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1章 前編

迷いの森にて(森の王は腹ペコだったらいし)

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グゥーー............

 何処からともなく、盛大な音が鳴り響いた。
 とりあえず、ドレイクとサリーとライラに視線を向けるが、彼らは首が千切れんばかりに首を振る。ちなみに、レインも鳴っていないので消去法で目の前の精霊王に目を向けると、彼は顔を真っ赤にして俯いて頭を掻いていた。どうやら照れているようだ。

「だっ............だって、美味しそうなんだもん」
 しばしの沈黙の後、精霊王は横に顔を向け人差し指同士でイジイジしながら目を細めている。ちなみに、真っ赤になった頬をプクッと膨らませ、目線だけレインたちに向けている。開き直ったらしい。そして誰得なのだろう?

「 一緒に食べます?」
「えっいいの?」
 レインが笑いをこらえながら言うと、精霊王は満面の笑みで聞いてきた。正直に言うとかなり作り過ぎていたので、余ったら大皿に取り分けてマジックバックにしまう予定だった。
 ここでもゲーム使用みたいで、皿にラップをしていなくてもバックの中が悲惨なことにならないらしい。時間も止まるしかなり便利なのではないだろうか?
 まぁ、大食漢(?)ドレイクがいるので余るかは不明だが......。

 それに、こちらが食べている間ずっと目の前で指を咥えながら見られるのもちょっといたたまれないし、みんなで食べればもっと美味しいだろうしね。知らんけど。

 という訳で、人数分のスプーンやフォーク、箸や木皿などをバックからだし机の上に置き、レインはおたまやトングを持ち配膳していき、ドレイクは各席に料理を運んでもらった。手伝ってくれたドレイクには、中皿に山と持った野菜炒めとスープを渡した。たんとお食べ。
 もしかしてこれが狙いだったのではないかと思うレインでした。




 いやね。圧巻だね。
 今、レインはある光景を見ながら野菜炒めをモグついている。それは、ドレイクと精霊王が結構なスピードで野菜炒めとスープを食べているからだ。
 ドレイクはいつもながらの大食漢で片手に自分の身長の半分ぐらいある箸を器用に持ち、平然と平らげていた。
 しかし、精霊王もかなりの大食漢だとは......思いもしなかった。仕草は気品がありながらもそのスピードは緩めず。とても気に入ったようだ。

 何はともあれ、満足してくれているなら何よりだ。
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