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4話
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家出した私は山道で倒れていたところ一人の青年に保護された。
事情を話すと彼は「しばらくここにいてもいいよ」と言ってくれて。それで私は彼の家で暮らすことに決めた。
ちなみに二人きりではない。
彼には可愛がっている妹がいたから。
昼間青年は働きに出る。その間私は彼の妹と二人で過ごした。彼の妹は美女になりそうな雰囲気の人物だったが、嫌みな感じはなく、とても可愛らしくて。二人でいるのもそれはそれで楽しかった。
そして数年後、私と彼は家族になった。
私と青年とその妹と。
三人で幸せに暮らしている。
領地持ちの家の長女というステータスは今はもうない。その頃の私は消え去った。今の私はただの女性に過ぎないのだ。だが、それでも、私にとっては今の方が幸せ。
温かな暮らし、細やかな幸福。
それだけで十分。
◆
後に耳にした話によると、カストロフとハルニーは二人で家を出たらしい。
理由は、両方の家から色々言われたから。
二人は二人の幸せを最優先にし、家から離れ、自分たちだけの道を選んだそうだ。
だが、二人きりになったからといって、必ずしも幸せになれるわけではない。彼らは皮肉にもそれを証明した。というのも、いざがっつり同棲し始めると喧嘩が増えたのである。ハルニーがわがままを言い出したことが発端となり、二人は険悪になってゆく。
ストレスが溜まったカストロフは、段々、ハルニーを叩いたり蹴ったりするようになって。怖くなったハルニーは、涙ながらに実家へ帰ったそうだ。しかしハルニーに居場所はなかった。両親は、かつて自分勝手なことをしたハルニーを受け入れず、見捨てたという。
一方、カストロフはというと。同棲者への暴力という自身の悪行が明らかになることを恐れ、逃げ出したハルニーを追いかけたらしい。自身の行為を隠したくて必死だったようで、彼は寝る間も惜しんでハルニー探しを続けていたという。
そして、半年ほどが経った、ある夜。
カストロフはついにハルニーを発見する。
口封じをしたいカストロフ。彼から逃れたいハルニー。もう共には歩めない二人は、こじれにこじれて揉み合いになる。そして、カッとなっていたカストロフは、ハルニーを殺めてしまった。
カストロフが冷静になった時にはもう手遅れ。
その後、カストロフは、人殺しの罪人として生きたそうだ。
◆終わり◆
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