18 / 105
二章【トモダチ】
2-10 間違っている
しおりを挟む
フォード国には、数年前から出来た制度があった。
『貴族は貧困街に住む者と親しくしてはならない』
『余所者とはあまり関わらないようにすること』
『もしフォード国内の者が貧困街の者や余所者とトラブルになった場合、明らかに貧困街の者と余所者が悪いと見なし、処罰を与える』
これを聞いた時、なんて滅茶苦茶な制度だと、リオは驚いた。
悪いのは貧困街の人と余所者だと、最初から決めつけられているのだから。
「そんなの‥‥間違ってます‥‥」
そう声に出したのはリオではなく、銀髪の少年だった。
その言葉に、女王は目を細める。
「僕は‥‥この国が嫌いです。この国の人達には、心がない。苦しむ人達の心を、理解してくれない。僕はここで産まれ育ったけど、貴族の人は大嫌いだ」
そんなことを言われて当然、民衆はざわざわと話し始めた。
そして、一瞬リオは目を見開かせる。
少年の金の目が、その年には似合わず、ギラリと憎悪の色を宿していたことに。
「私だって‥‥大嫌いよ、こんな国‥‥」
次にそう言ったのは、フィレア。
「貴族なんて‥‥金持ちなんて‥‥心がないのよ。私は貧困街の皆から優しさというものを教わったわ。だけど、あなたの作った制度のせいで皆、苦しい思いを‥‥」
フィレアは女王を睨んだ。
「心外ですね、そんな風に見られていたとは」
ため息混じりに女王は言い、冷徹な顔をしてこう言った、
「わかりました。あなた方を即刻、死刑にしましょう。このように民達に不安を招く存在には罰が必要ですね」
リオは、滅茶苦茶すぎる女王の発言に返す言葉もなかった。
(どうして?お母様はそんな人じゃなかったのに‥‥もっと優しかったのに‥‥)
レイラはただ、不安そうに光景を見ていることしかできない。
「どうして貧しい人や余所者をそんな風に嫌うんですか!?」
ハトネが困惑の表情を交えながら聞くも、
「あなた方が知る必要はありません」
女王は一言そう言い、
「何をしているのです、早くその者達を捕まえなさい」
女王の言葉に、民衆は一斉にリオ達のもとへ向かって来た。
向かって来る民衆を見て、四人は体が動かない!
「っ‥‥逃げないと!」
リオのその言葉に、
「‥‥三人共!早く私の近くに来て!」
ハトネがリオとフィレアと少年に言う。
とっさのことで、三人共、瞬時に体が動かない。
「いいから!早く!!」
ハトネのその急かすような言葉に、三人はようやく彼女の側に集まった。
「じゃあ、行くね!!どこでもいいから‥‥連れてってーー!!」
「は!?」
ハトネのその間の抜けた言葉に、三人も民衆も驚くような顔をするしかない。
すると、ハトネの手の平から白い光が放たれて‥‥
その光のせいで、皆の視界は一気に真っ白になり、まるで霧のように辺りが見えなくなった。
「いっ‥‥いったい何?」
フィレアがゆっくりと目を開けながら聞く。
「えっ!?ここは?」
次にリオが声を上げた。
リオ達は先程までフォード国にいたはずだが‥‥なぜだか見渡す限り緑しかない草原にいたのだ。
リオとハトネとフィレアーーそして銀髪の少年だけがここにいる。
フォード国の人々や女王はどこにもいなかった。
「たぶん、ここはフォード国付近の草原だと思います‥‥そういえば、そこのお姉さんが何かを‥‥」
銀髪の少年がハトネを指差す。
言われて、リオはハトネが何かしたのを思い出した。
「ハトネさん‥‥いったい‥‥」
リオが首を傾げながら聞けば、
「あ‥‥あはは、見ちゃった‥‥よね」
ハトネは無理やり笑顔を作ったような顔をしている。
「こういうの、聞きにくいんだけど‥‥もしかしてさっきのは、魔術?答えたくなかったらいいのよ」
フィレアが静かな声で言えば、ハトネは少し黙りこみ、
「うん、そう。魔術だよ」
小さく笑って、ハトネは答えた。
フィレアは頷き、それ以上は何も、何も聞かなかった。
彼女はシュイアの苦しみを理解しているのかもしれない。
だから、同じ境遇の彼女の気持ちもなんとなく、わかったのだろう。
(魔術‥‥どうしてハトネさんまで使えるんだろう?じゃあ、ハトネさんも不老?)
リオも思うだけで、何も聞かなかった。
「リオ君‥‥」
「えっ?」
ハトネに呼ばれて、リオは慌てて彼女を見る。
ハトネが自分に助けを求めているような、そんな表情でリオを見ているのだ。
「気持ち悪いよね‥‥こんな力‥‥」
いつも元気なハトネが、暗い顔でそう言ってきて‥‥
「そっ、そんなこと‥‥」
気持ち悪くなんかないですよと、リオは必死に言う。
本当に、そんな風には思わなかったし、もしここで気持ち悪いだなんて思ったり言ったりしては、シュイアにもその言葉を投げ掛けることになる。
「でも‥‥」
それでもハトネは俯いたままで、
「さっきのハトネさんの力のお陰で私達は助かったんですよ!感謝しかないです!」
そう言って、リオは微笑んだ。
「リオ君‥‥」
「だから、いつものハトネさんでいて下さい。ハトネさんは元気がいいのが一番です」
リオのその言葉に安心したのか、
「やっぱり‥‥あなたはあの時の人と同じだよ。私が捜していた人は‥‥やっぱりリオ君なんだ!だから、あなたにだけは嫌われたくない!」
ハトネは嬉しそうに言いながら、いつものように笑顔でリオに抱きついた。
「いや、だからそれは別人‥‥」
リオはため息を吐き、しかし、今だけは反論するのをやめる。
いつもの彼女に戻ったのなら、それでいいと思ったからだ。
そんな二人を、少年はじっと見ていて‥‥
「あなた達の関係がイマイチよくわからないわね」
と、フィレアは苦笑混じりに言う。
確かに、フィレアとハトネは出会ったばかりで、なんの説明もしていない。
「それより‥‥」
フィレアは銀髪の少年に視線を向け、
「ラズ。あなたどうして街中になんかいたの?危ないじゃない!」
「ごっ、ごめん、フィレアさん」
どうやら、銀髪の少年はラズというらしい。
フィレアと知り合いのようだ。
フィレアが『同じ貧困街に住んでるから』と説明する。
「そういえば、薬と言っていましたね。お母さんの‥‥」
リオは先刻のことを思い出した。
少年は困ったような顔をして頷く。
「あなたのお母さんのご病気‥‥やっぱりまだ、良くなってないのね‥‥」
フィレアは察するかのようにして言った。
「‥‥薬を買うようなお金も、病院に連れて行ってあげるようなお金もないから‥‥だから、街でどうしても薬を手に入れたくてお願いしようとして‥‥」
「ラズ‥‥」
フィレアは小さな少年を抱き締めてやる。
「やっぱり‥‥いろいろ間違ってる‥‥」
リオはそう言い、
「私、明日また女王様に会って‥‥話をしてみます!」
「なっ!?」
リオの突然の言葉に、フィレアは大きく目を見開かせた。
「やっぱり何回考えてもおかしいんです!女王様の意見に私は納得できません!」
「だからって‥‥はあ‥‥」
フィレアは今の今でそんなことを言うリオにため息を吐く。
だが、出会ってほんの少ししか経っていないが、リオの無茶でお人好しな性格は理解していた。
(自分が得することは何もないのに、ほんと、馬鹿ね‥‥きっと、シュイア様がこんな風に真っ直ぐに育てたのね)
フィレアはそう思い、くすっと笑う。
ーーここからが、悪夢の始まりだった。
『貴族は貧困街に住む者と親しくしてはならない』
『余所者とはあまり関わらないようにすること』
『もしフォード国内の者が貧困街の者や余所者とトラブルになった場合、明らかに貧困街の者と余所者が悪いと見なし、処罰を与える』
これを聞いた時、なんて滅茶苦茶な制度だと、リオは驚いた。
悪いのは貧困街の人と余所者だと、最初から決めつけられているのだから。
「そんなの‥‥間違ってます‥‥」
そう声に出したのはリオではなく、銀髪の少年だった。
その言葉に、女王は目を細める。
「僕は‥‥この国が嫌いです。この国の人達には、心がない。苦しむ人達の心を、理解してくれない。僕はここで産まれ育ったけど、貴族の人は大嫌いだ」
そんなことを言われて当然、民衆はざわざわと話し始めた。
そして、一瞬リオは目を見開かせる。
少年の金の目が、その年には似合わず、ギラリと憎悪の色を宿していたことに。
「私だって‥‥大嫌いよ、こんな国‥‥」
次にそう言ったのは、フィレア。
「貴族なんて‥‥金持ちなんて‥‥心がないのよ。私は貧困街の皆から優しさというものを教わったわ。だけど、あなたの作った制度のせいで皆、苦しい思いを‥‥」
フィレアは女王を睨んだ。
「心外ですね、そんな風に見られていたとは」
ため息混じりに女王は言い、冷徹な顔をしてこう言った、
「わかりました。あなた方を即刻、死刑にしましょう。このように民達に不安を招く存在には罰が必要ですね」
リオは、滅茶苦茶すぎる女王の発言に返す言葉もなかった。
(どうして?お母様はそんな人じゃなかったのに‥‥もっと優しかったのに‥‥)
レイラはただ、不安そうに光景を見ていることしかできない。
「どうして貧しい人や余所者をそんな風に嫌うんですか!?」
ハトネが困惑の表情を交えながら聞くも、
「あなた方が知る必要はありません」
女王は一言そう言い、
「何をしているのです、早くその者達を捕まえなさい」
女王の言葉に、民衆は一斉にリオ達のもとへ向かって来た。
向かって来る民衆を見て、四人は体が動かない!
「っ‥‥逃げないと!」
リオのその言葉に、
「‥‥三人共!早く私の近くに来て!」
ハトネがリオとフィレアと少年に言う。
とっさのことで、三人共、瞬時に体が動かない。
「いいから!早く!!」
ハトネのその急かすような言葉に、三人はようやく彼女の側に集まった。
「じゃあ、行くね!!どこでもいいから‥‥連れてってーー!!」
「は!?」
ハトネのその間の抜けた言葉に、三人も民衆も驚くような顔をするしかない。
すると、ハトネの手の平から白い光が放たれて‥‥
その光のせいで、皆の視界は一気に真っ白になり、まるで霧のように辺りが見えなくなった。
「いっ‥‥いったい何?」
フィレアがゆっくりと目を開けながら聞く。
「えっ!?ここは?」
次にリオが声を上げた。
リオ達は先程までフォード国にいたはずだが‥‥なぜだか見渡す限り緑しかない草原にいたのだ。
リオとハトネとフィレアーーそして銀髪の少年だけがここにいる。
フォード国の人々や女王はどこにもいなかった。
「たぶん、ここはフォード国付近の草原だと思います‥‥そういえば、そこのお姉さんが何かを‥‥」
銀髪の少年がハトネを指差す。
言われて、リオはハトネが何かしたのを思い出した。
「ハトネさん‥‥いったい‥‥」
リオが首を傾げながら聞けば、
「あ‥‥あはは、見ちゃった‥‥よね」
ハトネは無理やり笑顔を作ったような顔をしている。
「こういうの、聞きにくいんだけど‥‥もしかしてさっきのは、魔術?答えたくなかったらいいのよ」
フィレアが静かな声で言えば、ハトネは少し黙りこみ、
「うん、そう。魔術だよ」
小さく笑って、ハトネは答えた。
フィレアは頷き、それ以上は何も、何も聞かなかった。
彼女はシュイアの苦しみを理解しているのかもしれない。
だから、同じ境遇の彼女の気持ちもなんとなく、わかったのだろう。
(魔術‥‥どうしてハトネさんまで使えるんだろう?じゃあ、ハトネさんも不老?)
リオも思うだけで、何も聞かなかった。
「リオ君‥‥」
「えっ?」
ハトネに呼ばれて、リオは慌てて彼女を見る。
ハトネが自分に助けを求めているような、そんな表情でリオを見ているのだ。
「気持ち悪いよね‥‥こんな力‥‥」
いつも元気なハトネが、暗い顔でそう言ってきて‥‥
「そっ、そんなこと‥‥」
気持ち悪くなんかないですよと、リオは必死に言う。
本当に、そんな風には思わなかったし、もしここで気持ち悪いだなんて思ったり言ったりしては、シュイアにもその言葉を投げ掛けることになる。
「でも‥‥」
それでもハトネは俯いたままで、
「さっきのハトネさんの力のお陰で私達は助かったんですよ!感謝しかないです!」
そう言って、リオは微笑んだ。
「リオ君‥‥」
「だから、いつものハトネさんでいて下さい。ハトネさんは元気がいいのが一番です」
リオのその言葉に安心したのか、
「やっぱり‥‥あなたはあの時の人と同じだよ。私が捜していた人は‥‥やっぱりリオ君なんだ!だから、あなたにだけは嫌われたくない!」
ハトネは嬉しそうに言いながら、いつものように笑顔でリオに抱きついた。
「いや、だからそれは別人‥‥」
リオはため息を吐き、しかし、今だけは反論するのをやめる。
いつもの彼女に戻ったのなら、それでいいと思ったからだ。
そんな二人を、少年はじっと見ていて‥‥
「あなた達の関係がイマイチよくわからないわね」
と、フィレアは苦笑混じりに言う。
確かに、フィレアとハトネは出会ったばかりで、なんの説明もしていない。
「それより‥‥」
フィレアは銀髪の少年に視線を向け、
「ラズ。あなたどうして街中になんかいたの?危ないじゃない!」
「ごっ、ごめん、フィレアさん」
どうやら、銀髪の少年はラズというらしい。
フィレアと知り合いのようだ。
フィレアが『同じ貧困街に住んでるから』と説明する。
「そういえば、薬と言っていましたね。お母さんの‥‥」
リオは先刻のことを思い出した。
少年は困ったような顔をして頷く。
「あなたのお母さんのご病気‥‥やっぱりまだ、良くなってないのね‥‥」
フィレアは察するかのようにして言った。
「‥‥薬を買うようなお金も、病院に連れて行ってあげるようなお金もないから‥‥だから、街でどうしても薬を手に入れたくてお願いしようとして‥‥」
「ラズ‥‥」
フィレアは小さな少年を抱き締めてやる。
「やっぱり‥‥いろいろ間違ってる‥‥」
リオはそう言い、
「私、明日また女王様に会って‥‥話をしてみます!」
「なっ!?」
リオの突然の言葉に、フィレアは大きく目を見開かせた。
「やっぱり何回考えてもおかしいんです!女王様の意見に私は納得できません!」
「だからって‥‥はあ‥‥」
フィレアは今の今でそんなことを言うリオにため息を吐く。
だが、出会ってほんの少ししか経っていないが、リオの無茶でお人好しな性格は理解していた。
(自分が得することは何もないのに、ほんと、馬鹿ね‥‥きっと、シュイア様がこんな風に真っ直ぐに育てたのね)
フィレアはそう思い、くすっと笑う。
ーーここからが、悪夢の始まりだった。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
託され行くもの達
ar
ファンタジー
一人の少年騎士の一週間と未来の軌跡。
エウルドス王国の少年騎士ロファース。初陣の日に彼は疑問を抱いた。
少年は己が存在に悩み、進む。
※「一筋の光あらんことを」の後日談であり過去編
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ephemeral house -エフェメラルハウス-
れあちあ
恋愛
あの夏、私はあなたに出会って時はそのまま止まったまま。
あの夏、あなたに会えたおかげで平凡な人生が変わり始めた。
あの夏、君に会えたおかげでおれは本当の優しさを学んだ。
次の夏も、おれみんなで花火やりたいな。
人にはみんな知られたくない過去がある
それを癒してくれるのは
1番知られたくないはずの存在なのかもしれない
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
かれん
青木ぬかり
ミステリー
「これ……いったい何が目的なの?」
18歳の女の子が大学の危機に立ち向かう物語です。
※とても長いため、本編とは別に前半のあらすじ「忙しい人のためのかれん」を公開してますので、ぜひ。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、マリアは片田舎で遠いため、会ったことはなかった。でもある時、マリアは、妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは、結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる