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第2章・第3騎士団と魔道師団

30,王妃様の治療

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帰れると思った私達出会ったが、違った様である。

何でも、レイフィス獣王国の復興を手伝う為らしい。

まあ、恐らくそれは建前だろう。その間にあの代物を作るつもりだと思う。

怪我をした騎士達には、レイフィス獣王国で休息する様通達があったそうだ。

私はと言うと、何故か獣王国の王様にお呼び出しされた。

王様に呼び出されたと言う事は、国の重心達もいる訳で……。

蛇に睨まれた蛙の気持ちが、今の私にはよく分かる。

胃に穴が空いたり、髪の毛が抜けたりしたら、お金を請求しよう。

ちゃんとシオン団長とシン副団長もいるよ。でも、安心出来ないよね。

「今回の件、ご苦労であった。国の代表として礼を言おう。」

「レイフィス獣王国の王のお言葉、光栄に思います。」

シオン団長の騎士の礼に、私とシン副団長も騎士の礼をする。

「表を上げよ。して、そこにいる者が、魔物の毒を見破り解毒薬を完成させた者か。」

王座に座るは、金色の髪に燻んだ黄い瞳をした美形さん。

流石は王様。すっごい威圧を発してる。確か、獣王国の王はライオンの獣人と聞いた。

百獣の王だね。その隣にいるのは、宰相だろうな。

緑色の髪に青い瞳をした、眼鏡をかけている美形だ。

恐らく、鳥の獣人だと思う。まあ、現実逃避してる場合じゃないんだけど。

「はい。我が部下のレイラです。」
シン副団長が目配せする。

はいはい、分かってますよ。礼儀正しい自己紹介ですよね。

「ご紹介に預かりました。第2騎士団所属のレイラ・エバーガーデンと申します。」

「此度の件、我が騎士達を救ってくれて感謝する。」

「勿体なきお言葉、光栄にございます。」
再び頭を下げる。

「其方に頼みたい事がある。話をせねばならんが、席を変えよう。」

私達は、客室へ案内された。
「楽にしてくれ。」

この場には、私達だけでなくアーサー先生もいる。

先程の威厳ある姿はなく、陽気そうな人になった。

シオン団長とシン副団長は座るが、私は立っている。

いや、座りたくないんだよね。嫌な予感するんだ。

「我が番ティアラを助けて欲しい。」
頭を下げる獣王国の王。

「頭をお上げ下さい。王妃様がどうかなされたのですか?」

「ティアラは、コイス病にかかったのだ。」
「コイス病?」

シン副団長が私を見るので、どの様な病気か説明した。

「コイス病とは、獣人特有の病気です。毛から魔素が侵入し反発して起こるものです。」

魔素が原因なので、前世にはない病気だな。本で読んだ事だ。

「本来、獣人は獣型と人型に変化します。その過程から魔力の流れが少し違うのです。」

変化する魔力の流れから、その数秒の間に魔素が侵入する。

本来なら、その魔素を弾くのだが、時々弾ききれない時がある。

それをコイス病と言う。最初は発熱、徐々に熱が上がり、身体に痛みが走る。

などなど、身体に凄い影響をもたらす事を説明した。

「アーサー殿に見て頂きましたが、コイス病を治す方法はまだ解明されてないもので……。」

「アーサー殿の師であるクロム殿か、レイラ殿に聞いて欲しいと言われたのだ。」

解明されてない病気を、14歳の子供に聞かないで欲しい。

「レイラ殿は、医学の知識もあると、アーサー殿から聞いた。」

確かに、弟と妹が病にかかった時、直ぐに治せる様に学んだ。

片っ端から本を読んで、頭に叩き込んだ。薬学や食事の分野もだ。

医療に関する本は沢山読んでいた。勿論、獣人の病も知っている。

「ティアラを助けてくれ!頼む。」
また、頭を下げる王様。

斜め後ろに立つ宰相さんも、頭を下げる。治す方法は確かにあるが、成功するかは怪しい。

「コイス病を完治するなら、方法は2つあります。」

1つ目は、原因となる魔素を取り出す方法。この場合、とても難しい。

何故なら、魔素を探すには時間がかかるが、1番患者の身体に安全だ。

そして2つ目は、魔素を身体に馴染ませる方法だ。

これは、患者の安全性は期待できない。身体にかかる負荷があるから。

「どちらの治療になさりますか?」
王様は悩んでいる。

「レイラ殿、実はティアラのお腹には子がいるのだ。」

「「!?」」
「その子はいつ生まれるのですか?」

「もう直ぐなのだ。」
私はアーサー先生を見る。

アーサー先生は頷いた。成る程、これで納得し、理解した。

恐らく、私が言った方法は獣人の医師やアーサー先生も言ったのだろう。

では、何故出来なかったか。ティアラ様のお腹に子がいるからか。

「そうなると、身体に負担のかかる方法は無理ですね。」

「薬も子に影響するかもしれないからな。」
アーサー先生と悩む私。

「医師の皆さんで、相談した方がいいと思います。」

「そうだな。ロウド陛下、医師の皆さんに合わせて頂きたいです。」

「勿論だ。ローン。」
「私が案内します。」

獣の王様はロウド様。宰相さんがローンさんと言う名なのか。

私達は案内された部屋へ案内された。
「お待ちしておりました。」

白髪しらがに優しそうなエメラルド瞳をしたお爺さん。

その隣には、大きな眼鏡をした深緑の髪に、春翠の瞳をした美形さん。

お爺さんはヤギの獣人、美形さんはジャッカルの獣人らしい。

「アーサー先生ですよね!僕、貴方の事を尊敬していまして!」

美形さんは大興奮で、アーサー先生と握手している。

「そちらの方は?」
お爺さんは私を見る。

「第2騎士団所属のレイラと申します。」
騎士の礼をする。

「騎士の方が何故?」
不思議に思うよね。説明お願いします。

「レイラは、医学に詳しいんだ。今回の王妃様の件を一緒に考える。」

殆どの説明吹っ飛ばしたよ。詳しい説明無くしちゃったよ。

「成る程。私はトム。こちらは、助手のヤヨです。」

「君は、医学に詳しいって、あの解毒薬を作ったって噂の!」

こちらも握手しようとして来たので、話を逸らさせてもらう。

「王妃様の病状について、話し合いをする為に来ました。」

「王妃様のお腹に子がいましてな。対処が難しいのです。」

「どちらかの命が失うかもしれないな。助かる可能性はとても低い。」

「出産の日に、王妃様を治療するのはどうでしょう?」

「どう言う事だ?王妃様の体力が持つわけないだろ。」

「それを持たせるのが、私達の仕事ではありませんか。」

魔素の動きを、常に観察し出産時に同時進行する。

「だが、魔素の反発がありますよ!」
ヤヨ君が言う。

「魔素を落ちつかせる薬なら、私が調合可能です。」

「なら、反発なく楽に取り除ける。」
「だが、体力はどうするんだ。」

そう、ティアラ様は今、魔素に蝕まれ体力は削られている。

「あまり薬を飲むのは、お腹の子に悪影響ですからね。」

さて、どうしたものか。悩む所だが、ティアラ様の治療をした方がいいと思う。

「もう、今の段階で治療するのはどうでしょう。」

「確かに、王妃様の体力は魔素を取り出してから、回復させれば!」

「間に合う訳ないだろう。」
「いえ、大丈夫ですよ。」

忘れていた。いるじゃないか、体力を回復させられる人材が。

「上位回復魔法を使えるのが、2名いましたよね。」

「ああ、あの2人か。なら、行けるかもな。王妃様の治療だし。」

「出来ないと言われた場合は……。」
「その場合は締め上げるか。」

「手伝います。」
必死に止める一同であった。

この時、背中に寒気を覚える、魔導士団団長と第1騎士団所属のアビトであった。




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