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前編

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「ごめんなさいねぇ~お姉様ぁ~、わたしぃ、可愛すぎて殿方にモテモテだからぁ~……貴女の婚約者、手に入れちゃった!」

 妹ミレニーは突然そんなことを言ってきた。

 勝ち誇ったような顔で。
 鼻の下を伸ばしながら。

「お姉様、もしかしてぇ~……怒ってるぅ? んふ。ごめんなさいねぇ~大事な人を奪ってしまってぇ~」
「いいわよ」
「んもぉ強がりねぇ~。そんな強がりやってると婚期逃すわよぅ?」
「お幸せに」
「んふぅ~、全力の抵抗か~わ~い~い~。魅力がなくて男取られて平気な振りをしてるお姉様、お姉様にしては珍しく可愛いわぁ~」

 ミレニーはそばかすだらけの顔を真っ赤に染め上げながらそんなことを言っていた。

 その後、私は、婚約者オブから正式に婚約破棄を告げられることとなる。

 以降、ミレニーはとてもご機嫌で、私に会うたびに穴の穴を膨らませながら「怒ってるぅ? モテないお姉様ぁ」とか「ひねくれた顔してちゃ一生独身よぉ~? んふんふ」とか少々不愉快な言葉をかけてきた。

 だが反撃はしない。

 むきになって反撃する方が馬鹿みたいだから。
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