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三章~戦いの火蓋
戦いの日々
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敵が何なのかを知った緑には複雑な感情が芽生えていた。
しかし、相手が本当に神様だとすれば、運命には抗えないかもしれない。
だが、それでも現状を打破しようとするエリオットや白の姿に、緑は自分にしかできないことを、やっていこうと決心した。
その日から緑は毎日、外に出ては異変者たちを正常化する日々を送っていた。
その姿はどこか鬼気迫るものがあった。
「ふぅ、今日はこれで二桁に突入したぜ。そろそろ引き上げないか、緑。」
「まだだ。このペースでは全ての人は救えない。時間がないんですよ、バーンさん。」
バーンは毎日、緑について回った。
緑が正常に戻した人間をトラックに乗せて避難所まで連れていくという任務をエリオットから任されていたからだ。
「ちょっと待て、いくらお前でも全ての人を救うなんてことは出来ないぜ。」
「分かっています。でも今は一人でも多く助けなくちゃいけないんだ。」
「た、確かに。いくら頑張っても次のあれがきたら終わりだからな。だけど、その前にお前が倒れちまったらどうしようもないんだからな、そこのところだけは覚えておけよ。」
緑とバーンは一旦、アジトである店へと戻ることにした。
緑は、まだやれると言い張ったがバーンに宥められ少し休むことにした。
緑が焦るのには理由があった。
次の声が聞こえた時、世界は終わるということだ。
エリオットと白が共通して口にした、『第三波』こそが終末の合図であると。
「私たちは生き残りと言われているが、戦いに勝利して生き残った訳ではない。ただ、どういう理由か分からないが、異変者にならなかっただけなんだ。」
そう言って、エリオットは唇を噛み締めた。
「エリオットさんや、おじさんの時代はそうなってしまったかもしれないけど、今は違う。俺が何とかしなくちゃ――。」
「緑君!」
緑は突然倒れこみ意識を失ってしまった。
「おそらく力の使い過ぎだろう。しばらく休ませてあげてくれ。」
エリオットは戒と凛香に緑を任せた。
「緑……。」
戒は緑をベッドに寝かせた。
その緑の隣のベッドには、未だ目覚めない戒と凛香の母親の姿もあった。
しかし、二人の目覚めの時は突然訪れた。
ベッドの傍らで眠っていた戒に囁くような声が聞こえた。
「――戒。」
ふと戒が目を覚ますと、ベッドから起き上がっていた母の姿があった。
「か、母ちゃん!」
その声で目を覚ましたのは凛香と緑だった。
「お母さん!よかった。」
「戒、凛香。私はどうしたの?それにここは?」
混乱する母親に戒は時間をかけて説明していった。
もちろんそれでも全てを受け入れることは容易ではなかった。
ただ一つだけ分かったことは、隣のベッドにいる緑のことだけだった。
「緑君が私を――私たちを救ってくれたのね。」
戒たちの母親が、そう呟くと緑はすーっと起き上がった。
「お、おい緑。まだ寝てろよ。」
「――俺は……行かなきゃいけないんだ。」
しかし、相手が本当に神様だとすれば、運命には抗えないかもしれない。
だが、それでも現状を打破しようとするエリオットや白の姿に、緑は自分にしかできないことを、やっていこうと決心した。
その日から緑は毎日、外に出ては異変者たちを正常化する日々を送っていた。
その姿はどこか鬼気迫るものがあった。
「ふぅ、今日はこれで二桁に突入したぜ。そろそろ引き上げないか、緑。」
「まだだ。このペースでは全ての人は救えない。時間がないんですよ、バーンさん。」
バーンは毎日、緑について回った。
緑が正常に戻した人間をトラックに乗せて避難所まで連れていくという任務をエリオットから任されていたからだ。
「ちょっと待て、いくらお前でも全ての人を救うなんてことは出来ないぜ。」
「分かっています。でも今は一人でも多く助けなくちゃいけないんだ。」
「た、確かに。いくら頑張っても次のあれがきたら終わりだからな。だけど、その前にお前が倒れちまったらどうしようもないんだからな、そこのところだけは覚えておけよ。」
緑とバーンは一旦、アジトである店へと戻ることにした。
緑は、まだやれると言い張ったがバーンに宥められ少し休むことにした。
緑が焦るのには理由があった。
次の声が聞こえた時、世界は終わるということだ。
エリオットと白が共通して口にした、『第三波』こそが終末の合図であると。
「私たちは生き残りと言われているが、戦いに勝利して生き残った訳ではない。ただ、どういう理由か分からないが、異変者にならなかっただけなんだ。」
そう言って、エリオットは唇を噛み締めた。
「エリオットさんや、おじさんの時代はそうなってしまったかもしれないけど、今は違う。俺が何とかしなくちゃ――。」
「緑君!」
緑は突然倒れこみ意識を失ってしまった。
「おそらく力の使い過ぎだろう。しばらく休ませてあげてくれ。」
エリオットは戒と凛香に緑を任せた。
「緑……。」
戒は緑をベッドに寝かせた。
その緑の隣のベッドには、未だ目覚めない戒と凛香の母親の姿もあった。
しかし、二人の目覚めの時は突然訪れた。
ベッドの傍らで眠っていた戒に囁くような声が聞こえた。
「――戒。」
ふと戒が目を覚ますと、ベッドから起き上がっていた母の姿があった。
「か、母ちゃん!」
その声で目を覚ましたのは凛香と緑だった。
「お母さん!よかった。」
「戒、凛香。私はどうしたの?それにここは?」
混乱する母親に戒は時間をかけて説明していった。
もちろんそれでも全てを受け入れることは容易ではなかった。
ただ一つだけ分かったことは、隣のベッドにいる緑のことだけだった。
「緑君が私を――私たちを救ってくれたのね。」
戒たちの母親が、そう呟くと緑はすーっと起き上がった。
「お、おい緑。まだ寝てろよ。」
「――俺は……行かなきゃいけないんだ。」
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