chaos world~battle royal~

田仲真尋

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四章~人ならざる者

入れ違い

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謎の高校生集団は、驚くべき身体能力を備えていた。

俊敏な動きでバーンとレミを撹乱しながら隙を伺っているようだ。


「くそっ!ちょこまかしやがって、的が絞れねえ。」


「無理に当てようとしなくていいんだよ、バーン。襲ってくる奴だけを狙えば。」


レミは落ち着いて、飛びかかってくる高校生の足を狙って発砲した。

その弾は見事に男子高校生の太ももにヒットした。


「よし、とりあえず足さえ止めてしまえば――。」


撃たれた男は確かに怯みはしたが、すぐに体勢を立て直し、再び隙を伺っていた。

よく見ると最初は引きずっていた足が軽やかに動き始めていた。


「やっぱり、こいつら普通の人間じゃない。ここは無闇に戦っても私たちの不利になるわ。」


レミは腰に巻いていた、バッグに手を突っ込んだ。

その一瞬の隙を、彼らは見逃さなかった。

囲んでいた一人の男が緑へと襲いかかったのだ。

緑はすぐにそれに気づいた、そして無意識のうちに手には直毘刀が握られていた。


そして、その刀で男の胸辺りを横一閃に斬りつけた。

男は少し反応が遅れたものの、すぐに後方へと跳んで、致命傷を避け。

だが、完全には避けきれずに手傷を負ったようで、胸辺りから血が流れている。


「な、なんだこれは――。」


「どうしたの?」


傷を負った男が呟くと、マチルダが気になる様子で訊ねた。


「傷が塞がりません、マチルダ様。」


「どういうことかしら。あの殿方のあの妙な刀に秘密がありそうですわね。」


この会話の隙にレミは、スモークグレネードを二つ程投げた。


「バーン、緑、あと数秒経ったら私が手を引くからついてきて。」


レミがここから離脱するのだと察し、バーンと緑は直ぐに頷いた。


「今よ!行くわよ。」


辺りは濃い煙に覆われて全く視界が通らない。

そんな中、レミは地形を頭に叩き込み、逃げ道を確保していた。


煙を抜け、少し走った所で三人は足を止めた。

雑居ビルの階段付近で一旦止まり、腰をおろした。


「ふぅ、何とか逃げれたようね。」


「ナイスだレミ。しかし、あいつらはいったい何なんだ。」


「分からないわ。とりあえず早く帰ってパパに報告しなくちゃね。」


「そうだな。それに緑の攻撃はあいつらに効果的だったし、パパならいい対策を立ててくれるはずだ、なあ緑――!?」


バーンは一緒に来ているはずの緑を見て驚愕した。


「……えっ、誰?」


レミも繋いだ手を離して彼を見た。


「あ、あれ?私、間違えちゃった。」


「確か、お前は緑の弟――だよな?」

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