常に貴女の傍に

四季

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 気がつけば、生まれていた。
 気がつけば、学校へ入学して。
 気がつけば、親衛隊に入隊していた。

 そんな『気がつけば』ばかりの人生を生きてきた。


 エンジェリカの王都で貴族の家に生まれた私は、天界学校を首席で卒業し、親衛隊に入隊した。私にはルッツという二つ年下の弟がいたが、彼も天界学校を首席で卒業して親衛隊に入隊した。私とルッツは同じような人生を生きてきたからか価値観も合い、兄弟二人で共に行動することが多かった。

 私は弟が誇ることのできる兄であろうとした。戦闘、教養、すべてにおいて弟が、ルッツが誇れるように。恥ずかしい思いをせずに済むように。立派な兄であろうとした。


 親衛隊員として働いていた時代、まだエンジェリカへ嫁いできたばかりの王妃を助けたことがある。

 その日、私はルッツと見回りがてら王宮を散歩していた。そんな時だ。気のきつそうな侍女たちに絡まれている彼女を見たのは。

「ちょっと貴女、勘違いしてるんじゃなくて? 王妃になったからってそんな偉そうに!」
「若いから王に愛されているのよ。勘違いしないでほしいわ」

 自分たちより後からやって来た若く美しい王妃に、古参の侍女たちが嫉妬したというだけのことだろう。だが罪のない王妃がいじめられるのも可哀想だと思い、私は声をかけた。

「すみません。王妃、今少し構いませんか?」

 私は王妃を少し離れた場所へと呼ぶ。

「あっ、あの……えと……」

 王妃は突然のことに戸惑いオロオロしていたが、少しすると落ち着いてくる。
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