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第一章 幼少期

番外編 紫苑の気付き

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僕はお父ちゃんとお母ちゃんには良く人間には気をつけなさいと良く言われていたんだ。
でも僕はそこまで警戒なんてしないでもと今なら思う。
だってこんな暖かい温もりなんてお母ちゃん以来知らないから。

暖かい波動と緩やかな雰囲気、黒い髪が艶やかで垂れたときに僕の顔に当たる感触がくすぐったいのに癒される。
包まれるようにぎゅっと抱きついてくる小さな人間。

じっと眺めていると小さな人間はどうかしたの? と首を傾げる。

僕は小さな人間の行動がなにを示してるのかわからず、同じように首を傾げると何故かパアって明るい表情になってから

「もうーーー紫苑ってば! 可愛い!!」

とか言って抱きしめられる。

ちょっと苦しいから離せと抵抗するも小さな人間には通用しないようでフフフと笑うから観念してなされるままになる。

だって普段はあんまり表情を見せないのに、こんな光輝くような顔をするならいいかと何故か思えた。

そういえば、この人間アルセイヌにあった時もひかれるようきたっけ。

僕はお父ちゃんとお母ちゃんにもうそろそろ独り立ちの準備段階に狩りをするようにと兄弟達とそれぞれ場所場所で散って狩りをしていたんだ。

けどフェンリルの子供は珍しいのもあって悪い人間に捕まる可能性もあると注意されていたのに、僕は空腹感あってふらふらーと良い匂いがした方向に進んだ先に美味しそうなお肉にひかれて、つい罠に嵌り足に傷を負い叫んだ!

「きゃうっっっ!! ワンーー!!」

痛い!助けてって!!

叫んだ叫んで、そしたら黒い匂いがした。

この匂いは敵意、僕を害意する存在だと認識する。

グルルルーーー!! 
警戒で近づく匂いに鳴くと、やはり思ったとおり禿げた人間にふっくらした豚っぽいやつが現れて僕を品定めするように見られて嫌悪する。

僕は本能のまま、奴らはすぐに殲滅しないと兄弟も狙われるように感じ、足に雷光を放ち壊す。

体は小さいが僕らは神獣であり、プライドだってある!
お父ちゃんとお母ちゃんにこんなみっともない姿見せられるか!!!

グオオオオ!!

勝負は時の運、奴らには徹底的に攻撃と抵抗した隙に僕は逃げた。あまりにも力の差があるから。
悔し涙を噛み締めて僕は傷を負った足で走った。

走って走って走って、力尽きた。


そして僕はアルセイヌの小さな人間に出会ったんだ。

さっきの戦闘でのと人間の卑しさの黒い匂いで警戒心が大きかったのに触れられた瞬間と見られた瞬間、近くにいたいと強く惹きつけられたんだ。

暖かい波動が僕には癒しだと知ってから側にいる。
だから知るんだ、アルセイヌの小さな人間が僕にとって大事な存在になることに。

それはまだ先の未来。


「アルセイヌお嬢様、紫苑に構うのもいいですが。この後には予定があるので身支度して下さい。」
「うーー行きたくないよー。」

ちょっと思いふけってたら、小さな人間が大きな人間に嗜められている。

「ですが行かないとお嬢様の制定検査がただ引き伸ばすだけですよ。」
「~~~むうーーわかった行く。でも紫苑残していくのが心配なんだもん。」
「ふむ。では紫苑に聞いてみてはどうですか?」

ポンっと手を叩いて良い案を思いついたような素振りをする大きな人間が僕の方へと向くなり、まっすぐに見つめてくる。

「紫苑様、この部屋でしばらくお一人でお留守できます?」

お留守番?
僕置いてかれるの?

しゅんと落ち込むと小さな人間アルセイヌが不安そうに僕をみていたことに気づいた。

「やっぱり紫苑も!」
「却下です! 神聖な儀式に連れて行くと取り上げられてしまいますよ。フェンリルは神獣、神遣いとも称されてますから。」
「う! うん。紫苑ちょっとだから、用事終わったらいっぱい遊ぼう、だから良い子でお留守番してくれる?」

ふむ。僕が側にいたいけど、君も同じ気持ちなんだね。
こんな不安そうな顔、君には似合わないから。
僕が寂しがってちゃダメだよね。

それに僕は神獣だ! 
1人でお留守番だってできるんだから。
大丈夫だぞ小さな人間アルセイヌ!!

「ワン! わううう、ワン!!」

だから元気出せ!

ペロペロと小さな人間アルセイヌのおててを舐めてやると、へへと口元が緩んでいる。

「お留守番できると返事してくれたようですね。やはりアルセイヌお嬢様と.......ふむ。」
「ふふ、紫苑は良い子だもんねー。じゃあ行ってくるから待っててね。」

大きな人間はちょっと思いふけっているようだが、小さな人間アルセイヌが元気出せたことだけが僕には嬉しい。
何処行くのか知らないけど頑張れ!

「ワン!」

そっと優しく頭を撫でてから小さな人間アルセイヌと大きな人間が出ていく。
静かになった部屋に僕はただ欠伸をして眠ることにした。

しばらく寝て起きた時には夕暮れ刻になっていて、部屋は相変わらず静寂を保っていた。

小さな人間もいないようだ。

まだかえってないのだろう。
そんなとき小さな人間アルセイヌの側で良く働くふわふわの人間が部屋に入ってくる、何処か忙しないから疑問で観察してるも僕の存在を忘れているように感じ、1鳴きしたらビクってなって僕をみて安堵していた。

「良かった紫苑様ですか?」

ふむ、僕をみて安堵とは謎なことを言う人間だね。

「えっとですね、アルセイヌお嬢様が今日何故かまたお倒れになったんです! それも熱を出して....いま屋敷の救護室に寝てるのですけどって紫苑様!!」

小さな人間アルセイヌが倒れた!!!
それも熱って、人間は脆いんだと学んだ僕は静止するふわふわの人間を無視して駆けた。

駆けて駆けて駆け抜けて、小さな人間アルセイヌの匂いを探し着く。

そこには小さな人間アルセイヌがベッドに寝かされ苦しそうにしていた。

「くそ!! まさか...あんなことに、頼む治ってくれアルセイヌ!!」
「私がついていて、すまない。」
「おまえが悔やむ必要などない、あんな事態想定してなかったのだ。」

大きな人間と小さな人間アルセイヌの親までも悔しそうになっている。

なにが起きて....って小さな人間アルセイヌのおててにあるリングが変わってる?

何処かドス黒匂い。敵意。

「おや、紫苑様が何故ここに。」

ヒョイって掴まれてびっくりしてたけど、リングに目がいってたせいで気にならなかった。

「へえー紫苑様ってすごいな。グライハイム様、対処法見つかったかもしれませんよ。」
「なに!!」
「腕輪です、確かアルセイヌ様は行くときにグライハイム様のプレゼントの腕輪をはめていたはず、ですが色が変わっているんですよ、それ。」

バッと2人してアルセイヌのおててを見て気づく。

「何故わかった。」
「あー私じゃないですですよ、彼かな紫苑君。」
「.......紫苑様がか?」
「遣いものとはこの意味か。なるほど、ならば早急に急ぎ浄化と腕輪を外せ! 後は治療師が補助しておくように。」

的確に支持を出していき、人間達が忙しなく動く。その後に僕を小さな人間アルセイヌの親が彼女の側に置いてくれた。

「アルセイヌを守ってくれ、何事にも...頼む。」

そっと優しく頭を撫でてくる手触りには何処か不安定さがある気がした。
似てるね小さな人間アルセイヌに。

『アルセイヌを守ってあげるよ!』

ワン!って良い返事をしてやれば、親は一瞬驚きの表情を見せるも頷き小さな人間アルセイヌに向くと決意の表情のあと出ていった。

なんか言葉通じてる気がしてしまうのは僕の気のせい?

「うーー紫苑、何処。」

ポンポンって手触りしてる小さな人間アルセイヌにちょっと嬉しくてめっちゃ側に行くとぎゅっと抱きしめて「紫苑だあ。」って呟いた後に眠る。

変な人間、でも僕は小さな人間アルセイヌが大事。
そう思う。

くあーー僕も寝よう、おやすみアルセイヌ。
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