2 / 3
中編
しおりを挟む
「そちらの都合で婚約破棄するならペナルティがあるけれど、それはいいの?」
「いいよ! 真実の愛の前ではペナルティなんて無力だからさ!」
どうやらヘインは、レイシアに、もうすっかりやられてしまっているようだ。
今の彼には何を言っても無駄だろう。
私が何を言っても聞かないだろう。むしろ、下手なことを言えば喧嘩になりそうだ。嫉妬深いとか何とか誤解されるのも嫌だから、今は何も言わない方が良い気がする。
「分かったわ。じゃあ、そちらからということで、婚約破棄としましょ」
「理解してくれてありがとう! 助かるよ!」
「えぇ……さようなら、ヘイン」
ヘインの親としては、それなりに力を持っている私の家と関係を持ち続けたいはずだ。ヘインはともかく、彼の両親は、私の実家の権力に価値を感じている部分もあったようだったから。せっかく上手くいっていたのにヘインの勝手な行動で婚約破棄になった、と知ったら、彼の親はどう思いどう動くだろうか。
息子に腹を立てる?
慌ててこちらの機嫌を取ろうとする?
……だが、いずれにせよ、婚約破棄と決まった以上婚約は破棄される。
もっとも、私には関係のないことだ。
私が彼と結婚することによる利益というのは元々それほどなかった。利益があるとしたら、彼と夫婦になれる、ということくらいだろう。それゆえ、婚約破棄となっても、損はそれほどない。
損するのは向こう。
私は彼と離れることになるだけ。
婚約破棄の手続きはヘインが主体となって行った。というのも、ヘインは自分の親にこのことについて話していないそうなのだ。
怒られそうだから、などという理由だそうだ。
怒られそうと恐れるならこんなことしなければいいのに……、と思ったのは、私の中だけの秘密としておこう。
ちなみに、私の親はこのことを知っている。
私が話したからである。
何も私までヘインの自己中心的な不安に付き合うことはない。本来親に話すのは普通のことなのだから。自分の現状を親に伝えるという行為は罪でもなんでもないのだから。
「いいよ! 真実の愛の前ではペナルティなんて無力だからさ!」
どうやらヘインは、レイシアに、もうすっかりやられてしまっているようだ。
今の彼には何を言っても無駄だろう。
私が何を言っても聞かないだろう。むしろ、下手なことを言えば喧嘩になりそうだ。嫉妬深いとか何とか誤解されるのも嫌だから、今は何も言わない方が良い気がする。
「分かったわ。じゃあ、そちらからということで、婚約破棄としましょ」
「理解してくれてありがとう! 助かるよ!」
「えぇ……さようなら、ヘイン」
ヘインの親としては、それなりに力を持っている私の家と関係を持ち続けたいはずだ。ヘインはともかく、彼の両親は、私の実家の権力に価値を感じている部分もあったようだったから。せっかく上手くいっていたのにヘインの勝手な行動で婚約破棄になった、と知ったら、彼の親はどう思いどう動くだろうか。
息子に腹を立てる?
慌ててこちらの機嫌を取ろうとする?
……だが、いずれにせよ、婚約破棄と決まった以上婚約は破棄される。
もっとも、私には関係のないことだ。
私が彼と結婚することによる利益というのは元々それほどなかった。利益があるとしたら、彼と夫婦になれる、ということくらいだろう。それゆえ、婚約破棄となっても、損はそれほどない。
損するのは向こう。
私は彼と離れることになるだけ。
婚約破棄の手続きはヘインが主体となって行った。というのも、ヘインは自分の親にこのことについて話していないそうなのだ。
怒られそうだから、などという理由だそうだ。
怒られそうと恐れるならこんなことしなければいいのに……、と思ったのは、私の中だけの秘密としておこう。
ちなみに、私の親はこのことを知っている。
私が話したからである。
何も私までヘインの自己中心的な不安に付き合うことはない。本来親に話すのは普通のことなのだから。自分の現状を親に伝えるという行為は罪でもなんでもないのだから。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
魔法を使える私はかつて婚約者に嫌われ婚約破棄されてしまいましたが、このたびめでたく国を護る聖女に認定されました。
四季
恋愛
「穢れた魔女を妻とする気はない! 婚約は破棄だ!!」
今日、私は、婚約者ケインから大きな声でそう宣言されてしまった。
さようなら、あなたとはもうお別れです
四季
恋愛
十八の誕生日、親から告げられたアセインという青年と婚約した。
幸せになれると思っていた。
そう夢みていたのだ。
しかし、婚約から三ヶ月ほどが経った頃、異変が起こり始める。
失礼な人のことはさすがに許せません
四季
恋愛
「パッとしないなぁ、ははは」
それが、初めて会った時に婚約者が発した言葉。
ただ、婚約者アルタイルの失礼な発言はそれだけでは終わらず、まだまだ続いていって……。
私を選ばなかったせいで破滅とかざまぁ、おかげで悪役令嬢だった私は改心して、素敵な恋人できちゃった
高岩唯丑
恋愛
ナナは同級生のエリィをいびり倒していた。自分は貴族、エリィは平民。なのに魔法学園の成績はエリィの方が上。こんなの許せない。だからイジメてたら、婚約者のマージルに見つかって、ついでにマージルまで叩いたら、婚約破棄されて、国外追放されてしまう。
ナナは追放されたのち、自分の行いを改心したら、素敵な人と出会っちゃった?!
地獄の追放サバイバルかと思いきや毎日、甘々の生活?!
改心してよかった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる