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春の日に婚約した彼がある日突然婚約破棄を告げてきました。~穏やかな幸せを手に入れることができたので良かったです~
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春の日に婚約した私ミリーと婚約者パルフェット。
二人の未来にはなんてことのない平凡でも穏やかな未来があると思っていた。
……けれどもそれは間違いだった。
「ミリー、君との婚約は破棄とする!」
ある日突然告げられる関係の終わり。
赤毛のパルフェットは私を自宅へ呼び出すとはっきりと告げてくる。
あまりにも唐突な出来事でただただ戸惑いしかない……。
「婚約破棄、ですか?」
「ああ」
「また急に……どうしてです?」
「何をとぼけているんだ! くだらない!」
「怒らないでください」
「はああ!? 舐めているのか!? 俺は怒ってなどいない!!」
パルフェットは鼻息を荒くし、ふんすふんすと大きな音を鳴らしつつ、怒りを顔面に濃く浮かべている。
「ちなみに婚約破棄の理由は君に飽きたからだ」
「ええっ」
「何だその反応。君が面白みのない女なのがすべての原因だというのに、なぜそんな引いたような顔をしているのか」
「理由があまりにも雑でしたので……」
「馬鹿にしやがって!! 絶対に許さなあああああい!!」
「落ち着いてください、パルフェットさん」
こうして私たちの関係は終わりを迎えてしまったのだった。
だが、いざそうなってしまった後で考えると、まぁいいかという気分が大きかった。
想像していたよりかはショックはなくて。
自然な形で受け止めることができている。
◆
三ヶ月後。
パルフェットは趣味の山登り中に斜面を転がり落ちて行方不明となってしまい、捜索するも発見されず、死亡したという結論が出されたのだった。
彼の亡骸は見つからないまま。けれども恐らく亡くなったことは事実だろう。山の中で一人生き延びている可能性は低い。そんな奇跡のようなことは恐らく起こりはしないだろう。
もっとも、今はもう婚約者同士ではないわけなので、気に掛ける必要もないのだけれど。
ただ、少しは、ざまぁ、と思ってしまう部分もあった。
あんな風に身勝手に切り捨ててきた男だ、明らかに心ない人である。そんな人が幸せに生きられるなんて、そんな世の中であってはならないと思うのだ。亡くなってほしいとはさすがに思わないけれど。心ないことをした人、悪人、そういった者が幸せになれる未来なんてない方が良いと思うのである。
……なんにせよ、さようならパルフェット。
◆
あの婚約破棄から一年半。
私は親戚の人から良い人を紹介してもらうことができ、その人と親しくなることができて、やがて結ばれることができた。
夫となったその人はとても善良な人だ。
少しもっちりした感じの男性で、それゆえ子どもの頃には虐められていたこともあったそうなのだが、そういった経験もあってか優しさと広い心の持ち主となっている。
大人しくても善良な人。
私は彼を心から愛している。
彼とならきっと上手くやっていけると思う。
必ず幸せになってみせよう。
◆終わり◆
二人の未来にはなんてことのない平凡でも穏やかな未来があると思っていた。
……けれどもそれは間違いだった。
「ミリー、君との婚約は破棄とする!」
ある日突然告げられる関係の終わり。
赤毛のパルフェットは私を自宅へ呼び出すとはっきりと告げてくる。
あまりにも唐突な出来事でただただ戸惑いしかない……。
「婚約破棄、ですか?」
「ああ」
「また急に……どうしてです?」
「何をとぼけているんだ! くだらない!」
「怒らないでください」
「はああ!? 舐めているのか!? 俺は怒ってなどいない!!」
パルフェットは鼻息を荒くし、ふんすふんすと大きな音を鳴らしつつ、怒りを顔面に濃く浮かべている。
「ちなみに婚約破棄の理由は君に飽きたからだ」
「ええっ」
「何だその反応。君が面白みのない女なのがすべての原因だというのに、なぜそんな引いたような顔をしているのか」
「理由があまりにも雑でしたので……」
「馬鹿にしやがって!! 絶対に許さなあああああい!!」
「落ち着いてください、パルフェットさん」
こうして私たちの関係は終わりを迎えてしまったのだった。
だが、いざそうなってしまった後で考えると、まぁいいかという気分が大きかった。
想像していたよりかはショックはなくて。
自然な形で受け止めることができている。
◆
三ヶ月後。
パルフェットは趣味の山登り中に斜面を転がり落ちて行方不明となってしまい、捜索するも発見されず、死亡したという結論が出されたのだった。
彼の亡骸は見つからないまま。けれども恐らく亡くなったことは事実だろう。山の中で一人生き延びている可能性は低い。そんな奇跡のようなことは恐らく起こりはしないだろう。
もっとも、今はもう婚約者同士ではないわけなので、気に掛ける必要もないのだけれど。
ただ、少しは、ざまぁ、と思ってしまう部分もあった。
あんな風に身勝手に切り捨ててきた男だ、明らかに心ない人である。そんな人が幸せに生きられるなんて、そんな世の中であってはならないと思うのだ。亡くなってほしいとはさすがに思わないけれど。心ないことをした人、悪人、そういった者が幸せになれる未来なんてない方が良いと思うのである。
……なんにせよ、さようならパルフェット。
◆
あの婚約破棄から一年半。
私は親戚の人から良い人を紹介してもらうことができ、その人と親しくなることができて、やがて結ばれることができた。
夫となったその人はとても善良な人だ。
少しもっちりした感じの男性で、それゆえ子どもの頃には虐められていたこともあったそうなのだが、そういった経験もあってか優しさと広い心の持ち主となっている。
大人しくても善良な人。
私は彼を心から愛している。
彼とならきっと上手くやっていけると思う。
必ず幸せになってみせよう。
◆終わり◆
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