上 下
3 / 3
第一章

俺の家族1

しおりを挟む
頭を抱えて父を見ると、やはり怒っているようで目が据わっていらっしゃる。じとーーーと睨んでいるから絶対に説教されるんだろうなあーと身構え、文句言わずにいるんだが。

どういうわけか思っきり呆れたように溜息つかれたんすけど。

「怒らんのですかい、父さん。」

恐る恐る怒らないわけを聞こうと口にしたら、今度はゲンコではなく頭に大きくて逞しく手が乗せらてワシャワシャと無言で撫でくり回される。

さすがに頭置かれて父の動向を探る意味で油断をした俺が悪いんだけど、何してんだよ!
せっかくの頭セットしたのぐちゃぐちゃになんだろうが!

「やめれい父さん。」
「がはははーー怒らんと誰が言ったーー!! これでも我慢してやってやちょるんじゃ、本来ならもっと乱暴にしてると思いがな。」
「うっ! 確かにーーーって、目が回るんですが良い加減!」

ぐりぐりワシャワシャ、グルングルンと父さんの手で操り人形劇の如く振り回されて、さすがに文句言わずにいられずに言ったら、俺の状況を確認して手が離れた。

まだまだぐるぐるする頭を落ち着かせた後、父さんを見るとジーっと何故か見てくる。

「なんだよ、俺なんか見てさあ。」
「いやなあーこんなチビっこい身体でよくもなあーあんなもん討伐してきたなあーって思ってな。」
「チビで悪いか! まだまだ成長段階だからな!」
「まあー私の息子だからやれるのかもな、うんうん。」
「おい、コラ! 俺を無視すんな!!」

ぐぬーーと父さんの無視攻撃に拗ねる俺に対し父さんはブツブツと納得したんだが、不意に俺を見るなり急に真面目な表情され。説教モードに父さんの顔が出現した。

ゲッ、説教モードだ、さっきの間に逃げとけば良かったかもしれん。

と後悔しても事の祭り、父さんからの説教が3時間続き解放されたのち、後で応接室までこいと言い残し去っていきホッと安心するも、アンナからの追撃の如くの言及と心配していたぶんの愚痴イコール文句という名の説教が1時間言われのであった、ちーん!ガク!

さて魂の抜け殻にあってからしばらく経ったあと、魂が復活してから部屋を出たときだった、急にガバって俺の脇を掴み持ち上げられる衝撃!
なんじゃあーって驚いたが、持ち上げてきた人物を見れば一番上のアーシャがいた。

紫髪をオールバックにして、後ろ髪は僅かに長く首あたりで赤いリボンで結んでいる。
服は仕事用なのか騎士服でカッコイイ!

「アーシャ兄様、急に抱き上げないで下さいよびっくりするから。」
「ははは、すまんすまん。ちょっとばかし疲れて帰ってきたら、庭にあんなもんあって、ついお前の事が心配になってな。まったく、ここ最近はモンスターは活発している時期って言ってもよ、オレんとこにあんなモンスター置いとくなよな、一瞬心配なるじゃんか?なあー?」
「ギク! そうだねーー。」

つい目線が俺を見てた気がして逸らすと、はあーと父さんと同じ溜息をつかれつつ。

「まあいいけど、ほどほどにしておけよ。さて可愛い弟をこのままさらってこうかな!」
「え? 何故!?」
「庭師の爺さん怒ってたからなあー一緒に謝ってやろうかと。どうせ親父に呼ばれてんだろ、ついでにな。」

パチンとウインクされつつの提案に、あっ! モンスターあのまま出しぽあだと、庭師の爺ちゃんカンカンだよなーー父さんの説教とアンナの説教で時間食ったもんなあーと思い出した。

アーシャ兄様の提案はすこぶる助かる。

「ありがとうアーシャ兄様助かります。」

ぺこりと頭を下げてお礼を言って見ると、うんうんと頷き次には庭の方向へと向かって行った。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

スキル『睡眠』で眠ること数百年、気づくと最強に~LV999で未来の世界を無双~

雪月花
ファンタジー
異世界に転移した少年・斑鳩真人。 彼に与えられたのは眠るほど強くなるという『睡眠』と言うスキル。 幼馴染の親友達と共に異世界を旅していた彼は仲間達より「試しに最大まで寝てみたら?」と言われる。 真人もそれに乗ってスキル『睡眠』で眠れる最大を選択すると――数百年が経過していた! 目覚めた真人はレベル999という最強の存在に! だが、目覚めたその世界では自分や幼馴染達の記録が抹消されていた。 それだけではなく、“全くの別人達”がこの世界を救ったことになっていた。 自分が眠っている間に何が起こったのか? かつての仲間達はどこに? そして、この“別人”達は何者なのか? 眠り続けること数百年。最強となった主人公はかつての仲間達の足取りを追い、世界に隠された秘密へと挑む。 ※小説家になろう、カクヨム、アルファポリスにて同時掲載しております

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》 【書籍化!】 コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。 早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。 そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。 道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが… ※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜 ※カクヨム様でも投稿をしております

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

知識を従え異世界へ

式田レイ
ファンタジー
何の取り柄もない嵐山コルトが本と出会い、なんの因果か事故に遭い死んでしまった。これが幸運なのか異世界に転生し、冒険の旅をしていろいろな人に合い成長する。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

処理中です...