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前編

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 その日、私は体調を崩していた。
 なんとなく気分が優れず、それで、自宅のベッドに横になっていたのである。

 すると婚約者リッツァルが現れて。

「急で悪いが、君との婚約は破棄とする」

 そんなことを告げてきた。

「君は身体が弱すぎる。すぐに風邪を引くだろう。そんな女と共に生きてゆくなど……そんなのは不可能なことだ。妻には強き母であってもらわねばならないからな、君にその資格はない」

 しかも追い討ちをかけるようにそんなことまで付け加えてきて。

「本日をもって、この縁は終焉だ」

 この縁は終焉、なんて上手く言った気かもしれないが……正直面白くはないし笑えない、センスを感じることもない。

 くだらない、の一言である。

「ではこれで失礼する」

 リッツァルはさらりとそう述べると帰っていった。

 ああ、もう、また頭痛が酷くなってきた……。
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