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『幼馴染みと婚約しましたが彼が愛しているのは別の女でした。~そういう人は生理的に無理です~』
「ロマン、これからもよろしくね」
「ああ。もちろん。アイーネ、これからも楽しく暮らしていこうじゃないか」
私アイーネは幼馴染みで家も近所である青年ロマンと婚約した。
皆に祝福されて、未来への一歩を踏み出した。
その先には希望しかないと思っていた。
それが当たり前なのだと。
愚かにもそんな風に考えて、彼と共に迎える幸福な明日を心待ちにしていたのだ。
……けれど。
「俺が好きなのはリュナだけだよ」
「ほんとぉ? うれっしぃ~」
「婚約者はいるけどさ。でもそれでも、本当に、愛しているのはリュナただ一人だから」
「あたしもぉ、ロマンを愛してるぅ~」
ロマンは浮気していた。
学生時代からの知り合いである爆乳女リュナと。
「ね~え~、ロマン? これからもあたしのこと愛してくれるぅ? ずぅ~っと、結婚してからも、あたしだけを見ていてくれるぅ~?」
「もちろんだよ」
「本当に? アイーネさんだっけ? その人のことばっかり見たり、そんなことしない?」
「当たり前じゃないか。あんなのは形だけさ。一応結婚しておくにはちょうどいいんだ、幼馴染みだから」
その事実を知った時、私は、怒りに包まれた。
「でもぉ、付き合い長いんでしょぉ?」
「だからこそ好きとかそういうのじゃないんだよ」
「うふふぅ~良かったぁ」
――絶対に許せない。
そう思った。
だからこそ親にもすべてを話したし、婚約は破棄する方向で話を進めると決めた。
で、その通り、ロマンとの婚約は破棄した。
こうして他人となった私とロマン。
でもそれだけではこの怒りは収まらない。
当たり前だろう?
彼には相応の罰を受けてもらわなくては。
私だけが傷ついて、彼が幸せに暮らせるなんて、そんなのは間違っている。
だから私は呪術師を雇ってロマンとリュナを地獄へ堕とすことにした。
その結果、ロマンは突如肺炎になりそれをこじらせて死亡。リュナはロマンの死に絶望して自ら命を絶とうとしていたところ山賊に誘拐されてそのまま行方不明となった。で、数週間後に亡骸となって発見されたのだった。
その後私は親の知り合いからの紹介で関わるようになった男性と結婚した。
彼は少しぽっちゃり系の男性だ。年齢も五つほど上。若干離れてはいるけれど、でも、とても善良な人なので個人的には凄く気に入っているしずっと一緒に在りたいと純粋に思えている。
包み込んでくれるような優しさが好き。
だから彼を愛している。
◆終わり◆
『婚約破棄したうえ私の悪いところを大量に言ってくるなんて……貴方はなんて心ない人なのでしょう。』
「俺、もうお前とは一緒に生きねぇから。よって、婚約は破棄とする!」
理不尽な宣言。
それはある日突然投げつけられた。
「お前は可愛くない。お前は魅力がない。お前は素敵でない。お前は顔面が神でない。お前は話が面白くない。お前は色気むんむんでない。お前はお茶の淹れ方が素晴らしくない。お前は学力が低くなくてくだらない。お前は愛おしさがない」
婚約者ロンドスは私の悪口を大量に並べ。
「よってお前とは生きないこととした」
永遠の別れを告げてきたのだった。
「え……ちょ、ま、待ってください」
「二度と話さない」
「あの、困りますっ、いきなりすぎて……」
「二度と会わない」
「ええっ……」
「二度と顔を見ない」
その時の彼はまるで何者かに洗脳されているかのようであった。
◆
あれから数年が経ち、私は、広大な領地を持つ家の一人息子であるバロートンという青年と結婚した。
彼の方が三歳年上。けれども彼は私に対して威張ってくるようなことはない。だから彼との関係は良好だ。彼は相手が年下だからと威張ってきたり圧をかけてきたりするような人ではなかった。
どんな時も優しく接してくれて、包み込むような愛情を向けてくれる、そんな彼を私は愛している。
ちなみにロンドスはというと。
あの後――婚約破棄後のことだが――栗拾いに出掛けていて誰かの落とし物と思われるバナナの皮で滑り後頭部を打ってしまい亡くなったそうだ。
◆終わり◆
「ロマン、これからもよろしくね」
「ああ。もちろん。アイーネ、これからも楽しく暮らしていこうじゃないか」
私アイーネは幼馴染みで家も近所である青年ロマンと婚約した。
皆に祝福されて、未来への一歩を踏み出した。
その先には希望しかないと思っていた。
それが当たり前なのだと。
愚かにもそんな風に考えて、彼と共に迎える幸福な明日を心待ちにしていたのだ。
……けれど。
「俺が好きなのはリュナだけだよ」
「ほんとぉ? うれっしぃ~」
「婚約者はいるけどさ。でもそれでも、本当に、愛しているのはリュナただ一人だから」
「あたしもぉ、ロマンを愛してるぅ~」
ロマンは浮気していた。
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「ね~え~、ロマン? これからもあたしのこと愛してくれるぅ? ずぅ~っと、結婚してからも、あたしだけを見ていてくれるぅ~?」
「もちろんだよ」
「本当に? アイーネさんだっけ? その人のことばっかり見たり、そんなことしない?」
「当たり前じゃないか。あんなのは形だけさ。一応結婚しておくにはちょうどいいんだ、幼馴染みだから」
その事実を知った時、私は、怒りに包まれた。
「でもぉ、付き合い長いんでしょぉ?」
「だからこそ好きとかそういうのじゃないんだよ」
「うふふぅ~良かったぁ」
――絶対に許せない。
そう思った。
だからこそ親にもすべてを話したし、婚約は破棄する方向で話を進めると決めた。
で、その通り、ロマンとの婚約は破棄した。
こうして他人となった私とロマン。
でもそれだけではこの怒りは収まらない。
当たり前だろう?
彼には相応の罰を受けてもらわなくては。
私だけが傷ついて、彼が幸せに暮らせるなんて、そんなのは間違っている。
だから私は呪術師を雇ってロマンとリュナを地獄へ堕とすことにした。
その結果、ロマンは突如肺炎になりそれをこじらせて死亡。リュナはロマンの死に絶望して自ら命を絶とうとしていたところ山賊に誘拐されてそのまま行方不明となった。で、数週間後に亡骸となって発見されたのだった。
その後私は親の知り合いからの紹介で関わるようになった男性と結婚した。
彼は少しぽっちゃり系の男性だ。年齢も五つほど上。若干離れてはいるけれど、でも、とても善良な人なので個人的には凄く気に入っているしずっと一緒に在りたいと純粋に思えている。
包み込んでくれるような優しさが好き。
だから彼を愛している。
◆終わり◆
『婚約破棄したうえ私の悪いところを大量に言ってくるなんて……貴方はなんて心ない人なのでしょう。』
「俺、もうお前とは一緒に生きねぇから。よって、婚約は破棄とする!」
理不尽な宣言。
それはある日突然投げつけられた。
「お前は可愛くない。お前は魅力がない。お前は素敵でない。お前は顔面が神でない。お前は話が面白くない。お前は色気むんむんでない。お前はお茶の淹れ方が素晴らしくない。お前は学力が低くなくてくだらない。お前は愛おしさがない」
婚約者ロンドスは私の悪口を大量に並べ。
「よってお前とは生きないこととした」
永遠の別れを告げてきたのだった。
「え……ちょ、ま、待ってください」
「二度と話さない」
「あの、困りますっ、いきなりすぎて……」
「二度と会わない」
「ええっ……」
「二度と顔を見ない」
その時の彼はまるで何者かに洗脳されているかのようであった。
◆
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どんな時も優しく接してくれて、包み込むような愛情を向けてくれる、そんな彼を私は愛している。
ちなみにロンドスはというと。
あの後――婚約破棄後のことだが――栗拾いに出掛けていて誰かの落とし物と思われるバナナの皮で滑り後頭部を打ってしまい亡くなったそうだ。
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