2 / 3
2話「どうせならやってみよう」
しおりを挟む
父親は私を叱った。
どうして気に入られるように振る舞えなかったのか、と。
そして妹は私のことを馬鹿にしてきた。前からそうなるとは思っていたけど、などと前置きしたうえで、すれ違うたびに失礼なことを言ってくる。また、私の部屋へ『捨てられた可哀想なお姉さま、この求人がおすすめよ。身を売ってみてはどう? 仕事でなら愛されるかもしれないわよ? なーんてね。ま、精々我が家のために貢献しなさいよ、お金を稼いでね』などというメモを置いてきたことも複数回あった。
生まれた家にさえ居場所はない。
絶望した私は命を終わらせることにした。
このまま生きていても辛いだけだから。
酷い人生だった……。
しかし、その死が、私の運命を変えた。
◆
湖に飛び込んで死を迎える直前、私は一人の半透明な老人を見た。
その人は「可哀想に」と泣きそうな顔でこぼしてから、手に持っていた杖の先をこちらへかざす。
そして気づけば湖畔にいた。
(生きて……いる……?)
ふと地面を見ると『その力を使って復讐せよ』と書かれた紙が落ちていた。
意味が分からなかった。
でも生きなくてはならないのだと感じて。
仕方がないので自宅へ帰ることにした。
◆
「ちょっと! どこへ行っていたのよ! いい加減にしなさいよ、周囲に迷惑ばっかりかけて。ホント、役に立たないわね! だから貴女は妹と違ってゴミな……」
掴みかかろうとしてくる母親の手を払おうとした、瞬間、手のひらから光が放たれて母親が一瞬で消え去った。
「え……」
手が触れた、それだけなのに、母親が消えた。
人一人が消滅した。
骨どころか灰さえ残っていない。
あの紙に書かれていた『その力』ということはこの力のことだろうか? 確かに強力そうなので復讐には使えそうだが。でも、この力は一体何なのだろう? 私はどうなってしまったのだろうか? それは私が考えることではないのかもしれないけれど。
だが。
どうせならやってみよう。
どうして気に入られるように振る舞えなかったのか、と。
そして妹は私のことを馬鹿にしてきた。前からそうなるとは思っていたけど、などと前置きしたうえで、すれ違うたびに失礼なことを言ってくる。また、私の部屋へ『捨てられた可哀想なお姉さま、この求人がおすすめよ。身を売ってみてはどう? 仕事でなら愛されるかもしれないわよ? なーんてね。ま、精々我が家のために貢献しなさいよ、お金を稼いでね』などというメモを置いてきたことも複数回あった。
生まれた家にさえ居場所はない。
絶望した私は命を終わらせることにした。
このまま生きていても辛いだけだから。
酷い人生だった……。
しかし、その死が、私の運命を変えた。
◆
湖に飛び込んで死を迎える直前、私は一人の半透明な老人を見た。
その人は「可哀想に」と泣きそうな顔でこぼしてから、手に持っていた杖の先をこちらへかざす。
そして気づけば湖畔にいた。
(生きて……いる……?)
ふと地面を見ると『その力を使って復讐せよ』と書かれた紙が落ちていた。
意味が分からなかった。
でも生きなくてはならないのだと感じて。
仕方がないので自宅へ帰ることにした。
◆
「ちょっと! どこへ行っていたのよ! いい加減にしなさいよ、周囲に迷惑ばっかりかけて。ホント、役に立たないわね! だから貴女は妹と違ってゴミな……」
掴みかかろうとしてくる母親の手を払おうとした、瞬間、手のひらから光が放たれて母親が一瞬で消え去った。
「え……」
手が触れた、それだけなのに、母親が消えた。
人一人が消滅した。
骨どころか灰さえ残っていない。
あの紙に書かれていた『その力』ということはこの力のことだろうか? 確かに強力そうなので復讐には使えそうだが。でも、この力は一体何なのだろう? 私はどうなってしまったのだろうか? それは私が考えることではないのかもしれないけれど。
だが。
どうせならやってみよう。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
婚約者の様子がおかしい。明らかに不自然。そんな時、知り合いから、ある情報を得まして……?
四季
恋愛
婚約者の様子がおかしい。
明らかに不自然。
※展開上、一部汚い描写などがあります。ご了承ください。m(_ _)m
暁のカトレア
四季
恋愛
レヴィアス帝国に謎の生物 "化け物" が出現するようになり約十年。
平凡な毎日を送っていた齢十八の少女 マレイ・チャーム・カトレアは、一人の青年と出会う。
そして、それきっかけに、彼女の人生は大きく動き出すのだった。
※ファンタジー・バトル要素がやや多めです。
※2018.4.7~2018.9.5 執筆
奇跡の歌姫
四季
恋愛
地球の片隅、とある村で暮らしている少女・ウタ。
彼女は、三年前唯一の家族であった母親を亡くして以来、毎日を無気力に過ごしていた。
そんなある日、ウタの住んでいた村は、破滅の日を迎える。
突然訪れた滅びの時。しかしウタの心は相変わらず無に包まれたまま。彼女は狼狽えない。苦しまずに死ねるなら、と、彼女は運命を受け入れる。
ーーしかし、ウタの命は終わらなかった。
宇宙を行く船に拾われたウタは、その持ち主であるウィクトルと知り合い、地球から遠く離れた星へ向かうこととなる。
その道中、ウタは思い出した。
かつて母親から習った歌を。
そして、かつては自分も歌を愛していたのだということを。
ーーやがて降り立ったのは、キエル帝国。
たどり着いたその地で、ウタは、歌という花を咲かせることができるのだろうか。
※2019.11.13~2020.5.19 に執筆したものです。
婚約破棄されたおっとり令嬢は「実験成功」とほくそ笑む
柴野
恋愛
おっとりしている――つまり気の利かない頭の鈍い奴と有名な令嬢イダイア。
周囲からどれだけ罵られようとも笑顔でいる様を皆が怖がり、誰も寄り付かなくなっていたところ、彼女は婚約者であった王太子に「真実の愛を見つけたから気味の悪いお前のような女はもういらん!」と言われて婚約破棄されてしまう。
しかしそれを受けた彼女は悲しむでも困惑するでもなく、一人ほくそ笑んだ。
「実験成功、ですわねぇ」
イダイアは静かに呟き、そして哀れなる王太子に真実を教え始めるのだった。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?
四季
恋愛
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
王子でもある婚約者から「父を裏で殺めようとしていたそうだな!?」などと言われ婚約破棄されました。
四季
恋愛
王女セレス・ペスカトーレは婚約者で王子であるエリッツ・フォンドより婚約破棄を告げられてしまう。
その原因はセレスが国王暗殺を企んでいるというエリッツの母妹らによる嘘で……。
家に代々伝わる髪色を受け継いでいないからとずっと虐げられてきていたのですが……。
四季
恋愛
メリア・オフトレスは三姉妹の真ん中。
しかしオフトレス家に代々伝わる緑髪を受け継がず生まれたために母や姉妹らから虐げられていた。
だがある時、トレットという青年が現れて……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる