのが良いんですが……今はそれも難しいので、出来る限りでやろうと。どうでしょう?」
どうでしょうと言われましても。
「俺は問題ないが……杏が気を失わなけりゃあ良いのか?」
「そうです」
てつの問いに再び頷く遠野さん。
「そう簡単に出来ますかね……?」
思い出す限り、しっかり意識を保っていた時は一番最初の時。それ以外は遅かれ早かれ意識を失っている。
まあ、それでもそういう風に言われるんだから、起きていた方が良い事は確かなんだろう。どうやってその数値を出したのかとか、未だ私にはさっぱりだけれど。
「簡単にはいかないだろうけども、奥の手もあるから」
私の呟きに岩尾先生が応える。
「奥の手? ですか?」
「榊原さんの意識が落ちそうになったら僕の神懸かりで引っ張り上げます。ですがこれはあまり頻繁にやるべき事ではありません。なのでギリギリまで、本当に榊原さんの意識が危なくなるまでは使いません」
へぇ、神懸かりってそういう風にも使えるのか。色々応用が利かせられるんだ。
「……分かりました。私も大丈夫です。てつの身体を戻すの、お願いします」
私も腹を決める。いつまでもこのままじゃいられないのは、岩尾先生が言った通りなのだから。
診察室からまた移動するというので付いていくと。
「これが、てつの一部……」
「なんだ、思ったより少ねぇなぁ」
そこは実験室のような、それでいて壁にはなにやら模様か崩し字のようなものがびっしりと書き込まれた部屋だった。
診察室からそんなに離れていない所にあったけど、部屋に入ってから自動ドアを三回通ってここにたどり着いた。そしてその部屋に置いてある、数ある白いテーブルうちの一つにそれはあった。
「はい、他にも痕跡はあったんですが……確保できたのはこれだけです」
遠野さんはそう言って、それに視線をやった。
それは幾つかの肉塊だった。
量は見た目に一キロくらい? テーブルの上にバットが置かれそこに入っているので、何かの実験に使うのか、仕込みに使うのか、みたいな光景だ。
ちなみに部屋には岩尾先生もいる。「何かあった時、対処出来る人間が必要だからね」との事。
「痕跡?」
てつが聞く。
「ええ。恐らく『同調を起こした者達』が何らかの目的で持ち去った、というのが上の見解です」
遠野さんはそれに答え、今度は私達の方を向く。
「では、始めましょう」
「おう」
「……はい」
てつがずるりと私の肩から降り、テーブルの上に乗る。
私は頬をパンと両手で叩いてみた。別段眠かったりはしないけど、気合いを入れてみる。
「じゃあいくぞ。杏、良いか?」
「うん!」
私がしっかり頷いたのを確認すると、てつはその腕を伸ばし、肉塊を掴んだ。
すると、掴んだ肉塊は少しずつてつの手の中で小さくなり…………。
「……!」
「……これは」
岩尾先生はその光景に息を飲み、遠野さんは小さく呟く。
一つ目の肉塊が全て手の中に吸収されると、てつはすぐに別の肉塊を手に取った。
「……?」
私はというと、それを見ながら首を傾げていた。
身体を風が吹き抜けていかない。
最初の、意識がはっきりしていた時の吸収。あの時は身体の中を風が吹き抜ける感触があって戸惑ったのに。あの後はそんな事無かったから、最初限定の現象だった?
そんな風に思っていると、てつが全ての肉塊を吸収し終えた。
「ああ、うん。俺だな……」
そう言って手を握ったり開いたりしている。
「てつ、あのさ」
私は風の感触の事をてつに聞こうとした。その時。
ぐにゃり、と、てつの腕がひん曲がった。
「は?!」
「あー、心配すんな」
いやいやいや!
「何が起きてんの?!」
遠野さんも岩尾先生も、突然形を変え始めたてつに何も言えないでいる。
「ちょいと形が変わるだけだな。今の俺に合わせた姿になるだけだ」
凄い冷静に喋っているけど、その間にもてつの身体はぐにゃぐにゃと粘土のように形を変える。驚愕の光景だよ。
「いやそんな……うっ」
頭を押さえる。なんだ、頭痛?
「! ……榊原君? 大丈夫かい?」
「岩尾先生……なんか、頭が」
痛いような。そう言おうとして、目の前の景色が一瞬変わった感覚に、目を瞬いた。
「は? ……え?」
何今の。
「榊原さん、大丈夫ですか?」
「杏?」
遠野さんとてつの声が聞こえる。でもそれは遠い……。
あ、これ意識が飛びかけてるな。駄目だ、起きてなきゃ。
その間にも今いる場所と違うものが見える。ほんとなんだこれ!
と、身体がふわりと浮いた気がした。
いや、これも今見えているもののせいかも知れない。森の景色、草原、赤い色、よく分からない生き物の恐怖に引きつった顔……。
「杏! おい、俺に引っ張られんな!」
やっぱりそうなのか。これはてつの記憶、異界にいた時のてつは、こんなものを見ていたって事か。
遠くにてつの声が聞こえた、と思った時。
湖か何か、水面に映った自分の──てつの姿を見た。
「……これは」
そして、これ以上ない勢いでてつの記憶が頭の中を駆け巡る。同時に風が、さぁっと自分の身体を吹き抜けていく。
あ、この風。最初に吹き抜けた風と似ている。
そう思って目を瞬くと、私はさっきまでの実験室のような部屋にいた。
「榊原さん!」
「……あ、れ?」
私はいつの間にか床にしゃがみ込んで、肩で息をしていた。
「榊原君、大丈夫かい?」
岩尾先生が私の顔をのぞき込んでくる。
「あ、はい……なんとか……」
「ギリギリ、踏みとどまれましたね……」
その横で遠野さんもしゃがんで、私を見ながら息を吐いた。
「立ち上がれますか?」
「無理はいけないよ」
「あっいえ、大丈夫だと思います」
テーブルを支えに立ち上がる。
「私、今……」
「俺に引っ張られそうになったんだよ。なんとかいったようだがな」
「………………てつ?」
テーブルの上の存在に、目を丸くする。声は一緒だけど、いや、でも。
「てつさん、だいぶ変わりましたね」
「これでも、今までよりは元の姿に近いぞ。少々小せぇが」
そこには、金色の毛並みの子犬らしきものがいた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
あやかし姫を娶った中尉殿は、西洋料理でおもてなし
枝豆ずんだ
キャラ文芸
旧題:あやかし姫を娶った中尉殿は、西洋料理を食べ歩く
さて文明開化の音がする昔、西洋文化が一斉に流れ込んだ影響か我が国のあやかしやら八百万の神々がびっくりして姿を表しました。
猫がしゃべって、傘が歩くような、この世とかくりよが合わさって、霧に覆われた「帝都」のとあるお家に嫁いで来たのは金の尾にピンと張った耳の幼いあやかし狐。帝国軍とあやかしが「仲良くしましょう」ということで嫁いで来た姫さまは油揚げよりオムライスがお好き!
けれど困ったことに、夫である中尉殿はこれまで西洋料理なんて食べたことがありません!
さて、眉間にしわを寄せながらも、お国のためにあやかし姫の良き夫を務めねばならない中尉殿は遊び人の友人に連れられて、今日も西洋料理店の扉を開きます。
彩鬼万華鏡奇譚 天の足夜のきせきがたり
響 蒼華
キャラ文芸
元は令嬢だったあやめは、現在、女中としてある作家の家で働いていた。
紡ぐ文章は美しく、されど生活能力皆無な締め切り破りの問題児である玄鳥。
手のかかる雇い主の元の面倒見ながら忙しく過ごす日々、ある時あやめは一つの万華鏡を見つける。
持ち主を失ってから色を無くした、何も映さない万華鏡。
その日から、月の美しい夜に玄鳥は物語をあやめに聞かせるようになる。
彩の名を持つ鬼と人との不思議な恋物語、それが語られる度に万華鏡は色を取り戻していき……。
過去と現在とが触れあい絡めとりながら、全ては一つへと収束していく――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。
イラスト:Suico 様
お江戸あやかしグチ処~うちは甘味処です!~
かりえばし
キャラ文芸
物語の舞台は江戸時代っぽい甘味処。
時期は享保~天明っぽい頃。
街には多くの甘味処があり、人々はそこで休息を取りながら美味しい甘味を楽しんでいた。
主人公の凛は、甘味処を切り盛りする行き遅れ女性(20歳)
凛の甘味の腕前には定評があり、様々な客から愛されている。
しかし凛は人間不信で人間嫌い。
普段は自分の世界に閉じこもり、人々との交流も避けている。
甘味処に来る客とは必要最低限の会話しかせず、愛想笑いの一つも浮かべない。
それでもなお、凛の甘味処がつぶれないのは奇妙な押しかけ店員・三之助と愚痴をこぼしに来る人間臭いあやかしたちのおかげだった。
【表紙イラスト 文之助様】
白鬼
藤田 秋
キャラ文芸
ホームレスになった少女、千真(ちさな)が野宿場所に選んだのは、とある寂れた神社。しかし、夜の神社には既に危険な先客が居座っていた。化け物に襲われた千真の前に現れたのは、神職の衣装を身に纏った白き鬼だった――。
普通の人間、普通じゃない人間、半分妖怪、生粋の妖怪、神様はみんなお友達?
田舎町の端っこで繰り広げられる、巫女さんと神主さんの(頭の)ユルいグダグダな魑魅魍魎ライフ、開幕!
草食系どころか最早キャベツ野郎×鈍感なアホの子。
少年は正体を隠し、少女を守る。そして、少女は当然のように正体に気付かない。
二人の主人公が織り成す、王道を走りたかったけど横道に逸れるなんちゃってあやかし奇譚。
コメディとシリアスの温度差にご注意を。
他サイト様でも掲載中です。
幽閉された花嫁は地下ノ國の用心棒に食されたい
森原すみれ@薬膳おおかみ①②③刊行
キャラ文芸
【完結・2万8000字前後の物語です】
──どうせ食べられるなら、美しく凜々しい殿方がよかった──
養父母により望まぬ結婚を強いられた朱莉は、挙式直前に命からがら逃走する。追い詰められた先で身を投げた湖の底には、懐かしくも美しい街並みが広がるあやかしたちの世界があった。
龍海という男に救われた朱莉は、その凛とした美しさに人生初の恋をする。
あやかしの世界唯一の人間らしい龍海は、真っ直ぐな好意を向ける朱莉にも素っ気ない。それでも、あやかしの世界に巻き起こる事件が徐々に彼らの距離を縮めていき──。
世間知らずのお転婆お嬢様と堅物な用心棒の、ノスタルジックな恋の物語。
※小説家になろう、ノベマ!に同作掲載しております。
四葩の華獄 形代の蝶はあいに惑う
響 蒼華
キャラ文芸
――そのシアワセの刻限、一年也。
由緒正しき名家・紫園家。
紫園家は、栄えると同時に、呪われた血筋だと囁かれていた。
そんな紫園家に、ある日、かさねという名の少女が足を踏み入れる。
『蝶憑き』と不気味がる村人からは忌み嫌われ、父親は酒代と引き換えにかさねを当主の妾として売った。
覚悟を決めたかさねを待っていたのは、夢のような幸せな暮らし。
妾でありながら、屋敷の中で何よりも大事にされ優先される『胡蝶様』と呼ばれ暮らす事になるかさね。
溺れる程の幸せ。
しかし、かさねはそれが与えられた一年間の「猶予」であることを知っていた。
かさねにだけは不思議な慈しみを見せる冷徹な当主・鷹臣と、かさねを『形代』と呼び愛しむ正妻・燁子。
そして、『花嫁』を待っているという不思議な人ならざる青年・斎。
愛し愛され、望み望まれ。四葩に囲まれた屋敷にて、繰り広げられる或る愛憎劇――。
※時代設定的に、現代では女性蔑視や差別など不適切とされる表現等がありますが、差別や偏見を肯定する意図はありません。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる