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第1章・第2騎士団

14,信頼する心

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セレス君が盗賊達に、突っ込んで行ったが、あらかじめ罠が設置されていたみたいだ。

セレス君は咄嗟に避けようとするも、間に合わないだろう。

私はセレス君の所まで走り、セレス君をアレンさんとアルス君の方へ突き飛ばした。

罠は私目掛けて飛んで来た。剣で弾くが、地面の罠に腹部近くに当たった。

「くっ!」
剣で弾くと同時に後方へ下がる。

「「レイラ!?」」
2人が此方に駆け寄って来た。

「レイラちゃん、大丈夫?!」
「レイラ!……腹部から血が。」

「私は大丈夫です。皆さん、警戒して下さい。」

アレンさんとアルス君は、私を背に庇う様に立ち、剣を構える。

心配性だと思う。腹部からの出血でも、出血の量は少ないので心配ない。

私はまだ、戦えるのだから。
「……ごめん。」

セレス君が、謝って来た。
「大丈夫です。謝罪は不要ですよ。」

ここで逃げられる事だけは、避けないといけない。

私は剣を構える。盗賊達は、頭を合わせて4人だ。

4対4ではあるが、盗賊頭は私達より強いかもしれない。

「端っこの男から倒します。アルス君は、援護をお願いします。」

「「分かった。」」
「……了解。」

私は走り、1番端の男に攻撃する。素早い突きと足のステップでフェイントを仕掛ける。

他の盗賊達が、私に剣を向け攻撃して来たが、アレンさんとセレス君が防いだ。

私は標的の男に柄頭で鳩尾を突き、気絶させる。残り3名。

私は、交戦中のアレンさんの方へ走り、盗賊に攻撃をしようとした。

だが、ナイフが飛んで来て、攻撃をする前に避けた。

その間、アレンさんと交戦していた男が、距離を取った。

ナイフを投げたのは盗賊頭だ。そう簡単には、やられてくれないよね。

「レイラ、顔色が悪いよ。戦いの最中に何かあったの?」

「大丈夫です。ただの毒です。先程の罠に塗られていたのでしょう。」

私の言葉に、アレンさんとアルス君にセレス君が驚く。

「毒って……レイラ、君は後方に下がって。僕達で盗賊達を倒すから。」

「そいつの言う通りだと思うけど。毒が回ったら危ないし。」

「毒を受けて動けるとはな。」
毒の魔物と何度か戦っているからな。

師匠に毒の耐性持ってたら楽だよ。何て言われて、毒の魔物と戦った。

死ぬかと思ったけど。それに、魔力で毒の巡りを遅らせている。

「皆さん、盗賊頭は強いです。恐らく、私達では勝てないでしょう。」

「でも、レイラの毒はどうするのかな。」
「私は平気です。」

今は、盗賊達を逃がさない事が大切で、優先すべき事だ。

私達は1人の盗賊を倒す事に成功し、残りは盗賊頭ともう1人の盗賊だけとなった。

私とセレス君が、盗賊頭と攻防戦となり、アレンさんがもう1人の盗賊と戦った。

私とセレス君で、同時に盗賊頭に攻撃する。盗賊頭は私達に集中している。

私とセレス君は、盗賊頭に攻撃すると見せかけ、アレンさんと交戦していた盗賊に攻撃。

アレンさんは、盗賊頭に攻撃した。アレンさんの攻撃で、隙が出来た盗賊頭。

続いてセレス君と私が、盗賊頭に攻撃して気絶させた。

「後は動きを封じましょう。」
縄で盗賊達を縛る。

伝達してから結構な時間は経過している筈だ。向こうで何かあったのだろう。

「もう終わったんすか。」
「怪我はない?」

ヒューズ先輩とゼン先輩が走って来た。
「先輩、レイラちゃんが!」

2人は此方を見る。
「傷を負ったっすか。」

「罠に毒が!」
アルス君の言葉に目を見開く2人。

「大丈夫っすか!」
「大丈夫?!」

「はい。魔法で毒の巡りは抑えてます。解毒薬も飲んだので大丈夫です。」

「だけど、念の為に医療班に診てもらうよ。」
「……分かりました。」

私は医療班へ行き、寮での安静を言い渡された。事件も無事に解決したそうだ。

今回は、伯爵家が絡んでいたそうだ。何でも隣国と手を組んでいたそうだ。

隣国に情報を渡し、攻め入らせようとしていたそうだが、計画は潰れたみたい。

この国の国王と隣国の皇帝が手を組み、反乱分子を叩き潰す計画を立てたとか。

だけど、問題なのが今回の盗賊達である。彼らが伯爵家と隣国の反乱分子の橋渡し。

盗賊達を捕まえない事には意味がない。だけど、伯爵家が盗賊達に逃げ道を用意していた。

だから、私達の戦闘中、シオン団長達が動けなかったそうだ。

「これが事件の全貌です。」
「ありがとうございます。シオン団長。」

「いえ、毒も大した事がなくてよかったです。自分の命は大切にして下さい。」

怪我の理由を聞いたのだろうが、私は自分の命をお粗末にした事はない。

如何なる状況でも、生きる為の最善の行動をとっている。

「今回の功績の褒美を、何がいいか考えておいて下さいね。」

「なら、お給料の向上と所属の変更を願います。」

「第1騎士団ですか?」
「第4騎士団です。」

「所属変更は却下ですね。貴女は優秀な人材ですから。」

「魔物討伐の時も、今回の件も私には荷が重く向いていないと感じました。」

「いいえ、医療班は貴女の毒対策の手腕に、感心していましたよ。」

「それは光栄です。でしたら、医療班の所属変更がいいかもしれません。」

「無理ですよ。変更不可は決定事項です。諦めて下さい。」

「腹ぐ……シオン団長に聞きたい事があります。」

「言いそうになった言葉を詳しく聞きたい所ですが、質問をどうぞ。」

「私が第2騎士団に、配属された理由は何ですか?」

「気になりますか?」
聞く意味が分からない。

「当然です。シオン団長が、書類くらいはみますよね?」

「ええ、貴女の希望が通らなかった事に不満ですか?」

「私が第2騎士団に配属された理由、私を使って何か企んでいる何て事はないですよね?」

「ありませんよ。まあ、、ですが。」
シオン団長は何もない。

だが、他の上層部辺りは違うと。
「貴女は鋭い時がありますからね。」

「警戒する事は、いい事だと思いますが。」
信用するかは付き合いの長さじゃない。

長い付き合いの者であろうと、裏切る事があるのは確かなのだから。

「ええ、いい事です。しかし、その鋭さは時に邪魔と感じる方もいるのですよ。」

「分かっていますよ。」
「それはよかったです。お大事に。」

シオン団長は、退出しようと立ち上がる。
「シオン団長。」

「何ですか?」
振り返り聞いて来た。

「先程の褒美ですが、私は無しでお願いします。」

「ほう、裏は何ですか?」
「私が利用されない保証をお願いします。」

「くっくっ……あはははは!やはり貴女は面白いですね!」

そんなに笑う事ないと思う。闇に巻き込まれたくないのは誰でも同じだ。

「いいでしょう。シオン・アースノーゼルの名にかけてレイラを保証します。」

頭を撫でられる私。
「ありがとうございます?」

「何故、疑問系なのですか?」
「裏がありそうで……。」

「そう言えば、先程私の事を腹黒、と言いそうになってましたね?」

「いっ痛いんですが……。」
頭に凄い力を加えるシオン団長。

「どう言う事か、詳しく聞こうではありませんか。」


あの後、シオン団長から長々とお説教されましたとも。





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