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第五章

闇夜の足音

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月明かりが道を照らし、森の木々の影が地面に長く伸びていた。
星空はまるで私たちを見守るかのように輝いており、夜風が木の葉をそっと揺らしていた。
祖父の足取りは確かで、リックさんも警戒を怠らなかった。
私は彼らに守られながら、次の目的地を目指して進んだ。

しばらく歩いていると、突然、森の中から複数の足音が聞こえてきた。
静かな夜の森に足音が響くたびに心臓が跳ねた。

祖父が手を上げて私たちを止めた。

「大勢の人の気配がする。気をつけろ、サラ。」

彼の声は低く、緊張が感じられた。

祖父は耳を澄ませ、緊張した表情で周囲を見回した。
リックさんも剣を手に取り、警戒の姿勢を取った。
その姿勢からは、これまでの数々の戦いで培った経験と覚悟がにじみ出ていた。

「帝国の魔法師団が近くにいる。この状況では大きな魔法は使えない。使えばすぐに位置を特定される。どうするか……。」

祖父は眉をひそめ、何か策を考えているようだった。
彼らは高度な魔力感知能力を持ち、わずかな魔法の痕跡でも追跡してくる。
そのため、私たちは極力目立たないように行動しなければならなかった。

その時、茂みから数人の盗賊が現れ、私たちを取り囲んだ。
彼らの目には野心と欲望が光っていた。
森の中は一瞬の静寂に包まれ、風が木々を揺らす音が耳に響いた。
足元の枯れ葉がかすかに擦れる音が、一層緊張感を高めた。

「よぉ、お前たち、こんな夜中にどこへ行くんだ?あんたら、いい身分だな。」

リーダー格の盗賊が不敵な笑みを浮かべながら問いかけた。
その男は顔に大きな傷があり、冷たい目で私たちを見下ろしていた。
彼の周りには、同じく荒々しい見た目の仲間たちが控えていた。

「いいものを持っていそうだな。全部置いていけ!」

別の盗賊が威圧的に言い放った。

「女もいるじゃないか。高く売れそうだな。」

別の盗賊が下品な笑みを浮かべた。
祖父はすぐに手を上げ、魔法を使うかどうか迷っているようだった。

「リック、サラ、下がれ!」

リックさんは瞬時に反応し、剣を抜いて盗賊たちに立ち向かった。
彼の動きは鋭く、敵の攻撃を巧みにかわしながら反撃を繰り出した。
その姿は、まるで舞を踊るかのような優雅さと力強さを兼ね備えていた。
祖父も杖を手に構え、盗賊たちの動きを見極めていた。
彼の目は鋭く、相手の隙を逃さずに見つけ出した。
その動きからは、長年の経験と知恵が感じられた。
祖父の手が震え、眉間には深いしわが寄っていた。

恐怖で体が動かなくなりそうだったが、リックさんの背中を見て勇気を振り絞った。
彼の背中は頼もしく、不動の盾のように感じられた。

しかし、盗賊の数は多く、リックさんも一人で対応するのが難しかった。
祖父はその場で策を考えつつ、魔法を使うことを躊躇していた。
彼の顔には焦りと葛藤が浮かんでいた。

「おじいちゃん、どうすればいい?」

声を震わせながら尋ねた。


「待て、サラ。何とかして状況を打開する方法を……。」

祖父の声には、私を守ろうとする強い決意があった。
その決意は私の心にも伝わり、恐怖の中にも希望が芽生えた。
同時に自分の無力さを痛感し、悔しさが胸を締め付けた。

その時、盗賊の一人が祖父に突進した。
恐怖が心臓を締め付ける中、反射的に祖父の前に飛び出した。
その瞬間、体中にアドレナリンが駆け巡り、恐怖が勇気に変わった。

「やめて!」

盗賊に飛びかかり、彼の進路を阻んだ。
しかし、その瞬間、別の盗賊が後ろから私を捕まえ、強く引き寄せた。

「おい、この女、なかなかやるな!」

「おとなしくしてろ!」

私は足を滑らせ、倒れ込んだ。
祖父は大丈夫だろうか?
頭を打ち、意識が朦朧とする中、盗賊に捕まってしまった。

「サラ!」

リックさんの叫びが遠くから聞こえたが、抵抗する力もなく、そのまま引きずられていった。

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