上 下
2 / 42

計画を実行

しおりを挟む
次の日、私は屋敷の中にある書庫に来ている。
私はまだ4歳なので、授業は始まっていない。

しかし、4歳が書庫にいるのはおかしいので、忍び込んでいるのだけど。

つまり時間はたっぷりとある。先ずは読み書きから始めなければならない。

勿論、一人で一生懸命に学び、昼食の時間までに読みを全て覚えるのに時間がかかった。

この分だと今日一日で、読み書きに時間を費やすだろう。

午後からは、覚えたての文字で計画を立ててみよう。

先ず、剣を振るうには体力と筋力を付けなくてはならない。

どんなに子供用の剣でも、振るって剣に持って行かれては思うように振るう事が出来ない。

ストレッチならまだしも、侯爵家の令嬢が走っていたら、確実に怒られるだろう。

だけど、見られない様に何て出来る筈がない。相手の位置が分かればいいのだけど・・・


・・・そう言えば、魔法があった!人の気配を感知出来れば問題ない。

でも、魔力は大人がいないと発動させてはいけない。つまり却下となる。朝に走るしかないか・・・。

体術の事なら教える人がいなくても、自力で終わらせる事が可能。

問題は剣だ。それに裏方の隠密も知りたい。追われる身となれば、隠密を知って置いて損はない。

それに情報収集や変装などの能力も捨てがたい。追跡を消せたら逃げるのに時間を稼げる。

やりたい事は沢山あるが、教えてくれる人がいない。父親に言っても許可など出すまい。

兎に角、体力と筋力の向上を最優先に剣は警備兵の稽古場に潜入調査だ。

夕食を済ませ、メイド達にお風呂に入れられ布団に入り眠りについた。

朝早くに目を覚まし、動きやすい格好に着替え走る。結構走った頃には、汗がいっぱい。

用意していたタオルと水で汗を拭く。その後お風呂に入り朝食だ。

食べ終わり警備兵の稽古場に向かう。情報は集めていて今が、稽古の最中なのだ。

メイド達に色々聞いてみたのだ。勿論、遠回りにである。

我儘な私は屋敷の人達にあまり好かれてはいない。その為、挨拶したり話しかけたりを頑張っている。

この屋敷にいる侯爵家の使用人達と警備兵は、優秀で強い人達ばかりらしい。

そして現在、稽古場には打ち合いが行われている。素振りをしている人もいる。

成る程、そうやって稽古をするんだね。

「何をなさっているのですか?お嬢様。」

後ろの声にびくりと身体が反応する。後ろを向けばメイドのアリサがいた。

彼女は茶髪の髪にエメラルドの瞳をした可愛い15歳の女の子。

「朝に、警備兵の事を聞いたでしょう?」
「はい。」

「だから間近で見てみたくて・・・」
「なら、言ってください。一人は危ないです。」
「うん。ごめんなさい。」

私は午後にまた書庫へ、忍び込んでいる。読み書きはまあまあ出来て来た。

今日は薬草図鑑を読んでいる。色んな薬草を調べる中で聞いた事のない薬草が殆どだ。

この世界の薬草は異世界と殆ど異なるのだろう。

それに種類は書かれていても効果はあまり記入されていない。

だけど上手く調合すれば、眠り粉や煙玉を作れるかもしれない。

解毒が出来れば、暗殺の心配もない。医学もある程度覚えておこう。

逃げている最中に怪我をしてしまえば、生存確率も減るだろうしね。

今の私は物覚えが良く、知識を必要としている身としてはありがたい。

前世もこんなに物覚えが良かったらな・・・などと思っているぐらいだ。



ーーそれから1カ月が経過した現在では、少し脂肪が減って体力が付いた。

筋力も増えたので、素振りもしている。勉強も薬学と医学に調合を重点的に学んでいる。

使用人達は仲良くなり、母親はお茶を飲みながら話をしている。

母親とは随分と仲良くなり、今では溺愛である。父親とは相変わらずだ。

少しは話をしたらいいのにな。感ではあるが、高確率で父親は母親を嫌ってはいない。

むしろ好意全開。母親も父親を好いている。勘違いからのすれ違いだ。

父親もどうしていいか、分からないのだろう。

「お嬢様、どうされましたか?」
「アリサは、お父様とお母様の関係をどう思う?」

「そうですね・・・私は、すれ違いからの問題であり両思いと思います。」

「そうよね。過去に何があったのかは、分からないけど両思いなのよね。」

「お二人の関係を修復しようとしているのですか?」

「ええ。正直に言えば、当事者で解決するべき事だけど、話をして少し話してみなくてはね。」

「良い案だと思います。私は応援いたします!協力も出来る限りします!」

「ありがとう。なら、お父様にお話しできないか予定を調整してくれる?」

「はい!」
アリサは満面の笑顔で部屋を出た。

私は目に通していた本を閉じる。上手く会話が成立すればいいのだけど・・・。

《アリサ視点》
私はメルファーナ侯爵家のメイド、アリサと申します。

私はセシリアお嬢様の身の回りの事を、担当しています。

セシリアお嬢様は我儘な性格と、使用人達に嫌われておりました。

しかし、倒れられてから我儘を一切言わず、勉学に励んでおられます。

セシリアお嬢様は優しく聡明な方に、なられました。

お嬢様は、旦那様とエレイン様の間柄を気にされている様子です。

2人の良き架け橋となって頂きたい私は、お嬢様を全面協力させて頂きます。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された公爵令嬢は、真実の愛を証明したい

香月文香
恋愛
「リリィ、僕は真実の愛を見つけたんだ!」 王太子エリックの婚約者であるリリアーナ・ミュラーは、舞踏会で婚約破棄される。エリックは男爵令嬢を愛してしまい、彼女以外考えられないというのだ。 リリアーナの脳裏をよぎったのは、十年前、借金のかたに商人に嫁いだ姉の言葉。 『リリィ、私は真実の愛を見つけたわ。どんなことがあったって大丈夫よ』 そう笑って消えた姉は、五年前、首なし死体となって娼館で見つかった。 真実の愛に浮かれる王太子と男爵令嬢を前に、リリアーナは決意する。 ——私はこの二人を利用する。 ありとあらゆる苦難を与え、そして、二人が愛によって結ばれるハッピーエンドを見届けてやる。 ——それこそが真実の愛の証明になるから。 これは、婚約破棄された公爵令嬢が真実の愛を見つけるお話。 ※6/15 20:37に一部改稿しました。

婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ
ファンタジー
辺境伯爵家の次男シオンは八歳の頃から伯爵令嬢のサンドラと婚約していた。 我儘で少し夢見がちのサンドラは隣国の皇太子殿下に憧れていた。 その為事あるごとに… 「ライルハルト様だったらもっと美しいのに」 「どうして貴方はライルハルト様じゃないの」 隣国の皇太子殿下と比べて罵倒した。 そんな中隣国からライルハルトが留学に来たことで関係は悪化した。 そして社交界では二人が恋仲で悲恋だと噂をされ爪はじきに合うシオンは二人を思って身を引き、騎士団を辞めて国を出ようとするが王命により病弱な第二王女殿下の婚約を望まれる。 生まれつき体が弱く他国に嫁ぐこともできないハズレ姫と呼ばれるリディア王女を献身的に支え続ける中王はシオンを婿養子に望む。 一方サンドラは皇太子殿下に近づくも既に婚約者がいる事に気づき、シオンと復縁を望むのだが… HOT一位となりました! 皆様ありがとうございます!

【完結】愛されなかった私が幸せになるまで 〜旦那様には大切な幼馴染がいる〜

高瀬船
恋愛
2年前に婚約し、婚姻式を終えた夜。 フィファナはドキドキと逸る鼓動を落ち着かせるため、夫婦の寝室で夫を待っていた。 湯上りで温まった体が夜の冷たい空気に冷えて来た頃やってきた夫、ヨードはベッドにぽつりと所在なさげに座り、待っていたフィファナを嫌悪感の籠った瞳で一瞥し呆れたように「まだ起きていたのか」と吐き捨てた。 夫婦になるつもりはないと冷たく告げて寝室を去っていくヨードの後ろ姿を見ながら、フィファナは悲しげに唇を噛み締めたのだった。

兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。 自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。 しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。 「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」 「は?」 母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。 「もう縁を切ろう」 「マリー」 家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。 義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。 対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。 「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」 都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。 「お兄様にお任せします」 実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。

婚約破棄は受け入れますが、その溺愛は納得できません!

嘉月
恋愛
突然告げられた婚約破棄だけど、我ながら簡単に納得できた。だって私はこんなに平凡で、彼はみんなが憧れる公爵家の跡継ぎなんだもの。 素直に受け入れて帰る途中、婚約を破棄された直後に王子様から溺愛されるっておかしくないですか!? 加筆・修正しながらの公開です。

【完結】結婚式当日、婚約者と姉に裏切られて惨めに捨てられた花嫁ですが

Rohdea
恋愛
結婚式の当日、花婿となる人は式には来ませんでした─── 伯爵家の次女のセアラは、結婚式を控えて幸せな気持ちで過ごしていた。 しかし結婚式当日、夫になるはずの婚約者マイルズは式には現れず、 さらに同時にセアラの二歳年上の姉、シビルも行方知れずに。 どうやら、二人は駆け落ちをしたらしい。 そんな婚約者と姉の二人に裏切られ惨めに捨てられたセアラの前に現れたのは、 シビルの婚約者で、冷酷だの薄情だのと聞かされていた侯爵令息ジョエル。 身勝手に消えた姉の代わりとして、 セアラはジョエルと新たに婚約を結ぶことになってしまう。 そして一方、駆け落ちしたというマイルズとシビル。 二人の思惑は───……

流され追放令嬢は隣国の辺境伯に保護されました

そうみ
恋愛
【完結】国外に追放された訳あり元令嬢は、隣国の辺境伯に保護された。令嬢は拾われたお礼にと、長年培われたメイド仕事で辺境砦の生活改善を進めていく。 女っ気のない砦に突然現れた有能で華奢で可愛い令嬢に、どうやって近寄ればいいのかわからない強面辺境伯。 じれじれロマンスの予定です。 ざまぁは苦手です。ごめんなさい。

契約婚ですが可愛い継子を溺愛します

綾雅(りょうが)電子書籍発売中!
恋愛
 前世の記憶がうっすら残る私が転生したのは、貧乏伯爵家の長女。父親に頼まれ、公爵家の圧力と財力に負けた我が家は私を売った。  悲壮感漂う状況のようだが、契約婚は悪くない。実家の借金を返し、可愛い継子を愛でながら、旦那様は元気で留守が最高! と日常を謳歌する。旦那様に放置された妻ですが、息子や使用人と快適ライフを追求する。  逞しく生きる私に、旦那様が距離を詰めてきて? 本気の恋愛や溺愛はお断りです!!  ハッピーエンド確定 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/09/07……カクヨム、恋愛週間 4位 2024/09/02……小説家になろう、総合連載 2位 2024/09/02……小説家になろう、週間恋愛 2位 2024/08/28……小説家になろう、日間恋愛連載 1位 2024/08/24……アルファポリス 女性向けHOT 8位 2024/08/16……エブリスタ 恋愛ファンタジー 1位 2024/08/14……連載開始

処理中です...