173 / 340
第二部
六十二話 二人の舞姫の物語 前③
しおりを挟む
彼女のため息に同調して俺も大きく息を吐いた。
もう夜も遅くなってしまった。ポケットから懐中時計を取り出して時間を確かめる。
俺の家の懐中時計の方は残念ながら池の水に浸かったせいで止まってしまったので、取り出したのはグウェンからもらった方だ。
「あ、かわいいですね。犬?」
「狼だよ」
時計についた狼のチャームを見てライラが顔を綻ばせる。
「見てもいいですか? 私そういうの好きなんです」
「うん、もちろん」
ライラに時計を差し出して手を前に出した時、頭の上でメルが小さく「ぴっ」と鳴いた。
どうした? と思った時には、後ろから素早く飛んできた何かに手に持っていた時計を掠め取られていた。
「え?!」
「きゃっ」
ライラも驚いて水路の脇に降り立った小柄な動物を見る。
あの猿だった。
昨日下の宮殿で俺の時計を盗んだ。
「あっこらお前また!」
猿は俺から盗った懐中時計を手に持ってカチャカチャ振っている。
俺はそれを見て頭から血の気が引いた。
「ちょっと、それは本当に困る! 返して!」
慌てて猿に手を伸ばすと、子猿は俺の手を掻い潜ってぴょーんと飛び上がる。
そのまま水路の反対側に降り立つと、俺の方を見て首を傾げた。
「キ?」
「キ? じゃなくて、お願いだから返して!」
俺の家の懐中時計もまずいが、グウェンの家の時計は余計にまずい。あれにはフォンフリーゼ公爵邸に転移する魔法陣も描かれている。なによりあれがあるから俺はまだグウェンのところに帰れると自分に言い聞かせているのに、盗られたら困る。
子猿はじっと俺の顔を見ていたが、俺の懇願する声を聞いたあとで尻尾をゆらゆらと振った。
まるでまたね、と言うみたいに。
「ちょっと!」
「キキー!」
そう鳴くと、猿はまたぴょーんと飛び上がって木の上に乗り、そのまま夜の闇の中にガサッと消えてしまった。
「嘘だろ?! 泥棒!!」
驚愕した俺は叫び声をあげる。
あれが無くなるなんてヤバすぎる。
グウェンになんて言って謝ったらいいんだ。
「追いかけましょう」
俺の悲痛な声を聞いたライラがすぐさま立ち上がり、水路に沿って猿が消えた方へ駆け出した。俺もすぐに彼女の後を追う。
子猿の木を伝う音はすぐに聞こえなくなってしまい、俺とライラはあっという間に猿を見失ってしまった。
「どこに行っちゃったんでしょう。なんでこんなところに猿が?」
「多分、あれはイラムの下層にいる猿だよ。誰かが飼ってるんだと思う。……どこに持っていったんだろう。ヤバいな」
また昨日と同じようにあの変な宝物庫に持っていかれたら厄介だ。昨日の鏡のある廊下への道はもう覚えていない。
うう、グウェンに怒られるネタが着実に増えてる……。
「下にいた猿って、でもどうやってここに来たんでしょうか」
ライラが最もな疑問を口にして、俺もそういえばそうだなと思った。
マスルールがわざわざ猿を鈴園に持ち込むはずがないし、アシュラフ皇帝はもっとないだろう。
それならば、一体誰が?
そう思った時、果樹園の中から小さな声が聞こえた。
ライラと共にその声の方を振り返る。少し怯えたライラを身体の後ろに隠して、草を踏む軽い足音に耳をすませた。
「……キール? シャキール、どこ?」
そう言って小さな高い声が聞こえた後で、その声の主はゆっくり木々の間から姿を現した。
「あれ?」
小さなその身体が俺とライラを見つけてびくっと硬直する。
「ひゃっ、ごめんなさい!」
「あっちょっと待って! 逃げないで! 君あの猿の飼い主?」
慌てて後ろに下がって隠れようとした小さな男の子を呼び止めた。
その子は俺の声にびくっとしながらも動きを止める。
月明かりでしか見えないが、白っぽい髪の毛に大きな目をした整った顔立ちの美少年だ。歳は多分ウィルと同じくらいか少し下だろう。ゆったりした民族衣装は寝巻きなのか生地が薄そうだったが光沢のある絹で、かなり質は良さそうだった。
イラムの中にいて、しかも鈴園にまで入り込んでいるということは、この少年の正体は考えられる限り一人しかいない。
「アルフ殿下……?」
ライラが驚いた顔で俺よりも先にその名前を口に出した。
そう呼ばれた少年は目を大きく見開いて、おずおずと前に進み出てくる。
そうだ。確か皇帝の弟はアルフという名前だった。広間に集められた女の子達がそんな名前を口に出していたな。
「僕の名前を知ってるの?」
「アシュラフ陛下の弟様ですよね。どうして鈴園に?」
歳の近いライラに話しかけられて少しほっとしたのか、美少年はもじもじしてから手を後ろに回して軽く俯いた。
「ごめんなさい。鈴園ってどんなところか気になって、こっそり上がってきちゃったんです」
「あの子猿は殿下のペットですか?」
「うん、シャキールは、叔父様にもらったの。でも悪戯好きでしょっちゅう脱走してる」
つまり、この子はこっそりイラムの一層から鈴園に上がってきたのか。皇帝の親兄弟なら鐘の魔法陣を起動できるはずだから、一人でここにいてもおかしくはない。
あの悪魔みたいな皇帝の弟であることが信じられないくらい純朴そうな王弟殿下だ。
「お姉さんとお兄さんは何て名前なんですか」
「俺はレイといいます」
「私はライラです」
「レイさんもライラさんも、兄上の鈴園に入ってるの?」
ライラのことが気になるのか、恥ずかしそうにちらちらと彼女を見ながらアルフ殿下が首を傾げる。
「そうです」
「じゃあ、二人とも兄上のお嫁さんになるってこと?」
「「なりません」」
即座に否定する声がライラと被った。
目をパチパチさせて俺たちを見上げたアルフ殿下を見て、心の中で俺はどう見ても男だろう。そこに違和感はないのか。とツッコミを入れた。
彼は少し残念そうな顔をしてから、また手を後ろに回して組んだ。
「なんだ。鈴園にいる人はみんなお嫁さんになるんじゃないんだ。僕にも姉上ができるのかと思ったのに」
「殿下はお姉さんがほしいんですか?」
そう聞くと、アルフ殿下は恥ずかしそうに笑った。
「はい。兄上はすごい方だから、お仕事もいっぱいあって忙しそうだし、姉上ができれば僕と遊んでくれるかなって」
はにかむような顔になったアルフ殿下を、俺はなんともいえない気持ちで眺めた。
皇帝を慕っているような言い方をするところを見ると、知らないんだろうか。アシュラフ皇帝が最近人が変わったということを。
「殿下はアシュラフ陛下と最近話をされましたか?」
俺がそう聞くと、彼はきょとんとした顔をして首を横に振った。
「何故かは分からないけど、少し前からみんな僕に兄上とはしばらく話さないようにって言うんです。確かに兄上は最近ずっとどこかに出掛けていて、僕とは遊んでくれなくなりました。落ち込んでいたら叔父上が寂しくないようにってシャキールをくれたんです」
やはり、この少年はアシュラフ皇帝とは最近関わっていないらしい。そこは周囲も賢明な判断だったな。あの皇帝は子供相手にも容赦なく平手打ちとかしそうだし。
「僕は最近までずっとお祖父様の実家にいたんだけど、戻ってきたらお祖父様もずっと難しい顔で色んな人と話しこんでいて……兄上に何かあったんですか?」
「いえ……それは俺も知りたいと思ってるんですけど……。アルフ殿下、アシュラフ陛下と話すなと言われ始めたのはいつ頃でしたか」
「ええっと、多分、三、四ヶ月前だったと思います。兄上は、変わっちゃったんですか。あんなにお優しかったのに」
不安そうな顔をして見上げてくるアルフ殿下に、俺はなんと答えたらいいものかと悩んだ。
この子は皇族にかけられた呪いのことを既に知っているんだろうか。
そもそも俺は以前の皇帝の人となりを知らないから、説明しようにも何も語れる内容がないんだよな。話せるのは今日ロシアンルーレットをやらされたことと、池に落とされたことくらいで、そんなのとてもじゃないけどこの純粋そうな子には話せない。
「俺たちもここには来たばかりなので、陛下のことはよく知らないんです。お力になれなくてすいません。あの、さっき子猿に俺の懐中時計を盗られてしまって、返してほしいんですけど呼び戻してもらえますか?」
「え?! シャキールが盗ったの? ごめんなさい」
誤魔化すみたいで申し訳ないなと思いながらもお茶を濁したような返事をして子猿のことを聞くと、アルフ殿下は慌てて首にかけた小さな笛をピーと鳴らした。しかし、子猿は戻って来ない。
「シャキールは綺麗なものとか、貴金属や宝石が大好きなんです。でもなかなか僕の言うことは聞いてくれなくて……ごめんなさい。きっとそのうち帰ってくるので、必ず返します」
申し訳なさそうな顔をした少年に文句を言う訳にもいかず、俺はがっくり肩を落として猿が消えた木々の闇を見つめた。
もう夜も遅くなってしまった。ポケットから懐中時計を取り出して時間を確かめる。
俺の家の懐中時計の方は残念ながら池の水に浸かったせいで止まってしまったので、取り出したのはグウェンからもらった方だ。
「あ、かわいいですね。犬?」
「狼だよ」
時計についた狼のチャームを見てライラが顔を綻ばせる。
「見てもいいですか? 私そういうの好きなんです」
「うん、もちろん」
ライラに時計を差し出して手を前に出した時、頭の上でメルが小さく「ぴっ」と鳴いた。
どうした? と思った時には、後ろから素早く飛んできた何かに手に持っていた時計を掠め取られていた。
「え?!」
「きゃっ」
ライラも驚いて水路の脇に降り立った小柄な動物を見る。
あの猿だった。
昨日下の宮殿で俺の時計を盗んだ。
「あっこらお前また!」
猿は俺から盗った懐中時計を手に持ってカチャカチャ振っている。
俺はそれを見て頭から血の気が引いた。
「ちょっと、それは本当に困る! 返して!」
慌てて猿に手を伸ばすと、子猿は俺の手を掻い潜ってぴょーんと飛び上がる。
そのまま水路の反対側に降り立つと、俺の方を見て首を傾げた。
「キ?」
「キ? じゃなくて、お願いだから返して!」
俺の家の懐中時計もまずいが、グウェンの家の時計は余計にまずい。あれにはフォンフリーゼ公爵邸に転移する魔法陣も描かれている。なによりあれがあるから俺はまだグウェンのところに帰れると自分に言い聞かせているのに、盗られたら困る。
子猿はじっと俺の顔を見ていたが、俺の懇願する声を聞いたあとで尻尾をゆらゆらと振った。
まるでまたね、と言うみたいに。
「ちょっと!」
「キキー!」
そう鳴くと、猿はまたぴょーんと飛び上がって木の上に乗り、そのまま夜の闇の中にガサッと消えてしまった。
「嘘だろ?! 泥棒!!」
驚愕した俺は叫び声をあげる。
あれが無くなるなんてヤバすぎる。
グウェンになんて言って謝ったらいいんだ。
「追いかけましょう」
俺の悲痛な声を聞いたライラがすぐさま立ち上がり、水路に沿って猿が消えた方へ駆け出した。俺もすぐに彼女の後を追う。
子猿の木を伝う音はすぐに聞こえなくなってしまい、俺とライラはあっという間に猿を見失ってしまった。
「どこに行っちゃったんでしょう。なんでこんなところに猿が?」
「多分、あれはイラムの下層にいる猿だよ。誰かが飼ってるんだと思う。……どこに持っていったんだろう。ヤバいな」
また昨日と同じようにあの変な宝物庫に持っていかれたら厄介だ。昨日の鏡のある廊下への道はもう覚えていない。
うう、グウェンに怒られるネタが着実に増えてる……。
「下にいた猿って、でもどうやってここに来たんでしょうか」
ライラが最もな疑問を口にして、俺もそういえばそうだなと思った。
マスルールがわざわざ猿を鈴園に持ち込むはずがないし、アシュラフ皇帝はもっとないだろう。
それならば、一体誰が?
そう思った時、果樹園の中から小さな声が聞こえた。
ライラと共にその声の方を振り返る。少し怯えたライラを身体の後ろに隠して、草を踏む軽い足音に耳をすませた。
「……キール? シャキール、どこ?」
そう言って小さな高い声が聞こえた後で、その声の主はゆっくり木々の間から姿を現した。
「あれ?」
小さなその身体が俺とライラを見つけてびくっと硬直する。
「ひゃっ、ごめんなさい!」
「あっちょっと待って! 逃げないで! 君あの猿の飼い主?」
慌てて後ろに下がって隠れようとした小さな男の子を呼び止めた。
その子は俺の声にびくっとしながらも動きを止める。
月明かりでしか見えないが、白っぽい髪の毛に大きな目をした整った顔立ちの美少年だ。歳は多分ウィルと同じくらいか少し下だろう。ゆったりした民族衣装は寝巻きなのか生地が薄そうだったが光沢のある絹で、かなり質は良さそうだった。
イラムの中にいて、しかも鈴園にまで入り込んでいるということは、この少年の正体は考えられる限り一人しかいない。
「アルフ殿下……?」
ライラが驚いた顔で俺よりも先にその名前を口に出した。
そう呼ばれた少年は目を大きく見開いて、おずおずと前に進み出てくる。
そうだ。確か皇帝の弟はアルフという名前だった。広間に集められた女の子達がそんな名前を口に出していたな。
「僕の名前を知ってるの?」
「アシュラフ陛下の弟様ですよね。どうして鈴園に?」
歳の近いライラに話しかけられて少しほっとしたのか、美少年はもじもじしてから手を後ろに回して軽く俯いた。
「ごめんなさい。鈴園ってどんなところか気になって、こっそり上がってきちゃったんです」
「あの子猿は殿下のペットですか?」
「うん、シャキールは、叔父様にもらったの。でも悪戯好きでしょっちゅう脱走してる」
つまり、この子はこっそりイラムの一層から鈴園に上がってきたのか。皇帝の親兄弟なら鐘の魔法陣を起動できるはずだから、一人でここにいてもおかしくはない。
あの悪魔みたいな皇帝の弟であることが信じられないくらい純朴そうな王弟殿下だ。
「お姉さんとお兄さんは何て名前なんですか」
「俺はレイといいます」
「私はライラです」
「レイさんもライラさんも、兄上の鈴園に入ってるの?」
ライラのことが気になるのか、恥ずかしそうにちらちらと彼女を見ながらアルフ殿下が首を傾げる。
「そうです」
「じゃあ、二人とも兄上のお嫁さんになるってこと?」
「「なりません」」
即座に否定する声がライラと被った。
目をパチパチさせて俺たちを見上げたアルフ殿下を見て、心の中で俺はどう見ても男だろう。そこに違和感はないのか。とツッコミを入れた。
彼は少し残念そうな顔をしてから、また手を後ろに回して組んだ。
「なんだ。鈴園にいる人はみんなお嫁さんになるんじゃないんだ。僕にも姉上ができるのかと思ったのに」
「殿下はお姉さんがほしいんですか?」
そう聞くと、アルフ殿下は恥ずかしそうに笑った。
「はい。兄上はすごい方だから、お仕事もいっぱいあって忙しそうだし、姉上ができれば僕と遊んでくれるかなって」
はにかむような顔になったアルフ殿下を、俺はなんともいえない気持ちで眺めた。
皇帝を慕っているような言い方をするところを見ると、知らないんだろうか。アシュラフ皇帝が最近人が変わったということを。
「殿下はアシュラフ陛下と最近話をされましたか?」
俺がそう聞くと、彼はきょとんとした顔をして首を横に振った。
「何故かは分からないけど、少し前からみんな僕に兄上とはしばらく話さないようにって言うんです。確かに兄上は最近ずっとどこかに出掛けていて、僕とは遊んでくれなくなりました。落ち込んでいたら叔父上が寂しくないようにってシャキールをくれたんです」
やはり、この少年はアシュラフ皇帝とは最近関わっていないらしい。そこは周囲も賢明な判断だったな。あの皇帝は子供相手にも容赦なく平手打ちとかしそうだし。
「僕は最近までずっとお祖父様の実家にいたんだけど、戻ってきたらお祖父様もずっと難しい顔で色んな人と話しこんでいて……兄上に何かあったんですか?」
「いえ……それは俺も知りたいと思ってるんですけど……。アルフ殿下、アシュラフ陛下と話すなと言われ始めたのはいつ頃でしたか」
「ええっと、多分、三、四ヶ月前だったと思います。兄上は、変わっちゃったんですか。あんなにお優しかったのに」
不安そうな顔をして見上げてくるアルフ殿下に、俺はなんと答えたらいいものかと悩んだ。
この子は皇族にかけられた呪いのことを既に知っているんだろうか。
そもそも俺は以前の皇帝の人となりを知らないから、説明しようにも何も語れる内容がないんだよな。話せるのは今日ロシアンルーレットをやらされたことと、池に落とされたことくらいで、そんなのとてもじゃないけどこの純粋そうな子には話せない。
「俺たちもここには来たばかりなので、陛下のことはよく知らないんです。お力になれなくてすいません。あの、さっき子猿に俺の懐中時計を盗られてしまって、返してほしいんですけど呼び戻してもらえますか?」
「え?! シャキールが盗ったの? ごめんなさい」
誤魔化すみたいで申し訳ないなと思いながらもお茶を濁したような返事をして子猿のことを聞くと、アルフ殿下は慌てて首にかけた小さな笛をピーと鳴らした。しかし、子猿は戻って来ない。
「シャキールは綺麗なものとか、貴金属や宝石が大好きなんです。でもなかなか僕の言うことは聞いてくれなくて……ごめんなさい。きっとそのうち帰ってくるので、必ず返します」
申し訳なさそうな顔をした少年に文句を言う訳にもいかず、俺はがっくり肩を落として猿が消えた木々の闇を見つめた。
556
お気に入りに追加
8,408
あなたにおすすめの小説
噂の冷血公爵様は感情が全て顔に出るタイプでした。
春色悠
BL
多くの実力者を輩出したと云われる名門校【カナド学園】。
新入生としてその門を潜ったダンツ辺境伯家次男、ユーリスは転生者だった。
___まあ、残っている記憶など塵にも等しい程だったが。
ユーリスは兄と姉がいる為後継者として期待されていなかったが、二度目の人生の本人は冒険者にでもなろうかと気軽に考えていた。
しかし、ユーリスの運命は『冷血公爵』と名高いデンベル・フランネルとの出会いで全く思ってもいなかった方へと進みだす。
常に冷静沈着、実の父すら自身が公爵になる為に追い出したという冷酷非道、常に無表情で何を考えているのやらわからないデンベル___
「いやいやいやいや、全部顔に出てるんですけど…!!?」
ユーリスは思い出す。この世界は表情から全く感情を読み取ってくれないことを。いくら苦々しい表情をしていても誰も気づかなかったことを。
寡黙なだけで表情に全て感情の出ているデンベルは怖がられる度にこちらが悲しくなるほど落ち込み、ユーリスはついつい話しかけに行くことになる。
髪の毛の美しさで美醜が決まるというちょっと不思議な美醜観が加わる感情表現の複雑な世界で少し勘違いされながらの二人の行く末は!?
お前が結婚した日、俺も結婚した。
jun
BL
十年付き合った慎吾に、「子供が出来た」と告げられた俺は、翌日同棲していたマンションを出た。
新しい引っ越し先を見つける為に入った不動産屋は、やたらとフレンドリー。
年下の直人、中学の同級生で妻となった志帆、そして別れた恋人の慎吾と妻の美咲、絡まりまくった糸を解すことは出来るのか。そして本田 蓮こと俺が最後に選んだのは・・・。
*現代日本のようでも架空の世界のお話しです。気になる箇所が多々あると思いますが、さら〜っと読んで頂けると有り難いです。
*初回2話、本編書き終わるまでは1日1話、10時投稿となります。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
怒れるおせっかい奥様
asamurasaki
恋愛
ベレッタ・サウスカールトンは出産時に前世の記憶を思い出した。
可愛い男の子を産んだその瞬間にベレッタは前世の記憶が怒涛のことく甦った。
日本人ので三人の子持ちで孫もいた60代女性だった記憶だ。
そして今までのベレッタの人生も一緒に思い出した。
コローラル子爵家第一女として生まれたけど、実の母はベレッタが4歳の時に急な病で亡くなった。
そして母の喪が明けてすぐに父が愛人とその子を連れて帰ってきた。
それからベレッタは継母と同い年の義妹に虐げられてきた。
父も一緒になって虐げてくるクズ。
そしてベレッタは18歳でこの国の貴族なら通うことが義務付けられてるアカデミーを卒業してすぐに父の持ってきた縁談で結婚して厄介払いされた。
相手はフィンレル・サウスカールトン侯爵22歳。
子爵令嬢か侯爵と結婚なんて…恵まれているはずがない!
あのクズが持ってきた縁談だ、資金援助を条件に訳あり侯爵に嫁がされた。
そのベレッタは結婚してからも侯爵家で夫には見向きもされず、使用人には冷遇されている。
白い結婚でなかったのは侯爵がどうしても後継ぎを必要としていたからだ。
良かったのか悪かったのか、初夜のたったの一度でベレッタは妊娠して子を生んだ。
前世60代だった私が転生して19歳の少女になった訳よね?
ゲームの世界に転生ってやつかしら?でも私の20代後半の娘は恋愛ゲームやそういう異世界転生とかの小説が好きで私によく話していたけど、私はあまり知らないから娘が話してたことしかわからないから、当然どこの世界なのかわからないのよ。
どうして転生したのが私だったのかしら?
でもそんなこと言ってる場合じゃないわ!
あの私に無関心な夫とよく似ている息子とはいえ、私がお腹を痛めて生んだ愛しい我が子よ!
子供がいないなら離縁して平民になり生きていってもいいけど、子供がいるなら話は別。
私は自分の息子の為、そして私の為に離縁などしないわ!
無関心夫なんて宛にせず私が息子を立派な侯爵になるようにしてみせるわ!
前世60代女性だった孫にばぁばと言われていたベレッタが立ち上がる!
無関心夫の愛なんて求めてないけど夫にも事情があり夫にはガツンガツン言葉で責めて凹ませますが、夫へのざまあはありません。
他の人たちのざまあはアリ。
ユルユル設定です。
ご了承下さい。
【完】ゲームの世界で美人すぎる兄が狙われているが
咲
BL
俺には大好きな兄がいる。3つ年上の高校生の兄。美人で優しいけどおっちょこちょいな可愛い兄だ。
ある日、そんな兄に話題のゲームを進めるとありえない事が起こった。
「あれ?ここってまさか……ゲームの中!?」
モンスターが闊歩する森の中で出会った警備隊に保護されたが、そいつは兄を狙っていたようで………?
重度のブラコン弟が兄を守ろうとしたり、壊れたブラコンの兄が一線越えちゃったりします。高確率でえろです。
※近親相姦です。バッチリ血の繋がった兄弟です。
※第三者×兄(弟)描写があります。
※ヤンデレの闇属性でビッチです。
※兄の方が優位です。
※男性向けの表現を含みます。
※左右非固定なのでコロコロ変わります。固定厨の方は推奨しません。
お気に入り登録、感想などはお気軽にしていただけると嬉しいです!
美形×平凡のBLゲームに転生した平凡騎士の俺?!
元森
BL
「嘘…俺、平凡受け…?!」
ある日、ソーシード王国の騎士であるアレク・シールド 28歳は、前世の記憶を思い出す。それはここがBLゲーム『ナイトオブナイト』で美形×平凡しか存在しない世界であること―――。そして自分は主人公の友人であるモブであるということを。そしてゲームのマスコットキャラクター:セーブたんが出てきて『キミを最強の受けにする』と言い出して―――?!
隠し攻略キャラ(俺様ヤンデレ美形攻め)×気高い平凡騎士受けのハチャメチャ転生騎士ライフ!
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる