36 / 105
四章【何処かで】
4-3 忘れは‥‥
しおりを挟む
「すっ‥‥」
リオは口をぽかんと開け、
「すごい‥‥」
と、言った。
「これが、シェイアードさんの家‥‥?でっ、でかい‥‥」
リオは呆気にとられている。
ーー家と言うより、屋敷だ。
庭もあって、池もあって、リオの視線は忙しい。
「ああ。無駄にでかいが、住んでるのは俺と使用人だけだ」
「え?」
リオは困ったような顔をした。それに気付き、シェイアードは、
「家族は死んだ」
ーーと。聞きもしないのに、彼は顔色ひとつ変えずに言う。
リオは、気まずそうにして、それから、
「そっ、そうなんだ。私も、家族はいないんだ」
「死んだのか?」
「ううん、わからない。私は小さい頃の記憶がないんだ。今も小さいけどね」
と、リオは苦笑した。
「記憶喪失か」
「たぶん。そんな私を、シュイアさんって方が拾ってくれて‥‥それからずっと、その人と旅してきて‥‥」
リオは忘れもしないあの、運命の日を思い出す。
ーー‥‥今でも鮮明に覚えている。
あれはどこかの森の中だった。
(‥‥声が‥‥聞こえる‥‥)
森の中で倒れていた少女はうっすらと目を開け、その目に映したのは‥‥青に映える、黒。
それは、青い空の下、黒い髪、黒い鎧に身を包んだ青年の姿であった。
「無事か‥‥名は、わかるか?」
青年はそう問い掛けてきたが、少女は首を横に振る。
名前?
自分は誰?
この人は誰?
ここはどこ?
倒れたままの少女は視線を落とす。
「思い‥‥出せない?記憶が‥‥ないか?」
察したのか、青年が言った。
「私はシュイアだ。カシルという男を追って旅をしている。危険な旅かもしれないが‥‥」
青年、シュイアはリオに手を差し出し、
「来るか?」
ーーなぜ、シュイアがあんなにも簡単にそう言ったのか‥‥今でもよく、わからない。
ただ、無知だった少女はこくりと頷いた。
「行こうか、リオ」
「‥‥リオ?」
青年が名を呼んだので、聞き返す。
「‥‥お前の名前だ」
‘リオ’
それは誰なのか。
シュイアがくれた名前なのか。
それとも違う誰かの名前なのか。
もしくは、本当に自分の名前なのか‥‥
それはわからなかったが、少女ーー‘リオ’はあっさりその名を受け入れた。
◆◆◆◆◆
「それからずっとシュイアさんと旅をして。えっと、私が今、十六歳だから‥‥シュイアさんと出会ったのはもう十年前かぁ‥‥」
リオは寂しそうに青空を見上げる。この空の下、今、彼は何をしているのだろうと。
「そのシュイアという人のことが好きなんだな」
「うんっ!だいす‥‥って、違うよ!?変な意味の好きじゃないよ!かっ、家族って言うか、うん!」
慌てるリオに苦笑しつつ、
「幼い頃の記憶がない‥‥というのはどんな風なんだ?楽か?」
不意に、シェイアードにそう聞かれて、
「‥‥楽?うーん‥‥たまに、思い出せたらとは思うよ。自分に家族がいるのなら、知りたいし‥‥楽では、ないかなぁ」
「‥‥そうか。そろそろ入るぞ」
シェイアードは何かを振り切るかのように首を振り、屋敷へと入る。
「うわぁあーーーー!!!!?すごい!!」
リオの驚きの声に、シェイアードはため息を吐いた。
屋敷の中に入った瞬間から、中も広く、高価そうな装飾品が多々飾られていて‥‥
床に敷いてある絨毯もふかふかしている。
「一人で住むにはつまらんがな」
シェイアードはぽつりと言った。
「シェイアード様、お帰りなさいませ」
すると、女性の声がして‥‥振り向くと、メイド服を着た女性がいた。
先程、シェイアードが言っていた使用人だろうなと、リオは察する。
「そちらは?」
女性はリオを見た。
その女性はとても美しく、歳は二十歳過ぎであろう。
肩まで伸びる茶髪と、黒い目が綺麗だった。
思わず、リオは慌てて身形を整える。
「俺と同じ大会参加者だ。異国から来たそうで、大会まではここに泊めてやることになった」
シェイアードが説明すると、
「まあっ!?あのシェイアード様が‥‥!!」
女性は何か驚き、それからやんわりと微笑むと、リオにつかつかと歩み寄って来たので、リオは首を傾げた。
「シェイアード様は見た目は怖そうですが、本当はとてもお優しい方なんですよー。不器用な方なので、シェイアード様のこと、頼みますね」
女性はこっそりと、シェイアードに聞こえぬよう、リオの耳元で言う。
「え?どういう意味ですか?」
女性の言葉の意味がわからなくて、リオが聞き返すと、
「だってあなた、シェイアード様の恋人様でしょう?あの堅物なシェイアード様が女性を連れてくるなんて‥‥!使用人として嬉しいことですよ!」
今度はシェイアードにも聞こえるように、はっきりと言った。
「こっ‥‥恋人!?」
リオとシェイアードの声が重なる。
「ハナ、違うぞ。そんな理由でこの俺が女を連れ込むわけがないだろう。低俗に見るな」
シェイアードは怒ったような声音を出し、女性をハナと呼んだ。
「あらぁ‥‥言いながら、お二人ともお顔が赤いですよ?」
まだハナはからかってくるので、
「ちっ、違いますよ、シェイアードさんはただ、困ってる私を‥‥あれ?」
弁解しようとしたリオの目に、ふと、何かが映る。棚の上に置かれた写真だった。
写真には、幼いシェイアードともう一人、赤毛の少年が写っていて‥‥
まじまじと写真を見るリオを横目に、シェイアードは何も言わず、一室へと入って行く。
すると、ハナが、
「気になりますか?その方はシェイアード様の弟君です。ある事件でシェイアード様のご両親が亡くなり‥‥そして弟君も恐らくは‥‥もう、いないんですよ」
「事件?」
「私の口からは到底、言えません。ただ、シェイアード様の右目も‥‥その時の事件でああなってしまったのです」
「そう、なんだ。家族を‥‥」
リオは目を閉じ、
(私にも、本当にいるのだろうか?家族なんてもの‥‥ああ、そうだ)
リオは首にかけたペンダント、青い石に触れ、
(シュイアさんや‥‥レイラが‥‥)
リオは思い出しながら、寂しくなって、首を横に振る。
「さて、恐らくシェイアード様は自室でお休みになられたようですね」
ハナが言うので、
「ええっ!わっ、私‥‥どうすれば?」
「そうですね。空き部屋はたくさんありますから、休んでいただいても構いませんし‥‥書庫にはたくさん本がありますよ」
「ーー!」
リオは思い出した。
(ロナスが‥‥ラズ達が言っていた。悪魔についての本。そういえば、ロナス‥‥彼は、生きて‥‥るのかな)
あの時、ロナスの姿がなくなっていたこと。
リオはそれをずっと疑問に思っている。
「じゃあ‥‥まだ時間も早いし、書庫で本を読もうかなぁ‥‥」
「ええ、では案内しますね」
◆◆◆◆◆
案内された書庫もとても広かった。
天井までの空間も高く、見上げても本があるという状態。
悪魔についての本を探すつもりだが‥‥
これほどの量から探すのは困難だとリオは思う。
聞こうにも、ハナは掃除だの夕食の準備だのと忙しそうだ。
「まぁ、頑張って探してみるか」
忘れるわけがない。
フォード国での一件を。
平気そうに見えるが、リオはまだ、引きずっていた。
それはこの先、ずっと消えることのない【キズ】なのだろう。
たとえどれほどの時が経とうとも、忘れない。
燃え盛る城を。
女王と王女の死を。
リオは口をぽかんと開け、
「すごい‥‥」
と、言った。
「これが、シェイアードさんの家‥‥?でっ、でかい‥‥」
リオは呆気にとられている。
ーー家と言うより、屋敷だ。
庭もあって、池もあって、リオの視線は忙しい。
「ああ。無駄にでかいが、住んでるのは俺と使用人だけだ」
「え?」
リオは困ったような顔をした。それに気付き、シェイアードは、
「家族は死んだ」
ーーと。聞きもしないのに、彼は顔色ひとつ変えずに言う。
リオは、気まずそうにして、それから、
「そっ、そうなんだ。私も、家族はいないんだ」
「死んだのか?」
「ううん、わからない。私は小さい頃の記憶がないんだ。今も小さいけどね」
と、リオは苦笑した。
「記憶喪失か」
「たぶん。そんな私を、シュイアさんって方が拾ってくれて‥‥それからずっと、その人と旅してきて‥‥」
リオは忘れもしないあの、運命の日を思い出す。
ーー‥‥今でも鮮明に覚えている。
あれはどこかの森の中だった。
(‥‥声が‥‥聞こえる‥‥)
森の中で倒れていた少女はうっすらと目を開け、その目に映したのは‥‥青に映える、黒。
それは、青い空の下、黒い髪、黒い鎧に身を包んだ青年の姿であった。
「無事か‥‥名は、わかるか?」
青年はそう問い掛けてきたが、少女は首を横に振る。
名前?
自分は誰?
この人は誰?
ここはどこ?
倒れたままの少女は視線を落とす。
「思い‥‥出せない?記憶が‥‥ないか?」
察したのか、青年が言った。
「私はシュイアだ。カシルという男を追って旅をしている。危険な旅かもしれないが‥‥」
青年、シュイアはリオに手を差し出し、
「来るか?」
ーーなぜ、シュイアがあんなにも簡単にそう言ったのか‥‥今でもよく、わからない。
ただ、無知だった少女はこくりと頷いた。
「行こうか、リオ」
「‥‥リオ?」
青年が名を呼んだので、聞き返す。
「‥‥お前の名前だ」
‘リオ’
それは誰なのか。
シュイアがくれた名前なのか。
それとも違う誰かの名前なのか。
もしくは、本当に自分の名前なのか‥‥
それはわからなかったが、少女ーー‘リオ’はあっさりその名を受け入れた。
◆◆◆◆◆
「それからずっとシュイアさんと旅をして。えっと、私が今、十六歳だから‥‥シュイアさんと出会ったのはもう十年前かぁ‥‥」
リオは寂しそうに青空を見上げる。この空の下、今、彼は何をしているのだろうと。
「そのシュイアという人のことが好きなんだな」
「うんっ!だいす‥‥って、違うよ!?変な意味の好きじゃないよ!かっ、家族って言うか、うん!」
慌てるリオに苦笑しつつ、
「幼い頃の記憶がない‥‥というのはどんな風なんだ?楽か?」
不意に、シェイアードにそう聞かれて、
「‥‥楽?うーん‥‥たまに、思い出せたらとは思うよ。自分に家族がいるのなら、知りたいし‥‥楽では、ないかなぁ」
「‥‥そうか。そろそろ入るぞ」
シェイアードは何かを振り切るかのように首を振り、屋敷へと入る。
「うわぁあーーーー!!!!?すごい!!」
リオの驚きの声に、シェイアードはため息を吐いた。
屋敷の中に入った瞬間から、中も広く、高価そうな装飾品が多々飾られていて‥‥
床に敷いてある絨毯もふかふかしている。
「一人で住むにはつまらんがな」
シェイアードはぽつりと言った。
「シェイアード様、お帰りなさいませ」
すると、女性の声がして‥‥振り向くと、メイド服を着た女性がいた。
先程、シェイアードが言っていた使用人だろうなと、リオは察する。
「そちらは?」
女性はリオを見た。
その女性はとても美しく、歳は二十歳過ぎであろう。
肩まで伸びる茶髪と、黒い目が綺麗だった。
思わず、リオは慌てて身形を整える。
「俺と同じ大会参加者だ。異国から来たそうで、大会まではここに泊めてやることになった」
シェイアードが説明すると、
「まあっ!?あのシェイアード様が‥‥!!」
女性は何か驚き、それからやんわりと微笑むと、リオにつかつかと歩み寄って来たので、リオは首を傾げた。
「シェイアード様は見た目は怖そうですが、本当はとてもお優しい方なんですよー。不器用な方なので、シェイアード様のこと、頼みますね」
女性はこっそりと、シェイアードに聞こえぬよう、リオの耳元で言う。
「え?どういう意味ですか?」
女性の言葉の意味がわからなくて、リオが聞き返すと、
「だってあなた、シェイアード様の恋人様でしょう?あの堅物なシェイアード様が女性を連れてくるなんて‥‥!使用人として嬉しいことですよ!」
今度はシェイアードにも聞こえるように、はっきりと言った。
「こっ‥‥恋人!?」
リオとシェイアードの声が重なる。
「ハナ、違うぞ。そんな理由でこの俺が女を連れ込むわけがないだろう。低俗に見るな」
シェイアードは怒ったような声音を出し、女性をハナと呼んだ。
「あらぁ‥‥言いながら、お二人ともお顔が赤いですよ?」
まだハナはからかってくるので、
「ちっ、違いますよ、シェイアードさんはただ、困ってる私を‥‥あれ?」
弁解しようとしたリオの目に、ふと、何かが映る。棚の上に置かれた写真だった。
写真には、幼いシェイアードともう一人、赤毛の少年が写っていて‥‥
まじまじと写真を見るリオを横目に、シェイアードは何も言わず、一室へと入って行く。
すると、ハナが、
「気になりますか?その方はシェイアード様の弟君です。ある事件でシェイアード様のご両親が亡くなり‥‥そして弟君も恐らくは‥‥もう、いないんですよ」
「事件?」
「私の口からは到底、言えません。ただ、シェイアード様の右目も‥‥その時の事件でああなってしまったのです」
「そう、なんだ。家族を‥‥」
リオは目を閉じ、
(私にも、本当にいるのだろうか?家族なんてもの‥‥ああ、そうだ)
リオは首にかけたペンダント、青い石に触れ、
(シュイアさんや‥‥レイラが‥‥)
リオは思い出しながら、寂しくなって、首を横に振る。
「さて、恐らくシェイアード様は自室でお休みになられたようですね」
ハナが言うので、
「ええっ!わっ、私‥‥どうすれば?」
「そうですね。空き部屋はたくさんありますから、休んでいただいても構いませんし‥‥書庫にはたくさん本がありますよ」
「ーー!」
リオは思い出した。
(ロナスが‥‥ラズ達が言っていた。悪魔についての本。そういえば、ロナス‥‥彼は、生きて‥‥るのかな)
あの時、ロナスの姿がなくなっていたこと。
リオはそれをずっと疑問に思っている。
「じゃあ‥‥まだ時間も早いし、書庫で本を読もうかなぁ‥‥」
「ええ、では案内しますね」
◆◆◆◆◆
案内された書庫もとても広かった。
天井までの空間も高く、見上げても本があるという状態。
悪魔についての本を探すつもりだが‥‥
これほどの量から探すのは困難だとリオは思う。
聞こうにも、ハナは掃除だの夕食の準備だのと忙しそうだ。
「まぁ、頑張って探してみるか」
忘れるわけがない。
フォード国での一件を。
平気そうに見えるが、リオはまだ、引きずっていた。
それはこの先、ずっと消えることのない【キズ】なのだろう。
たとえどれほどの時が経とうとも、忘れない。
燃え盛る城を。
女王と王女の死を。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる