33 / 44
2作品
しおりを挟む
『猫人族の姫は人間の王子に裏切られ婚約破棄されましたが……。』
猫人族の姫であるローリエは人間の王子アッサムと婚約した。
それは二つの種族の関係を良好に保ってゆくための婚約であった。
つまり、お互いに代表を出し合ったのである。
二人が幸せに生きてゆくこと、それが、猫人族と人間が共に存在してゆくことの象徴となる……はずだったのだ。
だがアッサムはローリエを裏切った。
元々知り合いだった侍女メリアといちゃつき、深い関係となり、そうしてやがてそれがローリエにばれると逆ギレしたのだ。
「猫人族の女なんか愛するわけないだろ! 仕方なく婚約してやってんだよ! 国のために、な!」
アッサムは迷いなくメリアを選んだ。
「お前なんかとの婚約、破棄してやるッ!!」
……だがそれがローリエの父親の怒りを爆発させることとなってしまう。
猫人族は人間を許さない。
種族が異なるというだけで見下され馬鹿にされたのだからある意味当然なのだが。
ローリエの父親は軍を率いて人間の国へ侵攻。
そうして戦いが始まる。
それはどちらかの種族が滅びるまで終わることのない血に塗られた戦いとなってゆくのだった。
……そして、人間は敗北した。
アッサムは多くの猫人族の前で痛めつけられ、その果てに処刑された。
彼の親も同じだ。
捕らえられてからしばらく暴力の的となり、その後死刑となった。
そしてメリアはというと、落書きされた身体を柱にくくりつけられて晒された。
「あれなんだ、おもしれー」
「きゃははっ」
「何か変なこと書かれてるわねぇ」
「うけたわ」
「だっせ」
「愚かな人間ならではね。ざまぁ。馬鹿だから似合ってるわ」
ローリエは猫人族の国へ戻った。
それから時は流れ、ローリエは蛇人族の王子と結婚。
彼女はそこで幸せに暮らしたそうだ。
◆終わり◆
『愛していた人を妹に盗られ、ショックで壊れそうになったのですが……奇跡の復活を果たしました! ~二人はあの世逝きとなりました~』
愛していた人、婚約者だった人を、妹に盗られた。
「悪いな、俺、あんたはもう要らねぇわ」
「魅力的でごめんなさいねぇ、お姉様ぁ」
婚約者ロールスエイスは私ではなく私の妹を選んだ。
「婚約は破棄とする」
そう、彼は私を愛してはくれなかった……。
愛されている。
大事にされている。
私が信じてきたものはすべてが幻、まやかしだった。
「そんな……」
「何だようぜぇ顔しやがって。お前なんて要らねぇんだわ」
「でもっ……!」
「俺が愛してるのは妹さんだけ、彼女だけなんだよ」
こうして私の心は破壊されてしまった……。
――だが、両親からのサポートもあって、徐々に回復していく。
ようやく食事がとれるようになった頃。
ある事件が起こって。
それによってロールスエイスは死亡した。
「ロールスエイスさまあああ! どうしてわたくしを捨てたのですか!? どうしてっ……先にっ……うああああああん! ロールスエイスさまあああああああ! 戻ってきて! 戻ってきてえええええ! うわああああああああああああん! 帰ってきてくださいよおおおお! そして愛してるってもう一度言ってえええええええ!」
そのショックで妹は完全に壊れた。
「あああああ……戻ってきて、あなた……あああ……わたくしを捨てるのですか……? どうして! どうしてなのですか!? 早くここへ! 戻ってきてください! わたくしは、わたくしはっ……ここに! ここにいるというのに! お願いですから帰ってきてくださいいいいいいいいい! あああ! ああああ! いぃやああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁっあっあっうっああああああああ!」
私と違って回復しそうにもなく。
「お願い! わたくしを! わたくしも連れていって! 一緒に! そちらへ! 浮気しないで! きぃえええぇぇぇやぁぁぁぁあああああぁぁぁぁ! あなたああああああああ!」
彼女はそのまま叫び続け、やがて衰弱して亡くなった。
……こうして、私を傷つけた二人はこの世を去ったのであった。
◆
「おはよう、今日も良い天気ね!」
「うんそうだね~。おはよう~。っていうか、朝から元気だね~」
あれから数年、私は、良き夫を得られた。
「爽やかな朝は好きなの」
「そうなんだ~」
「何よそれ!? 初耳みたいに言うわね!?」
「いやいや~、聞いたことあるけど~、改めて学んだな~って」
「えええ……」
おっとり気味で可愛らしい夫と幸せに暮らしている。
「じゃあ朝食作ってくるから」
「ありがとう~」
「あ、卵どうする? 半生がいい?」
「やった~」
「半生好きよね」
「うん好き大好き~」
◆終わり◆
猫人族の姫であるローリエは人間の王子アッサムと婚約した。
それは二つの種族の関係を良好に保ってゆくための婚約であった。
つまり、お互いに代表を出し合ったのである。
二人が幸せに生きてゆくこと、それが、猫人族と人間が共に存在してゆくことの象徴となる……はずだったのだ。
だがアッサムはローリエを裏切った。
元々知り合いだった侍女メリアといちゃつき、深い関係となり、そうしてやがてそれがローリエにばれると逆ギレしたのだ。
「猫人族の女なんか愛するわけないだろ! 仕方なく婚約してやってんだよ! 国のために、な!」
アッサムは迷いなくメリアを選んだ。
「お前なんかとの婚約、破棄してやるッ!!」
……だがそれがローリエの父親の怒りを爆発させることとなってしまう。
猫人族は人間を許さない。
種族が異なるというだけで見下され馬鹿にされたのだからある意味当然なのだが。
ローリエの父親は軍を率いて人間の国へ侵攻。
そうして戦いが始まる。
それはどちらかの種族が滅びるまで終わることのない血に塗られた戦いとなってゆくのだった。
……そして、人間は敗北した。
アッサムは多くの猫人族の前で痛めつけられ、その果てに処刑された。
彼の親も同じだ。
捕らえられてからしばらく暴力の的となり、その後死刑となった。
そしてメリアはというと、落書きされた身体を柱にくくりつけられて晒された。
「あれなんだ、おもしれー」
「きゃははっ」
「何か変なこと書かれてるわねぇ」
「うけたわ」
「だっせ」
「愚かな人間ならではね。ざまぁ。馬鹿だから似合ってるわ」
ローリエは猫人族の国へ戻った。
それから時は流れ、ローリエは蛇人族の王子と結婚。
彼女はそこで幸せに暮らしたそうだ。
◆終わり◆
『愛していた人を妹に盗られ、ショックで壊れそうになったのですが……奇跡の復活を果たしました! ~二人はあの世逝きとなりました~』
愛していた人、婚約者だった人を、妹に盗られた。
「悪いな、俺、あんたはもう要らねぇわ」
「魅力的でごめんなさいねぇ、お姉様ぁ」
婚約者ロールスエイスは私ではなく私の妹を選んだ。
「婚約は破棄とする」
そう、彼は私を愛してはくれなかった……。
愛されている。
大事にされている。
私が信じてきたものはすべてが幻、まやかしだった。
「そんな……」
「何だようぜぇ顔しやがって。お前なんて要らねぇんだわ」
「でもっ……!」
「俺が愛してるのは妹さんだけ、彼女だけなんだよ」
こうして私の心は破壊されてしまった……。
――だが、両親からのサポートもあって、徐々に回復していく。
ようやく食事がとれるようになった頃。
ある事件が起こって。
それによってロールスエイスは死亡した。
「ロールスエイスさまあああ! どうしてわたくしを捨てたのですか!? どうしてっ……先にっ……うああああああん! ロールスエイスさまあああああああ! 戻ってきて! 戻ってきてえええええ! うわああああああああああああん! 帰ってきてくださいよおおおお! そして愛してるってもう一度言ってえええええええ!」
そのショックで妹は完全に壊れた。
「あああああ……戻ってきて、あなた……あああ……わたくしを捨てるのですか……? どうして! どうしてなのですか!? 早くここへ! 戻ってきてください! わたくしは、わたくしはっ……ここに! ここにいるというのに! お願いですから帰ってきてくださいいいいいいいいい! あああ! ああああ! いぃやああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁっあっあっうっああああああああ!」
私と違って回復しそうにもなく。
「お願い! わたくしを! わたくしも連れていって! 一緒に! そちらへ! 浮気しないで! きぃえええぇぇぇやぁぁぁぁあああああぁぁぁぁ! あなたああああああああ!」
彼女はそのまま叫び続け、やがて衰弱して亡くなった。
……こうして、私を傷つけた二人はこの世を去ったのであった。
◆
「おはよう、今日も良い天気ね!」
「うんそうだね~。おはよう~。っていうか、朝から元気だね~」
あれから数年、私は、良き夫を得られた。
「爽やかな朝は好きなの」
「そうなんだ~」
「何よそれ!? 初耳みたいに言うわね!?」
「いやいや~、聞いたことあるけど~、改めて学んだな~って」
「えええ……」
おっとり気味で可愛らしい夫と幸せに暮らしている。
「じゃあ朝食作ってくるから」
「ありがとう~」
「あ、卵どうする? 半生がいい?」
「やった~」
「半生好きよね」
「うん好き大好き~」
◆終わり◆
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
聖女は支配する!あら?どうして他の聖女の皆さんは気付かないのでしょうか?早く目を覚ましなさい!我々こそが支配者だと言う事に。
naturalsoft
恋愛
この短編は3部構成となっております。1話完結型です。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★
オラクル聖王国の筆頭聖女であるシオンは疑問に思っていた。
癒やしを求めている民を後回しにして、たいした怪我や病気でもない貴族のみ癒やす仕事に。
そして、身体に負担が掛かる王国全体を覆う結界の維持に、当然だと言われて御礼すら言われない日々に。
「フフフッ、ある時気付いただけですわ♪」
ある時、白い紙にインクが滲むかの様に、黒く染まっていく聖女がそこにはいた。
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
くだらない冤罪で投獄されたので呪うことにしました。
音爽(ネソウ)
恋愛
<良くある話ですが凄くバカで下品な話です。>
婚約者と友人に裏切られた、伯爵令嬢。
冤罪で投獄された恨みを晴らしましょう。
「ごめんなさい?私がかけた呪いはとけませんよ」
よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
王太子に婚約破棄され塔に幽閉されてしまい、守護神に祈れません。このままでは国が滅んでしまいます。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
リドス公爵家の長女ダイアナは、ラステ王国の守護神に選ばれた聖女だった。
守護神との契約で、穢れない乙女が毎日祈りを行うことになっていた。
だがダイアナの婚約者チャールズ王太子は守護神を蔑ろにして、ダイアナに婚前交渉を迫り平手打ちを喰らった。
それを逆恨みしたチャールズ王太子は、ダイアナの妹で愛人のカミラと謀り、ダイアナが守護神との契約を蔑ろにして、リドス公爵家で入りの庭師と不義密通したと罪を捏造し、何の罪もない庭師を殺害して反論を封じたうえで、ダイアナを塔に幽閉してしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる