異世界帰りのゲーマー

武道大会

師匠と呼ぶように

　ファスを町からダクソン村に抜け出した俺達は妹に戦闘させながら、つぎの町を目指していたが

　「なぁ、ちょっと違う町に行かないか？」

　「どうしたの急に？別にいいけど」

　これでもゲーマーの端くれだ
　あの様に目立った行動をすれば絶対に一定数のプレイヤーは行動を起こすだろう
　本来なら対戦観覧もオフにしたかったのだが、後々、面倒にならないように公開したのだ

　まぁ、そのへんは誤魔化しつつ、アスの件があったから、アイツラみたいのが居るかもしれない、妹が初期装備なので次の町辺りで張られているかもしれない事を伝えた

　「別にそれはいいんだけど、さっき言いそびれたお願いがあるんだけど」

　「そういや、何か言いかけてたな。無茶な事じゃなければいいぞ」

　「あのね、兄ちゃんが使ってた魔法、私も使ってみたいなって。私、動画とか観てるけど魔法であんなの観たことないよ」

　使ってた魔法というと『バースト』か？
　たしかにアレはちょっと工程が特殊だからな
　使えるやつがいたとしたら、そいつはディファレント・ワールド内で指折りの魔法使いになるかもしれない

　実は魔法というスキルはレベルで覚える呪文というのは、ほんの一握りの魔法でしか無い
　
　例えば、俺も使用する『魔弾』という魔力の塊を撃ち出すといった呪文とかな

　しかも魔法を覚えるものだから覚えた呪文しか発動させない
　そもそも発動が難しいので、他に魔法を弄ろうとは思わないだろう

　俺が使用する『バースト』は『魔弾』にMPを常に注ぎつつ圧縮して、それを敵に当たった時に弾けさせる技だ

　これは魔法スキルレベルで覚えない呪文で、魔力操作がかなり出来ないと使用出来ない

　まずは『魔弾』を発動させて、その場で維持し、威力を上げるためにMPを注ぎ込むが、『魔弾』は大きくなりスピードが落ちてしまうので、圧縮をし小さくしていく、そして圧縮された『魔弾』を撃ち出し、敵や物に当たると同時に圧縮を解ける様にしておくと、当たった『魔弾』は溜めた分のMPが弾けて爆発した様な効果を得る

　敵により多くのダメージを与えるなら射出時に圧縮で飛ばすのも手だ

　これだけの工程をMP操作しなければならない

　俺の場合は異世界で暴発させまくってでも身体で覚えさせられた
　腕が何回新品に代わったのか分からない程だ

　それを妹に教えるとなると

　「けっこう時間を使うことになるし、何回もリスポーンするハメになるけどいいか？」

　別に実際に死ぬわけじゃないし、痛みもないので教えるのは構わない
　俺としては時間を潰せるから好都合でもあるけど、どうだろうか？

　「やるよ。魔法を扱うのは難しいって言われまし、この間で多少は実感したつもりだよ。それにやらないよりやってから諦めた方がいいよ」

　「まぁ、お試しでやってみればいいか。それじゃあ、一旦、ダクソン村に戻るぞ。最初に教える事は俺の拠点で出来るからな」


　俺達は次にやることを話し合いながら、俺の拠点に戻った