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三章~戦いの火蓋
脱出
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緑は体内から出てきた刀で、凛香の母親をなんの躊躇いもなく刺した。
すると彼女は戒の時と同様にすぐさま正常に戻った。
ただ今回はエリオットが同行していない。
凛香の母親もまた異変者となり、行動に制御が効かず、体中のあるゆる箇所を損傷しているようだった。
「おばさん、もう大丈夫だから。」
緑の声に一瞬、彼女は反応を示したがすぐに気を失った。
「おお!緑すげえな。なんか一瞬、お前じゃないみたいなオーラ出してたじゃん。」
「本当に正常に戻せた。緑っち、あんたやばいな。」
バーンとレミも度肝を抜かれた様子だ。
しかし、当の本人は不思議とそんな感覚がなかった。
ただ自分の呼びかけに相手が応えてくれた、それだけのことだと思っていたのだ。
「色々と緑っちには聞きたいんだけどさ、どうもそんな悠長なことも言ってられないようだよ。」
レミは外を眺めながら冷静さの中に、焦りを含ませる様に言った。
窓の外を見てみると庭の方から数名の異変者たちの姿が確認できた。
彼らの目的はどうやら緑たちのようで、真っ直ぐこちらへと向かってきていた。
すぐさまバーンが裏手を確認しにいくと、そちらにも同じく異変者たちが群がるように、この家を囲んでいるようだった。
「なんでこいつら、こっちに寄ってくるんだ?」
その答えを何となくではあるが緑には分かったような気がした。
「たぶん、俺です。きっと皆、助けて欲しいんだと思います。だけど今の俺にはそれができない……。」
緑は悔しそうにうつむいた。
「どのみちここからは早く引き揚げたほうがよさそうね。」
「そうだな。よし、凛香ちゃんのママは俺に任せな。」
バーンは凛香の母親を背負うと、すぐさま玄関へと走った。
三人が玄関のドアを開けて外に出ると、そこにはすでに多数の異変者たちが待ち構えていた。
「どうしよう。行き場がない。」
緑はこの家が完全に包囲されたことをようやく実感した。
「大丈夫。この人たちだって人間だ。話せば分かる。」
「い、いやそれは無理だろ、レミ。」
「大丈夫だって。私にお任せあれ。取り敢えずこれかけろ。」
レミは懐からサングラスを二つ取り出しバーンと緑に渡した。
そして自身も二人に渡した物とは違う大きめのお洒落なサングラスをかけた。
「おーい、皆さん。こっちだよ。」
レミは異変者に向かって手を振りながら声をかけた。
「よし。バーン、緑、走る準備。」
そしてまたしても何やら懐から取り出すと、それを異変者たちに向けて放り投げた。
「し、手榴弾!!ちょっとレミさん何考えてるんですか!?」
「大丈夫大丈夫。あれは閃光弾。目眩ましだよ。」
そしてその直後、激しい光が異変者たちの群れのど真ん中で発光した。
「あいつらにそんな物効くのかよ?」
「問題なし。だって彼らは少しばかり気性の荒い普通の人間なんだよ。」
レミが言った通り異変者たちは視界を眩しい光に遮断され、右往左往している様子だ。
その隙に緑たちはその場を無事に切り抜けたのだった。
すると彼女は戒の時と同様にすぐさま正常に戻った。
ただ今回はエリオットが同行していない。
凛香の母親もまた異変者となり、行動に制御が効かず、体中のあるゆる箇所を損傷しているようだった。
「おばさん、もう大丈夫だから。」
緑の声に一瞬、彼女は反応を示したがすぐに気を失った。
「おお!緑すげえな。なんか一瞬、お前じゃないみたいなオーラ出してたじゃん。」
「本当に正常に戻せた。緑っち、あんたやばいな。」
バーンとレミも度肝を抜かれた様子だ。
しかし、当の本人は不思議とそんな感覚がなかった。
ただ自分の呼びかけに相手が応えてくれた、それだけのことだと思っていたのだ。
「色々と緑っちには聞きたいんだけどさ、どうもそんな悠長なことも言ってられないようだよ。」
レミは外を眺めながら冷静さの中に、焦りを含ませる様に言った。
窓の外を見てみると庭の方から数名の異変者たちの姿が確認できた。
彼らの目的はどうやら緑たちのようで、真っ直ぐこちらへと向かってきていた。
すぐさまバーンが裏手を確認しにいくと、そちらにも同じく異変者たちが群がるように、この家を囲んでいるようだった。
「なんでこいつら、こっちに寄ってくるんだ?」
その答えを何となくではあるが緑には分かったような気がした。
「たぶん、俺です。きっと皆、助けて欲しいんだと思います。だけど今の俺にはそれができない……。」
緑は悔しそうにうつむいた。
「どのみちここからは早く引き揚げたほうがよさそうね。」
「そうだな。よし、凛香ちゃんのママは俺に任せな。」
バーンは凛香の母親を背負うと、すぐさま玄関へと走った。
三人が玄関のドアを開けて外に出ると、そこにはすでに多数の異変者たちが待ち構えていた。
「どうしよう。行き場がない。」
緑はこの家が完全に包囲されたことをようやく実感した。
「大丈夫。この人たちだって人間だ。話せば分かる。」
「い、いやそれは無理だろ、レミ。」
「大丈夫だって。私にお任せあれ。取り敢えずこれかけろ。」
レミは懐からサングラスを二つ取り出しバーンと緑に渡した。
そして自身も二人に渡した物とは違う大きめのお洒落なサングラスをかけた。
「おーい、皆さん。こっちだよ。」
レミは異変者に向かって手を振りながら声をかけた。
「よし。バーン、緑、走る準備。」
そしてまたしても何やら懐から取り出すと、それを異変者たちに向けて放り投げた。
「し、手榴弾!!ちょっとレミさん何考えてるんですか!?」
「大丈夫大丈夫。あれは閃光弾。目眩ましだよ。」
そしてその直後、激しい光が異変者たちの群れのど真ん中で発光した。
「あいつらにそんな物効くのかよ?」
「問題なし。だって彼らは少しばかり気性の荒い普通の人間なんだよ。」
レミが言った通り異変者たちは視界を眩しい光に遮断され、右往左往している様子だ。
その隙に緑たちはその場を無事に切り抜けたのだった。
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