今日雨が降りました

四季

文字の大きさ
上 下
1 / 1

今日雨が降りました

しおりを挟む
今日雨が降りました
とても懐かしい光景です

もう百年が経ちましたが
こんな雨を見るのは久々です

石畳を叩く雨粒が
新しい時代の幕開けを告げています
世は変わり
人々もまた変わる時が来たのだと
そう話します

そういえばあの日も
こんな雨降りの日でしたね

軒下で雨宿りする若者の中に
あなたの姿を見た日
今でも思い出すことができます
鮮明に思い出せます

今日雨が降りました
とてつもなく懐かしい光景です

あれから百年が経ちましたが
ここまでの雨を目にするのは久しぶりです

窓枠を撫でる水滴が
新たなる時代の始まりを告げています
世は変貌し
人々もまた岐路にたどり着いたのだと
そう話すのです

そういえばあの夜も
こんな雨降りの夜でしたね

窓際で涙を流す人が
あなただった夜
今でも思い出すことができます
とてつもなく鮮明に思い出せるのです

百年に一度だけ
この街には雨が降ります

それが今日でした

次の雨はいつでしょうか
それまでには
再びあなたに会えるのでしょうか
一人窓辺で
空に尋ねます

この願いが叶うことは
ないのかもしれないけれど

それでもどうか

またいつの日か
会いに来て下さい
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

愛を貫くというのは とても難しいこと

四季
恋愛
第一回・恋愛詩祭り 第九作

あなたのことが好きって

四季
恋愛
あの夏は懐かしい……という詩です。 2020.9.13

呆れるほど愚かだった……

四季
恋愛
呆れるほど愚かだった……。

わたしの姿

四季
恋愛
婚約破棄されたわたしは……。

悲しい恋の物語 終着点はいつもここ

四季
恋愛
悲しい恋の物語、終着点はいつもここ。

いつかあの空の果てへ

四季
恋愛
いつかあの空の果てへ。

きみが見ていた世界は……

四季
恋愛
きみが見ていた世界は……。 詩です。 2020.9.3

もしあのまま貴方と生きていたならって

四季
恋愛
もしあのまま貴方と生きていたならって

処理中です...