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11、基本の魔術を習う その2
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「えーっと、なぁ…とりあえず、君がとんでもない力を持っているのは分かったわ。それとな、悪いんやけど、どんなふうにイメージしたらあんな爆発が起きるのか教えて貰ってもええ?」
魔法の加減がわからずに少し落ち込んでいた凪の元に戻ってきたマルクにそう尋ねられた。
正直に、炎の色についての理由・風の抵抗を受けないようにするために膜を張ったこと・威力をあげるために酸素だけの層を作ったことを話すと、
「はぁぁ!?なんやねんそれは!どないな知識持ってんねんっ。…まぁ、でも、普通の人には不可能なことやから知らないのは当たり前かもしれんなぁ。……ん?不思議そうな顔やな?え?なんで無理なのかやって?それはな、君が無意識にやってるそれ、膜はったり、さんそ?言うもんだけを集めたり、そういうことは多重属性ない限りは不可能やなぁ。あ、多分、無属性を持ってる場合の多重属性だけやわ。風で透明なバリアを張れるかもしれんけど、酸素だけを集めるのは不可能とまでは行かんかもしれんけど無理そうやしな」
そう、衝撃を受けたような顔をした後、聞いてもいない質問にペラペラと答えてくれた。
「私って、本当に何なんだろうね?」
誰に向けて言うでもなく、独り言のようにつぶやく凪。
ぽけーっと的の残骸の方を眺めていると、
「…次。……木属性」
いつの間にか後ろに立っていたロルフに告げられる。
「木属性って、どういうものなんですか?」
「…ん、いろいろ。…治癒も、光には及ばないけどできる。…攻撃よりも、サポートに適してる属性。……戦うことを君が苦手でも、僕のところに来れば問題、ないよ?」
今まで話した会話の中で一番饒舌に語るロルフ。
最後にさりげなく自分を勧誘していたことに気づかなかった凪は、ロルフが自分の属性が大好きなんだと思っただけだった。
「えっと、どういった魔法がいいんでしょう?」
そう尋ねると、握った手を差し出される。思わず両手をその下に広げると、コロンとなにかの植物の種を渡された。
「これは?」
「……戦場で使われることもある、植物の種。…ちゃんと調合したら傷薬にも使える。…これを、咲かせる」
聞けば、木属性は植物の成長を早めたり、操ったり、品質を向上させたり、そういったことが得意な属性らしい。
さっそく、もらった種を地面に置く。種から芽が出て、それが成長する過程を想像して魔力を送る。
メリメリと種から出てきた芽は紫色、それがどんどん成長して自分よりも大きくなってきた頃になって焦ってきた凪。周りは特に気にしたふうもない。男性の平均身長の2倍の大きさをすぎても周りに焦る様子はない。3倍を過ぎ、4倍に差し掛かったところで、ようやく「あれ?」という顔をしていた。
「なぁ、あれ、お前が品種改良したやつだよな?」
「……ん、凶暴性と大きさを抑えた」
「ですがあれ、ちょっとやばくありませんか?」
「戦場で使われるのと大差ない大きさになってきたぞ?」
こそこそとかわされる会話。
その間にも植物はどんどん大きくなる。6倍くらいの大きさになった頃、植物に異変が起きた。
いつの間にかてっぺんにあった花の蕾のようなものが、開いており、あろう事か凪に近づいてきたのだ。
「……あの、これって、大丈夫なんですよね?」
「あぁ、俺らが切るから問題ない」
不安になって聞いてみるが、こちらを見ずに口だけで答えるヴィルム。
魔力を送るのを止めた凪。植物は成長をやめたが、動いている。
「…あの、どうしたらいいんですか」
「あ?だから、大丈夫だって。俺らが……っ!?」
ヴィルムの言葉が途中で途切れる。
当たり前だろう、なんと、凪は植物から生えた蔦に絡め取られ空中に浮いていたのだから。
ヴィルムの様子がおかしいことに気づいたサルージャ達もようやくこちらを見る。
ちょうどその時、パカッと開いた花に凪が吸い込まれた。
「「「「「『あぁぁぁ!!』」」」」」
訓練場にいた凪達の様子を見ていた者達も含めた全員の声が一体となった瞬間だった。
魔法の加減がわからずに少し落ち込んでいた凪の元に戻ってきたマルクにそう尋ねられた。
正直に、炎の色についての理由・風の抵抗を受けないようにするために膜を張ったこと・威力をあげるために酸素だけの層を作ったことを話すと、
「はぁぁ!?なんやねんそれは!どないな知識持ってんねんっ。…まぁ、でも、普通の人には不可能なことやから知らないのは当たり前かもしれんなぁ。……ん?不思議そうな顔やな?え?なんで無理なのかやって?それはな、君が無意識にやってるそれ、膜はったり、さんそ?言うもんだけを集めたり、そういうことは多重属性ない限りは不可能やなぁ。あ、多分、無属性を持ってる場合の多重属性だけやわ。風で透明なバリアを張れるかもしれんけど、酸素だけを集めるのは不可能とまでは行かんかもしれんけど無理そうやしな」
そう、衝撃を受けたような顔をした後、聞いてもいない質問にペラペラと答えてくれた。
「私って、本当に何なんだろうね?」
誰に向けて言うでもなく、独り言のようにつぶやく凪。
ぽけーっと的の残骸の方を眺めていると、
「…次。……木属性」
いつの間にか後ろに立っていたロルフに告げられる。
「木属性って、どういうものなんですか?」
「…ん、いろいろ。…治癒も、光には及ばないけどできる。…攻撃よりも、サポートに適してる属性。……戦うことを君が苦手でも、僕のところに来れば問題、ないよ?」
今まで話した会話の中で一番饒舌に語るロルフ。
最後にさりげなく自分を勧誘していたことに気づかなかった凪は、ロルフが自分の属性が大好きなんだと思っただけだった。
「えっと、どういった魔法がいいんでしょう?」
そう尋ねると、握った手を差し出される。思わず両手をその下に広げると、コロンとなにかの植物の種を渡された。
「これは?」
「……戦場で使われることもある、植物の種。…ちゃんと調合したら傷薬にも使える。…これを、咲かせる」
聞けば、木属性は植物の成長を早めたり、操ったり、品質を向上させたり、そういったことが得意な属性らしい。
さっそく、もらった種を地面に置く。種から芽が出て、それが成長する過程を想像して魔力を送る。
メリメリと種から出てきた芽は紫色、それがどんどん成長して自分よりも大きくなってきた頃になって焦ってきた凪。周りは特に気にしたふうもない。男性の平均身長の2倍の大きさをすぎても周りに焦る様子はない。3倍を過ぎ、4倍に差し掛かったところで、ようやく「あれ?」という顔をしていた。
「なぁ、あれ、お前が品種改良したやつだよな?」
「……ん、凶暴性と大きさを抑えた」
「ですがあれ、ちょっとやばくありませんか?」
「戦場で使われるのと大差ない大きさになってきたぞ?」
こそこそとかわされる会話。
その間にも植物はどんどん大きくなる。6倍くらいの大きさになった頃、植物に異変が起きた。
いつの間にかてっぺんにあった花の蕾のようなものが、開いており、あろう事か凪に近づいてきたのだ。
「……あの、これって、大丈夫なんですよね?」
「あぁ、俺らが切るから問題ない」
不安になって聞いてみるが、こちらを見ずに口だけで答えるヴィルム。
魔力を送るのを止めた凪。植物は成長をやめたが、動いている。
「…あの、どうしたらいいんですか」
「あ?だから、大丈夫だって。俺らが……っ!?」
ヴィルムの言葉が途中で途切れる。
当たり前だろう、なんと、凪は植物から生えた蔦に絡め取られ空中に浮いていたのだから。
ヴィルムの様子がおかしいことに気づいたサルージャ達もようやくこちらを見る。
ちょうどその時、パカッと開いた花に凪が吸い込まれた。
「「「「「『あぁぁぁ!!』」」」」」
訓練場にいた凪達の様子を見ていた者達も含めた全員の声が一体となった瞬間だった。
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