106 / 134
106 膝枕
しおりを挟む
温かくて、ふわふわしてて、心地良い。
少し浮上した意識が、枕、こんなんだっけ、と、疑問を投げかけてくる。
『……涼? 起きました?』
寝ぼけながら名前を呼んで、心地良いそれに腕を回して、顔を寄せる。
やっぱり、温かくて、柔らかくて、心地良い。
『りょ、涼……その……えと……』
なんか、可愛い反応すんなぁと、思いながら。
その心地良さに微睡んでいたくて、顔を埋めて、名前を呼びながら、意識を沈めようとして。
『涼、あの、その、お腹は、くすぐったいです……』
……お腹……?
「……みつみ……?」
瞼を上げて、上にあるその顔を、見上げて。
「お、起きました……?」
頬を染めて、困ったような顔をしている彼女が、とても、愛くるしくて。
「なに……めっちゃ可愛いじゃん……なに……? これこそご褒美……」
……ご褒美?
思考が回りだし、同時に──逆に、体はピキンと、固まった。
「ご、ご褒美は、プールです……っうわ?!」
更に眉尻を下げて言う、その顔と声に、これ以上は危ないと、本能のようなものが警鐘を鳴らして、跳ね起きることに成功する。
「っ、悪い。寝てた、てか、その、……、……悪い……」
完全に目が覚めた涼は、光海から距離を取り、温もりと心地良さを振り払うように、物理的に頭を振って、顔に──目元に──手を当てる。
膝枕て。いつ、した? なんか、顔を強打した記憶は、ある。
「あー……悪い。マジすまん。セクハラだよな、殴ってくれ」
動揺と、罪悪感と。消し去れないあの心地良さで、光海の顔を見れない。
「な、なぐ……いえ、その、別に、嫌では、なかったので……時間も、一時間くらいしか、経ってませんし……」
嫌じゃないとか言うんじゃねぇよ。てか、一時間も、ああしてた訳か?
「……その、起こしたほうが、良かったですか……? とても気持ち良さそうだったので……そのままにしてたんですけど……」
申し訳無さそうなその声に。気持ち良さそうだったという言葉に。
「……マジ、悪い……」
涼は心理的な逃げ場を無くしてしまって、謝ることしか、思いつかない。
「……涼」
光海が、こっちに寄ってくるのが、音やら声やらで分かる。距離を、と思うのに、また、体が、言うことを聞かない。
「涼、謝らないで。顔、見せて」
今、敬語を抜くんじゃねぇ。拗ねた感じで言うんじゃねぇ。
「……そのままなら、抱きしめますよ?」
それは脅しじゃねぇんだよ。
「……言いましたからね。します」
「っ……」
腕を回され、抱きしめられ、涼は余計、身動きが取れなくなる。……取りたくなくなる。
「テスト、絶対良い点取れてます。順位も大幅アップですよ。だから、安心して下さい」
「お前な……」
今、安心とか、そういう次元じゃねぇんだわ。
それを言えれば、真意を伝えられれば、どれだけ、気が楽か。
「……まだ、不安ですか?」
「ちげぇよ……」
「じゃあ、何? どうして顔、見せてくれないの?」
顔を寄せられたのが、声の位置から、分かった。
「それ以上近づくんじゃねぇ。……キスすんぞ」
光海が固まった、のを理解して、少し、安堵する。あとは、このまま、体を離してもらえば──
「……キス、したいですか?」
あーーーーーもうお前、それ、その言い方、お前、
「したくないと、思うか?」
目元から手を離して、予想より近い顔に、内心ギクリとしながら、目を細めて、声を低くして。
「光海」
可愛く睨んでくる、赤い顔に、
「本当に、するぞ」
「別に、どうぞ」
「……じゃあ、する」
涼は光海に抱きつくように腕を回し、頭を固定して、その唇に、かぶりついた。
◇
あの、えと、また、舌……こ、こっち方面のキスだと思ってなかった……。
うあ、あの、その、ま、待って……なんか、この前より、あの、長いし、舌、その、えと。
うぁ、あぇ、もう、無理。頭、爆発する……!
「……どーだこのヤロウ。分かったか」
口が、離れて。なんか、しかめる、のとは違うような顔をされながら、言われるけど。
「ふぇ……?」
分かったって、なんですか……? あの、頭が、回ってないので、判断力、落ちてます……。
「あーくそ」
ぎゅって、抱きしめられて。
「可愛い可愛い可愛い可愛い。おっまえホント可愛いんだからお前、光海。分かってんのか? なんだその反応。『ふぇ』ってなんだ『ふぇ』って。お前は俺を滅したいのか」
いや、滅すて。
「そんな力、ないです……」
「あるんだよ。分かれ」
「えぇ……?」
「えぇ、じゃねぇ。分かれ」
「……その、」
「分かれ」
「わ、分かり、ました……?」
もう、どういうこと? 全く分からん。
けど、言ったら、涼は長く、なんかすっごく長く、息を吐いて、
「……おっまえさぁ……ホント、マジ……あーー好き。好き過ぎる。マジで離したくない」
「あの、帰るまでなら、このままでも……」
「そうだけどそうじゃねぇ」
「ど、どう……?」
「分からなくていい」
「えぇ……?」
そしてそのまま、時間になって。
涼は、「時間が憎い……けど、その時間が救い……」って言いながら、私から腕を離した。
◇
光海が帰って、なんとか無事に──まあまあ無事に帰せたと、涼は自分の精神力を半分くらい讃えた。けれどもう半分は、光海が帰ってしまったことへの寂しさと、あの温もりと心地良さをまた味わいたいという思いがあって、涼は部屋に戻りながら、脳内からそれを追い出そうと、何度か頭を叩く。
痛いだけで、消えてくれない。
「……あーくそ」
ベッドに突っ伏し、情けない声を出す。
「(好きです愛してますお前が居ないと生きていけない宝物すぎるどうしろってんだよもう今すぐ結婚したい籍を入れたい明確な繋がりが欲しい俺の馬鹿この馬鹿野郎嫌われたくない大好きです)」
突っ伏したままぐもぐもと、本人には言えないことをベッドへ聞かせる。
言いながら、このベッド、自分が死んだら想いが怨念になって光海に取り憑きそうだ、などと、現実逃避気味に考える。
粗方言い終え、少しスッキリしたところで、スマホが何かを受け取っていると気付く。
涼はそれを開いて、
「……」
開いたことを、軽く後悔した。
『あの、思わずですね、寝顔、貴重だなって、撮ってしまいまして……やっぱりちゃんと報告したほうがいいかなって』
光海のメッセージが可愛くて憎い。そして、自分だというのに、画像と動画だというのに、それが羨ましくて悔しい。
メッセージと共に送られてきたのは、光海が上から撮ったのだろう、光海の膝枕で寝ている涼の、画像が数枚と動画が一つ。
『涼ー? ……起きない……りょーうー? ……涼の髪、ふわふわ……いいなぁ……』
何が「いいなぁ」だコラ。呼びかけ方が可愛いんだよくっそが。
涼は『報告どうも』と送ってから、また、ベッドに突っ伏した。
少し浮上した意識が、枕、こんなんだっけ、と、疑問を投げかけてくる。
『……涼? 起きました?』
寝ぼけながら名前を呼んで、心地良いそれに腕を回して、顔を寄せる。
やっぱり、温かくて、柔らかくて、心地良い。
『りょ、涼……その……えと……』
なんか、可愛い反応すんなぁと、思いながら。
その心地良さに微睡んでいたくて、顔を埋めて、名前を呼びながら、意識を沈めようとして。
『涼、あの、その、お腹は、くすぐったいです……』
……お腹……?
「……みつみ……?」
瞼を上げて、上にあるその顔を、見上げて。
「お、起きました……?」
頬を染めて、困ったような顔をしている彼女が、とても、愛くるしくて。
「なに……めっちゃ可愛いじゃん……なに……? これこそご褒美……」
……ご褒美?
思考が回りだし、同時に──逆に、体はピキンと、固まった。
「ご、ご褒美は、プールです……っうわ?!」
更に眉尻を下げて言う、その顔と声に、これ以上は危ないと、本能のようなものが警鐘を鳴らして、跳ね起きることに成功する。
「っ、悪い。寝てた、てか、その、……、……悪い……」
完全に目が覚めた涼は、光海から距離を取り、温もりと心地良さを振り払うように、物理的に頭を振って、顔に──目元に──手を当てる。
膝枕て。いつ、した? なんか、顔を強打した記憶は、ある。
「あー……悪い。マジすまん。セクハラだよな、殴ってくれ」
動揺と、罪悪感と。消し去れないあの心地良さで、光海の顔を見れない。
「な、なぐ……いえ、その、別に、嫌では、なかったので……時間も、一時間くらいしか、経ってませんし……」
嫌じゃないとか言うんじゃねぇよ。てか、一時間も、ああしてた訳か?
「……その、起こしたほうが、良かったですか……? とても気持ち良さそうだったので……そのままにしてたんですけど……」
申し訳無さそうなその声に。気持ち良さそうだったという言葉に。
「……マジ、悪い……」
涼は心理的な逃げ場を無くしてしまって、謝ることしか、思いつかない。
「……涼」
光海が、こっちに寄ってくるのが、音やら声やらで分かる。距離を、と思うのに、また、体が、言うことを聞かない。
「涼、謝らないで。顔、見せて」
今、敬語を抜くんじゃねぇ。拗ねた感じで言うんじゃねぇ。
「……そのままなら、抱きしめますよ?」
それは脅しじゃねぇんだよ。
「……言いましたからね。します」
「っ……」
腕を回され、抱きしめられ、涼は余計、身動きが取れなくなる。……取りたくなくなる。
「テスト、絶対良い点取れてます。順位も大幅アップですよ。だから、安心して下さい」
「お前な……」
今、安心とか、そういう次元じゃねぇんだわ。
それを言えれば、真意を伝えられれば、どれだけ、気が楽か。
「……まだ、不安ですか?」
「ちげぇよ……」
「じゃあ、何? どうして顔、見せてくれないの?」
顔を寄せられたのが、声の位置から、分かった。
「それ以上近づくんじゃねぇ。……キスすんぞ」
光海が固まった、のを理解して、少し、安堵する。あとは、このまま、体を離してもらえば──
「……キス、したいですか?」
あーーーーーもうお前、それ、その言い方、お前、
「したくないと、思うか?」
目元から手を離して、予想より近い顔に、内心ギクリとしながら、目を細めて、声を低くして。
「光海」
可愛く睨んでくる、赤い顔に、
「本当に、するぞ」
「別に、どうぞ」
「……じゃあ、する」
涼は光海に抱きつくように腕を回し、頭を固定して、その唇に、かぶりついた。
◇
あの、えと、また、舌……こ、こっち方面のキスだと思ってなかった……。
うあ、あの、その、ま、待って……なんか、この前より、あの、長いし、舌、その、えと。
うぁ、あぇ、もう、無理。頭、爆発する……!
「……どーだこのヤロウ。分かったか」
口が、離れて。なんか、しかめる、のとは違うような顔をされながら、言われるけど。
「ふぇ……?」
分かったって、なんですか……? あの、頭が、回ってないので、判断力、落ちてます……。
「あーくそ」
ぎゅって、抱きしめられて。
「可愛い可愛い可愛い可愛い。おっまえホント可愛いんだからお前、光海。分かってんのか? なんだその反応。『ふぇ』ってなんだ『ふぇ』って。お前は俺を滅したいのか」
いや、滅すて。
「そんな力、ないです……」
「あるんだよ。分かれ」
「えぇ……?」
「えぇ、じゃねぇ。分かれ」
「……その、」
「分かれ」
「わ、分かり、ました……?」
もう、どういうこと? 全く分からん。
けど、言ったら、涼は長く、なんかすっごく長く、息を吐いて、
「……おっまえさぁ……ホント、マジ……あーー好き。好き過ぎる。マジで離したくない」
「あの、帰るまでなら、このままでも……」
「そうだけどそうじゃねぇ」
「ど、どう……?」
「分からなくていい」
「えぇ……?」
そしてそのまま、時間になって。
涼は、「時間が憎い……けど、その時間が救い……」って言いながら、私から腕を離した。
◇
光海が帰って、なんとか無事に──まあまあ無事に帰せたと、涼は自分の精神力を半分くらい讃えた。けれどもう半分は、光海が帰ってしまったことへの寂しさと、あの温もりと心地良さをまた味わいたいという思いがあって、涼は部屋に戻りながら、脳内からそれを追い出そうと、何度か頭を叩く。
痛いだけで、消えてくれない。
「……あーくそ」
ベッドに突っ伏し、情けない声を出す。
「(好きです愛してますお前が居ないと生きていけない宝物すぎるどうしろってんだよもう今すぐ結婚したい籍を入れたい明確な繋がりが欲しい俺の馬鹿この馬鹿野郎嫌われたくない大好きです)」
突っ伏したままぐもぐもと、本人には言えないことをベッドへ聞かせる。
言いながら、このベッド、自分が死んだら想いが怨念になって光海に取り憑きそうだ、などと、現実逃避気味に考える。
粗方言い終え、少しスッキリしたところで、スマホが何かを受け取っていると気付く。
涼はそれを開いて、
「……」
開いたことを、軽く後悔した。
『あの、思わずですね、寝顔、貴重だなって、撮ってしまいまして……やっぱりちゃんと報告したほうがいいかなって』
光海のメッセージが可愛くて憎い。そして、自分だというのに、画像と動画だというのに、それが羨ましくて悔しい。
メッセージと共に送られてきたのは、光海が上から撮ったのだろう、光海の膝枕で寝ている涼の、画像が数枚と動画が一つ。
『涼ー? ……起きない……りょーうー? ……涼の髪、ふわふわ……いいなぁ……』
何が「いいなぁ」だコラ。呼びかけ方が可愛いんだよくっそが。
涼は『報告どうも』と送ってから、また、ベッドに突っ伏した。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
婚約破棄? 私の本当の親は国王陛下なのですが?
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢として育ってきたウィンベル・マリストル、17歳。
サンセット・メジラマ侯爵と婚約をしていたが、別の令嬢と婚約するという身勝手な理由で婚約破棄されてしまった。
だが、ウィンベルは実は国王陛下であるゼノン・ダグラスの実の娘だったのだ。
それを知らないサンセットは大変なことをしてしまったわけで。
また、彼の新たな婚約も順風満帆とはいかないようだった……。
【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語
ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ……
リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。
⭐︎2023.4.24完結⭐︎
※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。
→2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
同期の御曹司様は浮気がお嫌い
秋葉なな
恋愛
付き合っている恋人が他の女と結婚して、相手がまさかの妊娠!?
不倫扱いされて会社に居場所がなくなり、ボロボロになった私を助けてくれたのは同期入社の御曹司様。
「君が辛そうなのは見ていられない。俺が守るから、そばで笑ってほしい」
強引に同居が始まって甘やかされています。
人生ボロボロOL × 財閥御曹司
甘い生活に突然元カレ不倫男が現れて心が乱される生活に逆戻り。
「俺と浮気して。二番目の男でもいいから君が欲しい」
表紙イラスト
ノーコピーライトガール様 @nocopyrightgirl
私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが
雪丸
恋愛
エミリアの婚約者、クロードはいつも彼女に冷たい。
それでもクロードを慕って尽くしていたエミリアだが、クロードが男爵令嬢のミアと親しくなり始めたことで、気持ちが離れていく。
エミリアはクロードとの婚約を解消して、新しい人生を歩みたいと考える。しかし、クロードに別れを告げた途端、彼は今までと打って変わってエミリアに構うようになり……
◆エール、ブクマ等ありがとうございます!
◆小説家になろうにも投稿しております
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
先生×生徒、恋愛なんてありえない!
楠こずえ
恋愛
高山 流星、イケメンだけどちょっとヘタレ教師。 西森夏菜、恋愛経験ゼロの優等生。「勉強だけの青春なんて、さみしすぎる!」ということで、先生と生徒の秘密の擬似恋愛レッスンが始まるのですが・・・? この恋の気持ちは本物か偽物か、ドキドキ・ラブコメディー
生臭坊主の異世界転生 死霊術師はスローライフを送れない
しめさば
ファンタジー
急遽異世界へと転生することになった九条颯馬(30)
小さな村に厄介になるも、生活の為に冒険者に。
ギルドに騙され、与えられたのは最低ランクのカッパープレート。
それに挫けることなく日々の雑務をこなしながらも、不慣れな異世界生活を送っていた。
そんな九条を優しく癒してくれるのは、ギルドの担当職員であるミア(10)と、森で助けた狐のカガリ(モフモフ)。
とは言えそんな日常も長くは続かず、ある日を境に九条は人生の転機を迎えることとなる。
ダンジョンで手に入れた魔法書。村を襲う盗賊団に、新たなる出会い。そして見直された九条の評価。
冒険者ギルドの最高ランクであるプラチナを手にし、目標であるスローライフに一歩前進したかのようにも見えたのだが、現実はそう甘くない。
今度はそれを利用しようと擦り寄って来る者達の手により、日常は非日常へと変化していく……。
「俺は田舎でモフモフに囲まれ、ミアと一緒にのんびり暮らしていたいんだ!!」
降りかかる火の粉は魔獣達と死霊術でズバッと解決!
面倒臭がりの生臭坊主は死霊術師として成り上がり、残念ながらスローライフは送れない。
これは、いずれ魔王と呼ばれる男と、勇者の少女の物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる