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3話
しおりを挟む「守れなくてごめんなさいね」
「いいのよ母さん、母さんは悪くないの」
母はよく泣いていた。
その姿を見ていると申し訳なくなって……。
だからこそ気持ちは真っ直ぐに伝えようと思った。
「でも……もっと私がきちんと見張っていれば……」
「ううん、そんな話じゃない」
「母親なのに、娘を、貴女を守れなかった……本当に、今、後悔しているの」
「後悔なんてしないで。私はこうして一緒にいてもらえているだけでとても救われているもの、母さんを悪く思ったりしない」
伝えられることは伝えよう。
きっとそれが目の前の人の力になると信じて。
◆
婚約者奪われ事件から一年半、私は親戚のおばさんの知り合いが紹介してくれた人と婚約した。
彼は誠実な人だ。
少々肥えている人だけれど、いつだってそっと寄り添ってくれるような人で、出会った日からずっと非常に好印象だった。
もっちりした肌も今では愛おしい。
私の肌より彼の肌の方がもちもちで綺麗なのは若干あれだが……?
けれども彼のことは心の底から愛している。
彼とならどこまででもゆける。
……それだけは確かなことよ。
ちなみに婚約していた妹ミレとオーガンはというと。
ある夏の日、山登りをしていて熊に襲われ、無残な状態になって発見されたそうだ。
餌となったようだ。
可哀想に。
◆終わり◆
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