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第十一話 知らない顔
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アルバイトを終え、林田は急いで自転車を漕いだ。こんなに遅いともう寝てしまったかもしれない、せっかくの夜の時間が潰れてしまう。誰もいない公園の中を横切って近道をした。
遠くに見える家の明かりはまだついていた。林田は漕ぐペースを上げる。昼間にお預けされた分いっぱい可愛がってもらうんだと、気持ちが浮き足立つ。
玄関のドアを開けて、命令される前に全て服を脱いだ。それから首輪を付けてリビングに走る。
「・・・遅かったか」
鬼崎はソファで寝息を立てている。林田は足元に跪いて項垂れた。じっとその顔を眺める、触ってもらえなかった身体が切ない。いったい自分はどうしてしまったのか。こんな変態じみた趣味なんて無かったのに、最近はこの男の興奮した顔が見たくてたまらなくなる。
林田はくんくんと男の首筋の匂いを嗅いだ。身体の奥底がじんわりと熱を持つのを感じる。
この感情は何なんだろう?
自分はこの男のことが好きなんだろうか?
分からない・・分からないけど、寝ている男の唇にキスを落とす。無抵抗の唇を気が済むまで舐め回し続けた。傍に居る温もりが心地よくて眠くなり、ここから動きたくないと思った。
林田はそのまま目を閉じた。
「蓮太郎、起きて」
名前を呼ばれ、林田はぼんやりと顔を上げた。まだ明け方前で、部屋の中も外も暗かった。視界も頭もはっきりしてくると、状況が思い出され、慌てて立ち上がった。何も履いていない素っ裸の股間が丸見えになる。
ソファに上体を起こした鬼崎の目が林田のそこに向いた。視線を感じて、林田は死にそうなほど恥ずかして眩暈がした。
「・・・はあっ・・はあっ」
それなのに、また呼吸が早くなる。やっぱり俺はおかしい、林田の目に涙が滲んだ。「見・・・見ないでっ・・・」と思わず言葉が突いて出た。
「蓮太郎」
鬼崎がソファから立ち上がり、見下ろされて名前を呼ばれる。低く、腹の奥に響く声に背筋がぞくぞくする。正直な身体はすぐに反応して、熱が中心に溜まっていく。
「あ・・あ・・」
「どうして欲しいの?蓮太郎」
鬼崎は涎を垂らしたそれを指先でつぅと撫で、根本を強く握った。
「・・ひあっ」
「どうして欲しいの?ん?」
囁きながら耳をねっとりと舐る。内側から広がる痺れに脳が溶けそうになる、何も考えられずに腰が揺れた。
イキたいのに、イケないっ・・
林田は潤んだ目でご主人様を見上げた。
「・・・あぅぅ」
「ふっ・・まあ、いいや。今日はそれで許してあげる」
顎を掴まれ、唇を吸われる。
「・・・んぅ・・んうう!」
先走りがグチュグチュと音を立てる。数秒も経たないうちに腰が跳ね、吐き出された精液がソファにかかった。男の手は止まらずまた動き出す。先っぽを重点的に擦られると、腰が引けて身体がビクビクと震える。次第に込み上げてくる何かを感じて、男の腕にしがみついた。
「・・・ひっ・・やっ・・やだっ」
「ほら、イキたいんでしょ?我慢しなくていいよ」
「・それ・・だめ・・・ひぃっ」
林田の身体が強張る。排泄音と共に噴き出した何かが鬼崎の手をぐっしょりと濡らした。股間からもぽたぽたと水滴が垂れ、床に出来た水溜りの上に腰を抜かした。
「本当に粗相しちゃったね」
「・・・うわあああ!」
林田は顔を覆ってうずくまった。ツンと独特のアンモニア臭が鼻をつく。カーテン越しの空が少しずつ明るくなっていた。朝日に照らされる自分の姿に、林田の羞恥は限界を超え、ぼろぼろと涙が溢れ出す。
「・・・やだって言ったのに!」
赤い目をして鬼崎を睨むと、男は困ったような顔をしていた。
「なんで、なんであんたが困ってるの?恥ずかしいのは俺でしょ!」
「・・・いや、そうじゃないんだ」
「そうじゃないって何⁈」
男は妙に落ち着きの無い様子で視線を逸らし、前髪をガシガシと掻いた。上目遣いに見上げていた林田をチラリと見て、ごくりと喉を鳴らす。
「すまない・・」
そう聞こえたのと同時に後ろに身体が押された。ソファの上に仰向けに倒れた林田を鬼崎が組み敷く。のし掛かった男の余裕の無い表情に、これまでとは違う本気の高ぶりを感じた。
強い力で大きく両足を開かされて、一度も触れられたことの無い秘口に硬いものが押し当てられる。
「え・・・?」
鬼崎がぐぐっと体重をかけた。凄まじい圧迫感に呻き声が漏れる。無理矢理入り口が割り開かれて、わずかに先がめりこんだ。
「・・・痛い!・・痛いって!やめて!」
泣きながら『止めて』と乞う林田を見下ろして、鬼崎はさらに腰を押し進めた。侵入してくる男の性器と中が擦れる痛みに歯を食いしばる。慣らしもせず、潤滑剤も使われないこの行為に苦痛しか感じられない。
「良い加減にしろっ!」
林田は大声で叫んだ。痛みと恐怖で身体がガクガクと震えていた。
ようやく鬼崎は動きを止めた。怯える林田の姿にハッとしたように我にかえり、中から自身を引き抜く。
「どいて」
「ああ・・すまない」
鬼崎はのろのろと身体を退ける。呆然とする男を一人残して、林田は逃げるようにリビングを飛び出した。
遠くに見える家の明かりはまだついていた。林田は漕ぐペースを上げる。昼間にお預けされた分いっぱい可愛がってもらうんだと、気持ちが浮き足立つ。
玄関のドアを開けて、命令される前に全て服を脱いだ。それから首輪を付けてリビングに走る。
「・・・遅かったか」
鬼崎はソファで寝息を立てている。林田は足元に跪いて項垂れた。じっとその顔を眺める、触ってもらえなかった身体が切ない。いったい自分はどうしてしまったのか。こんな変態じみた趣味なんて無かったのに、最近はこの男の興奮した顔が見たくてたまらなくなる。
林田はくんくんと男の首筋の匂いを嗅いだ。身体の奥底がじんわりと熱を持つのを感じる。
この感情は何なんだろう?
自分はこの男のことが好きなんだろうか?
分からない・・分からないけど、寝ている男の唇にキスを落とす。無抵抗の唇を気が済むまで舐め回し続けた。傍に居る温もりが心地よくて眠くなり、ここから動きたくないと思った。
林田はそのまま目を閉じた。
「蓮太郎、起きて」
名前を呼ばれ、林田はぼんやりと顔を上げた。まだ明け方前で、部屋の中も外も暗かった。視界も頭もはっきりしてくると、状況が思い出され、慌てて立ち上がった。何も履いていない素っ裸の股間が丸見えになる。
ソファに上体を起こした鬼崎の目が林田のそこに向いた。視線を感じて、林田は死にそうなほど恥ずかして眩暈がした。
「・・・はあっ・・はあっ」
それなのに、また呼吸が早くなる。やっぱり俺はおかしい、林田の目に涙が滲んだ。「見・・・見ないでっ・・・」と思わず言葉が突いて出た。
「蓮太郎」
鬼崎がソファから立ち上がり、見下ろされて名前を呼ばれる。低く、腹の奥に響く声に背筋がぞくぞくする。正直な身体はすぐに反応して、熱が中心に溜まっていく。
「あ・・あ・・」
「どうして欲しいの?蓮太郎」
鬼崎は涎を垂らしたそれを指先でつぅと撫で、根本を強く握った。
「・・ひあっ」
「どうして欲しいの?ん?」
囁きながら耳をねっとりと舐る。内側から広がる痺れに脳が溶けそうになる、何も考えられずに腰が揺れた。
イキたいのに、イケないっ・・
林田は潤んだ目でご主人様を見上げた。
「・・・あぅぅ」
「ふっ・・まあ、いいや。今日はそれで許してあげる」
顎を掴まれ、唇を吸われる。
「・・・んぅ・・んうう!」
先走りがグチュグチュと音を立てる。数秒も経たないうちに腰が跳ね、吐き出された精液がソファにかかった。男の手は止まらずまた動き出す。先っぽを重点的に擦られると、腰が引けて身体がビクビクと震える。次第に込み上げてくる何かを感じて、男の腕にしがみついた。
「・・・ひっ・・やっ・・やだっ」
「ほら、イキたいんでしょ?我慢しなくていいよ」
「・それ・・だめ・・・ひぃっ」
林田の身体が強張る。排泄音と共に噴き出した何かが鬼崎の手をぐっしょりと濡らした。股間からもぽたぽたと水滴が垂れ、床に出来た水溜りの上に腰を抜かした。
「本当に粗相しちゃったね」
「・・・うわあああ!」
林田は顔を覆ってうずくまった。ツンと独特のアンモニア臭が鼻をつく。カーテン越しの空が少しずつ明るくなっていた。朝日に照らされる自分の姿に、林田の羞恥は限界を超え、ぼろぼろと涙が溢れ出す。
「・・・やだって言ったのに!」
赤い目をして鬼崎を睨むと、男は困ったような顔をしていた。
「なんで、なんであんたが困ってるの?恥ずかしいのは俺でしょ!」
「・・・いや、そうじゃないんだ」
「そうじゃないって何⁈」
男は妙に落ち着きの無い様子で視線を逸らし、前髪をガシガシと掻いた。上目遣いに見上げていた林田をチラリと見て、ごくりと喉を鳴らす。
「すまない・・」
そう聞こえたのと同時に後ろに身体が押された。ソファの上に仰向けに倒れた林田を鬼崎が組み敷く。のし掛かった男の余裕の無い表情に、これまでとは違う本気の高ぶりを感じた。
強い力で大きく両足を開かされて、一度も触れられたことの無い秘口に硬いものが押し当てられる。
「え・・・?」
鬼崎がぐぐっと体重をかけた。凄まじい圧迫感に呻き声が漏れる。無理矢理入り口が割り開かれて、わずかに先がめりこんだ。
「・・・痛い!・・痛いって!やめて!」
泣きながら『止めて』と乞う林田を見下ろして、鬼崎はさらに腰を押し進めた。侵入してくる男の性器と中が擦れる痛みに歯を食いしばる。慣らしもせず、潤滑剤も使われないこの行為に苦痛しか感じられない。
「良い加減にしろっ!」
林田は大声で叫んだ。痛みと恐怖で身体がガクガクと震えていた。
ようやく鬼崎は動きを止めた。怯える林田の姿にハッとしたように我にかえり、中から自身を引き抜く。
「どいて」
「ああ・・すまない」
鬼崎はのろのろと身体を退ける。呆然とする男を一人残して、林田は逃げるようにリビングを飛び出した。
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