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後編
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晩餐会当日、私は少しばかり綺麗なドレスを着て、婚約者と共に会場へ向かった。
到着するなり婚約者に人が寄ってくる。
「いやぁ、清楚なお嬢さんがお嫁さんで最高ですなぁ」
「はい。とても素敵な女性です」
誠実な笑顔、嘘嘘。
その男は浮気しまくってるのよ。
「羨ましいのぉ、うちの嫁は鬼嫁で……」
「アナタ何言ってますの!? 恥ずかしいではありませんの!!」
愉快な夫婦、落ち着きはないが温かくて嫌いじゃない。
その後しばらく時間が経過して、挨拶を行うコーナーが訪れた。偶々近くにいたおじさんが私に声をかけてきて、挨拶するよう言われる。今までの私なら、人前に出るのは緊張するので断っただろう。だが今日だけは違う。これはチャンス。
「本日は皆さんにお伝えしたいことがあります」
胸を張って、言葉を紡ぐ。
「私の婚約者は何人もの女性と浮気を続けていました」
はっきりとした調子で述べると、ざわめく。
いきなりの告白に誰もが戸惑っているようだった。だがこれは想定内。むしろ、こうなってもらった方が助かる。皆が無反応だったらその方が困る。
「お嬢さん、その話は一体何なんだい……!?」
「いきなりのことですみません。ただ、変わることのない事実です」
「証拠があるのかい!?」
「はい。今から証拠をお見せします」
それから私は集めてきた証拠を出した。晩餐会の参加者たちにも確認してもらう。最初は誰もが動揺しているようだったが、婚約者を冷ややかな目で見る者や溜め息をつく者が段々増えてくる。
「本日をもって、私は婚約破棄を宣言します」
こうして私と婚約者の縁は切れた。
後に聞いた噂によると、あれをきっかけに何人もの女性と付き合っていたことが明るみに出たらしい。そのことが、自分だけが恋人と思っていた女性たちを激怒させ、彼は酷い目に遭ったとか何とか。刃物で刺されたり、賠償金をもぎ取られたり、散々なことになったらしい。
一方、私はというと、数年後に知り合った職人の男性と結婚。
数人の子どもも設けることができ、穏やかな毎日を過ごしている。
◆終わり◆
到着するなり婚約者に人が寄ってくる。
「いやぁ、清楚なお嬢さんがお嫁さんで最高ですなぁ」
「はい。とても素敵な女性です」
誠実な笑顔、嘘嘘。
その男は浮気しまくってるのよ。
「羨ましいのぉ、うちの嫁は鬼嫁で……」
「アナタ何言ってますの!? 恥ずかしいではありませんの!!」
愉快な夫婦、落ち着きはないが温かくて嫌いじゃない。
その後しばらく時間が経過して、挨拶を行うコーナーが訪れた。偶々近くにいたおじさんが私に声をかけてきて、挨拶するよう言われる。今までの私なら、人前に出るのは緊張するので断っただろう。だが今日だけは違う。これはチャンス。
「本日は皆さんにお伝えしたいことがあります」
胸を張って、言葉を紡ぐ。
「私の婚約者は何人もの女性と浮気を続けていました」
はっきりとした調子で述べると、ざわめく。
いきなりの告白に誰もが戸惑っているようだった。だがこれは想定内。むしろ、こうなってもらった方が助かる。皆が無反応だったらその方が困る。
「お嬢さん、その話は一体何なんだい……!?」
「いきなりのことですみません。ただ、変わることのない事実です」
「証拠があるのかい!?」
「はい。今から証拠をお見せします」
それから私は集めてきた証拠を出した。晩餐会の参加者たちにも確認してもらう。最初は誰もが動揺しているようだったが、婚約者を冷ややかな目で見る者や溜め息をつく者が段々増えてくる。
「本日をもって、私は婚約破棄を宣言します」
こうして私と婚約者の縁は切れた。
後に聞いた噂によると、あれをきっかけに何人もの女性と付き合っていたことが明るみに出たらしい。そのことが、自分だけが恋人と思っていた女性たちを激怒させ、彼は酷い目に遭ったとか何とか。刃物で刺されたり、賠償金をもぎ取られたり、散々なことになったらしい。
一方、私はというと、数年後に知り合った職人の男性と結婚。
数人の子どもも設けることができ、穏やかな毎日を過ごしている。
◆終わり◆
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