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22話 情緒不安定
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「ちょっと、ローザ!」
薔薇を受け取って喋っていた時、背後からリリィの声が飛んできた。
振り返ればそこには仁王立したリリィ。
もともと着ていた紺色のゴスロリ風ワンピースを着ているが、可愛いというよりかは勇ましいが近いような雰囲気を漂わせている。
「何のつもり!」
リリィはローザを睨みつける。
攻撃的な絡み方だ。
しかしローザはというとまったく乗っていかない。
「やぁ、久しぶりー」
事情を知らない母親がいるからだろうか、攻撃的な態度を取るリリィに対してもローザは穏やかに接している。
「あら、露澤さん、リリィちゃんとお知り合い?」
手のひらで口を隠しつつ驚いた顔をする母親に、ローザは何事もなかったかのように普通に返す。
「あぁはい。実は、そうなんです。といっても、以前会ったことがあるという程度なんですけどね」
ローザは徹底して普通と人を装っている。
それも、とても自然に。
「そう! それは良かったですー、リリィちゃん知り合いが少ないみたいだったから」
「ありがとうございます。そう言っていただけるとありがたいです」
「露澤さんもぜひ仲良くしてあげてくだ……」
言い終わるのを待たずリリィはローザに向かって真っ直ぐに突き進み出した。
何が起きたのか理解できない、というような顔をする母親。
「ローザ! いい加減にしろ!」
「おぉ怖い」
「ふざけても無駄! 騙されないから。企みは何なワケ!?」
母親は何がどうなったか分からず困りきったような顔つきになっている。
だがそれも無理はない、母親はリリィとローザの関係なんて欠片ほども知らないのだから。
私だって今の母親と同じ状況になっていた可能性はあったわけだ。リリィが色々話してくれていたから、そうはならずに済んだけれど。
「そう怒らないでよー怖いなー」
「おちょくってんの!? いい加減に……っ!」
リリィは声を詰まらせた。
ローザが急に真剣な顔になり鋭い視線を放ったから、である。
「まさか」
彼はぽつりと呟いて、またすぐいつもの笑顔に戻る。
「実は、前の職場辞めたんだよね」
「……何それ、どういうこと」
今にも殴りかかりそうだったリリィは一旦落ち着いた。鋭い物言いを連続するとはひとまずやめたようだ。しかし、リリィがローザに対して敵に向けるような視線を向けていることに変わりはない。不審な点があれば躊躇なく攻撃する、とでも言いたげな視線を放つリリィである。
「深く話すほどじゃないけどさ、ま、そういうこと」
「……怪しい」
「えぇー、怪しいとか言わないでー。ひーどーいー」
前の職場って、もしかして、悪の組織?
かつてリリィもいたところ?
「……邪魔してごめんなさい、じゃああたしはこれで」
リリィは一言謝罪して、家の中へ消えていった。
そんなリリィを心配するのは母親。
「リリィちゃん……どうしちゃったのかしら……」
「ごめん、母さん。リリィはちょっと情緒不安定になる時があって。でも少し放っておいたら治るから気にしないで」
「そう?」
「うん。そっとしておいて」
「そう……分かったわ」
母親は視線を向ける対象をローザに変え、苦笑しつつ続ける。
「騒がしくてごめんなさいね、露澤さん」
薔薇を受け取って喋っていた時、背後からリリィの声が飛んできた。
振り返ればそこには仁王立したリリィ。
もともと着ていた紺色のゴスロリ風ワンピースを着ているが、可愛いというよりかは勇ましいが近いような雰囲気を漂わせている。
「何のつもり!」
リリィはローザを睨みつける。
攻撃的な絡み方だ。
しかしローザはというとまったく乗っていかない。
「やぁ、久しぶりー」
事情を知らない母親がいるからだろうか、攻撃的な態度を取るリリィに対してもローザは穏やかに接している。
「あら、露澤さん、リリィちゃんとお知り合い?」
手のひらで口を隠しつつ驚いた顔をする母親に、ローザは何事もなかったかのように普通に返す。
「あぁはい。実は、そうなんです。といっても、以前会ったことがあるという程度なんですけどね」
ローザは徹底して普通と人を装っている。
それも、とても自然に。
「そう! それは良かったですー、リリィちゃん知り合いが少ないみたいだったから」
「ありがとうございます。そう言っていただけるとありがたいです」
「露澤さんもぜひ仲良くしてあげてくだ……」
言い終わるのを待たずリリィはローザに向かって真っ直ぐに突き進み出した。
何が起きたのか理解できない、というような顔をする母親。
「ローザ! いい加減にしろ!」
「おぉ怖い」
「ふざけても無駄! 騙されないから。企みは何なワケ!?」
母親は何がどうなったか分からず困りきったような顔つきになっている。
だがそれも無理はない、母親はリリィとローザの関係なんて欠片ほども知らないのだから。
私だって今の母親と同じ状況になっていた可能性はあったわけだ。リリィが色々話してくれていたから、そうはならずに済んだけれど。
「そう怒らないでよー怖いなー」
「おちょくってんの!? いい加減に……っ!」
リリィは声を詰まらせた。
ローザが急に真剣な顔になり鋭い視線を放ったから、である。
「まさか」
彼はぽつりと呟いて、またすぐいつもの笑顔に戻る。
「実は、前の職場辞めたんだよね」
「……何それ、どういうこと」
今にも殴りかかりそうだったリリィは一旦落ち着いた。鋭い物言いを連続するとはひとまずやめたようだ。しかし、リリィがローザに対して敵に向けるような視線を向けていることに変わりはない。不審な点があれば躊躇なく攻撃する、とでも言いたげな視線を放つリリィである。
「深く話すほどじゃないけどさ、ま、そういうこと」
「……怪しい」
「えぇー、怪しいとか言わないでー。ひーどーいー」
前の職場って、もしかして、悪の組織?
かつてリリィもいたところ?
「……邪魔してごめんなさい、じゃああたしはこれで」
リリィは一言謝罪して、家の中へ消えていった。
そんなリリィを心配するのは母親。
「リリィちゃん……どうしちゃったのかしら……」
「ごめん、母さん。リリィはちょっと情緒不安定になる時があって。でも少し放っておいたら治るから気にしないで」
「そう?」
「うん。そっとしておいて」
「そう……分かったわ」
母親は視線を向ける対象をローザに変え、苦笑しつつ続ける。
「騒がしくてごめんなさいね、露澤さん」
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