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学園編(初等部)

金獅子の反乱

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私はアシンに攻撃していた2人を見る。

1人は赤色の腰まであるメッシュが入った黒翡翠の髪に、金糸雀色の瞳をした美青年。

もう1人は毛先が白く淡紅藤色の髪に、白菫色の瞳の美少年。

黒翡翠の髪をした青年は、黒い角が一本あるから魔族だろう。淡紅藤の髪の少年は種族が分からない。

「また増えたのか。俺様の邪魔をするなら、容赦はせんぞ。」

「あんた達は何もんだ!」
ルベルクが叫ぶ。その答えを黒翡翠の青年が言った。

「黙れ。俺様は反乱軍のゼロだ。邪魔だてするなら許さんぞ。」

反乱軍・・・金獅子の一団だろうか。つい最近、隣国である獣人国が襲われた。

その組織が反乱軍の金獅子と名乗ったらしい。
「何で来た・・・」

アシンの声は低く、こちらを睨んで来た。
「私の為に来ただけです。」

「早く行け。こいつらは強い。」
素が出てますよ~いいの?

『セシー、あいつらの後ろにある水晶、嫌な気配がするよ!』

私は敵の背後にある水晶を見る。透明感のある桃色の水晶は、絶対何かある。

「その水晶は何ですか?」
「そんな事、わざわざ教えると思うか?」

黒翡翠の青年の言葉に納得するが、知りたかったのだから仕方ない。

「これは魔物達を呼び寄せる事が可能な特殊水晶。任務もだいたい終了した。帰るか。」

あっ、教えてくれた。
「魔物を呼び寄せる!?」

ルベルクの言葉にはっとした。そうだ、問題はそっちだ。しっかりしろ私!

「ルベルクさん、この事を先生方にご報告をお願いします。」

「いいえ、僕も・・・」
「今は一刻も早く、報告するのが先です。」

「・・・分かりました。御武運を!」
そう言ってルベルクさんは走った。

〈コハク、ルベルクさんにこっそりついて行って。〉
〈どうして?〉

〈報告を妨害して来るかもしれないから。〉
〈成る程、分かった。〉

ルベルクの後をコハクが付いて行くのを確認して、視線を反乱軍の団員に向ける。

「君も早く行って!ここは俺1人で・・・」
「お断りします。キングさん1人では無理です。」

「もしかして僕達と戦うの~」
「ふん。貴様らに負けるものか。」

「ええ、確かに勝率は低いでしょう。だけど、足止め程度にはなるでしょう。」

「ふーん。そこまで言うなら多少は強いよね~ゼロ。僕はこの女と勝負するよ。」

「勝手にしろ。俺様には関係ないからな。」
「よし。それじゃあ行くよ~」

淡紅藤の髪の少年が大剣を振り下ろす。小柄な体型で凄い怪力である。

叩きつけられた大剣に地面は砕け、こちらに斬撃が飛んで来る。

私は横にそれて難を逃れる。しかし、避けた数秒で私の近くにいた。

淡紅藤の髪の少年は、大剣を横に振った。私は大剣のしのぎの部分に剣先を叩きつけた。

勢いを利用して身体を空中へ逃し、淡紅藤少年の頭目掛けて回し蹴りをした。

淡紅藤少年は背をのけぞらせ、大剣を振り上げた。私は軽い風魔法の空気弾を作った。

その空気弾にレイピアで突き、後方へ自分の身体を吹き飛ばさせた。

後少し対処が遅れていたら、間違いなく大怪我になっていただろう。

「へーやるね~。これなら少しは、退屈しないだろうね~」

内側が燃えるように熱い。緊張しているのだろうか。

どちらにしても、私は死ぬつもりなどない。私は身体強化をして強く地面を踏む。

素早く淡紅藤少年へ近づき、突きの攻撃を仕掛ける。

私の攻撃を淡紅藤少年は大剣で逸らした。大剣が重く重心を崩してしまう。

淡紅藤少年は、重心を崩した私に大剣を振り下ろす。

私は背中から地面に倒れようとしている状況。左足を後ろへ引く。

倒れるのは阻止したが、このままでは淡紅藤少年の攻撃を喰らう事になる。

私は左足を軸に時計回りで45度。大剣をすれすれで避けられた。

しかし斬撃と地面が砕けた為、私は後方に吹き飛ばされ木にぶつかった。

痛い・・・まあ、あの怪力と大剣が融合した攻撃を直接受けるよりは、断然マシである。

油断なく隙あれば攻撃したいが、迂闊にこちらから攻撃するのは有効じゃない。

「上手く避けたね~。でもさ・・」
淡紅藤少年が大剣を振り下ろした。

私は右へ避ける。勿論、淡紅藤少年の攻撃で木が倒れたよ。怖すぎる。

「強くないよね~。ただ剣を振るってるだけだし。」

私は下唇を噛む。悔しいが反論する気はない。実際に私の剣技は重みがない。

私自身、ちゃんと分かっている。今まで3年間の間、努力し続けて来た。

生きる為に。だけど経験を積んでも、基本が完璧でも剣の一振りに重みがなければ同じ事。

「あっ、でも初等部なんだよね?なら仕方ないか。まだ7歳か8歳だもんね~」

「命の掛け合いを前に、7歳だからなんて言葉はありません。生きるか死ぬか、それだけです。」

「プハッ。君、面白い事言うね~。だけどさ、君が勝てる事もないし、引き分けもないよ~」

淡紅藤少年は微笑みを浮かべているが、目は全く笑っていない。冷気さえ感じる。

抑えて戦っていたら確実に負ける。実力を抑えなくても勝てる気がしないのだから。

淡紅藤少年が踏み込んで来た。私も少し遅れて駆け出す。ぶつかり合う金属音。

大剣の上から叩きつけたレイピアで、大剣を逸らし突きの攻撃をする。

淡紅藤少年は少し下がり、大剣を振り上げた。私は直ぐに距離を取る。

互いに走り、攻撃しては避けてぶつかり合う。もう私は限界に近い。

負けたとしても、生きる為にここで私が出来る最大の攻撃をぶつけるんだ。

水魔法で小さな水滴を周りに作り出していく。水滴を作るだけなので、全く魔力を使わない。

それに無詠唱だから、何をしているか気づかれにくい。水魔法と風魔法を融合して氷を作り出す。

森の奥なので少し湿気があった為、水滴を合わせれば凍る速度も威力も上がる。

「氷華の刃」
詠唱に、レイピアの周りに氷の花が咲き茎が現れる。

そのまま淡紅藤少年に攻撃する。淡紅藤少年は大剣をぶつけて来たが、私の氷魔法で威力は通じない。

「ファイヤーソード」
淡紅藤少年が大剣に炎を纏わせたが、効かない。

今の私の攻撃は絶対零度に近い状態なのだ。そっとの火や炎では溶かす事は出来ない。

多く魔力を使うからあまり使わないけど。

「フレイムソード」
もの凄い炎を生み出した。

私の氷魔法とぶつかり合い、水蒸気が発生して爆発した。私は後ろへ吹き飛んだ。

淡紅藤少年は後ろへ下がり、言って来た。

「僕の名はハズキ。君の名前は?」
「私はセシリア・メルファーナと申します。」

「セシリア・・・覚えておくよ。君はもっと強くなるだろうからね~」

そう言って姿を消した。

パリンと何かが割れた音がした。見ればレイピアが砕けていた。

あれだけの攻撃を受けたのだ。割れても不思議ではない。

それにしても、最後の私の最大の攻撃でハズキは炎と風魔法で爆発させたのだ。

恐らく私は見逃して貰ったのだろう。私はもっと強くならないといけない。



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