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97 更生中の有識者
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「で、何? このメンバー」
カラオケ店にて、涼に呼び出された五十嵐は、ポテトを咥えながら言う。
「有識者のお前と、当事者の俺と、関係者の高峰だよ」
「だからそれが分かんないんだって。具体的に言ってくんない? そのさ、タカミネくん? だって、こちとらほぼ初対面よ? それに俺、禁煙中でイライラしてんだわ」
「ちゃんと禁煙してんだお前」
「悪い? あの二人、俺にとってトラウマに近いよ? 酒には強いからさ、禁酒は問題ないけど。禁煙対策もしてっけどさ。吸えねぇって状況が精神を消耗させんだわ」
そんな二人のやり取りを見ていた高峰が、ポツリと。
「成川さんが居ないと、こういうやり取りが出来るんだね」
「あーあーあーあー聞こえない聞こえない」
五十嵐は耳を塞いで、
「やめてタカミネくん俺にその名前聞かせないで。後生だから。マジのガチで」
「……恋愛一年生」
「やめろ橋本。つーか早く本題に入れ」
呆れ顔の涼はスマホを操作し、あるスクショを五十嵐に送る。
「今送ったそれが、本題だよ。見てみろ」
咥えていたポテトを少しずつ食べながら、それを見た五十嵐は、
「うっわ何この未読の量。100超えてんじゃん。つーかririka*って誰よ? なに? 橋本、お前あいつがいんのにこの人キープでもしてる?」
「んな訳ねぇだろ。思考が腐ってんな」
嫌そうに言う涼に、
「どうも。こちとらそういう世界で生きてきたもんで」
五十嵐が軽く返す。
「で、じゃあ何? 名前からして女っぽいけど。メンヘラに目ぇつけられたん?」
「お前にもそういうふうに見えるか」
涼は、ため息を吐いてから、
「そいつはさ、中学の同級生なんだよ。そんでなんか俺に気があるんだよ。正月の終わりあたりの同窓会でそれを知ったんだけど、俺にはあいつが居るし、そもそもそいつをそういう目で見てねぇし。送られてくるもんを、前は少し見てたけど。どんどんエスカレートしていってな。見るの嫌になって通知切って放置してたらその数になって、この前電話かかってきた。切れるまで放置してたけど」
「正月の終わりって、今月じゃん。しかもこの日付けで100って、マジモンのメンヘラじゃん。ブロれよ」
また一本、ポテトを咥えた五十嵐が言う。
「こーゆーの、長引かせるだけメンヘラ度が増すぜ? 今のうちにスパッと切らないと、最悪刺されんぞお前」
「刺されたことあんのかお前」
「あるよ? 何回か。傷はキレーに塞がれたけど」
「五十嵐さん、その人ね、橋本の家、知ってるんだ。だからブロックしたら、家に突撃して来ないかって、橋本は心配してるんだよ」
苦笑しながらの高峰の言葉に、五十嵐は「ほーん」と言って。
「この未読、中身、見たか?」
「見たら既読付くだろ。見てねぇよ」
「既読にならない見方、知らねぇの?」
「知らん。なんだ? 見たほうが良いのか?」
「中身によってさ、家に突撃してくるか、ストーカーになるか、お前のせいにしてこの世を去ろうとするか、大体分かる」
「この世を去る?」
驚くように言った涼と、
「あー……ありそう」
と言った高峰に、
「タカミネくんのほうが把握出来てんじゃん。まあさ、ともかく。やり方教えっから、中身、見てみ?」
五十嵐に言われ、その、未読のままで内容を確認する方法を教えられた涼は、それで莉々花からのラインを見て。
「……」
とても嫌そうな顔をした。
「なに? あなたのせいでこの世から希望が消えましたコース?」
「なんかのメニューみたいに軽く言うな。どれだかもう分かんねぇよこれ」
「見せてみ? スクショで良いから。あと、タカミネくんにも把握してもらえ」
涼は、それら全てをスクショし、五十嵐に送り、高峰には直接見せた。
『ねえ、会えない?』
『忙しいの?』
『スルーやめてくんない?』
そこに、泣いているウサギのスタンプ。
『ねえって』
『見てないよね?』
『周りに言うよ?』
『都合の良い扱いされたって』
『ねえってば💢』
『そ』
『ん』
『な』
『に』
『そ』
『の』
『ひ』
『と』
『が』
『す』
『き』
『な』
『の』
『?』
『泣くよ?』
『泣くから』
そこから、泣いているウサギのスタンプが50ほど。
『目玉潰れた?』
『酷くない?』
『ねえ、ホントに好きなのに』
『❤🔪❤🔪❤🔪❤🔪❤🔪❤🔪』
『狂いそう』
『風邪引いた』
寝込んでいるスタンプ。
『起き上がれない』
『顔見せて』
『家知ってるよね?』
住所と、地図のスクショが送られ。
『ひ ど い』
『声くらい聞かせてよ』
通話切れが3回。
『ねえ💢❤💢❤💢❤💢❤💢❤💢』
『ウサギは寂しいと死ぬんだよ?』
そしてまた、泣いているウサギのスタンプが、30ほど、で、終わっている。
「メンヘラぁ」
ポテトを食べ終えた五十嵐が、また一本咥えながら言う。
「僕にもそう思える」
高峰もそれに同意する。
「じゃあ、どういうタイプのメンヘラなんだよ」
「混合型だな、これ。もしくは成長途中」
「対処法は?」
「警察に相談すれば? 身の危険を感じてんなら。スクショもあることだし。……あ、一応聞くけどさ、お前、その方面の世話になったことある?」
五十嵐のそれに、
「奇跡的に無い」
涼はそう答えた。
「じゃあ相談しろよ。今は更生してんだからさ。あいつの存在までバレたら、そっちにも被害いくぞコレ」
「あー、じゃあもう、そうするわ。参考になったわ有識者」
「どういたしまして被害者。んでさ、話、これで終わり?」
聞いてくる五十嵐に、
「俺のは終わり。あと、お前について一つ、確認したいことがある」
「なんだよ怖えな」
「先生と連絡取ったか?」
その言葉に、五十嵐は実に嫌そうな顔になり、
「取ってねぇよ。だからなんだよ」
「取ればいいのにって話だよ。蟠りだかなんだか知らねぇけど。今ならあの言葉は本気だって思える。味方になってくれると思うけどな、俺は。お前は更生中みたいだし。余計に」
「小さな親切大きなお世話だよ。つーかここで話すんじゃねぇよ。タカミネくんが放置されんだろ」
「ああ、いや、大丈夫。なんとなく話は読めたから」
なんでもないように言った高峰の言葉を聞いて、五十嵐は反射のように高峰を睨み、そのまま涼へ顔を向ける。
「……話したん?」
「話してねぇよ」
「じゃあなんなんだよ」
声が低くなった五十嵐に、
「あ、ごめん。誤解させたよね。僕さ、橋本と同じ中学で、同級生だったんだよ。高校も同じ。だから、橋本のお母さんのことも聞いてて、五十嵐って苗字にも覚えがあってさ。それと今のやり取りで、なんとなく、そうかなぁって」
「……俺の身バレが激しいな……」
五十嵐は天井へ顔を向けて、呟くように言うと、
「おっしもう歌わせろ。ストレスを発散させろ」
バネのような動きでマイクを手に取り曲を選択し、そのまま歌い出す。
その曲を聴いた涼と高峰は、唖然とした。
『……なんなん? その反応』
歌い終わった五十嵐が、マイクを持ったまま聞いてくる。
「……いや、なんでそれ歌った?」
「ストレス発散って言ったじゃん。叫べる歌が歌いたかったんだよ。もう2曲くらい歌わせろ」
曲を選択しようとした五十嵐に、
「待て。いや、一緒に歌え、高峰と」
涼が止めながら言えば、
「は?」「えっ」
五十嵐は不審そうな顔をして、高峰は半笑いのように肩を跳ねさせた。
「……知ってる曲だった? タカミネくん?」
「あ、ああ、まあ、うん」
「高峰が文化祭で歌ったヤツだった」
それを聞いた五十嵐の手が止まり、目を丸くする。
「……見た目によらず、ハードなの歌うな、タカミネくん」
「高峰のほうが上手い」
「ほー?」「ちょ、橋本」
五十嵐はニヤリと笑い、慌てている高峰に、まだあるマイクを差し出し、
「勝負しようぜ」
そう言った。
◇
「まーじで上手いじゃん。俺、結構得意なほうなのに。普通に悔しいな」
ハードロックを交互に歌い、6対3という結果のところでそう言った五十嵐に、
「いや、でも、点数は僅差だし……」
高峰が、恐縮したように言う。
「んでさ、俺もちょっと気付いたっぽいこと、あるんだけど」
五十嵐は、また選曲しながら、
「タカミネくん、顔出ししてない配信してる?」
マイクで高峰を指し、涼と高峰、双方を見た。
高峰は固まって、涼は、そんな高峰と五十嵐を無言で見比べる。
「あー、別に? 言いふらしたりとかしねぇよ。そういう礼儀は弁えてるから、俺。てか、結構観てるぜ?」
「だってよ。高峰」
「えー……と。ありがとうございます?」
首を傾け、困ったような笑顔を見せて、高峰が言うと。
「やーやーこっちこそ。俺、クズだけどさ、一応更生中だから、それなりに仲良くしようぜ、名無しのタカミネくん」
五十嵐は高峰に笑顔を向けた。
「俺のは拒否すんのに、高峰とはダチになろうとすんだな」
呆れたように言う涼に、
「お前とダチになったらあいつを思い出すだろうが。タカミネくんはもう一個壁隔てるからいーんだよ」
「……高峰が良いなら良いけど。あと、高峰、光海と同じ、特待生だぞ」
「うぉえぁやめろやめろやめろ。共通点をわざわざ聞かせんな!」
再び耳を塞いだ五十嵐と、それを見て軽く笑う涼とを見て。
「もう二人、友達じゃない?」
高峰はそう言った。
カラオケ店にて、涼に呼び出された五十嵐は、ポテトを咥えながら言う。
「有識者のお前と、当事者の俺と、関係者の高峰だよ」
「だからそれが分かんないんだって。具体的に言ってくんない? そのさ、タカミネくん? だって、こちとらほぼ初対面よ? それに俺、禁煙中でイライラしてんだわ」
「ちゃんと禁煙してんだお前」
「悪い? あの二人、俺にとってトラウマに近いよ? 酒には強いからさ、禁酒は問題ないけど。禁煙対策もしてっけどさ。吸えねぇって状況が精神を消耗させんだわ」
そんな二人のやり取りを見ていた高峰が、ポツリと。
「成川さんが居ないと、こういうやり取りが出来るんだね」
「あーあーあーあー聞こえない聞こえない」
五十嵐は耳を塞いで、
「やめてタカミネくん俺にその名前聞かせないで。後生だから。マジのガチで」
「……恋愛一年生」
「やめろ橋本。つーか早く本題に入れ」
呆れ顔の涼はスマホを操作し、あるスクショを五十嵐に送る。
「今送ったそれが、本題だよ。見てみろ」
咥えていたポテトを少しずつ食べながら、それを見た五十嵐は、
「うっわ何この未読の量。100超えてんじゃん。つーかririka*って誰よ? なに? 橋本、お前あいつがいんのにこの人キープでもしてる?」
「んな訳ねぇだろ。思考が腐ってんな」
嫌そうに言う涼に、
「どうも。こちとらそういう世界で生きてきたもんで」
五十嵐が軽く返す。
「で、じゃあ何? 名前からして女っぽいけど。メンヘラに目ぇつけられたん?」
「お前にもそういうふうに見えるか」
涼は、ため息を吐いてから、
「そいつはさ、中学の同級生なんだよ。そんでなんか俺に気があるんだよ。正月の終わりあたりの同窓会でそれを知ったんだけど、俺にはあいつが居るし、そもそもそいつをそういう目で見てねぇし。送られてくるもんを、前は少し見てたけど。どんどんエスカレートしていってな。見るの嫌になって通知切って放置してたらその数になって、この前電話かかってきた。切れるまで放置してたけど」
「正月の終わりって、今月じゃん。しかもこの日付けで100って、マジモンのメンヘラじゃん。ブロれよ」
また一本、ポテトを咥えた五十嵐が言う。
「こーゆーの、長引かせるだけメンヘラ度が増すぜ? 今のうちにスパッと切らないと、最悪刺されんぞお前」
「刺されたことあんのかお前」
「あるよ? 何回か。傷はキレーに塞がれたけど」
「五十嵐さん、その人ね、橋本の家、知ってるんだ。だからブロックしたら、家に突撃して来ないかって、橋本は心配してるんだよ」
苦笑しながらの高峰の言葉に、五十嵐は「ほーん」と言って。
「この未読、中身、見たか?」
「見たら既読付くだろ。見てねぇよ」
「既読にならない見方、知らねぇの?」
「知らん。なんだ? 見たほうが良いのか?」
「中身によってさ、家に突撃してくるか、ストーカーになるか、お前のせいにしてこの世を去ろうとするか、大体分かる」
「この世を去る?」
驚くように言った涼と、
「あー……ありそう」
と言った高峰に、
「タカミネくんのほうが把握出来てんじゃん。まあさ、ともかく。やり方教えっから、中身、見てみ?」
五十嵐に言われ、その、未読のままで内容を確認する方法を教えられた涼は、それで莉々花からのラインを見て。
「……」
とても嫌そうな顔をした。
「なに? あなたのせいでこの世から希望が消えましたコース?」
「なんかのメニューみたいに軽く言うな。どれだかもう分かんねぇよこれ」
「見せてみ? スクショで良いから。あと、タカミネくんにも把握してもらえ」
涼は、それら全てをスクショし、五十嵐に送り、高峰には直接見せた。
『ねえ、会えない?』
『忙しいの?』
『スルーやめてくんない?』
そこに、泣いているウサギのスタンプ。
『ねえって』
『見てないよね?』
『周りに言うよ?』
『都合の良い扱いされたって』
『ねえってば💢』
『そ』
『ん』
『な』
『に』
『そ』
『の』
『ひ』
『と』
『が』
『す』
『き』
『な』
『の』
『?』
『泣くよ?』
『泣くから』
そこから、泣いているウサギのスタンプが50ほど。
『目玉潰れた?』
『酷くない?』
『ねえ、ホントに好きなのに』
『❤🔪❤🔪❤🔪❤🔪❤🔪❤🔪』
『狂いそう』
『風邪引いた』
寝込んでいるスタンプ。
『起き上がれない』
『顔見せて』
『家知ってるよね?』
住所と、地図のスクショが送られ。
『ひ ど い』
『声くらい聞かせてよ』
通話切れが3回。
『ねえ💢❤💢❤💢❤💢❤💢❤💢』
『ウサギは寂しいと死ぬんだよ?』
そしてまた、泣いているウサギのスタンプが、30ほど、で、終わっている。
「メンヘラぁ」
ポテトを食べ終えた五十嵐が、また一本咥えながら言う。
「僕にもそう思える」
高峰もそれに同意する。
「じゃあ、どういうタイプのメンヘラなんだよ」
「混合型だな、これ。もしくは成長途中」
「対処法は?」
「警察に相談すれば? 身の危険を感じてんなら。スクショもあることだし。……あ、一応聞くけどさ、お前、その方面の世話になったことある?」
五十嵐のそれに、
「奇跡的に無い」
涼はそう答えた。
「じゃあ相談しろよ。今は更生してんだからさ。あいつの存在までバレたら、そっちにも被害いくぞコレ」
「あー、じゃあもう、そうするわ。参考になったわ有識者」
「どういたしまして被害者。んでさ、話、これで終わり?」
聞いてくる五十嵐に、
「俺のは終わり。あと、お前について一つ、確認したいことがある」
「なんだよ怖えな」
「先生と連絡取ったか?」
その言葉に、五十嵐は実に嫌そうな顔になり、
「取ってねぇよ。だからなんだよ」
「取ればいいのにって話だよ。蟠りだかなんだか知らねぇけど。今ならあの言葉は本気だって思える。味方になってくれると思うけどな、俺は。お前は更生中みたいだし。余計に」
「小さな親切大きなお世話だよ。つーかここで話すんじゃねぇよ。タカミネくんが放置されんだろ」
「ああ、いや、大丈夫。なんとなく話は読めたから」
なんでもないように言った高峰の言葉を聞いて、五十嵐は反射のように高峰を睨み、そのまま涼へ顔を向ける。
「……話したん?」
「話してねぇよ」
「じゃあなんなんだよ」
声が低くなった五十嵐に、
「あ、ごめん。誤解させたよね。僕さ、橋本と同じ中学で、同級生だったんだよ。高校も同じ。だから、橋本のお母さんのことも聞いてて、五十嵐って苗字にも覚えがあってさ。それと今のやり取りで、なんとなく、そうかなぁって」
「……俺の身バレが激しいな……」
五十嵐は天井へ顔を向けて、呟くように言うと、
「おっしもう歌わせろ。ストレスを発散させろ」
バネのような動きでマイクを手に取り曲を選択し、そのまま歌い出す。
その曲を聴いた涼と高峰は、唖然とした。
『……なんなん? その反応』
歌い終わった五十嵐が、マイクを持ったまま聞いてくる。
「……いや、なんでそれ歌った?」
「ストレス発散って言ったじゃん。叫べる歌が歌いたかったんだよ。もう2曲くらい歌わせろ」
曲を選択しようとした五十嵐に、
「待て。いや、一緒に歌え、高峰と」
涼が止めながら言えば、
「は?」「えっ」
五十嵐は不審そうな顔をして、高峰は半笑いのように肩を跳ねさせた。
「……知ってる曲だった? タカミネくん?」
「あ、ああ、まあ、うん」
「高峰が文化祭で歌ったヤツだった」
それを聞いた五十嵐の手が止まり、目を丸くする。
「……見た目によらず、ハードなの歌うな、タカミネくん」
「高峰のほうが上手い」
「ほー?」「ちょ、橋本」
五十嵐はニヤリと笑い、慌てている高峰に、まだあるマイクを差し出し、
「勝負しようぜ」
そう言った。
◇
「まーじで上手いじゃん。俺、結構得意なほうなのに。普通に悔しいな」
ハードロックを交互に歌い、6対3という結果のところでそう言った五十嵐に、
「いや、でも、点数は僅差だし……」
高峰が、恐縮したように言う。
「んでさ、俺もちょっと気付いたっぽいこと、あるんだけど」
五十嵐は、また選曲しながら、
「タカミネくん、顔出ししてない配信してる?」
マイクで高峰を指し、涼と高峰、双方を見た。
高峰は固まって、涼は、そんな高峰と五十嵐を無言で見比べる。
「あー、別に? 言いふらしたりとかしねぇよ。そういう礼儀は弁えてるから、俺。てか、結構観てるぜ?」
「だってよ。高峰」
「えー……と。ありがとうございます?」
首を傾け、困ったような笑顔を見せて、高峰が言うと。
「やーやーこっちこそ。俺、クズだけどさ、一応更生中だから、それなりに仲良くしようぜ、名無しのタカミネくん」
五十嵐は高峰に笑顔を向けた。
「俺のは拒否すんのに、高峰とはダチになろうとすんだな」
呆れたように言う涼に、
「お前とダチになったらあいつを思い出すだろうが。タカミネくんはもう一個壁隔てるからいーんだよ」
「……高峰が良いなら良いけど。あと、高峰、光海と同じ、特待生だぞ」
「うぉえぁやめろやめろやめろ。共通点をわざわざ聞かせんな!」
再び耳を塞いだ五十嵐と、それを見て軽く笑う涼とを見て。
「もう二人、友達じゃない?」
高峰はそう言った。
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