そこそこお金のある家の子息である彼は私を殴ろうとした瞬間あの世送りになってしまいました。

四季

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後編

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「え……」

 沈黙してしまうオードフリッツ。

 これは一体、何が起きたのだろう……?

 たまたまだろうか。きっとそうだろう。私は何もしていないし、彼が自らこんなことを仕組むとも思えない。とすれば、恐らくこれは偶然のことなのだろう。

 でも、もしこれが奇跡なのだとすれば、私はとても運が良い。

 だってあのままでは殴られていたから。

 あれこれ言われることには慣れていても、殴られればきっと痛いはず――それを避けられたのだからこんな幸せなことはない。

 この出来事によって私たちの婚約は破棄となった。
 理由は『オードフリッツが亡くなったから』シンプルにただそれだけである。

 苦しみの中にいた私にも解放の日は訪れた。

 さぁ、これからまた、頑張って生きていこう!


 ◆


 オードフリッツの死亡、そして婚約破棄。
 それから数ヶ月。
 私には良い感じの男性に巡り会えた。

「その本が好きという女性には初めて出会いましたよ」
「そうですか?」

 私たちには本好きという共通点があり、また、好きなジャンルに関しても近かった。

 そのため話し始めてからあっという間に仲良しになった。

「はい。女性で本好きという方は珍しいですし……それに、本が好きという方はいらしても大抵恋愛ものなのですよ」
「そうでしたか」
「女性で戦記物好きはレアです!」
「確かに、そうかもしれませんね。そういえばこれまで趣味の似ている女性はあまりいませんでした」


◆終わり◆
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