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2話
しおりを挟む「また、単なる婚約破棄だけでは終わらせないッ!!」
「え」
「罰を与える!!」
「えええ……」
「当然だろう。罪人には罰を与える必要がある。それはこの世の常だ。何も驚くようなことではない、罪人に罰を与えるというのは当たり前のことだ」
「ですから私は何もしていないのです……!」
「逃げるな!!」
「逃げているのではありません。私はただ真実を――」
「黙れ! 黙れよ! 黙れって言ってんだッ!!」
ああ、どうして彼はこんなにもリリアナのことだけを信じ込んでしまっているのだろう……。
浮気しておいて、私を悪に仕立て上げるなんて。
どうかしていると感じてしまう。
とても正気の沙汰とは思えない。
――こうして私は悪女とされてしまい、罰として隣国との国境付近に在る魔物の住む村に捨てられることとなってしまった。
「可哀想ね、ミレニア様……理不尽よね、あんなの……」
「酷すぎるわ……」
「でもわたしたちではどうもしてあげられないわ……だってわたしたちただの雇われ侍女なんだもの……」
「せめて心の中では応援してあげましょう」
「そうね、それがわたしたちに唯一できることだわ」
侍女たちは私の味方をしてくれていたけれど、それで何かが変わるわけでもなくて。
「さらばだ! 永遠に! 地獄へ堕ちろ!」
城を出る瞬間、エルリッヒからはそんなことを叫ばれてしまった。
私は振り返らなかった。
彼の顔なんて二度と見たくない、そういう思いだったから。
浮気をして、それをごまかすために婚約者を悪に仕立て上げた――そんな男は鬼みたいなもの、だから私はもう彼の顔なんて絶対に見ない。
そうよ、それが唯一の抵抗なの。
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