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「お前みたいな野蛮な女、俺には必要ない」そんなことを言われたうえ、婚約破棄を告げられまして!?

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「お前みたいな野蛮な女、俺には必要ない」

 私ミッシェリアは幼い頃から運動神経が良く、ゆえに、かなりやんちゃだった。

 やんちゃと言っても、悪いことをしていたわけではない。
 ただ動くことが好きだっただけだ。
 なので剣術に打ち込んだり街の実力者から戦闘技術を習ったりしていたのである。

 そんな私のことを婚約者リオンデールはよく思っていなかったようで。

「よって、婚約は破棄とする!」

 まさかの関係解消を告げられてしまった。

「本気で仰っているのですか?」
「当たり前だろう」
「冗談などではなく?」
「ああ、そうだ。そんなくだらない冗談なぞ発するわけがない。すべて本当の言葉だ」

 想定していなかっただけにかなり驚いた。
 確かにショックもある。
 けれどもだからといって心折れたり泣いたりするほど私は弱くない。

「そう、ですか……分かりました」

 それが彼の願いなら、私はそれに応えよう。

「受け入れます」
「そうか!」
「今までありがとうございました」

 そう言うと、リオンデールはにっこりしていた。

 そんなに私と離れたかったの……? なんて、複雑な気持ちになりつつも、私は彼の前から去る道を選んだ。

 だって、きっと、このまま一緒にいても良いことなんてないだろうから。

 私は戦いが好き。
 彼はそんな私が嫌い。

 ……ならば終わりにするしかないだろう?

 どう足掻いても理解し合うことはできないのだから。


 ◆


 婚約破棄後、私は、国家防衛組織に戦闘員として加入した。

 そこでは戦いが好きな私のことも誰も悪く言わない。
 だから気が楽だった。

 私はただ自由でいたい。

 縛られてはいたくない。
 否定されるばかりではいたくない。

 ゆえに、この環境が合っていた。

 ――そして最高位にまで上り詰めることとなる。

 全力で戦えた。
 そして出世できた。

 それは私にとってとてもとても嬉しいことだった。

 頑張れば頑張るほどに評価される――努力が見える形になるのは大変喜ばしいことだ。

 ちなみにリオンデールはというと、あの後、親の紹介で知り合った美女と結婚するも結婚後豹変したその女性に虐げられることとなってしまったそう。それで、今は、実の親と会うことすら許されていないそうだ。彼は妻以外の人と接することを一切許されていないらしく。もはや彼には自由も人権もない。

 きっと、少しくらい不満があっても、私と結婚しておいた方が彼は幸せだったと思う。だってそうしていれば少なくとも親には会えたはずだから。

 だが、可哀想と思うかと問われれば、頷きはしない。

 なぜなら私にとって彼は大切な人ではないからだ。
 他人を平然と野蛮と言っていたような男に誰が同情するというのか。


◆終わり◆
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