1 / 2
前編
しおりを挟む昨日、婚約破棄された。
幼馴染みから婚約し特別な関係となった彼アダムスから、関係の解消を一方的に告げられて。
それはまるで突然の災害のようなもの。
彼の宣言が私の胸から平穏を奪い取っていってしまったのだった。
――だが。
翌朝、手紙の確認をするため郵便受けへ向かったところ、家の前には大量のにんじんが立っていた。
しかも、四肢のあるにんじんだ。
「ぼくたちはにんじんです、あなたのふくしゅうをかわりにけっこうするべくあつまりました」
「あなたこんやくはきされましたよね」
「きのう、きのう」
「かわいそうなおじょうさまをほうっておけないのでぼくたちがちからをあわせてふくしゅうしてまいります」
しばらく呆然としてしまった。
理解できる域を遥かに超えていたのだ。
「むかし、あなたのせんぞに、ぼくたちはたすけられました」
「のろわれのにんじんといわれころされかけたところをすくってもらったのでする」
「だからぼくたちは」
「いまから、いまから」
「ふくしゅうをだいこうしてきますので、きょかだけください」
何が何だかよく分からないままで頷いたところ、にんじんの群れは走り去っていった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
家に代々伝わる髪色を受け継いでいないからとずっと虐げられてきていたのですが……。
四季
恋愛
メリア・オフトレスは三姉妹の真ん中。
しかしオフトレス家に代々伝わる緑髪を受け継がず生まれたために母や姉妹らから虐げられていた。
だがある時、トレットという青年が現れて……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる