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9話「自業自得な最期」
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あの後ウェッジは殺人未遂で生涯労働刑に処されたようだった。
しかし犯罪者となりそれ相応の施設に入れられてもなお彼は真面目に反省はしなかったようで。
求められる労働すらろくにこなさず、管理者に対しても反抗的な態度ばかり取っていたそうだ。
で、その結果、彼は「更生の見込み無し」とのことで処刑されたのだそうだ。
好き放題してきた、身勝手に生きてきた、その最期。
それはあまりに憐れなもので。
しかし、彼に相応しい、周囲に強くそう思わせるようなものであった。
彼の処刑を聞いた時、私は、失礼かもしれないが「良かった」と思いほっとした。
これでもう彼が襲ってくることはないのだ――そう思えるだけで、不安という暗雲が晴れてゆくような感覚があったのだった。
「そういうことで、あの男はこの世にいなくなったようです」
アドミッドには私からその話を伝えた。
「そうだったのですか、驚きです。まさか処刑までされるとは。正直、そこまでの対処というのは思っていませんでした」
彼は驚きの感情を抱いているようだった。
何度も目をぱちぱちさせていた。
「でも良かった、私はそう思います」
これでもう何も起こらない、そう思えるのは大きな救い。
あんなこと、二度と繰り返したくない。私の知り合いのせいで彼が傷つくなんて、そんな酷いこと、絶対にもう嫌だ。それに、私の心を無視するにしても、そんなことは本来絶対に起きてはならないことなのだ。
「アイリスさんが? かつて親しかったのに、ですか?」
「はい。だってウェッジはアドミッドさんを傷つけました、だから私はウェッジを絶対に許せません。執拗に関わってきて、さらには他人を傷つけて。そんなこと、最低の行為です」
一時はアドミッドとの関係が壊れるのではないかと心配してくらいだった。幸い彼も彼の両親も寛容だったので最悪な展開に発展はしなかったけれど。
ただ、もしもあの事件によって彼との縁が切れていたら、ウェッジは一体どうしてくれたのか?
ウェッジが償ってくれるはずもない。
でも私はすべてを失うかもしれなかったのだ――まったく、もうこれは、何度考えても恐ろしい話である。
「……アイリスさん」
どこか僅かに切なげな色を見せるアドミッド。
「だから、彼がいなくなってくれて良かったです」
しかし私はそれでもなおウェッジを許せなかった。
彼にはもう生きていてほしくない。
たとえ優しくない女だと思われたとしても、それでも。
「ごめんなさいね、アイリスさん。そんな風に憎しみの感情を抱かせてしまって。……心配させてしまいましたよね」
その後私とアドミッドは正式に結ばれたのだった。
災難はあったけれど、それによってより一層絆が深く強くなったような気がしていて――月日が流れるにつれて徐々に「ありがとうウェッジ、最期に私たちを近づけてくれて」と思えるようになっていった。
そうよ、ウェッジの犠牲によって私たちはより一層深く愛し合えるようになったのよ。
……そういう意味では、ありがとうウェッジ。
ただそれは彼が既にこの世にいないからこそ言えることだ。
しかし犯罪者となりそれ相応の施設に入れられてもなお彼は真面目に反省はしなかったようで。
求められる労働すらろくにこなさず、管理者に対しても反抗的な態度ばかり取っていたそうだ。
で、その結果、彼は「更生の見込み無し」とのことで処刑されたのだそうだ。
好き放題してきた、身勝手に生きてきた、その最期。
それはあまりに憐れなもので。
しかし、彼に相応しい、周囲に強くそう思わせるようなものであった。
彼の処刑を聞いた時、私は、失礼かもしれないが「良かった」と思いほっとした。
これでもう彼が襲ってくることはないのだ――そう思えるだけで、不安という暗雲が晴れてゆくような感覚があったのだった。
「そういうことで、あの男はこの世にいなくなったようです」
アドミッドには私からその話を伝えた。
「そうだったのですか、驚きです。まさか処刑までされるとは。正直、そこまでの対処というのは思っていませんでした」
彼は驚きの感情を抱いているようだった。
何度も目をぱちぱちさせていた。
「でも良かった、私はそう思います」
これでもう何も起こらない、そう思えるのは大きな救い。
あんなこと、二度と繰り返したくない。私の知り合いのせいで彼が傷つくなんて、そんな酷いこと、絶対にもう嫌だ。それに、私の心を無視するにしても、そんなことは本来絶対に起きてはならないことなのだ。
「アイリスさんが? かつて親しかったのに、ですか?」
「はい。だってウェッジはアドミッドさんを傷つけました、だから私はウェッジを絶対に許せません。執拗に関わってきて、さらには他人を傷つけて。そんなこと、最低の行為です」
一時はアドミッドとの関係が壊れるのではないかと心配してくらいだった。幸い彼も彼の両親も寛容だったので最悪な展開に発展はしなかったけれど。
ただ、もしもあの事件によって彼との縁が切れていたら、ウェッジは一体どうしてくれたのか?
ウェッジが償ってくれるはずもない。
でも私はすべてを失うかもしれなかったのだ――まったく、もうこれは、何度考えても恐ろしい話である。
「……アイリスさん」
どこか僅かに切なげな色を見せるアドミッド。
「だから、彼がいなくなってくれて良かったです」
しかし私はそれでもなおウェッジを許せなかった。
彼にはもう生きていてほしくない。
たとえ優しくない女だと思われたとしても、それでも。
「ごめんなさいね、アイリスさん。そんな風に憎しみの感情を抱かせてしまって。……心配させてしまいましたよね」
その後私とアドミッドは正式に結ばれたのだった。
災難はあったけれど、それによってより一層絆が深く強くなったような気がしていて――月日が流れるにつれて徐々に「ありがとうウェッジ、最期に私たちを近づけてくれて」と思えるようになっていった。
そうよ、ウェッジの犠牲によって私たちはより一層深く愛し合えるようになったのよ。
……そういう意味では、ありがとうウェッジ。
ただそれは彼が既にこの世にいないからこそ言えることだ。
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