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学園編(初等部)

校則違反は禁止

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今日は全委員会の生徒達を集め、学園祭のイベント説明会である。

2日前に急いで仕上げた。各委員会の配置と役の説明と今後の決め事。

それから、作業は始まった。忙しくて仕方ない。休憩している暇もない。


ーーあれから、2週間と言う月日が経過した。


キングはやるべき仕事が山積みである。しかし、ペースを落とすと順序よく片付かない。

「セシリア様、少し休まれてはどうですか?セシリア様のおかげで作業は丁度いいですから。」

「大丈夫ですよ。ここの作業で最後ですから。心配させてごめんなさいね。」

「いえ、どうかお身体を大切にして下さいね。何かあれば、私達を頼って下さい。」

「ありがとうございます。」
アイラの言葉に礼を言う。

後、1週間後には準備の殆どを終わらせなくてはならない。

生徒達も準備の殆どを、終了させている頃だろう。これで問題が起きなければ大丈夫。

「セシリア様!とある部活の生徒が!」
ですよね~。

「直ぐに向かいます。」
私は立ち上がる。

移動中に粗方の事情は報告された。何でも、星研究会の部員が抗議の声を上げているらしい。

星研究会とは、言わば天体観測的な事をしている部活である。

抗議内容は、勿論学園祭の内容だそうだ。星研究会の出した案を却下したからだそう。

しかし、却下しなくてはならない内容なのだ。仕方ないと思う。

何故、星を少しでも近くで見る為にタワーらしき物を建てねばならん。

費用も人員も時間だって、何一つ足りないのだ。一つの部活にそこまでする理由はない。

抗議の言葉も、それなりの対策と計画を立ててからして欲しい。

「皆さん!ガーディアンズに提出した内容を却下されました。おかしいでしょう!」

「そうです!本来は学園をより良い物にするべき方達が我等の意見を拒否する。」

「そんな事はあってはならない!皆さんも抗議の声を上げるべきです!」

大きな声で、4、5人の男子生徒が声を上げている。周りの反応は様々だ。

納得する者・同意する者・批判する者・難儀する者と様々である。

「変えたいと言う意思があるのなら、私へ直接抗議の言葉をかければよろしいではありませんか。」

私の言葉に皆が顔を向ける。私の顔を見て、驚きの表情をする。

しかし、抗議の声を上げていた者達は私を見て、馬鹿にした様に鼻で笑う。

「ふっ、自分の評判を下げない為ですか?馬鹿馬鹿しく図々しい女性ですね!」

「育ちが知れるな。侯爵家はどの様な教育を貴女にしているのでしょうね。」

我が侯爵家を馬鹿にするなんて!そう思ったが、1人は公爵家の人間らしい。

だから、そんなに強く出られるのか。冷静に分析する私。その周りは顔色が悪い。

公衆の面前で、メルファーナ侯爵家を馬鹿にしたのだから。

「いえ、私へ抗議の言葉を言わず、公衆の場にて人を馬鹿にする貴方方の態度を言っているのです。」

「何だと!?人が下手に出ていい気になるな!俺は公爵家だぞ!貴様より地位は高いんだ!」

この学園は身分を振りかざす事は許されない。皆が平等に生活する為に。

「では、貴方は身分を振りかざし、我が家と対立すると言う事ですか?」

「ふん。これ以上、デカい口を叩くならその通りにしてやろう。」

「そうですか。そんな事は置いておいて、此方にも抗議の言葉を送ります。」

「そんな事だと!?我が公爵家に対して、不敬な言葉だぞ!」

そんな事、私にはどうでもいい。こっちは学園祭の準備に忙しいのだ。

「貴方方が提案した内容は、人員・費用・時間と不足があります。」

「詳しい内容を提示した書類は、お渡しした筈ですが?」

「だからなんだ。ガーディアンズは学園をより良い物にするものだ。皆、平等にな。」

「ええ、だからこその書類です。各自の部活に費用と人員に時間を平等にする為です。」

「だが、生徒の意見を取り入れるのも、貴様らの役目だぞ!」

「貴方様の提案は無理があります!これは最初から決められた内容なのです!」

「貴様!たかが、伯爵家如きが俺に意見するな!そんな事も出来ないなんて、馬鹿か!」

アイラに罵声を浴びせる馬鹿。今さらりと、自分より身分の高い者達も馬鹿にしたな。

「ならば、貴方にはさぞかしいい提案があるのでしょう。その対策を行なって頂ければ構いません。」

「そんなの、学園長に出して貰えばいいだろう。何を簡単な。」

此奴はアホである。
「出来るわけないでしょう。」

アイラが溜息をついた。その態度に怒りを向けたのは馬鹿である。

「貴様の家など、我が公爵家ならば簡単に潰せるんだぞ!愚か者!」

「この学園にて身分を振りかざす事は、校則違反ですよ。」

「そうだったな。ならば、学園以外の場で貴様の侯爵家を潰してやる!」

「ほう。それは、我が侯爵家に宣戦布告すると言う事ですか?」

「そうだ!」
馬鹿は知らない。

この学園の校則こそが、馬鹿を守る為のものだったのだから。

馬鹿は自分で自分の首を絞めたのであった。周りは馬鹿の神経が分からなかった。

「分かりました。お父様に連絡し、公爵家へ正式な抗議の言葉を送らせて頂きます。」

「やれるものなら、やってみろ!」
終わったな、あの馬鹿。

皆の心の声が重なったのであった。セシリアの父に連絡が行けば、許さないのは目に見えている。

まあ、侯爵家の力を振るわなくても、公爵家など潰すのは簡単だ。

私は多くの顔を持つ者。時に商人・薬師・情報屋である私なのだから。

「馬鹿者!」
そう言って、馬鹿を叩いたのは……。

そう。お馬鹿さんの姉である。
「セシリア様になんて事を!」

実はこの姉は、セシリアファンクラブの一員であり、とても敬愛しているのだ。

まあ、そんな事はセシリアは知らないのだけど……。

「姉上、何故ですか!?」
「この事はお父様に聞くのね。」

「貴様のせいだぞ!セシリア!」
「セシリア様を呼び捨てにしないで!」

馬鹿は姉に連れて行かれた。一先ず、この案件は片付いただろう。

その後、公爵家から謝罪が来たのは言うまでもない。

しかし、公爵家の息子の態度に、家族と使用人が激怒した。

止めるこっちの気にもなって欲しい。家に帰っても書類整理をする私。

次の日、私は無理矢理ガーディアンのメンバー達、委員会の者達に休憩を余儀なくされた。

「アイラ様、私はまだ書類整理が残っているのだけど?」

「セシリア、無理をし過ぎだ。優秀なのは分かるが、それにも限度がある。」

「そうです。個人に出来る分担の量を考え、内容の細かな書類の対策も。」

「正直に言えば、身体の体調面を気にします。」
イトナの言葉に頷く一同。

「セシリア様!今日は、休憩を挟んで下さい。周りを頼って下さい!」

「ええ、お心遣い感謝します。私なりの休憩はしていますので、大丈夫ですよ。」

「大変です!」
今日も平穏など、ありませんね。


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