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もっと良い条件の相手に巡り会えた、とのことで、婚約破棄されてしまいました。~それでも幸せを掴みます~

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「君と一緒ならずっと幸せに暮らせるだろうなぁ」

 一年ほど前。
 婚約がまとまった日。

「嬉しいよ、ありがとうエリシリア」

 二つ年上の彼ニッセルはそんな風に言ってくれていた。

 だから私も信じていた。
 きっと幸せに生きてゆけると。


 ◆


「エリシリア、君との婚約は破棄とすることにした」

 ――幸せな未来という夢は断たれた。

「え……」
「なぜなら、もっと良い条件の相手に巡り会えたからだ」

 ニッセルは私を切り捨てることを選んだのだ。

「そ、そんな! どうして急に!」
「理由はもう言ったじゃないか」
「そう……です、けど……でも……」
「急に言ったことは悪かったとは思う。だが言ったことがすべてだ。現実を受け入れてくれ」

 かつてニッセルはとても優しい人だった。
 でも今はもうそんな彼はいなくなってしまった。

「さよならエリシリア」

 ああそうか、私はもう要らないのか……。

 悲しいことだ。
 幸せになれると信じてきたというのに。


 ◆


 あれから一年半が過ぎた。

 ニッセルはエリューシア・ミレシリニタ・エリア・デ・オフフォコーフスという良家のお嬢さんと結婚式を挙げた――が、その日の晩、新郎新婦は何者かに殺害されてしまった。

 エリューシアの家に恨みを持った者による犯行だった、と、噂では言われている。

 だが詳しくは不明。
 犯人が捕まったり正式に発表されたりといったことはないままだった。

 条件で私を捨てて彼女を選んだニッセルだったが、彼の生きる道に明るい未来というものは存在しなかったようだ。

「おはよう! エリ」
「あ、起きたの」
「うん。今日も良い天気だね。ちょっと日射しを浴びてくるよ」
「私も行くわ!」
「じゃあ一緒に行こう」

 ちなみに私はというと。
 あの後少しして、良き人と巡り会うことができ、夫婦になれた――今は彼と共に穏やかな日々を歩んでいる。

「確かに良い天気ね。快晴だわ」
「出会った日もこんな日だったよね」
「ええ……とても懐かしいわ」

 これからもいつまでもこんな風でいたい。

 くだらないことでも笑い合える、そんな二人でいたいのだ。


◆終わり◆
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