2 / 53
①サントレイル国
サントレイル国
しおりを挟む
剣を携え、赤いマフラーを首に巻き、漆黒の髪と同じ色をしたコートを身に纏って、数年振りにヒロは故郷に帰って来た。
しかし、もうこの故郷には知っている人物なんてさほど居ない。
ーー数年前にとある戦争が起き、多くが死んだのだ。
家族は最初から居なかったが、友人が死んだ。残ったのは‥‥。
「へえー、ここがヒロさんの故郷なんだね」
と、人が考え事をしている最中、後ろから、連れである短い黄緑の髪をし、軽めの鎧を纏った青年、シハルがそう言う。
「いや、故郷と言うよりは、ただ一番長い間居た場所だ」
ヒロは肩を竦めながら答えた。
「ふーん、質素な場所ねぇ」
と、もう一人の連れーー和装を身に纏い、茶の髪を一つに纏めた女、波留(ハル)が気だるそうに言う。
「質素とか言うな質素とか!ここは‥‥まあいいや。偶然通りかかったんだ、どっかで昼飯でも食べていこう」
ため息を吐きながらヒロが言い、シハルと波留が「そうだね」「はーい」と、返事をした。
ーーもう、さほど知り合いは居ないのだ。だから別にコソコソする必要もない。
そう思い、近くに見えた定食屋に入った。
「ぶっ!!!」
しかし、店内に入った瞬間にヒロが吹き出し、
「やっ、やだぁ!なんなのあんたぁ!!汚なーいっっ!!」
波瑠が嫌悪混じりに言い、
「どっ、どうしたのヒロさん」
シハルが心配そうに聞いてくれば、
「いや、なんでも!なんでもない!!」
ヒロはそう言いながらも眉間に皺を寄せ、どこかを見ている。
その視線の先には、騎士服を着た可愛らしい金髪の女の子の姿があって‥‥
彼女は今しがた、店内の席に着こうとしている。
「ははーん、あんた、そんな趣味が‥‥」
ヒロの視線の先を見た波瑠がニヤニヤと笑って言い、
「趣味!!?ちっ、違う!とにかく早く食って出るぞ!さ、さあ、席を取ろう」
「え!図星ですかヒロさん!」
慌てるヒロを見て、便乗してシハルも楽しそうに聞いてきた。
「ちっがっう!!!」
とにもかくにもヒロは否定を続けて席に着き、急いでメニューを開く。
ーーもはや何を頼んだのかわからない。
運ばれて来た料理をヒロは掻き込むように食べ、連れの二人もその様子に慌てて食べるハメとなり‥‥
「んもー!あんたのせいで味わった気がしないわぁ」
食べ終えてすぐに店から出た三人だった。
街中を歩きながら、ふてくされるように波留が言い、
「そうだね、ヒロさんが急いで店を出るぞ!とか言うから‥‥」
シハルも続いて、
「あの女の子に見惚れちゃったからって、ねえ?」
そう、シハルと波瑠が顔を見合わせながら言うものだから、
「だから違うって!お前ら、遊んでるだろ」
否定しつつ、ヒロは深くため息を吐く。
「でもじゃあヒロさん。一体なんだったんだい?」
「そうよ。理由を教えなさいよ」
二人に言われ、
「いや、その、彼女は‥‥」
ヒロがおずおずと言いかけたところで、
ドシャァッーー!!
と、地面を擦るような大きな音がして、三人は音の方に振り向いた。
「何かしら」
「あそこだね、あれは‥‥」
シハルが言い掛けて、
「‥‥異端者だ」
ヒロが頷きながら言う。
それは、大の大人達が一人の少年を殴り飛ばしているという、異様な光景であった。
「はあ、この国で目をつけられるのは嫌だが、仕方ないな」
ヒロが言い、シハルと波瑠に目配せをする。
「うげぇ、気持ちわりぃ!!この異端者、どんだけ殴ろうが悲鳴すら上げやがらねぇ!」
「そりゃ異端者だからな、痛みなんて感じねぇんだよ」
大人達がそう次々に言うと、集まった野次馬らも共に、一斉に笑い出した。
「あっははは!まるで悪魔の笑い声ですねー」
「あ?」
どこからかする声に、先ほど少年を殴り飛ばしていた男が振り向けば、
ーードカッ!!
「ぐおぉ!!?」
男の顔面にヒロの力強い拳が入り、先ほどの少年のように男の体が吹っ飛んで、壁に背中を打ち付けた。
「あー。やり過ぎましたかね、すみませんねー」
全然感情のこもっていない声音で言いながら、ヒロは埃を払うようにパンパンと手を鳴らす。
それから'異端者'と呼ばれた少年の方を振り向けば、
「あら、かわいそう。気を失ってるわねぇ」
少年を抱き抱えながら波瑠が言い、
「ほんとほんと。大人なのに、酷いことするよね」
シハルが続ける。すると、
「なっ、なんなんだてめぇらは?」
「オカシイんじゃねぇかコイツら!!」
「いっ‥‥イカれてるわ」
なんて声が次々と三人に浴びせられた。
「そうですね。あなた達から見たらオレ達はイカれてる。でもオレ達から見たら、あんた達のがイカれてるんだよ」
ヒロが嫌悪するように言えば、
「何を言ってやがんだこのガキが!!」
一人の男が勢いよくヒロに殴りかかろうとしてきて、
「止まりなさいあなた達!」
ピシャリーーと、厳しくも、どこか可愛らしい少女の声が男の動きを止めた。
「あれ、あの娘。さっきヒロが見惚れてた‥‥」
波瑠が声の主を見て言う。確かに声の主は、先ほど飲食店に居た金髪の騎士の女の子だった。
その姿に、ヒロは顔をひきつらせて、
「えーっと。彼女はこの国の騎士なんだよ。それも王様の‥‥。その子を連れて早くずらかるぞ」
そう小声で言い、
「了解。後で詳しい話を頼むよヒロさん」
シハルが微笑みながら言う。
「あなた達、一般市民が異端者に手を出すことは禁じられています!」
騎士の女の子が民衆らにそう言い放ち、次に、
「それからあなた達!止める為とはいえ、街中で暴力行為は‥‥」
騎士の女の子がヒロ達の方を見て言えば、
「って!あれ?!彼らは!?」
すでに三人組と異端者と呼ばれる子供の姿はなくなっていた。
「あっ、あの。彼らなら逃げちゃいましたよ?」
一人の男が言い、
「はぁ‥‥まあ、いいでしょう。と言いたいところですが、異端者を連れて行ったのは不味いですね」
騎士の女の子はため息を吐く。
◆◆◆◆◆
「ここらでいいか」
ヒロ達は街の路地裏に逃げこんでいた。
「この子を早く連れてかなきゃいけないわねぇ」
波瑠が言い、
「でもヒロさん、せっかくの里帰りだったのにね」
シハルが言うので、
「里帰りなんかじゃないよ。ここに来たのは偶然じゃないか。今はこの子が優先だ。たぶん、彼女もすぐには追ってこないだろう」
ヒロはそう答えた。
「ヒロさんはあの女の子と知り合いなのかい?」
「まあ‥‥昔、ね。相手はたぶん覚えてないと思うよ。随分と会ってないし、短い期間だったから」
「あら、なんだかロマンチックな話じゃない」
ニヤニヤしながら波瑠が言う。
「じゃあ、騎士ってことは、あの女の子は王様に仕えてるんだ。若いのに凄いね」
感心するようにシハルが言い、
「この国の王様も若いしねぇ。大丈夫なのかしらこの国」
波瑠が言った。
それに、ヒロは頷いて、
「そうだな‥‥」
と、苦笑する。
その瞳は、国の最奥にそびえ立つ城を静かに見つめていた。
しかし、もうこの故郷には知っている人物なんてさほど居ない。
ーー数年前にとある戦争が起き、多くが死んだのだ。
家族は最初から居なかったが、友人が死んだ。残ったのは‥‥。
「へえー、ここがヒロさんの故郷なんだね」
と、人が考え事をしている最中、後ろから、連れである短い黄緑の髪をし、軽めの鎧を纏った青年、シハルがそう言う。
「いや、故郷と言うよりは、ただ一番長い間居た場所だ」
ヒロは肩を竦めながら答えた。
「ふーん、質素な場所ねぇ」
と、もう一人の連れーー和装を身に纏い、茶の髪を一つに纏めた女、波留(ハル)が気だるそうに言う。
「質素とか言うな質素とか!ここは‥‥まあいいや。偶然通りかかったんだ、どっかで昼飯でも食べていこう」
ため息を吐きながらヒロが言い、シハルと波留が「そうだね」「はーい」と、返事をした。
ーーもう、さほど知り合いは居ないのだ。だから別にコソコソする必要もない。
そう思い、近くに見えた定食屋に入った。
「ぶっ!!!」
しかし、店内に入った瞬間にヒロが吹き出し、
「やっ、やだぁ!なんなのあんたぁ!!汚なーいっっ!!」
波瑠が嫌悪混じりに言い、
「どっ、どうしたのヒロさん」
シハルが心配そうに聞いてくれば、
「いや、なんでも!なんでもない!!」
ヒロはそう言いながらも眉間に皺を寄せ、どこかを見ている。
その視線の先には、騎士服を着た可愛らしい金髪の女の子の姿があって‥‥
彼女は今しがた、店内の席に着こうとしている。
「ははーん、あんた、そんな趣味が‥‥」
ヒロの視線の先を見た波瑠がニヤニヤと笑って言い、
「趣味!!?ちっ、違う!とにかく早く食って出るぞ!さ、さあ、席を取ろう」
「え!図星ですかヒロさん!」
慌てるヒロを見て、便乗してシハルも楽しそうに聞いてきた。
「ちっがっう!!!」
とにもかくにもヒロは否定を続けて席に着き、急いでメニューを開く。
ーーもはや何を頼んだのかわからない。
運ばれて来た料理をヒロは掻き込むように食べ、連れの二人もその様子に慌てて食べるハメとなり‥‥
「んもー!あんたのせいで味わった気がしないわぁ」
食べ終えてすぐに店から出た三人だった。
街中を歩きながら、ふてくされるように波留が言い、
「そうだね、ヒロさんが急いで店を出るぞ!とか言うから‥‥」
シハルも続いて、
「あの女の子に見惚れちゃったからって、ねえ?」
そう、シハルと波瑠が顔を見合わせながら言うものだから、
「だから違うって!お前ら、遊んでるだろ」
否定しつつ、ヒロは深くため息を吐く。
「でもじゃあヒロさん。一体なんだったんだい?」
「そうよ。理由を教えなさいよ」
二人に言われ、
「いや、その、彼女は‥‥」
ヒロがおずおずと言いかけたところで、
ドシャァッーー!!
と、地面を擦るような大きな音がして、三人は音の方に振り向いた。
「何かしら」
「あそこだね、あれは‥‥」
シハルが言い掛けて、
「‥‥異端者だ」
ヒロが頷きながら言う。
それは、大の大人達が一人の少年を殴り飛ばしているという、異様な光景であった。
「はあ、この国で目をつけられるのは嫌だが、仕方ないな」
ヒロが言い、シハルと波瑠に目配せをする。
「うげぇ、気持ちわりぃ!!この異端者、どんだけ殴ろうが悲鳴すら上げやがらねぇ!」
「そりゃ異端者だからな、痛みなんて感じねぇんだよ」
大人達がそう次々に言うと、集まった野次馬らも共に、一斉に笑い出した。
「あっははは!まるで悪魔の笑い声ですねー」
「あ?」
どこからかする声に、先ほど少年を殴り飛ばしていた男が振り向けば、
ーードカッ!!
「ぐおぉ!!?」
男の顔面にヒロの力強い拳が入り、先ほどの少年のように男の体が吹っ飛んで、壁に背中を打ち付けた。
「あー。やり過ぎましたかね、すみませんねー」
全然感情のこもっていない声音で言いながら、ヒロは埃を払うようにパンパンと手を鳴らす。
それから'異端者'と呼ばれた少年の方を振り向けば、
「あら、かわいそう。気を失ってるわねぇ」
少年を抱き抱えながら波瑠が言い、
「ほんとほんと。大人なのに、酷いことするよね」
シハルが続ける。すると、
「なっ、なんなんだてめぇらは?」
「オカシイんじゃねぇかコイツら!!」
「いっ‥‥イカれてるわ」
なんて声が次々と三人に浴びせられた。
「そうですね。あなた達から見たらオレ達はイカれてる。でもオレ達から見たら、あんた達のがイカれてるんだよ」
ヒロが嫌悪するように言えば、
「何を言ってやがんだこのガキが!!」
一人の男が勢いよくヒロに殴りかかろうとしてきて、
「止まりなさいあなた達!」
ピシャリーーと、厳しくも、どこか可愛らしい少女の声が男の動きを止めた。
「あれ、あの娘。さっきヒロが見惚れてた‥‥」
波瑠が声の主を見て言う。確かに声の主は、先ほど飲食店に居た金髪の騎士の女の子だった。
その姿に、ヒロは顔をひきつらせて、
「えーっと。彼女はこの国の騎士なんだよ。それも王様の‥‥。その子を連れて早くずらかるぞ」
そう小声で言い、
「了解。後で詳しい話を頼むよヒロさん」
シハルが微笑みながら言う。
「あなた達、一般市民が異端者に手を出すことは禁じられています!」
騎士の女の子が民衆らにそう言い放ち、次に、
「それからあなた達!止める為とはいえ、街中で暴力行為は‥‥」
騎士の女の子がヒロ達の方を見て言えば、
「って!あれ?!彼らは!?」
すでに三人組と異端者と呼ばれる子供の姿はなくなっていた。
「あっ、あの。彼らなら逃げちゃいましたよ?」
一人の男が言い、
「はぁ‥‥まあ、いいでしょう。と言いたいところですが、異端者を連れて行ったのは不味いですね」
騎士の女の子はため息を吐く。
◆◆◆◆◆
「ここらでいいか」
ヒロ達は街の路地裏に逃げこんでいた。
「この子を早く連れてかなきゃいけないわねぇ」
波瑠が言い、
「でもヒロさん、せっかくの里帰りだったのにね」
シハルが言うので、
「里帰りなんかじゃないよ。ここに来たのは偶然じゃないか。今はこの子が優先だ。たぶん、彼女もすぐには追ってこないだろう」
ヒロはそう答えた。
「ヒロさんはあの女の子と知り合いなのかい?」
「まあ‥‥昔、ね。相手はたぶん覚えてないと思うよ。随分と会ってないし、短い期間だったから」
「あら、なんだかロマンチックな話じゃない」
ニヤニヤしながら波瑠が言う。
「じゃあ、騎士ってことは、あの女の子は王様に仕えてるんだ。若いのに凄いね」
感心するようにシハルが言い、
「この国の王様も若いしねぇ。大丈夫なのかしらこの国」
波瑠が言った。
それに、ヒロは頷いて、
「そうだな‥‥」
と、苦笑する。
その瞳は、国の最奥にそびえ立つ城を静かに見つめていた。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる